新聞記事(日経)
掲載事項(記事)一覧

2004/08/11 全入時代、教員に任期制 学校経営に民間流!
2004/06/09 大学病院も競争の時代、弘前大・兼子医学部長に聞く――企業並み効率運営必要
2004/05/31 未熟さ残る大学教員任期制-再任審査、明確な基準を(先望鏡)
2004/05/12 「スター教授」世界から、東北大が新人事制度――学部に属さず、学長並み報酬
2004/04/22 静岡県立大、新薬開発へ研究拠点、創薬探索センター 県や医療機関と連携
2004/04/17 国立大学法人が発足、研究を核に社会と連携――東京大学名誉教授生駒俊明氏(教育)
2004/03/18 北見工大、全教員に任期制 一律5年、法人化にらむ
2004/02/21 東大病院が改革案、教授以外も診療科長に、法人化、見直し促す
2003/07/21 第2部流動する頭脳(4)問われる教官評価――身内への甘さ、命取りに(大学革新)
2003/07/21 第2部流動する頭脳(4)問われる教官評価――身内への甘さ、命取りに(大学革新)
2003/06/30 第2部流動する頭脳(2)生え抜き主義に決別――教員、実力重視で選抜(大学革新)
2003/04/14 九州大の理工系教官、半数強を任期制に
2003/04/01 愛媛大が拠点開設、たんぱく質研究員4倍に、民間の人材招へい
2003/03/01 都、公募職員を来月採用――病院や研究所、専門の人材確保
2003/01/31 国立大経営に外部の声、「第三者評価」など導入、法人化法案概要固まる
2003/01/30 法人化法案、国立大経営に学外の声――協議会、過半数外部から
2002/11/22 任期制職員を採用、都、来年から-外部の人材確保
2002/04/18 高知大と高知医大、来秋統合を正式決定、合意書調印-2004年から新入生
2002/03/27 富山の国立3大学、統合協議へ合意書調印、基本理念など確認
2002/01/28 「知の拠点」へ大学再編-武者修業が活力生む
2002/01/11 名大改革駆け出す英知(4)眠る資産企業に売り込め(新天地を拓く)
2001/12/26 理研が新ルール策定、研究成果の帰属徹底管理-人材流動の必要条件に
2001/06/16 大学研究者の起業環境整備、近畿経産局が来月研究会――任期制や「産学」補助拡大
2001/05/18 研究者の任期制-やる気引き出す評価法カギ(Technoonline)
2001/05/15 大学教授も業績主義、国公立大に任期制広がる、研究の質向上-理工系目立つ
2001/03/02 東大定年延長その後…、教授も“就職難”、任期制は難航-ブランド力低下背景に
2000/12/23 第3回大学学長アンケート本社調査(上)6割が「教員評価に課題」(教育)
2000/09/20 東大、定年65歳に延長、業績評価で硬直化防ぐ
2000/05/29 臓器の再生を研究、熊本大がセンター
2000/02/27 大学の教養教育に再評価の声、学問の原点に回帰-国際基督教大学絹川正吉氏(教育)
2000/02/08 東工大、定年65歳に延長、私大の受け入れ減に対応、2002年から-東大なども

2004年08月11日

全入時代、教員に任期制 学校経営に民間流!

第1部2007年ショック走る(1)「全入」の重圧、変革迫る(大学激動)

日本経済新聞(2004/08/03)

 七月二十三日に開いた文部科学相の諮問機関、中央教育審議会の大学分科会。二時間の議論を締めくくった南雲光男・元連合副会長の発言に、会場は静まり返った。「大丈夫だと思っていた大学がつぶれる。学生が路頭に迷う。『大学崩壊』のシナリオが三年後は現実になる」

予想2年早まる
 少子化と専門学校人気で大学・短大の志願者数は減り続け、当初予想より二年早く、二〇〇七年度に全員が入学できる時代が来る――その試算が初めて示されたのだ。五年あったはずの“猶予期間”が三年に縮まったショックは大きかった。ある私大学長は急きょ資料を教授全員に配り「夏休み中も対策を練り直せ」と迫った。
 「全入」はあくまで数字上の計算。新設校や短大はすでに苦しい。私立大は昨年度二八%が、短大は四五%が定員割れ。そして国立も例外ではなくなりつつある。
 筑波大の工学基礎学類は今春入試で、後期日程の応募三十一人に二十人しか受験せず、全員合格に。群馬大の応用化学科・材料工学科の後期も募集二十人に受験者二十九人。全員を合格にした。「東京の私立大がライバル。しっかり高校に営業活動しないと生き残れない」。本間重雄工学部長は危機感を募らす。
 東京水産大と東京商船大が統合した東京海洋大は、海洋電子機械工学科で十二人の定員割れが発生、四月に二次募集に追い込まれた。専門性の強い大学とはいえ、東京の国立大で起きた事態に、ある国立大学長は「油断するとああなる。他人事ではない」と漏らす。

