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1996年11月15日

群馬大学教職員組合、「大学教員の任期制法案化に反対する声明」

(出所)都大教ホームページより

「大学教員の任期制法案化に反対する声明」

96年11月15日
群馬大学教職員組合

 昨年大学審議会組織運営部会では「他の大学や研究機関等の人事交流」「若手研究者が複数の大学,教育機関で創造力や広い視野を養える」等を理由に,「大学における教育研究の活性化に資する」として任期制の導入を提言した。そして10月29日の総会で文部大臣に答申し,これを受けて文部省は,時期通常国会に任期制法案を提出する方針である。
 現在進められようとしている任期制は,従来から自然科学の分野で部分的に実施されている「紳士協定」によるものと異なり,法的強制力によって一定の任期の後,大学教員を解雇することを可能にするものである。
 群馬大学教職員組合は次の理由で大学教員の任期制法案に反対する。
 第一に,大学教員の身分は,滝川事件等の戦前良心的な学者が大学を追われた痛苦の経験から,確立された学問の自由を,制度的に保証したものである。アメリカでも,マッカシズムから学問の自由を守るために,教授の終身在職の権利が保障されるようになったものである。すでに任期制が導入されている放送大学では,「研究論文があまりに多いのは自分で書かずに,名前だけ付けているのではないか」「卒業論文を希望する学生が多いため学内で反感をかっている」という理由で優れた業績を持つ研究者が解雇されている事例もある。任期制の導入は,このような不当な解雇が全国の大学で実施される危険性をもっている。
 第二に,業績主義の弊害が横行する危惧である。いたずらに研究業績の粗製濫造に走る傾向が強まり,大学に期待されている中期・長期的な基礎研究をないがしろにする事態になることが懸念される。さらに,教育面でも,授業は適当にやって,ひたすら研究業績づくりに走る傾向が強まり,任期制の導入は,大学教育の機能をかえって低下させるものである。また,教員を「評価」するといっても,研究面での評価は,それぞれの学問領域で一定程度行われてきたが,教育面での客観的評価は,まだ確立されていない現状である。評価の客観的な基準が整備されていない時点で,任期制の導入が実施されるのは,本末転倒な議論である。
 第三に,若手研究者の中には,講座制に見られる権威主義を打破するものとしての任期制の導入に,賛成する意見が根強くあるが,現実的には助手・講師等の若手研究者に適用し,彼らを圧迫し,今以上に権威主義が助長される可能性が強くなる。
 第四に,任期制の導入は,大学教員だけではなく,公務員全体や民間労働者を含めて,我が国の終身雇用制度の撤廃につながる問題である。近年,民間の会社ではリストラによる中高年への退職の強要が行われ,「イジメ」が社会問題化しているが,日本の労働者の権利全体に関わる問題である。
 以上の理由から,群馬大学教職員組合は教育研究と大学の自治に重大な障壁をもたらす大学教員の任期制法案化に強く反対するものである。

Posted by 管理者 : 掲載日時 1996年11月15日 12:49 | コメント (0) | トラックバック (0)
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