(公)東京都立大
掲載事項(記事)一覧

2007/11/19 高専の法人移管、全員任期制の押しつけは許されない
2007/08/03 首都大学東京労組、「任期評価の検討開始にあたっての組合の見解と要望」
2006/10/25 首都大学東京の任期制、10月1日昇任者は任期5年
2006/06/01 都立大・短大教職員組合、任期付き教員の任期なしへの移行を重ねて要求
2006/04/04 都立大・短大教職員組合、管理職教員の人事は任期制選択とは切り離すべきである
2006/02/15 都立大・短大教職員組合、「任期制適用に関する意向確認書」の提出強要に抗議する!
2006/01/27 首都大学東京の全教員任期制、「学問の自由」「大学の自治」に対する完全否定
2006/01/24 都立大・短大教職員組合、声明「教員の新たな人事給与制度選択にあたって」
2006/01/18 首都大東京、1月20日から、新たな制度選択 17 年4月昇任者も、制度選択可能
2006/01/11 都立大・短大教職員組合、任期制を選択しない(現「旧制度」)教員に対する昇任を求める要求書を提出
2005/10/20 都立大・短大教職員組合、全教員の任期・年俸制を前提とした評価制度は容認できない!
2005/10/14 都立大・短大教職員組合、教員の人事給与制度の交渉再開にあたって法人事務局長に要請
2005/09/29 都立大・短大教職員組合、教員の人事給与制度についての中央執行委員会の現状認識
2005/03/08 全大教、横浜市大・都立4大学の問題について総務省へ要望書を提出し会見
2005/02/05 都立大・短大教職員組合、大学管理本部は多数の「回答保留」を真摯に受けとめ17年度教員給与制度を、現行の制度のまま移行せよ!
2005/02/05 都立大・短大教職員組合、「新法人における賃金制度に関する緊急要求」
2004/12/30 都立大・短大教職員組合、2004.12.20新法人における賃金雇用制度に関する緊急解明事項に対する回答
2004/10/27 都立大「改革」における「任期制」導入問題
2004/08/14 東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団、「勤務条件交渉についての弁護団意見」
2004/07/28 東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団、「勤務条件交渉についての弁護団意見」
2003/11/26 任期制」「年俸制」導入へ 新都立大
1997/06/20 東京都立大学・短期大学教職員組合、大学教員任期制法の採決強行に抗議する[声明]

2007年11月19日

高専の法人移管、全員任期制の押しつけは許されない

首都大学東京労組
 ∟●手から手へ第2466号

高専の法人移管にあたっての教員の人事制度等について
―全員任期制などの押しつけは許されない―

2007年11月16日 公立大学法人首都大学東京労働組合 中央執行委員会

****************

 10月5日に閉会した第3回定例都議会では、都立産業技術高等専門学校を法人化するため、「都立学校設置条例」の一部改正と「公立大学法人首都大学東京の中期目標及び定款の変更」等が、自民、民主、公明、ネットの賛成、共産と一部の無所属議員の反対で可決された。その結果、公立大学法人首都大学東京は、来年4月、東京都から移管されることが決まった産業技術高等専門学校を受け入れるとして、現在、移管準備の諸手続が進められている。
 高専教員は現在のところ、我々の組合には加入しておらず、その多くが東京都高等学校教職員組合に加盟している。したがって我々は現にいる高専教員の労働条件等に関しては、基本的に都高教にその交渉権があると理解している。しかし、法人のもつ雇用・人事制度という点では、大学教職員にも深刻な影響を及ぼす恐れのあるものであり、組合はその点から、これに重大な関心を持ち、発言するものである。

 この間、組合に対して行われた情報提供等によれば、都教育庁と法人は、法人への移管にあたっては、①雇用はすべて5年任期の任期制に切り替え、任期の定めのない雇用契約を続けるという選択肢はないこと、②有期契約の根拠法は労働基準法第14条であること、③法人への移籍を希望しない者については都立高校等への転属を考えること、などを高専教員に示した。さらに、移管にあたっては、教育庁の推薦する教員について、法人が選考を行うということも、いったんは示した。
 しかし、法人と都教育庁の示したこれらの内容は、いくつかの点で、重大な問題を含んでいる。

「労基法14条による任期制」は法の趣旨に反する
  第一に、教員の任期制について、労基法14条をその趣旨を歪めて使おうとしているという点である。同法はもともと、雇用者が労働者をその意に反して長期間拘束することを禁じるための規定としてつくられたものであり、なんら任期付雇用の根拠になりうるものではない。したがって本来的に長期性、継続性を要する大学や高専等の業務を行う職員に適用することはその制定趣旨から大きく外れるものである。
 仮にその点をおくとしても重大なことは、提示された任期制は、この法の例外規定を不当に拡大解釈しようとしていることである。労基法改正時に出された厚労省労働基準局長通達(2003年10月22日)に明示されているが、この法では除外の特例として認められる、労働契約交渉で劣位に立たない「専門的知識等」をもつ者についてのみ5年、それ以外は3年を期間の上限としている。しかし、この特例が博士学位をもつ者、平均年俸1075万円以上の者など具体的な限定がある以上、高専教員全員に適用できるものではない。同通達には「法14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条違反」と労働契約締結そのものを違反と明記されている。過去の判例等に基づき、仮に3年を超える期間を身分保障期間であると解釈できた場合にも、それが労基法等によって保護・保障されるものではない。したがって同法に基づいて全員に5年の任期を付すという現在提案されている制度は、法的に重大な疑義がある。
 ここであえて申し添えておけば、我々はだからといって3年任期であれば合法的であるからよいというわけでは決してない。そもそも継続的な教育・研究に携わる教員について、3年であれ、5年であれ有期雇用という制度を導入すること自体に強く反対しているのであり、最低在学年限5年間の高専で、教員の任期がそれをも大幅に下回る期間であるなど、言語道断である。教員への同法適用については、実態として様々な任期雇用が存在している大学ですら、教育的職務に就いているものには適用しがたいために、時限的研究、教育的責務の薄い場合に限って大学教員任期法が特例として作られた経過があったことを忘れてはならない。かつて都立の大学の法人化に際して、旧大学管理本部が労基法14条適用の可能性を示したが、組合や大学側から、その問題点が指摘されるなかで、これを断念し、大学教員任期法のみに限定したという経過もある。たとえ大学教員任期法であれ、すべてのポストにそれを適用することは、同法の拡大解釈であり許されないことは、組合は再三にわたって指摘してきた。しかし、今回、高専教員に大学教員任期法が適用できないからといって、再び労基法14条の教員への適用を行おうとすることは、現にある法人の教員任期制度の実質的な拡大であり、許されるものではない。
・・・・


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2007年08月03日

首都大学東京労組、「任期評価の検討開始にあたっての組合の見解と要望」

首都大学東京労働組合
 ∟●任期評価の検討開始にあたっての組合の見解と要望

任期評価の検討開始にあたっての組合の見解と要望

2007年8月1日 公立大学法人首都大学東京労働組合 中央執行委員会

************************

 私たちは法人化の過程で教員の任期制、とりわけ本法人がめざしている「全員任期制」には強く反対してきた。教育研究を担うスタッフがめまぐるしく交替するのでは学生にも都民・国民に対しても無責任であり教育研究機関としての大学の自殺行為だからである。
 またこれまで期限なしの雇用の中で瑕疵なくつとめてきた労働者に、納得できる勤務条件の改善もなく期限付雇用に切り替えるのは明らかな労働条件の悪化だからである。
 にもかかわらず、法人は応じないものには懲罰的な給与制度と昇任停止措置で臨み、昇任者と新規採用者にはすべて任期制を強行してきた。その際に法人はこの合理性のない任期制を『公正・公平な「教員評価」を軸に、教員のステップアップと組織の活性化を図る「任期制」』(『教員の新たな人事制度』(平成18年1月))であると称した。
 この任期制が始まってすでに1年半も経過しようとしている現在、ようやく法人は人事制度等検討委員会に「任期評価」策定を提案しようとしている。
 私たちは教職員の雇用と労働条件に責任を持つ組合として、「全員任期制」という基本方針にはあくまで反対だが、現に「任期付教員」が多数いる以上、さし迫った再任判定で不当に職を奪われる教員がひとりでもでてはならないと考えている。また任期評価を巡って労働条件の悪化が生じることも許さない。
 したがって、以下に任期評価に関する組合の基本的見解を改めて示し、法人当局および評価方法策定に関わる学内諸機関がこれらの点を十分に考慮した上で検討に入ることを要望する。……


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2006年10月25日

首都大学東京の任期制、10月1日昇任者は任期5年

都立大・短大教職員組合
 ∟●手から手へ、第2427号

10月1日昇任者は任期5年
年度途中採用者も、任期は公募書類に記載の通り
実務的手違いで申し訳ないと、当局は説明

********************

 「手から手へ2426号」で、今年10月1日付で昇任した教員、及び採用された教員の任期が、平成18年10月1日から平成23年3月31日の4年6月となっていることをお知らせしました。その後の、組合の調べでは、今年度の5月以降に採用された教員の任期も、平成23年3月31日までとなっていることがわかりました。このことに関し、組合は23日夜、当局と専門委員会交渉をもち、これまでの年度途中採用者についてすべてこれまで行った発令を訂正し、公募条件通り(3年任期の一部研究員を除き5年)とすると回答を得ました。

…(中略)…

 問題の根幹は全員任期制
 組合が指摘、抗議して、任期を5年とさせることになりましたが、今回の問題の根っこには、「全員任期制」があります。組合は、大学のありかたとして、全員任期制では、大学の発展は望めないことや、事実、「全員任期制」を打ち出したことで、大量の教員流出がおこったことや、教員公募に対する応募者が激減していることを指摘し、その方針の撤回を求めてきました。今後も、この考えは変わらないことを表明するとともに、「任期制を選択せざるを得なかった」教員ばかりではなく、「任期制を選択した」教員の雇用と権利を擁護するものです。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年10月25日 22:40 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年06月01日

都立大・短大教職員組合、任期付き教員の任期なしへの移行を重ねて要求

都立大・短大教職員組合
 ∟●手から手へ、2410号(5月31日)

  組合は5月30日、法人当局と団体交渉を行い、夏季一時金に関する要求書、固有職員に関する要求書を提出するとともに、教員の給与・人事制度について要求しました。
 夏季一時金については、①2.5ヵ月分(固有職員については1ヵ月分)を6月30日までに支給すること、②回答を6月16日までに行うこと、固有職員については、①賃金・雇用に関する要求、休暇に関する要求、次世代支援対策に関する要求を行いました。(具体的な要求項目は、5月19日付「手から手へ」第2409号に掲載)
 教員の給与・人事制度については、①「扶養手当」「住居手当」「単身赴任手当」を逓減→廃止ではなく都の水準に戻すこと、②採用・昇任に当たっては、任期の有無に関わらず公平に行い、任期付き教員の任期なしへの移行を可能にすること等を重ねて要求しました。
 団交での労使の発言骨子は、次のとおりです。

……

採用・昇任に当たっては、任期の有無に関わらず、公平に
任期付き教員の任期なしへの移行を重ねて要求

 最後に、教員の昇任や新規採用に関する件について申し上げます。来年度の教育・研究体制を決めるためにも、採用を含めての教員人事への対応が必要な時期にきています。組合は、教員の昇任や新規採用に関して、次の3点について、早急に解決することが必要だと考えています。
 1.教員の新規採用公募にあたっては、すべてを任期付きとすることなく、任期を付さない教員公募も行うこと。また、引き継ぎ教員・法人採用教員の区別なく、任期付き教員の任期なしへの移行を可能にすること。
 2.教員の昇任審査にあたっては、任期の有無にかかわらず、応募し受審できること、ならびに審査にあたっては現在任期付きであるか否かによる差別的取り扱いがないことを明らかにし、要綱にその旨を記載するなどその主旨を徹底すること。
 3.引継ぎ教員の昇任にあたっては、教員任期法に則り、任期付きとなる場合 
は本人同意を前提とすること。
組合と法人との間で交わした3月31日付けの覚書でも、こうした組合の要求については、引続き協議をすることになっています。来年度の教育・研究体制を確立するという観点からも早急に回答を求めます。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年06月01日 00:52 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年04月04日

都立大・短大教職員組合、管理職教員の人事は任期制選択とは切り離すべきである

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●手から手へ(第2404号) 4月3日

管理職教員の人事は任期制選択とは切り離すべきである

 
2006年4月3日 東京都立大学・短期大学教職員組合

***************************

 2005年4月1日に発足した首都大学東京は、都立4大学と並存する中で、教職員の懸命の協働により、混乱の中にも1年目を乗り越えることが出来た。
 2年目になると、学部学生数の増加、大学院の並存、など更に新しい課題が山積する。この様な状況のなかでの大学運営において、教員間の強い信頼関係を元に、諸課題の処理に当る必要がある。
  この点からとくに重要なのは大学運営と教員評価に直接関わる管理職教員の選び方である。組合は、大学の再生、発展を願う立場から、この管理職教員の選ばれ方に強い関心をもっている。

 実際の大学運営の中核となる学部運営においては、学部長の役割は極めて重要である。当然、構成員である教員集団から信任された学部長の下で、強い信頼関係に支えられた学部および大学運営が行われるべきである。
 首都大学東京では、残念ながら、発足時の諸事情で設置者により任命された教員が選挙を経ずに学部長の職についている場合が少なくない。したがって、現在の学部長については形式上の「任命」とは別に、出来る限り早い時期に、構成員による信任投票による承認を受けるべきである。また、各部局等に補佐の立場の教員を必要とするのであれば、自ら信任された後、その職責にふさわしい能力や見識を有する候補者を推薦して、構成員から公正かつ民主的な方法で了解を得るのでなければ課題が山積する現在の大学運営を行えないであろう。

 ところが、新年度を前にして、管理職の一部には、部局長等の補佐役には任期を選択した教員であるべきとする、驚くべき条件を示す者がいるとの風評が囁かれている。
 この驚くべき条件を大学運営職務の必要要件として提示することは、自らの偏狭な考えでしか同僚教員を理解できないことを示しており、多様な意見と自由な発想のもとに教育研究を進める教員集団の代表者たる教員管理職を務める見識の無いことを露呈するものである。しかも平成18年度から試行される評価制度の一次評価の責任者としての立場に立つものとして、構成員からの深い信頼を得る姿勢では決して有り得ない。

 なお、組合は、理事長と組合委員長との会談を経て、昨年11月30日と本年1月17日の深夜に及ぶ労使の交渉の結果、新たな人事給与制度の任期の選択は、様々な個人的事情や将来計画を持つ教員個人の自由な判断に委ねることを確認している。組合は個々の教員管理職の選任について発言する立場にはない。しかし我々は、4月からの新人事制度の原則は、任期の有無にかかわらず、教員間に職務上の一切の差別がないことであると了解しており、そのことは管理職の選任においても例外ではないと理解している。したがって個々の教員が任期を選ぶ選ばないことと、大学運営における役割分担とは別個のものである。
 もし、風評通りに、大学運営の中核にいる一部の管理職が、大学運営・学部運営を補佐する教員に任期を選ぶことを求めるならば、それは職務遂行能力より特定の価値観を優先する側近政治を求めることの現われである。また、その学部運営は、自由な議論も発想も尊重されない、大学とは無縁な組織に変質することの予兆である。

 組合はこのような人事方針がとられないことを信じてはいるが、もし風評どおりの事態を確認した場合には断固として抗議し、責任を追及することを表明する。
 また、もし法人がそれを容認または推奨するなら、この1年間の人事給与制度をめぐる交渉で得られた基本合意を覆し、労使関係を不正常にする暴挙として、これまでの労使合意並びに、今後の労使交渉について、見直しをせざるを得ないと認識している。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年04月04日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月15日

都立大・短大教職員組合、「任期制適用に関する意向確認書」の提出強要に抗議する!