 「全入時代」に突入する三年後。大学にもう一つの試練が待ち構える。
 「新司法試験の内容がいまだ分からず、学生はひどいプレッシャーで一種のパニック状態にある」。今春、全国で一斉に開校した法科大学院の一つ、島根大の山口龍之教授は指摘する。新司法試験は〇六年度に始まるが、これは法科大学院を二年間で卒業する法学部OBらが対象。第二の人生をかける元社会人も多い法学未修者は卒業まで三年かかるため、〇七年度こそ各校の「教育力」が試される天王山だ。その結果が翌年からの学生集めに影響し、その法科大学院が生き残れるかを左右する。

教員に任期制
 自助努力に期待して今春、国立大が法人化されてから四カ月。第三者機関による大学評価の発表も間もなく始まり、象牙の塔にこもってはいられない環境は整った。大学は優秀な教員の確保や研究の質向上に懸命だ。
 東京医科歯科大は「教授と助教授は五年」といった教員任期制の導入に踏み切った。
 本人の同意が前提だが、全体の九割が応じた。評価は厳しく、任期満了で対象者の二五~三〇%は更新されず地位を失う。もう悠然と構えてはいられない。鈴木章夫学長は「大学を活性化し、世界に伍(ご)すにはこのくらいしないと」と言い切る。 ただ、民間的な手法がどこまで大学になじむかは手探りが続く。
 「教授らに能力給を導入してはどうか」。三重大の経営協議会で学外委員を務める元ジャスコ副社長の谷口優氏は次々と改革案を提案した。だが大学側の答えは「検討させていただく」どまり。

民間流浸透せず
 「企業の論理を一〇〇%導入すると支障も出る」と慎重な豊田長康学長に、谷口氏は「国立大に観念的な危機感はあるが、行動レベルまで達していない」と手厳しい。
 大学の敷地内に留学生や学生向けのマンションを建てて半分を一般に賃貸、その家賃で建設費を賄う――国立大としては異例の構想を温める東京農工大は、法人化の旗振り役、文科省に待ったをかけられた。「こんな営利事業を認めたら何でもありになってしまう」「地の利の悪い地方国立大が不利になる」
 宮田清蔵学長は憤まんやるかたない。「文科省は『創意工夫を凝らす個性ある大学づくり』を求めながら、法人化後も裁量をなかなか認めようとはしない」

 四月の国立大法人化と法科大学院の誕生は、淘汰(とうた)の時代へのスタートラインにすぎなかった。「大学全入時代」まであと三年。そのころには勝ち負けがはっきりする。生き残りにあえぐ大学の姿を追う。


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2004年06月09日

大学病院も競争の時代、弘前大・兼子医学部長に聞く――企業並み効率運営必要

日経産業新聞(2004/06/09)

 今春の独立行政法人化で、国公立の大学病院が大きく変わろうとしている。弘前大学医学部は昨年春、国公立大で初めて医局を廃止。教授の任期制や評価制も導入し、他大学に先駆けて病院改革を進めている。兼子直医学部長は「民間企業のように、大学病院も淘汰(とうた)の時代が来る」という。同部長に改革の狙いや方向性を聞いた。
 ――弘前大は医局廃止に踏み切ったが、東北の一部地方では医師派遣が少なくなり、不満が上がっている。
 「これも改革の痛みだ。昨年春に医局を廃止。各教授単位で地方の病院に医師を派遣していた仕組みを改め、医師紹介の窓口を一本化、学部長の下に委員会を設けた。公正で客観的な立場から派遣の有無を判断、医師の希望も最大限尊重した。その結果、医師の派遣数は減った」
 ――このままでは過疎地の病院は存続が難しくなる。
 「大学病院も民間企業並みの効率的な事業運営が必要。小規模な自治体病院がある程度、統廃合されるのは仕方がないと思う。大半の自治体病院は赤字、医師も少なく、先端医療を担えない。赤字病院は以前のように黙認してはもらえない」
 「一方で交通事情の改善で通院圏内が広がっている。そこで私は、複数の病院を統合して各地域ごとに中核病院をつくるべきだと青森県知事にも提言している。大学病院を中心に病院をネットワーク化すれば、コスト効果も高く先端医療の充実、医療事故の抑制、人材育成にもなる。効果的な医師派遣のため秋田大や岩手医科大との連携を強化する。大学間の覇権争いの時代は終わった」
 ――他の改革も次々断行している。
 「全国の国立大学に先駆けて七、八年前から改革に取り組んでいる。当時は田舎の大学だと言うこともあり眠っているような教授も少なくなかった。このままではダメだと若手は強い危機感を持った」
 「教授の任期制や実績の評価制、公募制などを導入した。教授は十年任期とし、実績を基に研究費などの傾斜配分を実施。企業で言う成果主義の導入だ。採用も全国公募制に改め、同大出身は半数に減った。九州や私大出身の教授もいる。実際の手術もチェック、実力本位で採用を決める」
 ――なぜ国立の大学病院が企業並みの改革を進めるのか。
 「我々は(東大などの)旧帝大のように人材も資産もない。自前で競争力を高めなくては生き残れない。うちの医学部生の七―八割は東京など他の都道府県出身者で、そもそも人材が流出しやすい。今春スタートした新研修医制度でも募集枠四十七人に二十二人しか埋まらなかった」
 「今春からの独立行政法人化で五、六年後には民間企業のようにつぶれる大学病院だって出てくるだろう。法人化で収入の六割は自己負担となり、国からの補助金分も年々減額する。地方の大学病院が毎年増収を維持するのは大変だ」
 ――競争力強化の新たな対策は。
 「診療の質向上が第一だ。教授陣は充実してきたが、新たな人材の育成が不可欠。研修医の受け皿として総合診療部を創設、七月から稼働する。救急部も拡充し、研修医向けの宿舎もつくる。小粒でも、きらっと光る大学病院を目指す」
記者の目
自治体の反発乗り越えメス
 弘前大学医学部は、東北地方では東北大に次ぐ名門。その組織をまとめる兼子医学部長は気さくな人柄で、ひたすら病院改革に汗をかく毎日だ。
 改革は、学内や地元の反発を招く。医局廃止に伴う医師派遣の減少は、各自治体から強い反発を受けた。医局は様々な問題点が指摘されるが、地方の隅々に医師を送るシステムの元締でもある。このため、医局廃止の必要性を感じてもメスを入れられないケースがほとんどだ。雪国の大学病院改革に全国の目が集まっている。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年06月09日 12:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年05月31日

