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2004年03月15日

全員任期制の問題点

(出所)新首都圏ネットワーク(2004年3月15日)佐賀大学教員 遠藤

全員任期制の問題点

佐賀大学教員
遠藤 隆

最近,学部の教員全員に任期を付けるところが現れてきた。
それどころか,
「大学の全教員に任期を付ける」
と言っているところもある。

その際,当局から
「普通にやっていれば,ほぼ全員再任されるので心配ない」
という説明がされることがあるようだが,
説明が本当なら違法だし,
嘘なら詐欺である。

教員任期法の第4条第1項第1号を適用した場合,
その目的は
「多様な人材の確保」
すなわち
「人間の入れ替え」
にある。

だから,ほぼ全員が再任された場合は,
そもそも「多様な人材の確保」の必要性が否定され,
任期を付けたこと自体が無効になる。

再任されなかった教員は,
「必要のない任期制だった」
と主張して訴えることもできる。

あるいは,
「勤務成績を見て,原則再任」
という運用方法は,
実質的な
「長期間の試験採用」
であり,
再任は
「試用期間の延長」
に当たる。

不合理に長い試用期間も,
試用期間の延長も,
ともに違法であり無効である。

そのとき,法人の役員達は,
責任ある対応ができるであろうか。
損害賠償に耐えられるであろうか。

では法律の趣旨に従って,
多数の教員を再任しなかったらどうなるのか。
教育機関としては大きな障害が発生する。

また,学部のように教授会のある組織では,
後任人事を辞めていく教授達が行う事態となるが,
それでは責任ある人事が期待できない。

だから,学部のような教育機関において,
ほとんど全員が再任されるにしても,
かなり多数の教員が辞めていくにしても,
全員に任期を付けるのは無理がある。

佐賀大学では医学部で全員任期制を導入した。

これは大学の運命に関わることなので,
法人化に際して,
以上の問題点を提起したいと思っている。


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          遠藤 隆
佐賀大学 理工学部 物理科学科
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Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年03月15日 02:26 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年07月08日

佐賀大学教職員組合、大学教員への任期制の導入・法制化に反対する声明

(出所)都大教ホームページより

大学教員への任期制の導入・法制化に反対する声明

1997年4月8日
佐賀大学教職員組合執行委員会

 政府・文部省は、昨年10月29日に文部大臣に提出された大学審議会答申「大学教員の任期制について」を受け、4月8日、「大学教員等の任期に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。これは、任期制の導入・法制化に反対する教職員組合・大学関係者の全国的取り組みを無視するものである。われわれは、この間、任期制に関する学習、署名・アンケート活動等を積み重ね、九州および全国の運動と連携しながら任期制反対の取り組みを行い、任期制の問題点に対する認識を深めてきた。その認識に立って、以下の理由で大学教員への任期制の導入・法制化に反対の意志を表明する。
 第1に、任期制の導入・法制化による教員の流動化は、教育研究を活性化させるどころか、むしろ教育研究の発展の阻害要因となるからである。すなわち、3年5年という限られた期間のなかで、論文の数が審査の基準となる可能性が高いことからすれば、息の長い地道な努力を要する研究よりも、短期に業績を上げやすい研究が選択されるようになる。そうなると質よりも量を求める業績主義がはびこり、研究の質は低下するであろう。また、業績評価にあたって恣意的な審査が行われないという保障は何もない。外部評価が入れば、より一層その危険は強まるだろう。教育についても、研究業績を上げるために教育がないがしろにされる可能性があるし、教員の流動化はカリキュラムの編成等にも支障をきたすおそれがある。また、教員が大学における教育のありかたを真剣に考えるという意識も希薄化するであろう。教育研究の発展には、安心して教育研究にうちこめる環境、すなわち、雇用の安定こそ必要なのである。
 第2に、任期制の導入・法制化によって、国公法、教特法等によって保障されている教員の身分保障が奪われ、著しく雇用が不安定化するからである。大学教員は、任期中であっても常に再任されなかった後の生活の不安に悩まされることになる。また、再任を拒否された教員を他の大学が採用するとは考えにくいことからすれば、雇用保険もない大学教員は、厳しい失業状態に置かれることになる。学生にとっても、大学教員という職業はリスクの大きい魅力のない職業となるであろう。特に私学においては、人件費抑制のためのリストラの道具として任期制が活用される可能性がある。また、任期制における再任は、「解雇」とは異なり、「『任期満了』後『退職』→通常の採用手続きの選考により再びその職に採用」という方法をとるとみられる。そうなると解雇権の濫用ということで解雇の不当性を裁判等で争うことも困難になると予想される。
 第3に、任期制の導入・法制化によって、大学における教育研究が、国や財界の政策に従属する傾向が強まり、自由で創造的な教育・研究の気風が失われていくおそれがあるからである。政府は教育研究の活性化という美名のもとに任期制を導入しようとしているが、任期制導入の最大の目的は、科学技術基本法・科学技術基本計画に沿った政府と財界が求める科学技術政策の遂行にある。すなわち、任期制は、産官学が交流し合う流動的で競争的な研究環境=COE(中核的研究拠点)を創出し、COEとなる大学や研究機関に重点的に予算を配分するという国家的な戦略の遂行のための手段なのである。大学は任期制を導入した見返りとして研究予算を獲得し、国や財界の求める教育研究を重視するようになるだろう。その一方で、国策に貢献しない教育研究はないがしろにされるおそれがある。
 第4に、任期制の導入・法制化が、大学教員のみならず、労働者一般の雇用の流動化、不安定化を導く突破口となる可能性が高いからである。労働基準法第14条では、1年を超える労働契約は原則として禁止されているが、現在、この契約期間の上限規制を緩和し、1年を超える有期雇用を認める方向での法改正が検討されている。企業は、こうした有期雇用を、例えば、3年5年という有期契約で労働者を雇い、必要がなくなれば、期間の満了を理由にいつでも解雇できるというリストラの道具として活用しようとしている。この労基法改正の動きは、従業員を長期継続雇用のグループと有期雇用のグループに区分することによって人件費の抑制を図る日経連等の雇用流動化戦略と軌を一にしている。任期制法案は、対象を大学教員に限定する特別法のかたちをとるとはいえ、それが既成事実となって、労働者一般の雇用の流動化に道を開くものである。したがって、任期制の問題は、大学教員の問題にとどまらない労働者一般の問題としてとらえる必要がある。
 以上のように、大学教員への任期制の導入・法制化は、われわれの働く職場を、学問を、そしてわれわれ大学教員の心までも荒廃させるであろう。われわれは、大学を国策遂行のための教育研究機関に変質させないためにも、われわれの労働者としての権利、そして労働者一般の権利が蹂躙されないためにも、任期制という悪しき制度の導入に対して断固として反対する。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年07月08日 11:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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