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●手から手へ、2397号(2006年2月14日)

「意向確認書」の提出強要に抗議する!
「意向確認書」の締切りを簡単に延期できるならば、
当局は組合との協議、教員への説明に十分な時間をとるべきであった。
「意向確認書」不提出者は、任期制不同意とみなせばよいはず。

2006年2月14日  東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

**************************

 昨日2月13日付けのメールで「教員各位」に対して、総務部総務課長、人事担当課長名による「『任期制適用に関する意向確認書』をご提出下さい」という文書が送られています。
 この文書は、任期制を選択できるのは原則として今回限りであり、新規採用者・昇任者を除き今回任期制を選択しても、次年度に「任期なし」に戻ることができることを強調し、「旧制度」選択者に「任期制適用に関する意向確認書」の提出を促すものになっています。
 この文書には大きくいって二つの問題があります。
 第1に、当局は「意向確認書」配布に際して、提出のない場合は任期なしを選択したものと扱う(「任期制適用について」)としていたのにもかかわらず、この文書にはそうした文言がみあたらず、「旧制度の皆さんについては、『任期制適用に関する意向確認書』を提出していただくことになっております」と、あたかも提出が当然であるかのような書き方になっている点です。教員は2003年10月の「同意書」、2004年2月の「意思確認書」によって大学管理本部から「踏絵」を踏ませるような強圧的な態度による文書提出を求められました。これに対して多くの教員が反発し、現在まで引きずる東京都に対する不信感の根源となっています。「意向確認書」の説明では先に述べたような但し書きがあり、提出しない自由が担保されていたはずです。今回、そうした但し書きをはずして、一律に提出を求める理由が不明です。
 そもそも、「意向確認書」提出は、大学教員任期法における本人同意を確認する行為だと組合は理解しています。法律の趣旨からすれば任期に同意する人がその意思表示のために提出すればよいはずです。逆に、任期に同意しない人が文書によって積極的意思表示をする責任は法律上ありません。今回、「旧制度」教員全員に提出を求める手続を行っているのは、法人当局が「全員任期制」という方針をとっているためだと思われます。つまり任期制を選択させることを前提として、当然任期制を選択するであろうという期待を込めながら教員の同意を求める行為を行っているのです。だから同意しない教員にも、あえて不同意という積極的な意思表示を求めているのでしょう。
 しかし、組合は労使交渉のなかで「全員任期制」という方針は一切認めませんでした。また教員の多くもそれを認めていません。だとすれば、「全員任期制」を前提に当局が行おうとしている手続自体を、積極的に拒否するという行為も正当だと考えます。
 第2に、2月10日締切りというのは、当局の事務作業上のデッドラインだという事情で設定されていたはずです。デッドラインであるからこそ、提出しない場合は同意しないものと扱うという但し書きをつけたのではないでしょうか。それを、当局が期待したほど「意向確認書」が集まらなかったというだけの理由で、いとも簡単に締切りを1週間のばすというは驚きです。もしそれが可能なのであれば、教員に対する説明会などをさらに行って、制度内容や、今回誤解の多かったとされる点、あるいは昨年「新制度」を選択した教員が任期の定めのない雇用へ復帰できるということなども、くりかえし丁寧に説明する時間をとるべきであったはずです。2月10日が期限ということで決断を迫られて選択をした教員に対してどのように説明するのでしょうか。また組合は、限られた協議の時間のなかでぎりぎりの決断をしたのです。1月末から2月はじめにかけて、組合が実施した説明会には110名もの教員が参加し、「全員任期制」という当局の方針には、多くの疑問が寄せられました。まさにこの事態こそが、期限を過ぎても未提出者が多いことの原因であると法人当局は認識すべきです。もしはじめから1週間余裕があることがわかっていれば、制度の詳細なつめ、あるいは昇任問題の要求に関して、あの時点で苦渋の決断をする必要はなかったでしょう。これは労使の信頼関係の維持に努力してきた組合に対する重大な裏切りだと考えます。

 この問題は、労使の信頼関係を大きく傷つけるものであり、組合は当局に対して厳重に抗議します。また、現「旧制度」教員で任期に不同意の者に、今回の「確認書」の提出義務がないことをここにあらためて確認し、不当な圧力を加えないことを強く求めます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月15日 02:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年01月27日

首都大学東京の全教員任期制、「学問の自由」「大学の自治」に対する完全否定

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●大学に新しい風を第9号(2006年1月25日)

この任期制度では、安心して教育も研究も出来ない
住宅ローンも組めず結婚も出来ない 
任期の付かない制度を選択して、いい人材が集まる、まともな大学の人事制度への転換を図ろう!

2006.1.22  教員有志

2001年に提示された教員の大幅削減目標で、4大学の教員数795名(講師以上の教員590名+助手205名)を720名(それぞれ530名+190名)にすることが計画されていた。しかし、大量の教員の流出によって、予定外の教員補充をしたにもかかわらず05年4月1日現在で704名(各々、528名+176名、短大および学長を含む)へと減少し、法人化以前に削減計画は超過達成された。それにも関わらず法人当局は、給与をベースダウンする新たな人事給与制度を昨年11月30日に提案してきた(以下、新々制度と略す)。
この新々制度は、「教員の任用は任期制が原則」とする「全員有期雇用の大学」であり、かつ昨年度の都の教員の給与水準と比べて、生涯賃金が少なくとも2500万円も低下する人事給与制度に変更することである。この様な人事給与制度であるので、教員流出のさらなる促進が危惧されている。
この人事給与制度の実施により、教員流出・在学学生の学習環境の低下・入学生の学力低下・外部資金導入の低下など、大学の質と活力の急激な低下が起きた場合には、この制度選択を呼びかけた理事長と学長など法人の最高責任者達は責任を取る姿勢を明示するべきである。
新々制度の元では、安心して教育も研究も出来ない、住宅ローンも組めず結婚も出来ない、いい人材が集らない、などの問題が発生するであろう。本稿では、これらの問題に触れると同時に、我々教員が任期の付かない制度を選び、大学の再生を図ることを呼びかけたい。

<安心して教育も研究も出来ない >
その1.任期制=5年後に「雇い止め」によって実質的な解雇が可能な制度
新々制度の導入によって、法人は再任時において合法的に「雇い止め(契約切れ)」とすることが出来る。「任期制」の最大の問題点は、単なる「雇い止め」でなく実質的な「解雇」が可能という点である。最長15年在職が可能なのであって保障ではない。したがって、解雇に関する就業規則(注1)は無関係であり、何らかの理由も示さずに、使用者は5年ごとに「契約しない権利」を行使できるのである。たとえ、再任評価がS,A,Bであっても、それは単に再任基準を満たしているだけで、使用者側は必ず再任しなければならない義務を負っているわけではなく、京大再生研の例があからさまに示している(注2)。再任が認められるかどうかは、大学の教員組織の判断ではなく、法人(雇用者)によって決められる。「解雇」なら個人も組合も闘えるが、「契約切れ」「契約終了」では極めて困難である(注2)。
 
その2.教員の任期評価を「C」とすれば、容易に雇い止めが可能
新々制度案(11/30)のP.12の「5.教員評価委員会」では、『部局長は、教員評価委員会における評価結果を踏まえて絶対評価を決定する』 と、部局長が決定することが書かれているが、部局長を学長(副理事長)が任命することになっているから、部局長を罷免することにより決定を覆すことも可能である。また、「評価基準及び評価結果については、外部委員による審査を行い、妥当性を担保する」と書かれており、外部委員が部局長の決定に介入し、反古にする可能性が盛り込まれている。
そして、再任時において再任するかどうかの判断材料となる「(2)任期評価」に関して、「評価の段階は、教員評価委員会の評価結果に基づき、部局長が決定する。」と書かれており、任期評価が「C」の教員は、再任されないことが書かれている。任期付き雇用に同意すれば、このような評価が出ることを覚悟しておく必要がある。

その3.「自己都合退職による失業給付」は、雇用者都合による解雇の半分
 任期付雇用は、任期満了をもって自動的に合法的に解雇できる制度であり、解雇された場合には、「雇用者都合による解雇」ではなく、「自己都合退職」の扱いとなることを、法人は言明している。自己都合の退職の時は、雇用者都合による退職と比べて失業給付期間(給付日数)は、雇用保険の加入期間や年齢にもよるが、短くおよそ半分の期間(10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日)であり、従って、給付総額も低くなり、不利である(注3)。

その4.実効性の乏しい「ステップアップ型」という言葉のまやかし
 法人側は、今回の人事・給与制度について、准教授(助教授)に2回の再任機会があるのだから15年間在任することが可能であり、これだけの期間があれば過去の実績から言ってほとんどが教授に昇格が可能である、と説明している。しかし、ここには重大なまやかしがある。  
過去においては、教授・助教授の定数が保証されており、平均的な昇格のスピードが推定可能であった。ところが新大学では、毎年減額される運営交付金による人件費総額抑制という大枠のために、定数が絶対的なものでない。実際、昨年末に情報がリークされたように、1年間に准教授から教授へ昇格する割合は「5%」と法人は考えているようである。そうだとすれば全員の昇格には20年かかることになる。後で、公式見解ではないと打ち消したようであるが、衣の下に鎧が見えた例えにふさわしい。大学改革の過程において数年間人事凍結がされていたことを考えると、人事の停滞を正常な状態にするには20数%の昇格枠が必要である。しかし現在の人件費総枠においてすら5%であるから、将来人件費総額がもっと減額されれば、それが4%、3%にも低下することもあり得ない話ではない。
その場合には、評価「C」が純粋に教員の業績に基づく判断でなく、定員や人件費総額という、教育・研究とは別の経営的視点から「B」に相当する教員を無理矢理「C」に評価させられる圧力が部局長にかかることも十分に考えられる。現在、法人当局はあたかも教員サイドが教員評価の決定権をもっているかのような説明をしているが、現在の法人組織の教員人事は、個別の選考は別にして、定数管理に関連して法人当局のお墨付きを得てから人事がスタートしているので、この大枠がきつくなったときにどのような事態が生ずるかは、想像に難くない。

その5.教員の身分が、法的に不安定化――「学問の自由」の本質的問題
 上記に述べたことは、教員の身分に法的な保障がないことを意味しており、法人の一存でいくらでも就業規則の変更が可能であり、あるいは運用裁量権によって人事雇用制度の変更がいつでも可能であることを意味する。これは学問の自由の保障である教員の身分の保障を根底から崩すものであり、「大学の自治」の実質的剥奪である。このことは、憲法23条(学問の自由)、教育基本法10条(教育行政)、学校教育法59条1項「大学には、重要事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」などの諸法に反するものである。
さらに、「高等教育の教育職員の地位に関するユネスコ勧告」(97年11月)17条(注4)に学問の自由のために必要な高等教育機関の自己管理としての自治の精神が示されている。この自治の中心的なものは、教員の人事権に関するものであるが、法人のやり方は、その否定である。また18条では「自治は、学問の自由が機関という形態をとったものであり、高等教育の教育職員と教育機関に委ねられた機能を適切に遂行することを保障するための必須条件である」と述べられているが、その精神に反するものである。高等教育に関するユネスコ勧告や宣言(98年10月)に憲法のような拘束力はないが、我が国は批准しており、我が国の国立大学法人や私立大学における定款または寄附行為は基本的にその精神にのっとっている。わが首都大学東京の諸規則は極めて例外的にそれらに明白に違反している点で、大学の存立基盤を切り崩していると言える。

< 住宅ローンも組めず結婚も出来ない >
その1.任期付雇用は、住宅ローンも組めず結婚もできない
 住宅ローンを任期付教員が借りられるのかについて、ある銀行の融資担当者に質問したら、明白にNOの回答であった。「そのことは言わない方がいい」と行員は忠告してくれたが、虚偽の申請としてローン契約が、破棄にならぬか心配だ。誰が、有期雇用の借り手に30年という長期で有利な条件のローンを貸すであろうか(あったら法人は、示して欲しい)。そのような不安定な身分の若年層は、結婚生活を始めることがより困難になる。昨今、少子化対策が叫ばれているが、不安定な雇用形態は、若年層の生活破壊と婚姻率の低下につながり時代に逆行している。

その2.人件費大幅削減(法人化以前より生涯賃金2500万円減)
 新々制度による給与制度は、昇給率が高い任期付き教員の場合で、かつ順調に昇格することを仮定したモデルの場合ですら、従来の給与制度と比べて、生涯賃金が給与のみで2500万円も下がる点で、経済的損失は重大であることが判明した。昨年4月に実施した給与人事制度では任期付に同意した場合、昇給幅が年間で最大50万円に達する大盤振る舞いであった状況から、一転して、緊縮の給与制度へと転換したことになるが、僅か8ヶ月での方針の転換であり、またいつ変更するかも分からない。制度選択の違いを超えて、この様に極端に賃金水準が大幅ダウンする原因は、年俸制の名の元に、生活関連手当(扶養手当、住居手当、単身赴任手当)を全廃したことが根本原因である。生活の基盤を支えるこれらの賃金要素を削減しておいて、「魅力ある、活力ある人事給与制度」と一体いえるのか。

その3.教員給与の国立大との生涯賃金差は3500万円を越え、いい人は呼べない
 我々の大学は、国立大に比べて基本給が低く、大学院手当(院生を指導する教員に対する手当で、都では特殊勤務手当という名称)も低いだけでなく、昨年度に減額された。さらに問題は、この手当が調整額になっていないことから、ボーナスの算定基準に含まれていないことである。その結果、国立大の教員の年収と比較して、教授30万円、助教授・講師25万円、助手5.5万円も年間給与が低くなっている。そして、この手当が退職金や年金にも反映されないという基本的仕組みのために、これらを含む生涯賃金では、教授の場合で国立大よりも1200万円以上(助教授で1000万円以上)も劣悪な処遇となっている。また、多くの国立大で定年が65才となっている点で、給与の総額はさらに2400万円以上低いことになる。これでは、国立大からいい人は呼べないし、呼んでも来てくれない。