未熟さ残る大学教員任期制-再任審査、明確な基準を(先望鏡)

日本経済新聞(2004/05/31)

編集委員 西山彰彦
 欧米に倣い、大学教員の流動性を高めて優秀な人材の受け入れを促すため、「任期制」の導入をうたった法律が施行されて七年になる。大学の再編・法人化と歩調を合わせるように浸透しつつあるが、「制度的に未成熟なのでは」と考えさせられる訴訟の判決が今春、京都地裁であった。
 原告は京都大の研究所の元教授。任期満了で再任を申請し、業績を検討した外部の専門家による評価委員会から「再任可」とされたのに、教授会に当たる協議員会が再任を認めなかったのは恣意(しい)的――として、大学側などに処分の取り消しを求めていた。
 判決は「法律上、任期制教員に再任してもらう権利はない」として訴えを退けた。「協議員会の審査は適正だった」とした大学側に軍配を上げたが、「協議員会が評価委員会の決定を全面的に覆したのは極めて異例」とも言及しており、再任を認めなかった理由をつまびらかにしない大学側の姿勢に、裁判所が苦言を呈した感は否めない。
 元教授は判決を不服として控訴しており、大阪高裁で双方の論争が続くが、協議員会が本人にきちんと説明していれば、法的手段に訴えなくてもすんだのではないか。
 大学の教員はいったんポストに就くと、研究や教育に熱心でなくても定年まで職を奪われる心配がない。その割を食って、優秀な若手研究者がなかなかポストに就けない。任期制は、そんな問題を解消する狙いもある。二〇〇二年十月時点で国立大学の七割弱の六十五校が導入済みだ。
 「再任は可」としている部局が多いが、客観的な審査の基準を巡って頭を痛めているようだ。
 例えば、研究、教育、地域、貢献などのカテゴリーに分けたうえ、研究だと学術誌に掲載された論文や特許発明などの項目を細かく設定してその年間の件数を点数化させ、一定ラインをクリアしていれば、「再任」を認める――など方法はいくらでもあるだろう。ところが、基準の解釈が難しいのか、「一年以上協議しているものの、甘くするか厳しくするかで議論がまとまらない」(九州大学医学研究院)といった声も聞かれる。
 その九州大では四月の国立大学の独立法人化にあたり、教員の任期に関する規則の中に「再任の可否にかかわる教授会の審査結果に不服がある者は、教育研究評議会に申し立てを行うことができる」とする条項を盛り込んだ。大学としても恣意(しい)的な審査を排除していこうという新しい試みについて「別の運用上の問題が生じる恐れもあるが、大きな進歩」と法律関係者は評価する。
 任期制の教員から再任審査があった場合に、公正かつ適正な評価がなされなければ、学問の自由や大学の自治に関する趣旨が根底から損なわれかねない。大学側は待ったなしの対応が迫られている。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年05月31日 11:58 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年05月12日

「スター教授」世界から、東北大が新人事制度――学部に属さず、学長並み報酬

日本経済新聞(2004/05/12)

