(国)名古屋大
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2004年05月10日

21世紀型先端研究、8施設統合し新機構――名大、学部の枠超え推進

日経産業新聞(2004/05/10)

 名古屋大学は工学系の六つの研究センターと二つの施設を統合した「エコトピア科学研究機構」をこのほど設立した。リサイクルやナノテクノロジー、次世代エネルギー技術などを横断的に研究する組織に再編して独自色を打ち出していく。
 循環や再生をキーワードにした二十一世紀型の先端研究を学部・学科の枠を超えて進めるのが狙い。教職員は百九人になる。機構内には「ナノマテリアル科学」「エネルギー科学」「環境システム・リサイクル科学」「情報・通信科学」の基幹研究部門と、医学、経済、情報などさまざまな分野の研究者が目的ごとに集まる融合プロジェクト研究部門を設ける。
 融合部門は教官のほぼ八割を五―十年の任期制で採用し、プロジェクトに応じて研究者を集める仕組み。専任教官だけでなく、学内外の研究者も参加できる。学外研究者との共同研究や産学官連携プロジェクトを推進し、将来は同機構を中心とした研究所設立を目指す。

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2002年01月11日

名大改革駆け出す英知(4)眠る資産企業に売り込め(新天地を拓く)

日本経済新聞(2002/01/11)

 柔軟な人事で競争力
 この四月、名古屋大学東山キャンパスに国立大学では珍しい企業インキュベーション(ふ化)施設が誕生する。産学でベンチャー企業を立ち上げる場合、企業側が大学側にプロポーズすることが多いが、新設の施設の役目は逆。学内の研究者が持ち込んだ技術やビジネスモデルを審査した上で大学が企業へ売り込む。
 「大学が企業からの誘いを待つだけの時代は去った。企業が及び腰ならば名大発で会社を作れる」。名大先端技術共同研究センター(先端研)のセンター長、早川尚夫(61)の鼻息は荒い。早川が率いる先端研には名大と企業との技術の橋渡し役だけでなく、ベンチャー創業を支援する機能も加わる。
 旧通産省の電子技術総合研究所の研究者だった早川は一九八六年、超電導の専門家として名大に招かれた。そこで早川の目に映ったのは名大と企業の「無機質な関係」だった。
 論文作成に没頭する多くの研究者。研究者に代わって特許申請手続きをし、特許収入など研究の果実を得る企業。「菓子折り一つで将来何千万円にも化ける可能性のある研究成果を企業に譲り渡していた」
 名大に埋もれる「財産」を外部にどうアピールし、研究に生かすか。センター長に就いた九六年春以来、早川はこの一点に心血を注いできた。
運営教授ポスト新設
 二〇〇四年度にも始まる大学の「法人化」。国の直轄から解放され人事権などの裁量が増す一方で、経営力が問われる。大学は従来以上に企業から研究費を集めなければならない。
 早川の挑戦は「マネジメント(運営)教授」というポスト新設から始まった。学内では研究分野を持たず、授業もしない。使命は研究成果を学外に送り出し、研究費を確保したり、学内の起業意識を高めること。忙しい学内の教授には任せられない。ならば外部から専門家を招くしかない――。
 奇策を練った早川は九六年夏、予算要求した。国は「教育も研究もしない教授ポストは認められない」とつれない。だが「学外の専門家の力が名大に不可欠」という早川の信念が揺らぐことはなかった。
 「これが秘けつか」。九六年一月、米スタンフォード大学を訪れた早川は衝撃を受けた。同大のCISといわれる組織は、産学共同研究やベンチャー創出実績で世界のトップを走る。その裏には猛烈な競争原理が働く仕掛けがあった。
 大学が一年間に教授に支払う給料は授業がある九カ月分だけ。残りは教授自身が企業などから資金を引っ張ってくるしかない。研究成果が評価されると金はついてくるが、認められなければ研究費すら出ない。この仕組みを支えるのが産学連携専門の運営スタッフだ。大学、企業双方の研究分野を収集し、企業化に向け両者の「お見合い」を取り持つ。
 CISの衝撃を胸に旧文部省へ通い、運営教授の必要性を訴え続けた早川。執念は二〇〇〇年に実り、名大は全国初となる二人の運営教授を迎え入れた。
 その一人が渡辺久士(59)。トヨタ自動車で二十七年、知的財産部に籍を置き弁理士資格を有する特許のプロだ。渡辺は「右手に論文、左手には特許」を合言葉に学内で三十回を超す説明会を開催、研究者の意識改革を説いて回る。
 もう一人の運営教授、枝川明敬(46)は起業講座の開設、企業経営者を招いたセミナー開催など、名大を核にしたベンチャーネットワーク作りに奔走する。
 ただ、産学連携を巡っては「研究の国内空洞化」という新たな懸念材料が持ち上がっている。企業の研究費の内外大学別の支出動向をみると国内大学向けは一九九〇年の千六十億円から九九年には九百七十億円に減少。半面、海外向けは六百八十億円から千五百六十億円と二倍強増加した(内閣府調べ)。中部企業が製造拠点の海外移転を急ぐ中、名大がどこまで企業を囲い込めるかが試されている。
活力高め臨戦態勢
 「超えよ限界、破れ常識」を信条とする早川。有力企業と共同研究を手がけるなど研究者としての実績は十分。今は「黒子」に徹しながら新たな限界に挑む。年内にも定年退官した教官の再雇用制度を導入する。OBに引き続き一線の研究に従事してもらい、名大全体の競争力を高める狙いだ。
 名大は昨年、ノーベル賞を受賞した野依良治教授の定年延長を決めた。個人の実績を明確に処遇に反映させるため、名大は定期的に処遇を見直す任期制導入など柔軟な人事制度作りに乗り出す。
 大学改革を進める文部科学省は「大学というムラ社会にこもるのでなく、人・研究両面で外部との交流を深めてこそ大学の価値は増す」(清水潔・高等教育担当審議官)という。大学大競争時代を見据え、名大は臨戦態勢を整え始めた。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2002年01月11日 18:02 | コメント (0) | トラックバック (0)
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