<任期の付かない制度を選択して、いい人材が集まる、まともな大学の人事制度への転換を図ろう!>

 そもそも独立行政法人とは、行政の業務において、企画立案部門から実施部門を独立行政法人として切り離し、行政を効率化するためにそこに大幅に裁量権を与えたものである。公立大学という公教育の実施において、公立大学法人に裁量権が付与され、自律性のある組織としての事業の実施が出来るように、地方独立行政法人法69条(注5)に規定されている。それに基づいて、自治体は大学の特性を配慮する義務があるだけでなく、法人当局は自律的に業務を行うことが求められている。法人当局が自律性のある組織として真剣に大学構成員の声を聞く耳を持たない限り、本当に安心できる人事給与制度ができない。
将来の大学の再生に向けて日々努力している我々教職員にとって、次の大事な立場のあることを忘れてはならないと考える。
1)同意書は唯一の武器(法律上の保護規定がある)であること。任期付雇用(有期雇用)が、教員・労働者に不利益なことが明白であることから、任期付雇用には、本人の同意書が法律上(大学教員任期法、労働基準法)必須条件となっている。同意書がない限り、任期付雇用は、法律で禁止されている(したがって、労働組合が、労働者の立場に立って「任期制の全員への一律的適用」に反対しているが、これは法律上当然のことである)。
2)我々は人事給与制度の継続的抜本的改善を求める立場にあること。
3)我々は法人当局の運営と管理責任を明らかにし、問える立場にあること。
4)我々は学生院生に直接に責任を持つ立場にある。それ故、首都大学東京の現状の報告と共に、再生に頑張る我々教員の立場として、任期の無い制度を選択し、広く国内外の世論、有識者・都民・国民に対して、我々の姿勢を示せること。

(注1):教職員就業規則:「第25条(解雇)1項 教職員が次の各号の一に該当する場合は、これを解雇することができる。(1)勤務成績が不良なとき、(2)心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき、(3)その他職務を遂行するために必要な資格又は適格性を欠くとき、(4)業務上又は経営上やむを得ないとき」と書かれている。理事長は、4号の場合は、経営判断で解雇が可能である(しかも、職員の降任及び解雇手続に関する規則によらずに解雇が可能)。上記以外の号については、部局長等から申出を受け、人事委員会(事務局長が長)の審査が必要である。

(注2):京大の再生医科学研究所における井上教授の再任拒否事件
1998年5月(教員任期法施行直後)に5年任期の教授に採用された井上教授の再任について、02年9月に外部評価委員会が成果の著しい同氏の再任を是としたにもかかわらず、同年12月、同研究所の教官協議会がこれを否決したことに端を発する事件。井上氏は処分を不服として裁判所に告訴したが、「同意に基づく任期満了で、処分にはあたらない」と京都地裁が判決し、井上氏の訴えを棄却した(05年3/31)。問題は、再任ルールは任期制導入時点で全く不明で、再任審査の内規が4年後の02年7月にできたが、再任不可への不服申立て制度は最後まで設けられていないことである。さらに、外部評価委員の再任可の結論にもかかわらず、なぜ教官協議会で再任が否決されたかについての納得のいく説明はなく、裁判長が、原告への任期制の説明が不十分であり、再任の否決について「極めて異例ともいえる経緯。恣意的に行われたのであれば、学問の自由や大学の自由の趣旨を学内の協議員会自らが没却させる行為になりかねない」とさえ述べている(05年4/1毎日新聞)。第三に、今回の判決が訴えを棄却したのは、任期付きポストについて「任期満了時の再任の法的保障は一切ない」と判断したが、いかに十分な研究成果を挙げていても、何の理由も明確にされないまま再任が拒否されることが法的にはありうることを示した。この判決について「人材の使い捨てはよくない」「これが判例となるのはよくない」と尾池京大総長が、被告側の機関の長としては異例といえる見解を表明(05年4/2京都新聞)。
一律的な任期制が導入されれば、社会的に説明できないような動機に基づく教員解雇制度として機能する危険性があり、自らの将来に対する強い不安を抱えながら研究を進めざるをえず、教員が大学の担い手として、教育や研究の社会的責務を長期的な視野で果たすことも難しくなる。そして、任期付きポストが劣悪とされて大学から有能な教員が大量流出し、創造的な教育と研究が死滅することとなりうる。任期制が、教員身分の不安定化をもたらすだけでなく、大学の学問の自由と自治、そして研究と教育そのものに対し破壊的に作用する危険性をもっている。この事件は決して特殊事例ではなく、任期制のもとでは再任をめぐる深刻なトラブルが頻発する可能性を示している。

(注3):失業給付の基本手当日額 = 賃金日額×給付率である。ここで、賃金日額 = 離職日以前の6ヶ月間のボーナス、特別手当を除く収入総額÷180日、給付率は、60才未満で50~80%。また基本手当日額に上限額があり、30歳未満6,580円、30歳以上45歳未満7,310円、45歳以上60歳未満8,040円、60歳以上65歳未満7,011円である。したがって、雇用保険の加入期間が15年の45才の研究員の場合は、120日分で給付総額は、高々96.48万円である。

(注4):「高等教育の教育職員の地位に関するユネスコ勧告」(1997.11)17条「学問の自由の適正な享受と以下に列挙するような義務および責任の遂行は高等教育機関の自治を要求する。自治とは、公的責任、とりわけ国家による財政支出への責任の体系に沿った、学術的職務 と規範、管理および関連諸活動に関して高等教育機関が行う効果的意思決定、および学問の自由と人権の尊重、これらのために必要とされる自己管理である。」

(注5):地方独立行政法人法第69条(教育研究の特性への配慮) 設立団体は、公立大学法人に係るこの法律の規定に基づく事務を行うに当たっては、公立大学法人が設置する大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならない。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年01月27日 01:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年01月24日

都立大・短大教職員組合、声明「教員の新たな人事給与制度選択にあたって」

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●教員の新たな人事給与制度選択にあたって(手から手へ2394号、2006年1月23日)

《声明》教員の新たな人事給与制度選択にあたって

           
2006年1月23日
東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

任期制を受け入れるか否かは、教員の自由な判断で!
任期制選択は、権利縮小につながる選択です!
任期制不同意教員の権利と処遇改善の運動を展開しよう!
公正で透明な評価制度の確立を!
教育と研究の持続的な発展を保障する人事給与制度の再確立を!
「全員任期制」方針の撤回まで組合は闘い続けます!

********************
 
 去る1月17日未明の団体交渉で、組合が1月4日に提出した「教員の昇任問題に関する緊急要求について」に対する 当局側の回答が出された。組合は「全員任期制」という法人の方針、そこから導き出される措置については認めない 立場を明らかにした上で、一定の前進をみた部分について合意に至った。
 すでに1月20日午後から制度選択関連の書類が配布され、2月10日までに回答することとなっている。任期を受け入れるかどうかは、あくまでも教員ひとりひとりの判断によるべきであり、かつ本人の同意が無い場合は無効であることを改めて確認したい。また、決して不当な圧力のもとで任期制の適用が行われるべきでないことは、いうまでもない。この点を組合は厳に注視して行く。 
      
*         *         * 
 昨年までの交渉で、給与構造の一本化、任期のつかない教員の限定的な昇給制度、今年度昇給分の反映など、非常に不十分ながら、現状の一定の改善と今後の闘いへの足がかりが作られた。その上に立った今回の交渉の結果については、『手から手へ』第2393号(1/17付け)に掲載したとおりである。
 要点を確認すると次のようになる。
第1に、2005年度昇任者については、昨年度の「新制度」選択者と同様に任期がつかない制度に戻ることができる。
第2に、現在の「講師」職にある教員については、従来の助教授審査に相当する審査を経た後に昇格することが可能、 かつ任期制は2005年度昇任者と同様の扱い、という点が前進面である。
第3に、昇任と任期の関係については、まず任期のつかない教員も昇任審査の対象となることが確認された点は評価できる。ただし昇任後は任期制を適用するとされており、後者について我々は認めることは出来ない。
第4に、2005年度新規採用者への任期制の適用に関しても、今回の交渉では撤回させることが出来ず、任期の1年延長にとどまった。
第5に、今後採用する教員についての一律任期制適用という方針も残念ながら撤回させることが出来ず、今後の課題として残っている。
 これら課題として残った点は、任期のつかない教員に対する昇給の改善(時限措置の撤回)、正当な基準による扶養手当・住居手当等の復活などと共に今後の交渉において譲れない問題として、改めて要求してゆくことを決意している。
 組合は、法人当局が「全員任期制」という方針を撤回し、あくまでも大学教員任期法で定められ、他大学で実施されている様に、限定的に任期制を運用する立場に立つべきであると考え、繰り返し主張してきた。当局は、法人発足後、「全員任期制」への執着によっていかに大学にマイナスの効果をもたらして来たかを反省すべきである。さもなくば大学の再生と持続的発展はありえないであろう。また、強行することによりもたらされる大学の疲弊と衰退については、法人の代表者の責任を厳しく問うことになる。
      
*         *         * 
 以上のように、人事給与問題をめぐる待ったなしの時間制約の中での交渉において、限定的ではあるが、今回昇任問題について一定の前進と今後の闘いの足がかりが得られた。そうしたなかで、昨年11月30日に基本的に合意した人事給与制度の枠組みによる、制度選択が始まることになった。先に述べたように、任期制を受け入れるかどうかは、あくまでも教員ひとりひとりの自主的判断によるべきであり、管理監督権限を持つ部局長などからの要請や圧力のもとで、 任期制を取らざるを得ないという事態が発生することは、絶対にあってはならないし、明白な不当労働行為として断固反対する。個人の意思においてどうしても任期制を選択したい、と考える教員がとればよいのである。また残念ながら 今回の交渉では制度選択の自由が獲得出来なかった2005年度新規採用者や、これから始まる制度選択で任期制を受け入れる教員がたとえあったとして、それらの教員に対する任期制の運用は、教学組織において民主的に行われるべきである。
        
*         *         * 
 組合は、任期制の濫用は、「解雇によらず使用者が首切りの出来る制度」で労働者の権利縮小につながる道であると認識しており、ましてや「全員任期制」という方針は大学を崩壊に導くもので必ず撤回させる必要があると考えている。来年度以降、新規採用者も増えるなかで一定数の教員が制度面から任期つきとなることが予想されるが、教学組織を含め現在の大 の停滞を打開し、学生や都民に責任を負うことの出来る教育と研究の持続的な発展を行える大学を再生する動きを、より全面的に展開して行かなければならないと考えている。
 その最初の課題として任期のつかない教員の昇任など人事上および差別的賃金の撤廃など給与上の処遇改善を必ず達成し、また任期つき教員の権利擁護の運動に取り組む所存である。  
         
*         *         * 
教員の皆さんに訴える
 組合の交渉において、人事給与制度が、不十分ながらも一定の前進が出来たのは、昨年行われた制度選択において、過半数を超える教員が法人の圧力に屈することなく,また短期的な自己の利益に拘泥することなく、大学人としての良識・見識に基づき、「新制度」の選択を拒否したことによる。
 法人当局がどの様に喧伝しようとも、学生・都民に責任ある教育研究を進めるには、私たち教員が必要な時間を費やさなければ、その成果の実は得られない。必要な時間は、任期という無機質な尺度でなく、教員が団結し相互に支え合い切磋琢磨し合って、現場で学生と厚い共同作業の結果で決まるものである。
 本学の将来を担う若手・中堅の教員各位はもちろん、定年を間近に控えた教員各位こそ、自らの定年後の本学の教育・ 研究環境の行く末を真摯に憂え、次世代を育て支援する価値ある仕事について、今一度、教育従事者にとって一番大事な 物差しが何であるのか、誤りの無い選択をしていただくことを強く訴える。
 我々が選択する制度は、今後に採用される教員の人事給与制度に大きな影響を及ぼすことにもなる。今回の交渉を通して労使の間には、給与体系について今後も交渉する道が出来ている。「全員任期制」という、大学の発展につながらない制度に固定するのか、安心して教育研究に専念し得る制度に変える一歩を踏み出すことが出来るのかが問われている。
 闘いの新たな段階を迎え、教員の皆さんのご理解とご支持、教職員の運動への参加を改めて呼びかけるものである。 


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年01月24日 00:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年01月18日

首都大東京、1月20日から、新たな制度選択 17 年4月昇任者も、制度選択可能

都立大・短大教職員組合
 ∟●手から手へ第2393号

1月20日から、新たな制度選択
17 年4月昇任者も、制度選択可能
講師についても、同様の取扱い

******************
 1月17 日午前1時40分より、組合は法人当局と団体交渉を行い、現在の「新制度」「旧制度」に代わる、新しい教員の人事給与制度について、「全員任期制が原則」とする法人の基本姿勢と組合の「任期制」に関する考えには、今なお大きな隔たりはありますが、「当局が人事給与体系を整理し制度を一本化したことを評価」し、合意しました。
 具体的には、「旧制度」については任期制適用に対する同意の有無を回答する方法、「新制度」については、任期制の適用除外を希望する者については、申出書を提出する方法で意思を確認し、17 年度の新規採用者については、任期の再設定を行い、その内容を通知して確認というものです。17 年4 月昇任者については、引き続き任期制を適用することが原則としていますが、組合の要求やこれまでの経過も踏まえ、他の新制度適用者と同様の取扱いとすることになりました。
 講師級の教員については、従前の助教授昇任選考に準じた審査を実施し、給与上の昇格措置を行うこととし、制度選択については、17 年4 月昇任者と同様の取扱いを行うことになりました。 ……

Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年01月18日 01:35 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年01月11日

都立大・短大教職員組合、任期制を選択しない(現「旧制度」)教員に対する昇任を求める要求書を提出

都立大・短大教職員組合
 ∟●任期制を選択しない(現「旧制度」)教員に対する昇任を求める要求書を提出(手から手へ第2392号)

任期制を選択しない(現「旧制度」)教員に対する昇任を求める要求書を提出

法人当局は、任期制を選択しない(現「旧制度」)教員への懲罰的な措置を撤回し、任期の有無にかかわらず教学上の観点から必要な昇任を認めよ!
正常な教員人事の回復は焦眉の課題である!