研究環境も整備
 東北大学は今夏にもノーベル賞級の研究者を世界中から招へいするための新人事制度を設ける。五人で一億円をめどに報酬を優遇し研究環境も重点整備。学部や研究科に属さず研究に専念する条件で短期契約を結ぶ。大学間競争は今後も激化が確実とみて来週までに文部科学省に提出する六年間の中期計画にも成果主義の拡充を盛り込んだ。
 新たに採用する予定の「ユニバーシティプロフェッサー」は学部や研究科に所属せず特別講義や講演以外の日常的な授業は免除する。約二千二百五十万円ある学長並みの報酬と充実した研究環境をセットにして研究者を呼び込み「全学一体となった研究開発とPRに貢献してもらう」(北村幸久副学長)狙い。早ければ二〇〇五年度当初から採用する方針だ。
 外部の専門家も交えて設けた「人事戦略企画室」が十日から制度整備の具体的な協議に入った。研究者との契約は一年契約が基本だが、より短い要望にも柔軟に対応。大学の広告塔ともなるスター教授を国内外から採用する。多くの有力研究者を抱える工学系だけでなく文系も対象に幅広い分野で人材を探す。
 三月までは国家公務員の給料表に基づいて報酬を支払っていたため「スター教授の優遇には事実上限界があった」(企画調整課)。四月から先進医工学研究機構で初めて導入した年俸制に続き、これまで以上に実績を重視した報酬体系の構築を進めて大学全体の競争力を引き上げる。
 十一日明らかになった二〇〇四年度から六年間の中期計画で東北大は研究成果の客観評価による資金の傾斜配分や給与への評価反映などを中心に据えた。四月の国立大学法人化で高まった大学間競争の機運は有望な研究者の囲い込みを軸に今後も過熱しそうだ。
【表】東北大の中期計画の主な項目(04年度から6年間)  
教職員の人事、評価など  ○性別、国籍、出身校を問わず優れた研究教育者を採用○教員公募の制度化、任期制教員の拡大○年俸制の積極的な導入、管理運営業務への負担軽減○研究情報データベースを利用し成果を評価、公表○教育、研究成果を給与に反映○研究基盤経費は透明性のあるルールに基づき傾斜配分
教育水準の向上  ○06年度目標に、ティーチングアシスタント(TA)制度○06年度目標に、TOEFLやTOEICで単位認定○卒業生の15%程度を対象に、就職先企業への調査を実施


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年05月12日 12:09 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年04月22日

静岡県立大、新薬開発へ研究拠点、創薬探索センター 県や医療機関と連携

日経産業新聞(2004/04/22)

 静岡県立大学(静岡市)は新薬開発の研究拠点「創薬探索センター」を設立、五月上旬から本格稼働する。静岡県の「ファルマバレー構想」の一環で、県や医療機関、製薬会社などと連携する。十年後をメドに静岡県発の新薬を誕生させたい考え。
 創薬探索センターには県が三年間、総額一億七千万円程度の予算を配分するが、新薬を早期開発し自前で研究費を稼げる体制を築く。「県立大学という特性を生かし、民間では研究が難しい分野の新薬開発も進める」(辻邦郎薬学部長)。大学発ベンチャーを設立し、製薬会社などからの出資や技術支援などを仰ぎながら、新薬の自社販売につなげる構想もある。
 教授と助教授、講師、助手の四人体制で、今年度から大学院修士課程の募集を始める。学生を含め二十人程度の研究体制となる。教授と助教授は正規職員で、講師と助手には最長十年、再任なしの任期制を導入する。
 まず大学教授や病院関係者などで組織したアドバイザリーボードを開き、センターの研究方針を確定する。第一回会合は五月上旬に開く予定。
 その後、製薬会社など外部の専門家を加えた「目利き委員会」から研究方法の具体的な助言を受けながら、創薬研究を進める。創薬探索センターでは五年程度をかけ、新薬候補を臨床試験前の段階まで進める計画だ。
 臨床試験は大学単独では難しいため、製薬会社と共同研究を進める見通し。県内十六医療機関、九千床の治験ネットワークなどを活用し、五年程度で新薬候補を試験し、新薬発売につなげる。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年04月22日 11:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年04月17日

国立大学法人が発足、研究を核に社会と連携――東京大学名誉教授生駒俊明氏(教育)

日本経済新聞(2004/04/17)

