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2004年07月29日

大学教員の任期制、「短い年限で実績を過大に評価するのは問題が大きい」

持論時論<斉藤秀幸(地方公務員)=36歳・名取市>/国公立大の独法化

河北新報(2004/07/29)

目先の業績評価に疑問

 4月に全国の国立大学が、独立行政法人に移行しました。公立大学も、多くが数年以内に移行するようです。この独立行政法人化(以下、独法化)の是非については、さまざまな考え方があるでしょう。しかし個人的には、問題の大きい制度ではないかと考えます。
 確かに、独法化によって研究費が増える分野はあると思います。逆に研究費が削られ、存続が難しくなってくる分野も出てくるでしょう。多くの識者が指摘しているように、学問全体の健全な発展を図るためには、独法化はあまりにも拙速だったのではないか、と思います。
 独法化に伴って、教員任期制が導入されます。これにも、大きな問題があります。5年から10年程度ごとに教員の研究業績を評価して、その教員を再任するかどうか判断しようというもので、一見すると非常に理にかなった制度のように見えます。ただ研究活動は、言うならば未知の分野への挑戦ですから、ハプニングや行き詰まりもあると思います。新発見や新たな理論を構築したとしても、学会などで認められるまでには、多くの困難が伴うことも予想されます。
 このような困難の克服に、5年から10年掛かってしまう、ということもあり得ます。その困難の性格や程度は、研究テーマによって、さまざまだからです。研究活動のこのような側面を軽視して、短い年限での実績を過大に評価するのは、問題が大きいと考えます。
 教員任期制がもたらす弊害として、教員の中には困難が少なく、業績の上がりやすい研究テーマに変更する者も出てくるのではないか、ということが考えられます。これは長期的に見ると、日本の大学のポテンシャル低下につながると思います。
 次に考えられるのは、大学の教員もいわば生身の人間、不運にして家族の介護の問題や自らの健康問題などで、数年間は研究業績が十分に上がらない場合もあり得るということです。しかし、こうした問題が解決した後で、優れた研究業績を上げた人も少なくないと思います。
 優れた研究業績とは一体どのようなものであるのか、あるいは優れた大学の教員像とはいかなるものであるのか、ということは大変難しいテーマです。
 ガリレオやメンデルが評価されたのは死後です。ノーベル賞を受賞した田中耕一氏の研究成果が、予想外のミスから生まれたものであることを考えると、教員任期制には、いささか弾力性のなさを感じます。研究費の合理的な配分や教員の待遇の格差については、独法化や教員任期制にまで踏み込まなくても、十分可能ではないかと考えます。(投稿)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月29日 01:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年03月25日

投稿:西日本の某国立大学における就業規則に関する協議の過程で明らかになった事項

Academia e-Network Letter No 81 (2004.03.25 Thu)より
http://letter.ac-net.org/04/03/25-81.php

法人化後に「全部局等に導入する」とされる「任期制」であるが、4月1日段階におけるその運用に関しては、あまりにも不明瞭な事項が多い。

繰り返し強調するように任期制の本質は、たとえ任期終了後に「再任可」とされる場合でも、任期が終われば新規の採用となるので、雇用する側は再任の義務は負わないことに尽きる。それは、再任拒否による解雇権の乱用につながる可能性が極めて高い。「プロジェクト型」でない任期制雇用への同意書にサインすることは、「任期が終われば、私の首を切ってもかまいません」と認めることに他ならない。したがって「普通にやっていれば再任される」とか、「任期制が教員の教育研究活動へのエンカレッジとなる」との見解には、全く法的根拠がない。

4月1日からは、教員の任期制は「国立大学法人○○大学の就業規則に則る任期制」という新たな状況に突入することになる。現在任期制により雇用されている教員は、改めて就業規則上で規定される任期制の契約をしなおすこと(新たな同意書への署名・捺印)が必要となる。しかし、新たに任期制に関して合意を得るためには、就業規則の上で、任期制による再任拒否が解雇権の乱用にならないための歯止めを示さねばならない。また、該当する教員が就業規則案に同意しない権利を留保することも可能である。

 以上の前提のもとで、下記の事項について確認する。

1.プロジェクト型の場合を除き、現在任期制が適用されている教員が4月1日に同意書を提出しない場合は、期間の定めのない教員として雇用される。なお、任期制に同意しない教員に、不利益を及ぼしてはならない。

2.いわゆる「プロジェクト型任期制」の場合は,労使が合意しない場合は,3月31日で分限免職とするか,プロジェクト終了時に解雇の扱いとなる。

3.いずれの場合も、任期制で採用する前に雇用者側が人事交流委員会等を設置する義務がある。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年03月25日 13:42 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://labor.main.jp/blog/archives/2004/03/post_103.html