**************************
 組合は1月4日の団交で、昇任に関する要求書を提出しました。
 要求書では、この間凍結されていた講師の助教授昇任を要求しています。また2005年度昇任者についても、任期制と任期のつかない制度の選択権を求めています。昨年、大学管理本部(当時)の参事は、昇任者にもあらためて選択させるが、任期制をとらないならば降格させるなどと、常識に反する発言をしました。法人当局がこの措置を継承するならば、社会的にも大問題になることは必至です。
 また、近々行われる予定の制度選択後にも、大多数の教員が任期制を拒否するものと思われますが、任期の有無にかかわらず教学上の観点から必要な昇任を行うべきです。現在のような昇給、昇任なしなどという懲罰的な措置が続けば、教員の流出が進み、大学の社会的評価はますます下がります。
**************************

2005組発第11号
2006年1月4日

公立大学法人首都大学東京
理事長 髙橋  宏  殿
                     

東京都立大学・短期大学教職員組合
中央執行委員長 渡辺 恒雄

教員の昇任問題に関する緊急要求について

 去る11月30日、組合は当局の提示する「新しい人事制度」について基本的に合意しました。この制度を貫いている考え方は、「任期の有無にかかわらず全教員に共通の評価制度に基づく評価を行い、給与制度も全教員同一の給与体系とする」ことであると、組合側は理解しています。つまり、法人は、任期の有無にかかわらずどの教員にも同様の職務、職責を期待し、課しているはずです。
 しかるに「昇任」問題では、従来任期付きでなければその対象にならない、という明白な差別が行われ、度重なる要求にもかかわらず、いまだにその考え方は撤回されていません。本来、昇任は教育・研究上の能力と実績のみに基づき行われるべきです。「任期制を受け入れているか否か」などが基準になることなどはとうてい社会的に受け入れられず、大学の評価が下落することが目に見えています。現に法人提案の助教授資格、教授資格は「任期」と無関係の基準となっています。
 この昇任問題はまた、過去数年来の事態の混乱の集積ともなっています。組合は、この問題が単に人事給与制度に関わるのみならず、当局が10月6日の団交で示した、新しい大学を立ち上げていくなかでの、残された課題の一つであると認識しています。さらに最近、明らかに11月30日の「合意」と矛盾する動きがあるとの風説も囁かれています。いまや、こうした課題に当局が真摯に取り組み、教職員、組合との信頼関係を築くことができるかどうかを、われわれは注視しています。まさに2006年1月に行われる予定の「制度選択」に対して、法人側の姿勢、方針に強い関心と期待を持っているのです。
 以上より、教員人事問題全体にわたる制度改革に関しては今後、法人が組合と継続的に協議、検討してゆくことを前提として、当面、以下の緊急要求に誠実に応えることを要求します。

1.2006年4月の昇任人事方針について
 2006年4月昇任人事について、過去3年間の凍結・制限とそのもとでの人事停滞という実態をふまえ、不当な制限枠を設けることなく、各部局の人事計画・方針を尊重して行うこと。その際「任期付き」となるか否かは本人の自由な選択に任せることを確約すること。

2.昇任問題に関する緊急要求
① 学校教育法上の職位が「講師」となっている者のうち、2004年度末時点で助教授昇任の資格を有する者については、その時点にさかのぼって昇任審査とその結果に基づく昇任を行い、その後に制度選択を求めること。
② 2005年度4月昇任の教員は、「都からの引き継ぎ教員」であり、任期についての自由な選択を降格なしに認めること。
③ 2005年度新規採用教員についても、「現制度の解消」の趣旨に基づいて、任期についての自由な選択を認めること。
④ 現「新・旧制度」および新・新制度での選択の如何にかかわらず、部局の人事方針に従って「昇任人事」を行う方向で法人内において検討し、組合と誠実に交渉を行うこと。
⑤ 新規採用にあたり、すべての公募を「任期付き」にするのではなく、部局の人事方針に従って「任期なし」の公募も行うことについて法人内で検討し、継続的に組合と誠実に交渉すること。

 組合の要求に対して、法人当局は次のように発言しました。
(総務部長発言)
 ただいま、「教員の昇任問題に関する緊急要求について」要求書をいただきました。早速、検討に入りたいと思います。
私どもとしては、採用、昇任等の教員の人事管理については、新たな人事制度と整合的に行っていくことが重要と考えており、本年度の昇任選考についても、現在、実施方針等について検討を進めているところです。
 今回要求を頂いた事項については、任用の基本的な考え方に関わる内容もございますが、早期に検討の上、一定の整理を行い、教員の皆さんの任期制の選択に資するものにしていきたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年01月11日 00:17 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年10月20日

都立大・短大教職員組合、全教員の任期・年俸制を前提とした評価制度は容認できない!

都立大・短大教職員組合
 ∟●手から手へ、2369号

法人当局の「教員の新たな人事制度の全体像」(案)に対する中央執行委員会の基本的立場

全教員の任期・年俸制を前提とした評価制度は容認できない!
十分な検討なしの制度案の既成事実化に絶対反対する!

 はじめに
 法人当局は、10月13日に行われた団体交渉で、組合に対し「新たな人事制度の全体像」(案)(以下、「全体像」とする)を提示した。これについてはすでに「手から手へ」に、団交の際の総務部長発言と組合側発言を掲載している。今後、組合は当局に対して解明要求を行うなかで、「全体像」が提示している教員評価制度、任期制、年俸制のもつ個別の問題点を明らかにしていきたい。ここではそれに先だって、教員の人事給与制度に関する法人当局の態度と、「全体像」が打ち出した教員評価制度、任期制、年俸制についての組合の基本的立場を明らかにしておきたい。

的外れの人事制度設計の観点
 今回の提案の検討の前に、まず確認しておくべきことは、昨年来労働条件の露骨な不利益変更に耐えてきた大多数の教員と組合が反対し続けてきた言語道断な「新・旧制度」が破綻したことである。しかしながら、この事実にも関わらず、今回新たに提案された当局案には根本的な反省が反映されてはいない。
 「全体像」は、団交での当局の発言によれば、これまでの人事給与制度についての組合との交渉および年俸制・業績評価検討委員会での議論などを踏まえてまとめられたとされている。しかし、「旧制度」選択者に対する具体的な提案がなく、また教員全員を対象とした任期制・年俸制導入など、これまでの交渉や議論の経過を踏まえた提案とはいいがたい。むしろ「全体像」の提案理由とされているのは、大学をめぐる厳しい情勢のなかで競争を勝ち抜くための教育研究水準のさらなる向上が必要であり、そのため切磋琢磨して能力を最大限に発揮し、意欲と活力に満ちた組織を作り上げることが求められるという一般論なのである。このうち教育研究水準の向上のため切磋琢磨することは大学人にとってもちろん必要なことであり異論はないだろう。しかしながら、法人側が前提として直視すべき現実の深刻な問題として、首都大発足後、大学運営や法人運営の停滞が明らかであり、かつ教員が意欲をもって教育研究にあたるという体制も雰囲気も十全とはいえないことがあげられる。いまだに教員の流出が止まらないことは、それを端的にあらわしている。また最近実施された大学院入試の状況をみても、都立の大学時代に比べ受験者が大幅に減少した専攻が多いことは、総体として新大学が停滞した状況にあることを示している。
  従って教員の人事制度も、このような現状を打破して教員が意欲をもって教育研究にいそしみ、都立の大学であった時代以上に大学が円滑に運営されるためのシステムでなければならないはずである。しかし今回当局が提示した、任期制、年俸制、教員評価の三位一体の制度設計が、こうした目的にかなうものだとは思えないのである。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年10月20日 01:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年10月14日

都立大・短大教職員組合、教員の人事給与制度の交渉再開にあたって法人事務局長に要請

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●手から手へ第2366号

組合―教員の人事給与制度の交渉再開にあたって法人事務局長に要請

  組合は、6月21日以来中断している教員人事給与制度交渉、固有職員と派遣職員に関わる問題、4月から開学した首都大学東京と都立4大学の運営に関わる様々な混乱の解決など、教職員が意欲を持てる職場環境を回復するため、法人との早期の交渉再開が必要であるとの立場です。この度、渡辺組合委員長と村山法人事務局長とのトップ会談を経て、10月6日午後6時に教員の人事給与制度交渉再開の申し入れを行いました。
 【組合委員長発言】 
  それでは申し入れをいたします。
  人事給与制度をめぐって組合は、法人発足以前の昨年夏以来、大学管理本部ならびに法人との間に交渉を続けてきました。しかし、本年3月までの交渉において、大学管理本部は重大な不利益変更を伴い、かつきわめて非合理な案を一方的に提示するのみで、我々が提出した質問や疑問にもまともに答えない、きわめて不誠実な態度をとり続けました。さらに法人発足後の本年4月14日、組合は「教員給与制度に関する要求」を提出し、誠実な協議を申し入れましたが、6月21日の団体交渉において、法人当局は「旧制度」の昇給・昇任を求めた組合の要求を、合理的な説明もないまま拒否し団交は決裂しました。こうした中で、現在、教職員の中には、法人への怒りや不信、不満が広く強く渦巻いています。
  組合は、大学の状況が、多くの教職員が希望を持ち、安心して働けるものになることが何よりも重要であり、そのためにも安定した人事給与制度を早急に作ることが必要であると認識しています。しかし同時に、安定した人事給与制度の確立に向けた協議を身のあるものとして再開するためには、法人が、現在教職員の中に渦巻く怒りや不信、不満の源についての深い認識と、その解決・解消に向けての誠実な姿勢を示すことが不可欠です。問題点を以下、指摘します。

 第一は、一昨年夏以来、任期制・年俸制などの人事給与制度をはじめ、大学改革の全般にわたって、非合理なプランを上から一方的権力的に押しつけ、旧大学・教職員や組合とのまともな協議もないまま、新大学・新法人がつくられてきたことです。こうした進め方は、教職員の中に深刻な傷と不信を生み出しました。こうした経過を反省することなく、教職員と法人の信頼関係は築くことができません。

 第二に、法人が発足した4月以降、新大学と四大学の運営において、大きな混乱と支障が生じていることです。学生への教育責任を果たせるかどうかを危ぶむ声もあり、大学の将来への不安を教職員の中にかき立てています。またこの間、教員の教育研究条件に関わる重大な問題が、そのプロセスが不明なまま押しつけられているという声が組合にも多数寄せられています。組合は、法人と大学運営の透明性や、教授会などを含む意思決定のあり方は大学の教職員の労働条件の根幹に関わる問題であり、改善の余地が多大に存在すると認識しています。こうした現状の危機を共有し、真剣に対処していく姿勢がない限り、教職員が大学と法人に信頼を寄せることはできません。

 第三に、大学管理本部が強引に押しつけた「新・旧制度」なる人事給与制度は、これまで四大学で働いていた教員にとって一方的で不当な不利益変更であるばかりでなく、今日の我が国と国際的な大学界の動向に照らしても、きわめて不合理なものです。このような制度のもとでは、誰にとっても安心して教育・研究に勤しむことができないばかりか、能力のある教員を確保することはとうてい不可能です。したがって法人が本当にこの大学の経営に責任を持つ立場から、誠意をもって協議しようというのであれば、「新・旧制度」の修正ではなく、これまでのものを一旦白紙に戻した上で、3月以前の実績と他大学の現状をふまえた現実的な案が提案されるべきです。

 組合は膠着している交渉の再開を強く求めるものですが、まず法人が以上の点について、誠実な認識と姿勢を示すことが必要だと考えます。従って、これらの点について法人としての責任ある回答を求めるものであります。
  以上です。

 【事務局長発言】
 それでは私から申し上げます。
 ただいま、東京都立大学・短期大学教職員組合の皆さんから、交渉の再開を強く求めるとともに、交渉等についての私どもの認識と姿勢を示すよう、要請をいただきました。
 教員の人事給与制度につきましては、昨年度来の協議において必ずしも議論が十分に煮詰まらず、解決すべき課題が多く残されているという認識を持っております。このため、現在、皆さんのご意見も踏まえつつ、教員の皆さんの希望と意欲に応えるという視点に立って、事務局において制度の検討を進めております。今後速やかに検討結果をまとめ、年俸制・業績評価検討委員会において議論を行うとともに、皆さんにもお示ししたいと考えているところでございます。それについては次回趣旨を含めて詳しく説明させていただきます。
 また、ただいま大学運営についてお話がございましたが、新たな大学を立ち上げていく中で、皆さんとの間も含め多くの課題が残されていることも事実でございます。こうした課題について私どもが真摯に取り組むことはもとよりでございますが、教職員の皆さんの協力を得ながら、信頼関係をより強固にし、効率性・透明性の高い大学運営を目指して、様々な課題を解決していきたいと思います。
 終わりになりますが、教員の人事給与制度をはじめとする教職員の勤務条件につきましては、皆さんとの間で、真摯な姿勢で、十分な協議を行ってまいりたいと考えます。厳しい議論を戦わせることもありましょうが、良い大学を築き上げたいという気持ちは共通だと思います。議論を積み重ねて労使の信頼関係を築き上げ、労使合意により是非とも解決を図りたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年10月14日 00:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年09月29日

都立大・短大教職員組合、教員の人事給与制度についての中央執行委員会の現状認識

都立大・短大教職員組合
 ∟●手から手へ2363号(9月27日)

教員の人事給与制度についての中央執行委員会の現状認識

2005年 9月27日
東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

・異常な事態が続く教員の人事給与制度 
 4月の法人発足以来、法人当局は組合との協議が尽くされていないにもかかわらず、いわゆる「旧制度」、「新制度」にもとづいて、人事給与制度の運用を行っています。それにより、就業規則、給与規則のいずれにも明確に述べているわけではないものの、「旧制度」では昇給・昇任なしという措置がとられ、実際に「旧制度」を適用されている教員については4月、7月分の昇給は行われませんでした。また「新制度」を適用されている教員に関しても、再任の基準や業績給・職務給算定の指標が決まっていないという状況です。まさに法人の人事給与制度は、異常な事態が続いています。
 6月21日の団体交渉において、法人当局は「旧制度」の昇給・昇任を求めた組合の要求を拒否し、この問題をめぐる団体交渉は決裂をみました。
 
 こうした状況のなかで、多くの教員が雇用契約書を提出していない状態が続いています。組合は、当局が組合との誠実な協議に応じないまま各教員に対して雇用契約書を配布し、提出を促したこと自体が不当であると考えており、かつ契約書を提出することで、労働条件の不利益変更に同意を与えてしまう可能性が高いという見解をとっています。「旧制度」については、契約書に給与額の具体的数字が書かれており、給与がこの額に固定されてしまう可能性があります。また「新制度」についても契約書に記載された任期を認めてしまうことになる可能性があります。契約書を提出しないことをあらためて訴えます。なお契約書を提出していなくとも、4月から授業などの業務を行い賃金も支払われています。したがって実態として雇用関係は生じており、そのことは法人も認めています。不提出を理由とする解雇はできない状況にあります。
 当局が、不当にも「旧制度」教員の昇給・昇任なしという態度に固執し、実際に4月、7月の2回にわたり、「旧制度」教員の昇給が行われなかったことは、多くの教員の怒りを買っています。組合としても事態をこのまま放置することはできません。中央執行委員会は、教員の人事給与制度、とりわけ「旧制度」教員に対する差別的な措置を打開する取り組みを展開するため、法人の人事給与制度の問題点をあらためて確認しておきます。

・合理性のない法人の人事給与制度 
 法人化に至る過程における組合との団体交渉において、大学管理本部の宮下参事、泉水副参事らが回答した内容は、法人の人事給与制度が合理性のない、ずさんなものであることを示しています。例えば「旧制度」において、いくら業績をあげても昇給・昇任なしとする合理的理由は何かという組合の質問に対して、業績をあげている教員、昇任を希望する教員は、「新制度」の方を選択できる仕組みとなっているからだと回答しました。また、これらの措置が教員に対する労働条件の不利益変更にあたらないのかという質問に対しては、「現行の給与水準を切り下げていないので、不利益変更にはあたらない」と回答しています。他方、「新制度」を選択した場合任期制になるが、期限の定めのない雇用から有期雇用になるのは、労働条件の不利益変更になるのではないか、という質問もしました。これに対して当局は、有期雇用になるにしても本人が了解の上であれば不利益変更とはいえない、また「旧制度」という期限の定めのない雇用を選択する道もある、との回答をしました(「2004年12月20日新法人における賃金雇用制度に関する緊急解明事項に対する回答」)。
 要するに、昇給・昇任のない「旧制度」をとりたくなければ任期のある「新制度」を選択すればよい、任期のある「新制度」をとりたくなければ、昇給・昇任のない「旧制度」をとればよい、さらに現行の給与水準を切り下げていない、だから法人の給与制度は総体として労働条件の不利益変更にあたらないという回答なのです。
 「新制度」について、有期雇用になるにしても本人の了解があるから不利益変更ではない、期限の定めの無い雇用を希望するなら「旧制度」を選択すればよい、という回答にも驚きます。なぜならもうひとつの選択肢である「旧制度」は昇給、昇任なしという懲罰的措置なのであり、昇給、昇任を望めば本人が希望しなくても「新制度」に移行せざるをえないからです。この場合、本人の「了解」は当然、自由意思ではありません。こうした大学管理本部の回答は、法人の人事給与制度がいかに合理性を欠くものであるかを示しています。さらに付け加えれば、「新制度」についても給与規則のなかに昇給の規定はなく、理事長の判断でその額が決まると書かれているだけであることも注意する必要があります。
 以上のように法人の人事給与制度は内容に大きな問題をいくつも抱えておりますし、こうした制度について詳細な説明を求めた組合に対する大学管理本部の回答自体が、誠意のないものでした。