意思決定や個性課題
本質に返った組織作りを

 国立大学法人が今月発足した。その課題や今後の大学改革のあり方などを、生駒俊明・東京大学名誉教授(元日本テキサス・インスツルメンツ会長)に寄稿してもらった。
 国立大学法人は「役員会」を置き、「教育研究評議会」と「経営協議会」を並立させ、すべての長を学長兼理事長が務めるワンマン組織である。各種規則も新たに制定し、学長のリーダーシップが発揮できる組織に作り替えた。
 法人化の動きは、公務員定員の削減、国家の財政負担の軽減から始まったものだが、大学改革の大きな流れの中で実現に至ったと考えるべきである。大学改革は教育研究の質の改善、大学の個性化、予算の重点配分、効率的な大学運営、産官学連携の推進など様々な側面を持っている。特に、産学連携は大学に技術移転を求め、大学発ベンチャーを千社作る運動にまで発展した。
改革推進に危ぐ
 筆者は法人化後の大学を熟知しているわけではないが、それでも以下の様な危ぐの念がわく。
 一 組織を完ぺきに作ろうとするあまり、意思決定のメカニズムが複雑になり、決定までに時間がかかり過ぎないか? 学長が決定権を持っているが、長年組織としての連帯感のない大学で学長が決めても本当に実行が可能か? 学長が決定する際、何を基準に決めるのか。大学は学部、学科間の利害関係を調整するメカニズムが働かない組織だ。学内だけで決められるのか?
 二 法人化後は、文部科学省から距離をおき個性輝く大学作りが可能であるにもかかわらず、文科省を向いた人事が行われている。「魚心に水心」で両者の利害が一致しているからだ。文科省のコントロールが強く残り、個性化が進まない懸念がある。大学は自分で考えて特色ある大学作りをすべきである。
 三 民間的な発想を取り入れ効率的な運営を図るために、経営協議会に外部の有識者を入れるのはよいが、社会の声を取り入れた教育改革こそ焦眉(しょうび)の急である。教育研究評議会が旧態依然として各学部長(研究科長)からなる大組織であれば、どうやって教育改革ができるのか疑問だ。教育改革を推進する仕組みが必要だ。
 四 産学連携が叫ばれているが、これで利益を得、国の財政負担を減らそうという考えは間違っている。産学連携で得た利益は産学連携の推進に使われるべきだ。国は国策として先進国並みの高等教育費を負担すべきである。大学は財政基盤を、質の高い教育と研究を行い多くの受験生がその大学に入りたがり、産業界が卒業生を欲しがる状況を作ることに求めるべきである。企業で言えばブランド経営である。長期的には市場原理が働くが、

大学経営は市場原理だけでは動かない。
大衆化に対応
 こういう状況のもと、大学は自らの本質に立ち戻った大学作りを行うべきである。
 大学の使命は学術の創造(研究)、伝承(教育)、普及(社会貢献)である。極めて優秀な頭脳集団がそれぞれ自分の価値観に基づいて研究教育を行い、結果を社会還元する場が大学なのだ。
 社会は長年の経験からそういう機能を持つ組織の必要性を認め、それを大学に負託してきた。したがって過去に大学が社会から距離をおき「象牙の塔」と呼ばれたことも、社会からの干渉を排除するために意味があった。
 だが近代では学術が社会に役立つようになり、大学の大衆化が進んできたために、大学がその負託に応えるために新たな考え方で組織を作り直す必要が生じた。かといって大学の本質を見失った組織や運営は、長期的に大学を駄目にする。
 大学の本質は優秀な頭脳集団を持つことと、外部からの干渉を排除して研究教育が行えることであり、結果を社会に還元し、社会の負託に応えることである。そのための大学組織として、優秀な頭脳集団が自分の価値観に基づいて教育研究を行える組織をコアとし、周りに社会との連携を図る組織(シェル)を配する「ゴルフボールモデル」を提唱したい。

有能な教員重要
 コアには、その能力と実績を厳密に精査されたテニア(終身)教員を配し、自由に教育研究を行う。ここは学術を発展させる研究教育を進める、大学の芯(しん)である。
 シェルの部分で一番大事なのは学生の採用と就職。今までは入試を行い、入学を許可する立場だったが、今後は自学の教育方針に合った学生を積極的に採用しなければやっていけない。就職も大きな社会連携の機能である。求められる学生像をコア組織にフィードバックし、カリキュラムを変更させる役割や、インターン制度などを通じて学生に社会を知る機会を与えるといった機能を持たせる。企業でいえばマーケティング機能だ。
 研究面でのシェルの部分は産学連携で、共同研究の窓口、技術移転、知的財産の管理、ベンチャーの育成などを行う。シェルの組織には、多くの任期制の人材を配して受託研究を行う。特任教授、研究教授などの制度も活用し、教員はコアとシェルを兼務できる。
 こうしたモデルが機能するには、テニアの厳格な審査とコア教員の高い能力、高いモラール、そして情熱が常に維持されなければならない。過去の大きな問題は、テニア教授の中に無能な人物が少なからずいたことにある。歴史をくり返さない仕組みが重要である。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年04月17日 11:36 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年03月18日

北見工大、全教員に任期制 一律5年、法人化にらむ

日本経済新聞(2004/03/18)

 北見工業大学(北海道北見市、常本秀幸学長)は、四月からすべての教員に任期制を導入する方針を十八日までに決めた。文部科学省によると、任期制を一部で導入している大学はあるが、全教員を対象とするのは異例。独立行政法人化で、優れた教員を確保するのが狙い。
 大学によると、任期は採用後、教授から助手まで一律五年間。教授と助教授は五年ごとに再任するかどうかを審査。講師、助手は三年後に審査するが、再任は一回までで、二回目で昇進できなければ、原則退職という厳しい内容となっている。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年03月18日 11:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年02月21日