・勤務条件は労使協議で決めなければならない 
 法人の人事給与制度は、内容に問題があるばかりではありません。その導入の過程にも大きな問題があります。大学管理本部・法人当局は、組合との協議を十分に行わないまま労働条件を一方的に決定しました。法人発足後に行った組合の要求(「教員給与制度に関する要求について」2005年4月14日)についても、当局は「東京都職員として適用されていた労働条件がその身分とともに包括的に移行するものではない」ことを理由に、「旧制度」教員の昇給実施を拒否しました(6月21日)。この当局の見解は、地独法審議の際の政府側答弁を念頭に置いたものだと思われます。地独法第66条の権利義務の承継の規定は、教職員の労働条件をそのまま承継するということを必ずしも想定しない、したがって労働条件の設計は法人が行うことができるというのが大学管理本部・法人当局の解釈のようです。
 しかし労働条件が必ずしも承継されるとは限らないという政府答弁が、直接に大学管理本部・法人が強行しようとしている労働条件の一方的な切り下げ、それも「旧制度」では永久に「昇給なし」のまま固定されるという労働条件の最も重要かつ甚だ不利な改変を正当化する理由にはなりません。なぜなら同委員会の政府答弁も、法人が教職員の労働条件を恣意的に決定できるなどとは述べていないからです。むしろ森清総務省自治行政局公務員部長は、法人における労働条件については労使間の交渉を尊重し「労働協約」に基づき定められると明確に述べているのです(衆議院総務委員会第16号 平成15年5月29日)。したがって、一方的に労働条件の切り下げを強行しようとする大学管理本部・法人の手法は、労働条件改変のプロセスに関する政府答弁に即してみても、何らの正当性もないのです。こうした大学管理本部の一方的なやり方が、社会的に認められるものではないと考えます。

・事態の打開をはかるために
 以上、人事給与制度の内容、導入の仕方について大学管理本部・法人の態度を批判してきました。現在のところ、交渉はいわば決裂した状況にあります。また7月にも人事異動があり、総務部長、総務課長、人事担当課長の異動がありました。大学の運営、法人経営に責任を持つべき幹部職員が頻繁に異動するなかで、この7月には2003年8月以来、大学の解体を画策してきた都庁幹部職員もすべて他局に移りました。
  こうした状況をふまえ、中央執行委員会は法人当局に対して「旧制度」に関する協議をあらためて申し入れます。先にも述べたように、法人当局は「旧制度」における4月以後の昇給、昇任なしという措置について、その合理的理由を説明していません。今後当局が先に示した政府答弁をふまえ、組合との誠実な協議に応じることを要求します。
  さらにこの秋には、人事給与制度について「年俸制・業績評価検討委員会」などの場で再検討が行われるはずです。当局に対して、人事給与制度に関する教員の要求を突きつけていく運動も必要となります。
 今後、もし今年3月までに大学管理本部がとっていた態度と同様の態度を法人がとるのであれば、組合は別の枠組による事態の打開をはからざるをえません。しかし法的手段に訴える以前に、できる限り労使交渉でこの問題を解決していきたいと考えています。その際、私たちの力は、なんといっても圧倒的多数の教員の団結です。今後の交渉過程において、私たちの団結を崩すための圧力が加えられる可能性があります。組合や組合員個人への何らかの干渉は、不当労働行為となる場合もあります。もし、お気づきの点がありましたら執行委員または組合事務室までご連絡下さい。
 依然として多数の教員が雇用契約書を提出していないという事態は、法人に対する大きな圧力です。様々な事情からやむを得ず雇用契約書を出した教員も含め、人事給与制度をめぐるこの秋の運動に、ともに団結して臨むことを強く訴えます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年09月29日 01:39 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月08日

全大教、横浜市大・都立4大学の問題について総務省へ要望書を提出し会見

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.3.7)より

全大教、総務省と会見

横浜市大・都立4大学の問題について市・都への指導を要請

総務省、「労使の意思疎通は重要」

 先月25日、当組合の加盟する全大教(全国大学高専教職員組合)は、総務省と会見し、横浜市大と都立4大学の問題について申し入れを行いました。当組合からは中西執行委員長が参加しました。
 横浜市大と都立四大学では、今年4月の独立法人化にさいして、横浜市と東京都が、ともに任期制・年俸制など重大な問題をはらんだ諸制度を導入しようとしています。
 それぞれの制度の内容と、それら制度の導入過程は、いずれも地方独立法人法や同法案についての国会附帯決議など、関連諸法とルールに違反したものです。
 このことに関して、全大教は、当組合と東京都立大学・短期大学教職員組合の要請を受け、横浜市、および東京都に対し、是正指導をするよう申し入れました。
 これに対し総務省側は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なことである」とし、「要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。
 現在、市大では、当局が当組合との交渉を経ないまま、不当にも任期制・年俸制等を導入しようとしています。当組合は、このような不正常で法の趣旨に反したやりかたを許さず、誠実な交渉を行うよう要求しています。
 総務省の回答は、当然のルールの確認であるとはいえ、あらためて当組合の要求の正しさを証左するものとなりました。

(次頁に、全大教書記長による報告)

2005年3月4日
各単組委員長殿

全国大学高専教職員組合
書記長 森田和哉

東京都立四大学と横浜市立大学の法人化に伴う総務省会見報告

 全大教は、東京都立大学・短期大学教職員組合と横浜市立大学教員組合の要請を受け、2月25日、要望書(別紙参照)に基づき総務省会見を行いました。
 これは、4月に迫った東京都立四大学と横浜市立大学の法人移行に際して東京都と横浜市が行おうとしている教員雇用制度が地方独立行政法人法及びその成立時の附帯決議の趣旨を大きく踏み外した乱暴なものであることを訴え、公立大学の法人化に責任を負う官庁として適切で迅速な指導を要請し、また見解を質しました。
 この会見には全大教森田書記長、藤田書記次長、東京都立大学・短期大学教職員組合から浜津委員長、田代副委員長、横浜市大から中西委員長が参加し、約1時間にわたって行われました。総務省側は自治行政局公務員部公務員課の溝口洋理事官等が対応しました。
 
 まず全大教森田書記長が、現在の東京都と横浜市が強行しようとしている法人化に伴う教員雇用制度の変更は、地方独立行政法人法の国会審議の際になされた衆参両院での附帯決議を大きく逸脱していることを深く認識してほしい旨の表明が行われ、次いで両組合から各々の要請書に基づき説明と要請がなされました。
 都立大学・短期大学教職員組合は、当局の発した文書、組合の要求への回答などを資料として、基準も示されないまま任期と年俸制をセットにした「新制度」と、永久に昇任・昇給のない「旧制度」という、どちらを選んでも不利益な変更である雇用制度の不当性を訴えました。さらにこの両制度が二者択一で提示されたが、教員の過半数がどちらの選択も拒否しており、このままでは労使が対立したまま4月を迎えることになる現状を説明しました。
 横浜市立大学教員組合は、市当局によって「大学教員任期法」ではなく労基法14条に基づく全教員の任期制と東京都同様算定基準も明らかにされない年俸制とが押しつけられようとしている状況を訴えました。現在の給与制度からの明らかな不利益変更であるこれらの雇用制度は、制度としての公正性、透明性が保障されておらず、また、ほとんど組合との交渉もなしに強行されようとしていることに対して、総務省としての是正指導を要請しました。
 東京都立四大学、横浜市立大学とも、職務や業績評価の基準も再任基準も明示されずに「とにかく教員に任期を付け、年俸制にする」ということのみできわめて酷似した「制度」です。
 これらの訴えに対して、総務省は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なことである、要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。しかし、同時に「大学のことは熟知しておらず、法人下での勤務条件の中身は労使で決めることで、個々の事象について総務省として口を出すのは難しい。」とも述べました。それに対して組合側から、総務省が唱えた地方独立行政法人法によって公立大学を法人化する上での趣旨を達成するためには、東京都立四大学でも横浜市立大学でも総務省からの積極的な指導が必要な状況であることが重ねて要請され、総務省は「頂いた文書等をよく勉強します」と答えました。
 最後に、全大教として、第1に、東京と横浜で起こっている事態は、一般的な指導、援助では済まず、国会附帯決議をふまえた十分な指導が必要であること、第2に、そうした事態が全国の公立大学に波及する可能性があり、現場での良好な労使関係を進めるためにも、全大教と適宜会見を行うこと、を要求しました。
 これに対して、総務省は基本的に了承するとして、今回の会見は終了しました。

(次頁に全大教、総務省宛要請文)

2005年2月25日
総務大臣
麻生太郎殿

全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 関本英太郎

東京都立四大学並びに横浜市立大学の独立行政法人化に伴う教員の雇用制度等に関する要望書

 公立大学振興のための日頃からのご尽力に敬意を表します。
 地方独立行政法人法の下で、東京都と横浜市はそれぞれが設置する大学について、本年4月よりの独立行政法人への移行・改組を進めております。その際、法人への移行に当たって、東京都および横浜市は、それぞれの大学に勤務する教員に対して、これまでの任用条件からの大幅な変更を伴う雇用条件を提示しています。
 東京都は現在都立四大学に勤務し本年4月以降も首都大学東京並びに現四大学に引き続き勤務する予定の教員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制に基づく「新制度」または任期の定めがなく昇給・昇任のない「旧制度」のいずれかを選択するよう求めています。また横浜市は現在横浜市立大学に勤務し4月以降も勤務を続ける予定の教員全員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制の雇用制度に切り替えることを提示しています。
 それぞれの教員はこれまで、「教員任期法」に基づく任期制が適用されていた一部の助手を除き、任期の定めのない条件で任用され、いわゆる「定期昇給」の制度が適用され、個人の業績や所属する学部・学科等の事情により異なるとはいえ昇任の機会も与えられていました。これに対して、東京都並びに横浜市が今回提示している法人への移行に当たっての雇用条件は、これまでの任用条件からの重大な変更であるとともに、明らかな不利益変更です。
 地方独立行政法人法では「移行型一般地方独立行政法人の成立の際、現に設立団体の内部組織で当該移行型一般地方独立行政法人の業務に相当する業務を行うもののうち当該設立団体の条例で定めるものの職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該移行型一般地方独立行政法人の成立の日において、当該移行型一般地方独立行政法人の職員となるものとする」(地方独立行政法人法59条2項)と規定しています。
 森清・総務省自治行政局公務部長(当時)は、この法律が審議された国会答弁において、「これは、設立団体の業務と同一の業務に従事する者につきましては、当該地方独立行政法人の職員として引き続いて身分を自動的に保有しつづけることができるという形を法律上措置したものでございます」(参議院総務委員会2003年7月1日)とした上で、後述する附帯決議等において、身分の承継にあたり、移行にあたっては関係者の充分な話し合いと意思疎通が求められることも明確にされています。
 条文上「別に辞令を発せられない限り」というのはその意義が限定されており、「①(独立行政法人に承継せず)〇〇省内で他の部局・機関へ移動させるという〇〇省の辞令、②独立行政法人には承継されるが、「相当の職員」にはならない場合の独立行政法人の辞令」(独立行政法人制度の解説・独立行政法人制度研究会編 松尾剛彦内閣中央省庁等改革推進本部事務局参事官補佐)の二種とされており、雇用・身分の承継については揺るぎのないところであるといえます。
 このような法の趣旨に照らした場合、雇用条件も基本的には継承されるのが当然です。
 労使の充分な交渉・協議を欠いたまま東京都や横浜市が提示しているような重大な不利益変更を伴う雇用条件変更を行うことは許されません。事実、この間独立行政法人に移行した各機関や昨年4月に法人への移行を果たした国立大学は、それ以前の雇用条件を基本的に継承しています。
 以上のことから、現在東京都並びに横浜市が進めていることは、地方独立行政法人法の趣旨からの重大な逸脱であるといえます。
 地方独立行政法人法成立時の参議院総務委員会における附帯決議においても、政府に対し、「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」を決議しています。
 地方独立行政法人を指導・助言する立場にある貴省として、これらの事柄についての見解を求めるとともに、必要な指導・助言にあたられることを求めるものです。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月08日 01:39 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月05日

都立大・短大教職員組合、大学管理本部は多数の「回答保留」を真摯に受けとめ17年度教員給与制度を、現行の制度のまま移行せよ!

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●「大学管理本部は多数の「回答保留」を真摯に受けとめ17年度教員給与制度を、現行の制度のまま移行せよ!」(手から手へ(第2328号))(2005年2月3日web掲載)

大学管理本部は多数の「回答保留」を真摯に受けとめ
17年度教員給与制度を、現行の制度のまま移行せよ!

2005年2月2日 年東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 大学管理本部が私たち教職員組合と四大学教職員の意向を無視して強行した新法人のもとでの「任用・給与制度の選択」に関する照会は、 この照会を受けた教員の半数以上が回答を保留したまま、管理本部の設定した回答期限をすでに越えた。任期制・年俸制による 「新制度」を選択した者は四大学全体の中でも今のところ少数にとどまっている。こうした回答状況は、四大学教職員の多数が、 「新制度」「旧制度」とも現時点において納得していないという厳然たる事実を示したものにほかならない。

 教職員組合は、このような事実を踏まえ、2月1日、管理本部との団体交渉の場において、教員の雇用・給与制度については現行のまま 新法人に移行することを求める「新法人における賃金制度に関する緊急要求」4項目をあらためて提出した。
 「緊急要求」前文にも示した通り、当局の称する「新制度」は、どうしたら昇給できるのかという昇給システムも明らかにされておらず、 職務給や業績給についてはすべて検討中で、18年度以降の賃金がいくら支払われるかさえ定かではない。「任期制」については、再任 基準も示されていない。「旧制度」に至っては、どんなに努力をし、成果をあげても「昇給も昇任もしない」という制度であり、懲罰的な制度と 言わざるを得ない。そうした現行に対する重大な不利益変更であるばかりか、そもそも提案内容そのものが「制度」なるものの最低の基本的要件 さえ満たしていない提案に、多数の教員が納得できないのは当然である。

 組合が提出した4項目の要求に対して、団交の場で大学管理本部は、コメントと称して、「1から3については、われわれとしては、全く考えて いない。4については、17年度の昇任者については、従来通りの考え方で算出した額の直近上位、18年度以降の昇任者、採用者について は、別の考え方で行う。その内容は、検討中である」との全く不当な発言を行った。

 大学管理本部は、大多数の教員が「新制度」を選択せず、およそ半数の教員が「照会」に対する回答を保留している現実を、まず真摯に受け止める べきである。そして当局の提案には未決定の事柄が多く、多くの検討事項が存在することを認めてこれを撤回し、成案ができてから改めて「新制度」 の提案を行うべきである。組合は、このように未決定事項が多い「新制度」の実施は、困難であるばかりか、 18年以降にさらなる混乱を招くことを 強く指摘する。
 法人化後の賃金制度や「任期制」などの雇用制度は、いうまでもなく、組合との交渉事項である。大学管理本部が、自らの案の実施を強行しようと するのであれば、組合はあらゆる合法的な手段で対抗することを表明する。
 法人発足まで、残された時間はわずかである。円滑な法人への移行を行うためには、大学管理本部は、「17年度の教員給与制度については、17年4 月昇任者を含め現行の制度のまま移行すること」という組合の提案を受け入れるのが当然である。
 私たちは、大学管理本部に対して、「緊急要求」を受け入れることを強く求めるとともに、四大学教員の皆さんに、納得できない提案には「納得できな い」との態度を毅然と貫き、不当な「新制度」「旧制度」を跳ね返すため、広く団結して行動することを、再度呼びかけるものである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月05日 01:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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都立大・短大教職員組合、「新法人における賃金制度に関する緊急要求」

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●「新法人における賃金制度に関する緊急要求」(手から手へ(第2328号))(2005年2月3日web掲載)

2005年2月1日

大学管理本部長・新大学設立本部長 村山寛司 殿
経営準備室長 髙橋 宏 殿

東京都立大学・短期大学教職員組合
中央執行委員長 浜津 良輔

新法人における賃金制度に関する緊急要求

  任期制・年俸制の「新制度」か昇給・昇任なしの「旧制度」という、どちらを選択しても不利益な制度選択に関する「照会」回答の管理本部への提出が締め切られました。伝えられるところによれば、「新制度」を選択した者は半数にはるか満たず、およそ半数の者は、「照会」に対して、その態度を未だに保留しているようです。
 「新制度を選択しても、一年に限り旧制度に戻ることができる」という「特例措置」 や「提示された年俸と年収の飛びつき幅によって、昇給」させる、「基本給決定の経過措置」が、締め切りが間近に迫る1月14日になって、突然出され、かえって混乱を増大させました。1月18日、19日に行われた説明会では、出席者から出された疑問に対して、十分に納得できる回答がなされたとは言い難いものでした。そうしたことが、「照会」に対する反応として表れています。選択を迫られた教員にとっては、十分に考える時間すらなく、説明会での質問に対しては、「検討中」の回答ばかりが目立つのですから、こうした結果は当然です。
 なによりも、昇給もあり、昇任も可能で、任期がつかない「現行の制度のどこに問題があるのか」という疑問に対する回答がありません。また、「新制度」では、確かに17年度の賃金は増加しますが、19年度以降については、最大で4割近くが業績評価や職務内容によって変動します。問題は、「職務給」や「業績給」の決定方法が、未だに明らかでないことです。
 組合の試算によれば、「新制度」においても、3年に1度の昇給がなければ、現行の賃金を下回るものです。しかしながら、「新制度」における昇給のシステムも明らかにされていないのが現状です。
 「旧制度」については、論ずる必要すらありません。どんなに努力をし、成果をあげても「昇給も昇任もしない」という制度をとっている大学があるでしょうか。
 組合は、このように未決定事項が多い「新制度」の実施は、困難であるばかりか、18年度以降にさらなる混乱を招くと判断しています。また、「新制度」も「旧制度」も、現行の制度からの不利益変更です。
 こうした変更は、移行型地方独立行政法人の移行に際しては、行ってはならないことです。
 よって、組合は新法人への移行にあたって、管理本部に対して、下記のことを強く要求します。


1.17年度の教員給与制度については、17年4月昇任者を含め現行の制度のまま移行すること。
2.「新制度」については、詳細が明らかになった時点で、改めて提案すること。
3.「任期制」の導入にあたっては、「大学教員任期法」に則り、教授会の議を経て、慎重かつ限定的に実施すること。
4.昇任者、新規採用者の給与決定にあたっては、従来通りの基準で算出すること。

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2004年12月30日

都立大・短大教職員組合、2004.12.20新法人における賃金雇用制度に関する緊急解明事項に対する回答

都立大・短大教職組のトップページ(12月28日新着)
 ∟●2004.12.20新法人における賃金雇用制度に 関する緊急解明事項に対する回答 (手から手へ第2318号)
 ∟●2004.12.20新法人における賃金雇用制度に関する 緊急要求に対する回答 (手から手へ第2318号)

[当局が称するところの新制度について]
  5.当局の提案に変更がなければ、新制度を選択すれば、任期制を選択することになるが、制度選択にあたって、教員個々人に根拠となる法律(大学教員任期法の3条件のうちのいずれか、または労働基準法第14条なのか)を明示すべきと考えるがいかがか。
→第7回経営準備室運営会議で示しているが、大学教員任期法に基づき「多様な人材が求められる組織」を指定、そこに属する専任教員は原則1任期5年以内となる。研究員については、研究を主たる職務としないと申し出がない限り原則1任期5年以内となる(再任の場合は原則3年以内)。

 6.当局の提案に変更がなければ、新制度を選択すれば、任期制を選択することになるが、その再任基準が明らかでない。(当局はこれまで、通常の勤務成績・業績をあげていれば再任されるとしているが、「通常の勤務成績・業績」について具体的な説明はない。)制度選択を求めるならば、具体的な再任基準が示されるべきと考えるがいかがか。
→再任基準も含めた業績評価制度については、教員も参加した「年俸制・業績評価検討委員会」において検討を開始したところである。委員会メンバー、検討スケジュール等は別紙のとおりである。検討結果を受けて具体的な制度設計を行っていく。繰り返すが、通常の勤務成績・業績をあげていれば再任は可能となるよう制度設計を行う。

 7.当局の提案に変更がなければ、新制度を選択すれば、年俸制を選択することになるが、基本給5割、職務給3割、業績給2割とした根拠はなにか。また、現行の給与条例では、休職期間の給料について、8割を保障している。年俸制で基本給を5割としているのは不利益変更と考えるがいかがか。
→生活給的なものの支給(基本給)は全体の5割という考え方である。なお、現行の休職期間の給与は、一律に2割の減額が課されている訳ではなく、病気休職(2年まで)は2割、刑事休職は4割、学術休職は3割などその休職事由により減額率は異なる。新制度では、現行の減額率の水準を勘案し、年俸についても一定の減額をして支給する制度としたい。休職等による職務給、業績給の減額率の考え方については「年俸制・業績評価検討委員会」での検討を踏まえ、あらためて示す。

 8.年俸制を選択し、休職した場合、支給されるのは基本給のみか。
→現行の休職期間の給与は、一律に2割の減額が課されている訳ではなく、病気休職(2年まで)は2割、刑事休職は4割、学術休職は3割などその休職事由により減額率は異なる。新制度では、現行の減額率の水準を勘案し、年俸についても一定の減額をして支給する制度としたい。休職等による職務給、業績給の減額率の考え方については「年俸制・業績評価検討委員会」での検討を踏まえ、あらためて示す。

 9.病気休職、介護休暇、育児休業等の取得期間は、任期から除算されるべきと考えるがいかがか。
→任期からは除算しないが、再任期間の制限(研究員8年、准教授10年)の期間の算定からは除算する。なお、教授の場合も含めて、病気休職、介護休暇、育児休業等の取得が再任審査に何ら影響させないような審査基準としていく。ただし、病気休職については、再任審査の時点で病状が重とくで回復する見込みがないと判断されるような場合の取扱いについては別途討したい。

10.職務給について、詳細が明らかにされていないが、個々の教員の職務内容によっては、現行の給与を下回ることはないのか。
→同じ専門分野の教員と比較して平均的な職務の量が明らかに少ない場合は、年収の3割程度を下回ることもある。

11.業績給についての評価基準が明らかにされていないが、制度選択にあたって、業績評価の方法やその評価基準とそれに基づく支給率、苦情処理方法などが明示されるべきだと考えるがいかがか。
→業績評価制度については、教員も参加した「年俸制・業績評価検討委員会」において検討を開始したところである。業績評価の方法やその評価基準等については、その検討結果を受けて制度設計していく。

12.現行4大学の教員が昇任した場合、新制度しか選択できない理由はなにか。任期制の押しつけと考えるが、いかがか。
→制度として昇任できる仕組みを備えているのは新制度のみである。そのため、昇任する場合、新制度を選択して頂くことになる。昇任の場合、もれなく新制度となることについては、昇任審査前に文書で明示しているところである。

13.新規採用の教員は、新制度しか選択できないのか。選択できないとすれば、その理由はなにか。
→新大学の任用・給与制度の本則は新制度であり、新規採用の教員にはもれなく新制度を選択して頂いている。既存教員には、経過措置として旧制度の選択も可としている。

14.当局の提案に変更がなければ、新制度を選択すれば、任期制となるが、期限の定めのない雇用から、有期雇用となるのは、現行4大学教員に対する労働条件の不利益変更と考えるがいかがか。
→新制度の選択は各人の判断で行われるものであり、有期雇用になるとしても、本人が了解の上での選択であれば、不利益変更とは言えない。旧制度という期限の定めのない雇用を選択する道もある。

15.当局の提案に変更がなければ、新制度を選択すれば、任期制を選択することになるが、制度選択にあたっては、個々の教員に任期満了時に受取ることが予想される退職手当の額の試算を提示すべきと考えるがいかがか。
→既に第4回経営準備室運営会議で示しているように退職手当の額は、平成16年度末に退職した場合と比較し、不利益とならないよう調整するため、現行より支給額は高くなることはあれ、低くなることはない。従って制度選択にあたって、個々の任期満了時の試算をする必要性はない。


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2004年10月27日

都立大「改革」における「任期制」導入問題

「首大非就任者の会」
 ∟●東京都立大学「改革」の問題点

東京都立大学「改革」の問題点

東京都立大学法学部教授 米津孝司
【法学セミナー591号(2004年3月号)掲載】

…前略…

全教員を対象とする任期制・年俸制の導入

 8月1日新大学構想の重要な柱に、「教員組織の簡素化、任期制・年俸制の導入と業績主義の徹底」という点がある。2003年10月21日には、組合との交渉が全くなされないままにその概要がマスメデイアに報道される(14)。新制度によれば、教授・助教授・講師・助手にかわって、主任教授・教授・準教授・研究員の制度が設けられ、教授以下の全教員に3年ないし5年の任期制を導入(15)、賃金も年俸制とされる。新人事・給与制度には不明の部分も多く、組合も12月中旬に21項目にわたる解明要求を出したが、これへの回答がなされないまま、新人事制度を前提とする公募が今年1月に開始された。今回提示された任期制は、法的なリスクについて全くといっていいほどに無頓着な内容である。大学教員任期法は、任期制導入可能な教員について、先端的・学際的分野など3つのカテゴリーに限定しているが(16)、管理本部案は、無限定に全教員を対象としている。また地方独立行政法人法59条2項に基づき、教員の身分及び基本的労働条件は新法人に自動承継される結果、現職教員に対して今回提案された新人事制度は労働条件の不利益変更となり、各教員の同意なくして導入は不可能である。また就業規則の不利益変更に関する最高裁の判例法理にいう「合理性」審査にも耐え得ない内容というほかない。管理本部は、同制度の無理に気づいたのか、ようやく最近(1月中旬)になって各教員への意見聴取を始めた。最終的にどのような案が提示されるかは不明だが、教職員組合との団体交渉もいまだ開始されておらず(17)、新大学への就任承諾書配布時に勤務条件を提示するとする管理本部のスケジュールどおりにことが運ぶか予断を許さない。……


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2004年08月14日

東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団、「勤務条件交渉についての弁護団意見」

「勤務条件交渉についての弁護団意見」(2004年 7月28日)より

勤務条件交渉についての弁護団意見

2004年 7月28日
東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団
弁護士 尾林 芳匡
弁護士 松尾 文彦
弁護士 江森 民夫


 1 「任期制」について
 2 定款および規則の提案
 3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
 4 「昇任基準」と「任期制」との連動
  (1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
  (2)当局自身の資料によって連動は明らか
  (3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
 5 「旧制度」は不利益変更
  (1)不利益変更は明白
  (2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
------------------------------------------
 都立大学・都立短期大学職員組合は、都立4大学の公立大学法人「首都大学東京」への統合・移行について、教職員の雇用と勤務条件を擁護する立場から東京都当局と交渉を開始しており、その中で当局から書面による回答も出されている。今般当弁護団で当局の回答について検討した結果について、次の意見を述べる。

 1 「任期制」について
 組合が、「任期制」は教育研究に責任を持つ組織において十分な検討を行い慎重かつ限定的に導入すべきことを求めているのに対し、要旨次のように回答している。
 ①大学教員任期法および労働基準法が有期契約を可能としている。
 ②「研究員」については、通算8年、「准教授」については10年の範囲で、教授については年数を限らず、通常の勤務成績・業績を上げていれば、再任できる制度とする。
 ③評価については、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していく。
 しかしこれらの回答は誠実さを欠くものである。
(1)組合が指摘しているのは任期制を導入することが大学の研究・教育に責任を持ってこれを発展させる上で合理性が認められないのではないかという点であり、労働者が合意するときに法律上可能であるか否かではない。当局の回答は、大学において任期制を導入することの合理性を、何ら具体的には説明しようとしていないものである。当局は、任期制を導入することでどのように大学の研究・教育の質が向上するのかについて、具体的に説明すべきである。もしこれをしないとするならば、任期制が、研究・教育にとって何ら合理的なものではなく、単に教員の地位を不安定にしその権利を弱めるためのものであると自ら認めるに等しいものである。
 任期制を労働者および労働組合が合意していないのに一方的に導入することが許されないのは当然である。そして、任期制に同意しなければ昇給・昇任ができない制度にもまったく合理性がないことは明らかである。
(2)当局は導入しようとしている任期制は通常の勤務成績・業績を上げていれば再任されるものであるとくり返し述べる。しかしこのような制度であれば、それはもはや任期制とは言えず、期限の定めのない契約としつつ、勤務成績・業績が著しく不良な場合に解雇すれば足りるのである。当局が任期制に固執しつつ、このような抽象的な説明を繰り返すのは、任期制への同意を促し、任期制によって教員の身分保障を著しく弱める意図に他ならない。
(3)当局は、教員の評価について、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していくと説明している。しかし評価をそのように行うためには、その前提となる学部の組織や教学過程についても、「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しなければならないはずである。2003年8月以降、当局が現行4大学の教職員との誠実な協議の中で4大学の統合を検討することを拒否することを言明しているもとで、移行後の教員評価についてのみ「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で行うと唱えても、何ら説得力がない。当局は、教員の評価について「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しようとするならば、現時点の現行4大学教員に対する頑迷な態度をただちに改め、統合後の大学に関するあらゆる問題について、現行4大学の教員との間で開かれた誠実な協議を行うよう、その態度を改めるべきである。