東大病院が改革案、教授以外も診療科長に、法人化、見直し促す

日本経済新聞(2004/02/21)

 大学病院の中でも保守的で、患者より研究に軸足を置いているともいわれてきた東京大学医学部付属病院(東京・文京、永井良三院長)が、変化の兆しを見せている。これまで各科のトップである診療科長は東大医学部の教授が独占してきたが、今後は教授の肩書を持たない医師でも患者を診る能力が優れていれば診療科長になれることなどを盛り込んだ病院改革案を、このほどまとめた。
 四月に迫った国立大学の法人化を前に、旧弊を断ち、病院の競争力を高めるのが狙い。
 東大病院には循環器内科や呼吸器外科など三十以上の科があるが、各科の診療科長は一部例外を除き、すべて医学部の教授が務めている。
 ただ、医学部の教授がほぼ自動的に診療科長を兼務する従来の体制では、人事権や診療方針を含め教授に権限が集中する傾向があり、「個々の診療科の力が強くなりすぎて、医療安全や経営面などで病院としての方針を徹底させるのが難しい」(永井院長)という弊害も指摘されてきた。
 このため東大病院では四月から、教授という肩書にとらわれず、講師や助手でも診療科長に抜擢(ばってき)できるよう人事規則を変更。さらに診療科長ポストに、原則一年の任期制の導入を決めた。再任は可能だが、「医療事故を繰り返したり、科の運営が病院の方針と大きく異なる場合は、交代してもらうことができる」(永井院長)。
 東大病院が改革を急ぐのは、これまでどんぶり勘定で国費による補てんを受けていた国立大学が法人化されれば、病院のコスト削減や増収など、いや応なく効率的な経営を迫られるため。
 改革の成果はすぐには見えにくそうだが、研究のみを重視して教授になった医師でも当然のように診療科長になる慣行が見直されるだけでも、患者への恩恵は小さくないといえそうだ。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年02月21日 11:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2003年07月21日

第2部流動する頭脳(4)問われる教官評価――身内への甘さ、命取りに(大学革新)

日本経済新聞(2003/07/21)

 本格的な大学間競争時代に突入し、優秀な研究者をどう確保するかが、各大学の腕の見せどころとなる。教官の任期制など人材の流動化策を、教官への厳正な評価とともに実施する体制が問われることになる。
 教授の報酬は一律千百万円。ただし年一回の評価で五十万円ずつ増減します――。六年前「公設民営」型で開学した高知工科大学は、十六日の理事会で全教官を対象に年俸・任期制導入を決めた。各教官の合意を取り付けたうえで新制度への移行を目指す。
 年齢でなく実力で金額が変動する年俸制は大学の人事制度としては珍しい。岡村甫学長は「二年前に始まった独自の教員評価システムがあったから実現できた」という。
 同大の教官は毎年三月上旬に「成績表」を受け取る。一年間の授業評価や研究業績を「教育」「研究」「(産学連携などの)社会貢献」の三分野、約十五項目別に独自の計算式に当てはめ数値化したものだ。例えば一教科百人を相手に一年間講義し学生から平均的な評価をもらうと八十点、欧米有力誌に論文一本載ると百五十点、特許を取ると百点となっている。
 昨年の全教官の平均点は九百六十四点。三百点台から千六百点までの幅があった。年俸制に切り替わればこの評価が収入にはね返る。同時に任期制も導入、教授といえども昇格後五年間の任期中平均千百点を維持しないと定年まで勤める権利が得られない。
 「大学から見ると、評価は教官との約束ごとがどの程度実行できているかを判断するためにある」と岡村学長は話す。新制度だと若手でも実力があれば収入が増える。歴史の浅い大学には人材確保の武器にもなる。
 岐阜薬科大学は一九九八年度、教授以下約四十人の全教官対象に一律五年の任期制を導入した。今年三月、初の審査で助教授と講師各一人を再任しないと決めた。外部評価委員会が大学側の提出した資料をもとに「研究職を継続することは難しい」と判断した。
 この二人の教官は、教授会の協議で語学や基礎科学など教育専門の講師として処遇する。永井博弌学長は「評価の目的はふるい落とすことではない。教官のやる気を引き出し、大学の活性化につなげたい」と言う。
 人材流動化で導入する大学が増える任期制だが、高知工科大や岐阜薬科大のように評価を厳格に適用する例は少ない。「教官の将来を考えると、結局、全員再任となる」(ある国立大学長)というところがまだ多い。
 文部科学省が実施した二〇〇二年度研究活動の実態調査で研究者らに任期制の問題点を聞いたところ、四人に一人が「公正でオープンな評価が行われていない」と回答した。評価の妥当性確保は大きな課題だ。
 個々の教官でなく大学自体も、評価の波にさらされる。国立大は来年四月の法人化で六年間の中期目標・計画をベースに国の評価を受けることになった。結果次第で、国からの予算が増減する。大学の質を高め「点数」を上げるためには、身内への手ぬるい評価は命取りにもなりかねない。
 お茶の水女子大学は今年三月に大学評価・学位授与機構が実施した評価で、産学連携など「社会との連携」の項目で五段階で下から二番目のランクだった。本田和子学長は「モノ作りに貢献しないと大学の役割を果たしていないというのか」と不満を隠さない。
 産学連携の機運の中で、産業界との協力を推進する大学への評価が高まる傾向がある。基礎研究への強みなど大学の多様性を生かしつつ、どう学内を活性化するか。各大学の模索が始まった。