 2 定款および規則の提案
 組合は、「任期制」の導入について、定款およびそれに基づいた規則の案を示して協議すべきことを要求しているが、これに対し当局は、大学教員任期法で要求される規則、労働基準法で要求される就業規則は平成17年4月の設立前に新大学設立本部―経営準備室で案を策定して提示するが「今後詰めていく」内容があり、就業規則(案)を提示していないのは当然だと回答している。
 しかし、この回答も組合の要求を歪曲したものである。当局は、任期制を標榜しながら「通常の勤務成績・業績を上げていれば再任される」と宣伝し、現行4大学における教職員の生涯賃金よりも明らかに低下する賃金制度を提案しながら「不利益変更にあたらない」と主張している。これに対し組合は、規則の案が示されれば、その文面の客観的な解釈についての交渉ができるし、現行4大学の処遇と比較してどれだけ不利益になるかを算出することもできることから、規則の案を示しそれに基づいて交渉を行うことを要求してきたものである。
 当局は、このように交渉の前提として規則の案を提示することを求める組合の要求に対して、交渉の途中である以上規則の案の提示を求めることはおかしいと主張しているのであり、組合の主張の歪曲の上に立つ道理のない回答であることは明白である。
 また、定款および規則の提案が設立直前であれば、組合において十分な検討も十分な意見表明も困難である。当局は速やかに規定の案を策定し、教職員の賃金がどのように変化するかの具体的な試算も組合に示し、誠実な交渉を行うべきである。

 3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
 組合は、当局から現在提示されている「新制度=任期制・年俸制」は、明らかな不利益変更にあたると主張しているのに対し、当局は、要旨次のように回答している。①「新制度」は通常の職務を行い通常の業績を上げていれば下がらないから不利益変更に当たらない。②評価制度を前提とした「任期制」で各教員の業績が適正に評価されるから教員にとって不利益変更とはならない。
 しかしこれらの回答も正当なものではない。
(1)当局の提示によると、「新制度」でも、とくに若い教員にとっては、現在正当に期待できる賃金が大幅に減少する。「通常の業績」をあげていても助手(研究員)は8年、助教授・講師(准教授)は10年しかその給与が期待できない。したがって生涯賃金が大きく減少することは疑いない。
(2)当局の主張するような適正な評価が行われる保障も乏しい。民間企業における「成果主義」賃金も、評価が不公正であることや総額賃金が抑制されること、あるいは評価者との人間関係などによって評価が左右され真に組織としての業績につながらない等の弊害が指摘され、見直しが始まっている例も多い。
 また、大学における学問研究や教育は、営利企業のように収益によって評価することができるものではないから、その適正な評価は、営利企業におけるよりもさらに困難である。
 したがって、評価制度を根拠にして不利益変更にはあたらないとする当局の回答は、まったく理由にはならないものである。

 4 「昇任基準」と「任期制」との連動
 組合は、「昇任基準」と「任期制」とを連動させるべきではないことを主張し、これに対し当局は要旨次のように回答している。①助手の昇任審査は、助手再配置の誘因ではない。②昇任審査等の新制度は、新法人の「政策選択の問題である」とする。
(1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
 当局は、助手の昇任審査と再配置との関係についてのみ回答しているが、組合の要求の核心は、昇任問題を「再配置」、「任期制・年俸制」など都が構想する新大学のあり方への同意を強制する道具として利用してはならないという点にある。このような利用が行われれば、本来、新大学における勤務条件は、現行大学の教職員との協議をもとに決定されるべきであるにもかかわらず、現行大学の教職員の自由な意見が抑圧され、都の意向が押しつけられることになるからである。
 このような性格の問題であるにも関わらず、その一部にだけ申し訳程度に回答する都には、組合の要求に誠実に答えようとする姿勢が欠けている。
(2)当局自身の資料によって連動は明らか
 この間当局自身が明らかにしてきた材料に即して考えれば、昇任問題が、「再配置」、「任期制・年俸制」に連動させられていることは明らかである。
 当局の「新大学の教員の任用制度」によれば、助手の昇任及びいわゆる「旧制度」(終身雇用。昇給・昇任なし。)と「新制度」(昇給・昇任あり。任期制・年俸制。)の選択問題は、次のようになる。
 すなわち、昇任しようと思えば、「新制度」を選択しなければならないのはもちろん、その前段では「昇任審査」を受けなければならない。そして、「昇任審査」を受けるためには、新大学を担当していなければならず、そのためには、「意思確認書」を提出していなければならないのである。
 他方、都が構想する再配置は、その内容について、「もっぱら『経営的観点』と機械的な平準化論に基づいており、助手の教育研究、とくに新大学における学生や院生の教育上の職務を考慮したものではないことを当局自身が認めています。」(組合の2004年6月14日付「助手再配置問題に関する緊急要求」)などと厳しい批判が寄せられているものである。
 そして、当局の「新大学における研究員(助手)の任用制度について」が「現在、理工系の助手については、大学間、学部・学科間でアンバランスがあることから、新大学の設置に当たっては、その再配置を行う。」、「助手の再配置を適切に行うため、一定の要件を満たす者については、新大学において『准教授B(仮称)』という呼称を使用することを認める。」とのべていることから明らかなように、助手が新大学を担当することが前提である。これに関連して、管理本部は、組合との交渉の中で、「意思確認書を出さないで助手のまま残る人は、再配置しません。旧大学担当ですから。」とも述べている。
 以上のことから明らかなことは、助手が昇任しようと思えば、新大学を担当せねばならず、かつ、「任期性・年俸制」の「新制度」を選択しなければならないのである。この点に関しては、昇任審査に合格しても、「新制度」を選択しなければ、昇任できないとの説明を組合に行っている。また、当局が示した「准教授B」に「昇任(学校教育法上は助手であるから、厳密な意味で昇任とは言えない)」する「一定の要件」では、「いずれかを満たす助手」の二つの要件のうちの一つとして、内容上問題が指摘されている再配置を受け入れることが掲げられている(一定の要件2‐再配置になる助手で、過去3年間において、研究実績があるもの)。
 これは、まさに、「昇任審査」を「再配置」の誘因とし、「任期制・年俸制」と連動させることにほかならない。
(3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
 このような制度は、都の回答のように「政策選択」の名で合理化できるものではない。
 組合弁護団意見書その2「東京都の『新大学』における任期制の導入に関する弁護団の意見書」(2004年)2月9日付)は、新大学設置の根拠法である地方独立行政法人法によれば、移行型独立行政法人である新大学においては、現教職員の身分は当然包括的に新大学に移行するのであって、身分移行にあたって教員の身分保障を否定したり、勤務条件を一方的に切り下げることは許されないこと、さらに「大学の教員の任期に関する法律」(任期制法)や労働基準法等に照らしても任期制等の一方的押しつけが許されないことを詳細に明らかにした。
 また、地方独立行政法人法成立の際の参院附帯決議は「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」と述べている。
 すなわち、新大学における勤務条件を都が一方的に設定し、「昇任審査」を誘因にして、現在の助手の意思を押さえつけて、その勤務条件を押しつけるということは諸法に照らして違法なのであって、「政策選択」だとして合理化できるものではないのである。

 5 「旧制度」は不利益変更
 組合は、当局の提案する「旧制度」は不利益変更であると主張し、①教育研究部門(教学部門)の下での公正で透明な評価に基づく昇任機会を定める、②経営部門が少なくとも中期計画期間の職位、在職年数による給与基準を公表する、③住宅手当、扶養手当等は労働者として当然の権利であり、それらの支給を保証する、という3点を提案して根本的な改善を求めた。
 これに対し当局は次の通り回答している。①「旧制度」、「新制度」の制度全体で不利益変更に当たらない、②昇任機会は、教員が参加する人事委員会によって、公正で透明な評価に基づき、昇任の機会が担保される。しかし、昇任する場合は、「新制度」を選択する必要がある。③旧制度の給与水準は、諸手当を含め、現行と同様の基準を就業規則に定め公表すると回答した。
 このうち給与水準の公表(③)は当然のことであり、問題はその時期と内容であるが、他の①と②には、以下のような問題がある。
(1)不利益変更は明白
 「旧制度」、「新制度」の全体で不利益変更に当たらないとの回答は、まったくの誤りである。
 まず、「旧制度」についてみれば、従来、地方公務員の場合には「昇給」や「昇格」の権利が法的に保障されてきた。
 東京都の条例では文言上は、「良好な成績」をおさめている場合に定期昇給の機会があると規定されているが、運用上は原則として定期昇給の機会があった。また昇格の機会は当然保障され、昇格できない身分の教員などは存在しなかったのである。
 このような身分を有していた教員を、昇給・昇任なしの身分にすることは労働条件の不利益変更に他ならない。
 他方、「新制度」を選択すれば、昇給・昇格の機会はあるが、任期制によって、定期的に首切りの危険にさらされることになる。従来の終身雇用からの不利益変更であることは明らかである。
 したがって、「旧制度」、「新制度」いずれをとっても、不利益変更なのであるから、これら制度全体も不利益変更である。
 仮に、新旧制度の選択ができるとの主張がありうるとしても、一人ひとりの教員は、従来、終身雇用で昇格・昇給の機会があった立場から、これらのいずれかを放棄しなければならない立場を強制されるのであるから、選択の余地をもって、勤務条件の不利益変更を否定することはできない。
(2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
 当局は、昇任の機会について公正・透明が担保されるという。
 しかし、当局の構想は、あくまで、「新制度」を選択しなければ昇任の機会がないということが前提なのである。なぜ、「旧制度」選択者には昇任の機会が与えられず、「新制度」選択者のみにこれが与えられるのかがもっとも不公正・不透明な点なのであって、これを不問に付して、教員が参加する人事委員会云々を持ち出してみても、何らの解決になるものではない。
 しかも、従来、大学教員の昇任を含む人事等の重要事項は、教授会によって決定されてきた。これによって、学問の自由と大学自治が保障されるからである。
 衆議院、参議院でも任期制法の決議にあたり「学問の自由および大学の自治尊重を担保としている教員の身分保障の精神が損なわれないよう十分配慮する」との付帯決議がなされている。
 昇任を教学部門で決定すべきであるとの組合の要求は、このような意味を持つものであり、単なる手続問題に解消できるものではないのである。
 当局の回答は、あくまで教員が「参加」する人事委員会による昇任決定であり、学問の自由と大学自治を保障する見地は全く欠落しているのである。
 
以 上

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2004年07月28日

東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団、「勤務条件交渉についての弁護団意見」

「勤務条件交渉についての弁護団意見」(2004年 7月28日)より

勤務条件交渉についての弁護団意見

2004年 7月28日
東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団
弁護士 尾林 芳匡 
弁護士 松尾 文彦
弁護士 江森 民夫

1 「任期制」について
2 定款および規則の提案
3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
4 「昇任基準」と「任期制」との連動
 (1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
 (2)当局自身の資料によって連動は明らか
 (3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
5 「旧制度」は不利益変更
 (1)不利益変更は明白
 (2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
--------------------------------------------------------
 都立大学・都立短期大学職員組合は、都立4大学の公立大学法人「首都大学東京」への統合・移行について、教職員の雇用と勤務条件を擁護する立場から東京都当局と交渉を開始しており、その中で当局から書面による回答も出されている。今般当弁護団で当局の回答について検討した結果について、次の意見を述べる。

 1 「任期制」について
 組合が、「任期制」は教育研究に責任を持つ組織において十分な検討を行い慎重かつ限定的に導入すべきことを求めているのに対し、要旨次のように回答している。
 ①大学教員任期法および労働基準法が有期契約を可能としている。
 ②「研究員」については、通算8年、「准教授」については10年の範囲で、教授については年数を限らず、通常の勤務成績・業績を上げていれば、再任できる制度とする。
 ③評価については、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していく。

しかしこれらの回答は誠実さを欠くものである。
(1)組合が指摘しているのは任期制を導入することが大学の研究・教育に責任を持ってこれを発展させる上で合理性が認められないのではないかという点であり、労働者が合意するときに法律上可能であるか否かではない。当局の回答は、大学において任期制を導入することの合理性を、何ら具体的には説明しようとしていないものである。当局は、任期制を導入することでどのように大学の研究・教育の質が向上するのかについて、具体的に説明すべきである。もしこれをしないとするならば、任期制が、研究・教育にとって何ら合理的なものではなく、単に教員の地位を不安定にしその権利を弱めるためのものであると自ら認めるに等しいものである。
 任期制を労働者および労働組合が合意していないのに一方的に導入することが許されないのは当然である。そして、任期制に同意しなければ昇給・昇任ができない制度にもまったく合理性がないことは明らかである。
(2)当局は導入しようとしている任期制は通常の勤務成績・業績を上げていれば再任されるものであるとくり返し述べる。しかしこのような制度であれば、それはもはや任期制とは言えず、期限の定めのない契約としつつ、勤務成績・業績が著しく不良な場合に解雇すれば足りるのである。当局が任期制に固執しつつ、このような抽象的な説明を繰り返すのは、任期制への同意を促し、任期制によって教員の身分保障を著しく弱める意図に他ならない。
(3)当局は、教員の評価について、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していくと説明している。しかし評価をそのように行うためには、その前提となる学部の組織や教学過程についても、「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しなければならないはずである。2003年8月以降、当局が現行4大学の教職員との誠実な協議の中で4大学の統合を検討することを拒否することを言明しているもとで、移行後の教員評価についてのみ「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で行うと唱えても、何ら説得力がない。当局は、教員の評価について「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しようとするならば、現時点の現行4大学教員に対する頑迷な態度をただちに改め、統合後の大学に関するあらゆる問題について、現行4大学の教員との間で開かれた誠実な協議を行うよう、その態度を改めるべきである。

 2 定款および規則の提案
 組合は、「任期制」の導入について、定款およびそれに基づいた規則の案を示して協議すべきことを要求しているが、これに対し当局は、大学教員任期法で要求される規則、労働基準法で要求される就業規則は平成17年4月の設立前に新大学設立本部―経営準備室で案を策定して提示するが「今後詰めていく」内容があり、就業規則(案)を提示していないのは当然だと回答している。
 しかし、この回答も組合の要求を歪曲したものである。当局は、任期制を標榜しながら「通常の勤務成績・業績を上げていれば再任される」と宣伝し、現行4大学における教職員の生涯賃金よりも明らかに低下する賃金制度を提案しながら「不利益変更にあたらない」と主張している。これに対し組合は、規則の案が示されれば、その文面の客観的な解釈についての交渉ができるし、現行4大学の処遇と比較してどれだけ不利益になるかを算出することもできることから、規則の案を示しそれに基づいて交渉を行うことを要求してきたものである。
 当局は、このように交渉の前提として規則の案を提示することを求める組合の要求に対して、交渉の途中である以上規則の案の提示を求めることはおかしいと主張しているのであり、組合の主張の歪曲の上に立つ道理のない回答であることは明白である。
 また、定款および規則の提案が設立直前であれば、組合において十分な検討も十分な意見表明も困難である。当局は速やかに規定の案を策定し、教職員の賃金がどのように変化するかの具体的な試算も組合に示し、誠実な交渉を行うべきである。

 3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
 組合は、当局から現在提示されている「新制度=任期制・年俸制」は、明らかな不利益変更にあたると主張しているのに対し、当局は、要旨次のように回答している。①「新制度」は通常の職務を行い通常の業績を上げていれば下がらないから不利益変更に当たらない。②評価制度を前提とした「任期制」で各教員の業績が適正に評価されるから教員にとって不利益変更とはならない。
 しかしこれらの回答も正当なものではない。
(1)当局の提示によると、「新制度」でも、とくに若い教員にとっては、現在正当に期待できる賃金が大幅に減少する。「通常の業績」をあげていても助手(研究員)は8年、助教授・講師(准教授)は10年しかその給与が期待できない。したがって生涯賃金が大きく減少することは疑いない。
(2)当局の主張するような適正な評価が行われる保障も乏しい。民間企業における「成果主義」賃金も、評価が不公正であることや総額賃金が抑制されること、あるいは評価者との人間関係などによって評価が左右され真に組織としての業績につながらない等の弊害が指摘され、見直しが始まっている例も多い。
 また、大学における学問研究や教育は、営利企業のように収益によって評価することができるものではないから、その適正な評価は、営利企業におけるよりもさらに困難である。
 したがって、評価制度を根拠にして不利益変更にはあたらないとする当局の回答は、まったく理由にはならないものである。