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第2部流動する頭脳(4)問われる教官評価――身内への甘さ、命取りに(大学革新)

日本経済新聞(2003/07/21)

 本格的な大学間競争時代に突入し、優秀な研究者をどう確保するかが、各大学の腕の見せどころとなる。教官の任期制など人材の流動化策を、教官への厳正な評価とともに実施する体制が問われることになる。
 教授の報酬は一律千百万円。ただし年一回の評価で五十万円ずつ増減します――。六年前「公設民営」型で開学した高知工科大学は、十六日の理事会で全教官を対象に年俸・任期制導入を決めた。各教官の合意を取り付けたうえで新制度への移行を目指す。
 年齢でなく実力で金額が変動する年俸制は大学の人事制度としては珍しい。岡村甫学長は「二年前に始まった独自の教員評価システムがあったから実現できた」という。
 同大の教官は毎年三月上旬に「成績表」を受け取る。一年間の授業評価や研究業績を「教育」「研究」「(産学連携などの)社会貢献」の三分野、約十五項目別に独自の計算式に当てはめ数値化したものだ。例えば一教科百人を相手に一年間講義し学生から平均的な評価をもらうと八十点、欧米有力誌に論文一本載ると百五十点、特許を取ると百点となっている。
 昨年の全教官の平均点は九百六十四点。三百点台から千六百点までの幅があった。年俸制に切り替わればこの評価が収入にはね返る。同時に任期制も導入、教授といえども昇格後五年間の任期中平均千百点を維持しないと定年まで勤める権利が得られない。
 「大学から見ると、評価は教官との約束ごとがどの程度実行できているかを判断するためにある」と岡村学長は話す。新制度だと若手でも実力があれば収入が増える。歴史の浅い大学には人材確保の武器にもなる。

 岐阜薬科大学は一九九八年度、教授以下約四十人の全教官対象に一律五年の任期制を導入した。今年三月、初の審査で助教授と講師各一人を再任しないと決めた。外部評価委員会が大学側の提出した資料をもとに「研究職を継続することは難しい」と判断した。
 この二人の教官は、教授会の協議で語学や基礎科学など教育専門の講師として処遇する。永井博弌学長は「評価の目的はふるい落とすことではない。教官のやる気を引き出し、大学の活性化につなげたい」と言う。
 人材流動化で導入する大学が増える任期制だが、高知工科大や岐阜薬科大のように評価を厳格に適用する例は少ない。「教官の将来を考えると、結局、全員再任となる」(ある国立大学長)というところがまだ多い。
 文部科学省が実施した二〇〇二年度研究活動の実態調査で研究者らに任期制の問題点を聞いたところ、四人に一人が「公正でオープンな評価が行われていない」と回答した。評価の妥当性確保は大きな課題だ。
 個々の教官でなく大学自体も、評価の波にさらされる。国立大は来年四月の法人化で六年間の中期目標・計画をベースに国の評価を受けることになった。結果次第で、国からの予算が増減する。大学の質を高め「点数」を上げるためには、身内への手ぬるい評価は命取りにもなりかねない。
 お茶の水女子大学は今年三月に大学評価・学位授与機構が実施した評価で、産学連携など「社会との連携」の項目で五段階で下から二番目のランクだった。本田和子学長は「モノ作りに貢献しないと大学の役割を果たしていないというのか」と不満を隠さない。
 産学連携の機運の中で、産業界との協力を推進する大学への評価が高まる傾向がある。基礎研究への強みなど大学の多様性を生かしつつ、どう学内を活性化するか。各大学の模索が始まった。


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2003年06月30日

第2部流動する頭脳(2)生え抜き主義に決別――教員、実力重視で選抜(大学革新)

日本経済新聞(2003/06/30)