 4 「昇任基準」と「任期制」との連動
 組合は、「昇任基準」と「任期制」とを連動させるべきではないことを主張し、これに対し当局は要旨次のように回答している。①助手の昇任審査は、助手再配置の誘因ではない。②昇任審査等の新制度は、新法人の「政策選択の問題である」とする。
(1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
 当局は、助手の昇任審査と再配置との関係についてのみ回答しているが、組合の要求の核心は、昇任問題を「再配置」、「任期制・年俸制」など都が構想する新大学のあり方への同意を強制する道具として利用してはならないという点にある。このような利用が行われれば、本来、新大学における勤務条件は、現行大学の教職員との協議をもとに決定されるべきであるにもかかわらず、現行大学の教職員の自由な意見が抑圧され、都の意向が押しつけられることになるからである。
 このような性格の問題であるにも関わらず、その一部にだけ申し訳程度に回答する都には、組合の要求に誠実に答えようとする姿勢が欠けている。
(2)当局自身の資料によって連動は明らか
 この間当局自身が明らかにしてきた材料に即して考えれば、昇任問題が、「再配置」、「任期制・年俸制」に連動させられていることは明らかである。
 当局の「新大学の教員の任用制度」によれば、助手の昇任及びいわゆる「旧制度」(終身雇用。昇給・昇任なし。)と「新制度」(昇給・昇任あり。任期制・年俸制。)の選択問題は、次のようになる。
 すなわち、昇任しようと思えば、「新制度」を選択しなければならないのはもちろん、その前段では「昇任審査」を受けなければならない。そして、「昇任審査」を受けるためには、新大学を担当していなければならず、そのためには、「意思確認書」を提出していなければならないのである。
 他方、都が構想する再配置は、その内容について、「もっぱら『経営的観点』と機械的な平準化論に基づいており、助手の教育研究、とくに新大学における学生や院生の教育上の職務を考慮したものではないことを当局自身が認めています。」(組合の2004年6月14日付「助手再配置問題に関する緊急要求」)などと厳しい批判が寄せられているものである。
 そして、当局の「新大学における研究員(助手)の任用制度について」が「現在、理工系の助手については、大学間、学部・学科間でアンバランスがあることから、新大学の設置に当たっては、その再配置を行う。」、「助手の再配置を適切に行うため、一定の要件を満たす者については、新大学において『准教授B(仮称)』という呼称を使用することを認める。」とのべていることから明らかなように、助手が新大学を担当することが前提である。これに関連して、管理本部は、組合との交渉の中で、「意思確認書を出さないで助手のまま残る人は、再配置しません。旧大学担当ですから。」とも述べている。
 以上のことから明らかなことは、助手が昇任しようと思えば、新大学を担当せねばならず、かつ、「任期性・年俸制」の「新制度」を選択しなければならないのである。この点に関しては、昇任審査に合格しても、「新制度」を選択しなければ、昇任できないとの説明を組合に行っている。また、当局が示した「准教授B」に「昇任(学校教育法上は助手であるから、厳密な意味で昇任とは言えない)」する「一定の要件」では、「いずれかを満たす助手」の二つの要件のうちの一つとして、内容上問題が指摘されている再配置を受け入れることが掲げられている(一定の要件2‐再配置になる助手で、過去3年間において、研究実績があるもの)。
 これは、まさに、「昇任審査」を「再配置」の誘因とし、「任期制・年俸制」と連動させることにほかならない。
(3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
 このような制度は、都の回答のように「政策選択」の名で合理化できるものではない。
 組合弁護団意見書その2「東京都の『新大学』における任期制の導入に関する弁護団の意見書」(2004年)2月9日付)は、新大学設置の根拠法である地方独立行政法人法によれば、移行型独立行政法人である新大学においては、現教職員の身分は当然包括的に新大学に移行するのであって、身分移行にあたって教員の身分保障を否定したり、勤務条件を一方的に切り下げることは許されないこと、さらに「大学の教員の任期に関する法律」(任期制法)や労働基準法等に照らしても任期制等の一方的押しつけが許されないことを詳細に明らかにした。
 また、地方独立行政法人法成立の際の参院附帯決議は「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」と述べている。
 すなわち、新大学における勤務条件を都が一方的に設定し、「昇任審査」を誘因にして、現在の助手の意思を押さえつけて、その勤務条件を押しつけるということは諸法に照らして違法なのであって、「政策選択」だとして合理化できるものではないのである。

 5 「旧制度」は不利益変更
 組合は、当局の提案する「旧制度」は不利益変更であると主張し、①教育研究部門(教学部門)の下での公正で透明な評価に基づく昇任機会を定める、②経営部門が少なくとも中期計画期間の職位、在職年数による給与基準を公表する、③住宅手当、扶養手当等は労働者として当然の権利であり、それらの支給を保証する、という3点を提案して根本的な改善を求めた。
 これに対し当局は次の通り回答している。①「旧制度」、「新制度」の制度全体で不利益変更に当たらない、②昇任機会は、教員が参加する人事委員会によって、公正で透明な評価に基づき、昇任の機会が担保される。しかし、昇任する場合は、「新制度」を選択する必要がある。③旧制度の給与水準は、諸手当を含め、現行と同様の基準を就業規則に定め公表すると回答した。このうち給与水準の公表(③)は当然のことであり、問題はその時期と内容であるが、他の①と②には、以下のような問題がある。
(1)不利益変更は明白
 「旧制度」、「新制度」の全体で不利益変更に当たらないとの回答は、まったくの誤りである。 まず、「旧制度」についてみれば、従来、地方公務員の場合には「昇給」や「昇格」の権利が法的に保障されてきた。
 東京都の条例では文言上は、「良好な成績」をおさめている場合に定期昇給の機会があると規定されているが、運用上は原則として定期昇給の機会があった。また昇格の機会は当然保障され、昇格できない身分の教員などは存在しなかったのである。 このような身分を有していた教員を、昇給・昇任なしの身分にすることは労働条件の不利益変更に他ならない。
 他方、「新制度」を選択すれば、昇給・昇格の機会はあるが、任期制によって、定期的に首切りの危険にさらされることになる。従来の終身雇用からの不利益変更であることは明らかである。
 したがって、「旧制度」、「新制度」いずれをとっても、不利益変更なのであるから、これら制度全体も不利益変更である。
 仮に、新旧制度の選択ができるとの主張がありうるとしても、一人ひとりの教員は、従来、終身雇用で昇格・昇給の機会があった立場から、これらのいずれかを放棄しなければならない立場を強制されるのであるから、選択の余地をもって、勤務条件の不利益変更を否定することはできない。
(2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
 当局は、昇任の機会について公正・透明が担保されるという。
 しかし、当局の構想は、あくまで、「新制度」を選択しなければ昇任の機会がないということが前提なのである。なぜ、「旧制度」選択者には昇任の機会が与えられず、「新制度」選択者のみにこれが与えられるのかがもっとも不公正・不透明な点なのであって、これを不問に付して、教員が参加する人事委員会云々を持ち出してみても、何らの解決になるものではない。
 しかも、従来、大学教員の昇任を含む人事等の重要事項は、教授会によって決定されてきた。これによって、学問の自由と大学自治が保障されるからである。
 衆議院、参議院でも任期制法の決議にあたり「学問の自由および大学の自治尊重を担保としている教員の身分保障の精神が損なわれないよう十分配慮する」との付帯決議がなされている。
 昇任を教学部門で決定すべきであるとの組合の要求は、このような意味を持つものであり、単なる手続問題に解消できるものではないのである。
 当局の回答は、あくまで教員が「参加」する人事委員会による昇任決定であり、学問の自由と大学自治を保障する見地は全く欠落しているのである。
                                       
以 上

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月28日 00:31 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2003年11月26日

任期制」「年俸制」導入へ 新都立大

毎日教育メール(2003年11月26日付)

  東京都は、2005年4月開設予定の新都立大学の教員に、「任期制」と「年俸制」を導入することを決めた。終身雇用制を抜本的に見直すもので、全国初の取り組み。さらに、「主従関係」をなくすとして、助教授、講師を「准教授」にして教授とほぼ同等にする。都は、旧制度にこだわる教員は給料を固定し、昇任を不可とする“冷遇”措置を取る方針で、組合側は反発している。

 新大学では、昇任しないで滞留する人も多い助手を廃止し、「研究員」として研究に専念させる。また、現在は教員のすべてが63歳定年だが、研究員は任期を3年(2年まで延長可)とし、審査に合格すれば准教授になる。准教授は任期5年で再任は1回のみ。10年以内に教授にならない場合は退職となる。教授も含め、学外からの公募も行う。教授の任期は5年だが、実績が評価されれば、任期のない「主任教授」(65歳定年)に昇任できる。

 年俸のうち、基本給は5割だけで、授業などの職務給が3割、研究上の業績などを評価した業績給を2割とする。

 これに対し、都立大・短大教職員組合の小林喜平書記長は「労働条件の一方的な変更であり、教員が使い捨てにされる環境では、教育・研究に専念できない」と反発している。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2003年11月26日 13:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年06月20日

東京都立大学・短期大学教職員組合、大学教員任期制法の採決強行に抗議する[声明]

1997年6月20日
東京都立大学・短期大学教職員組合
教員任期制法制化に反対する都立大学教職員の会

[1]「大学教員等の任期に関する法律案」は、6月6日参議院本会議において、日本共産党、新社会党などの反対、自民党、社民党、さきがけ、平成会(新進党・公明)、民主党・新緑風会などの賛成多数で可決、成立した。広範な大学関係者からつよい疑義、危惧・批判や反対の声があがるなか、徹底した慎重審議が求められていたにもかかわらず、このような重要法案をめぐって、衆参両院の委員会審議あわせて五日間というあまりにも短時間の日程で審議が打ち切られ採決が強行されたことにたいして、私たちは憤りをもって抗議するものである。

[2]短い審議のなかでも、山積する重大な問題点が浮き彫りになってきている。 法律では、数年の「期間の満了により退職」(第2条)と定めている。任期満了時点で新たな職が得られない場合教員は失職することになり、またその際に国公立大教員は、失業保険すら支払われないきわめて身分不安定な状態においやられるのであって、かねてより懸念されていたとおり「教員解雇法」としての危険な本質が明かになっている。これが実施されるなら、わが国の大学教育と学問研究に重大な種々の否定的影響をもたらすことが憂慮される。
 第一には、独創的、基礎的研究の衰退が危惧される。多くの教員が任期満了時の業績審査にむけて短期間に成果や評価の得やすい研究にはしる傾向が生じるため、長期的視野にたって学術文化の発展に寄与することの期待される、独創的な研究の育成や基礎的、基幹的分野の研究が停滞する恐れがおおきい。
 第二には、学生教育への犠牲の転嫁である。学生・大学院生の在籍年数とほぼ同じ任期で教員が大学を入れ替わる状況のもとでは、教育や課外活動での系統だった責任ある指導態勢をとることは困難となり、教育現場に混乱や質的低下が引き起こされるのは必至である。また、再任、採用の審査にむけた就職活動のため、教員が契約期間の後半になると研究にも教育にも身が入らなくなることは、近年のイギリスの経験が示すところであり、教育の空洞化が進行することは目にみえている。
 第三には、学問研究の自由のなし崩しの恐れである。学問の自由および大学の自治が教員の身分保障と不可分にむすびついていることは、わが国戦前の軍国主義下での惨苦の経験や戦後アメリカのマッカーシズムからの痛切な教訓である。数年で身分を失う任期制のもとでは、教員は、再任、採用の審査に通るために、学問的識見・良心に基づいた自由で批判的な社会的発言や行動をさしひかえて自己規制をしいられる傾向が助長されるであろう。学問の自由が萎縮させられるもとで、真に自主的で創造的な研究教育活動の活性化は望みえない。
 第四には、現存の研究条件の改善や格差是正なしには、人事の流動化によって研究の活性化を期待することはできない。わが国の大学教員の職場異動が鈍いのは、旧帝大を頂点とした大学間の極端な序列化と格差に、また民間研究機関と比べた研究条件の貧困に起因する。これらの現状を放置したままの任期制の強行は、ひと握りの有力大学や海外への頭脳流出を促して格差の拡大固定化と学界における優秀な人材確保の困難とを招来するだけであって、わが国の大学諸機関のポテンシャルの低下と空洞化を引き起こすことは必至であろう。また、選択的導入の場合、受け入れる大学と受け入れない大学や教員との間に、新たな差別・選別や行政指導・財政誘導の余地を残して、いっそうの格差増大に帰結することが危ぶまれよう。
 第五には、わが国労働者全体の「雇用リストラ」に連動する危険性である。法律が、教育基本法や教員公務員特例法などでうたわれている大学教員の身分保障と抵触することは多々指摘されている。特別立法による強行的着手の企ては、財界の求める雇用の「規制緩和」を推進する突破口となって、公務員ひいては労働者全般にわたる、終身雇用に代わっていつでも解雇自由な「有期雇用」の労働市場の形成に道を開くものであろう。財界の「二十一世紀戦略」の意向に沿った新たな大学支配の抜本的強化を狙ったものにほかならず、国民のための教育研究の発展を希求する立場にとって、由々しき動向といわざるをえない。

[3]私たちは、政府文部省が大学審議会答申を受けて今国会での法案成立を期する意向を固めて以降、学内外で全力をあげて任期制法制化反対の運動に取り組んできた。学内では、「教員任期制法制化に反対する都立大学教職員の会」を発足させて、2月には法制化反対の学習決起集会、法案上程後の4月には法案学習と抗議集会をひらき、それぞれ決議を採択して関係者へ訴え、反対署名を展開した。学外では、2月7日に結成された東京共闘会議に呼びかけ団体、代表幹事として参加し、都大教および東京共闘会議を軸とした大規模な反対署名、氏名公表ポスター、都労連・単組への働きかけ、春闘メーデー集会での街頭宣伝、数次にわたる文部省前行動、国会請願・傍聴行動など精力的に取り組んだ。
[4]「オール与党」体制の翼賛的な国会運営のもとで、法案成立の阻止ができなかったことはまことに遺憾であった。とはいえ、広範な国民各層を巻き込んだ近来にない大規模な反対運動の結果、私たちの実状に即した道理ある指摘や批判の声は、両院の委員会審議での各党委員による「懸念」表明や質疑応答に種々反映し、また、「付帯決議」の採択に結実させることができた。今後の法律施行の際には、これら運動の成果と教訓を貴重な足掛りにして、導入反対や厳しい監視等の取り組みをつよめていくことが必要である。
 私たちは、大学に働く教員職員のみならず、国民各層とともに、任期制法とそれに含まれた危険な企図の実現を許さず、学問の自由および教育研究の真の活性化を追求するために、また労働者の働く諸権利を守るために、ひきつづき諸課題の取り組みに全力を傾注する決意であることをここに表明する。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年06月20日 14:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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