 JR九州小倉駅から電車とタクシーで四十分の北九州学術研究都市。早稲田大学が大学院、情報生産システム研究科を四月に開校した。教員を早大出身者で固める生え抜き主義と決別。「入学式で校歌の『都の西北』を歌えない人が大勢いた」と同研究科委員長の秋月影雄教授は話す。
 招へいした三十人の教授らはNTT、シャープなど企業出身者が約半数。中国人や韓国人も加わる。学生も三分の一は韓国、中国などから来た。アジアの生産技術研究拠点にするという。
 ニューロコンピューターが専門で中国から日本に帰化した古月敬之・助教授は「北九州は有力企業も多い。産学連携で理論と実践を極めたい」と意欲的だ。
 同研究科の設立を決めたのは改革を掲げて一九九四年から八年間総長を務めた奥島孝康教授。当時、新たな教授は主に内部から誕生。「教育も研究もぬるま湯だった」。改革を進め専任教員のうち非早大出身者の割合は三〇%弱から四〇%まで増加。研究科設立は改革の総仕上げの一つだ。
 早大より先に改革を始めた慶応義塾大学は専任教員に占める外部出身者が四七%。九〇年代にインターネット教育などに先べんをつけた。安西祐一郎塾長は早大の改革について「今後成果が出てくる」とみる。
 生え抜き主義の打破、人材流動性の確保は有力国立大でも求められている。九州大学は四月、工学系の大学院、学部を中心に教員任期制を導入した。来年四月の法人化を控え、村上敬宣大学院工学研究院長は「特徴を出さないと予算すら確保できなくなる」と語る。研究・教育の活性化には任期制に基づく評価が不可欠だ。
 しかし現実は厳しい。東京工業大学は来年四月から、教授への任用の要件として一定期間の学外経験を求めるが、教授候補の助教授らが「国内は雇用の流動性が乏しい」と反発するのを恐れ、対象を助手に限った。
 学内の抵抗を受けるのは東京大学も同じ。三日に東大先端科学技術研究センターが開いた大学改革に関するシンポジウム。東大幹部が「先端研は出島」などとあいさつ。その後に講演した先端研のトップ、南谷崇教授が「出島や特区ではない」とかみついた。先端研は任期制や産学連携を進めている。南谷教授は幹部のあいさつに「先端研以外を巻き込むな」との意識を感じた。
 先端研は東大が実施した定年延長を「若手の芽をつむ」と反対してきた。任期制や定年延長の導入で、佐々木毅学長は「多様な雇用形態を実現している」というが、定年延長の背景には現役教授陣の「保身」という本音が透けて見える。
 尾身幸次・前科学技術担当相は「生え抜き主義では競争が働かなくなる」と語る。大学が技術革新の推進役を担うには時間がかかりそうだ。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2003年06月30日 17:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2003年04月14日

九州大の理工系教官、半数強を任期制に

日本経済新聞(2003/04/14)

 九州大学は四月から理工系の研究院(大学院研究科に相当)で教官の半数強に任期制を導入した。各研究院とも助手から教授までの全職種が対象で、文科系を含む全教官二千二百七十三人のうち四割強が任期制になった。これだけ広範囲で任期制を導入するのは全国の大学で初の試みという。
 任期制を導入したのは医学、薬学、工学、農学の四研究院と先導物質化学研究所。任期は研究院では五年、先導物質科学研は六年。教官の研究・教育能力などを教官自身や外部の評価をもとに大学が審査し、再任の可否を決める。
 任期制とするかどうかは教官本人の同意が必要だが、対象となった組織でおよそ八割の教官が同意したという。梶山千里学長は「教官の意識を改革してもらうのが狙い」と話している。
 大学教官の任期制は一九九七年以降、導入が進み、文部科学省の調査では国立では五十五大学が導入している。ただ学部全体での導入例は医学部などに限られる。導入時点で現職の教官は対象外となる例も多かった。
 九大は二〇〇〇年度に大学院の研究・教育組織である研究科を教育組織の「学府」と研究組織の「研究院」に分離した。任期制はこれまで生体防御医学研究所など三研究所にとどまっていた。

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2003年04月01日

愛媛大が拠点開設、たんぱく質研究員4倍に、民間の人材招へい

日本経済新聞地方経済面(2003/04/01)

 愛媛大学はたんぱく質関連の研究拠点、「無細胞生命科学工学研究センター」を一日に開設する。二〇〇四年三月までに人員をこれまでの四倍に拡大、百人体制でたんぱく質関連の研究を促進する。常任教授への招へいなど民間からも人材を本格的に受け入れ、産学共同研究に力を注ぐ。機能解析や応用研究をするたんぱく質関連の大学研究拠点としては国内最大級となる。
 遺伝子情報を基に生物内で様々な働きをする、たんぱく質の機能解析や特定機能を持つたんぱく質の特定は創薬や新素材開発のカギを握る。たんぱく質の機能解析などには多種多様なたんぱく質の合成が不可欠。愛媛大は遠藤弥重太教授が開発した小麦のはい芽を用いた大量合成技術を武器に、応用研究を進める。
 たんぱく質関連の研究員はこれまで、工学部の遠藤研究室に所属する教官、大学院生らを含め総勢で二十五人程度だったが、センター開設に伴い大幅に増員する。教授四人をはじめ常勤教官は倍増の十人。企業や内外の研究機関からの共同研究員を三十人以上にするなどで博士課程修了の研究者、院生も合わせて来春には百人体制にする。
 ノーベル賞受賞の田中耕一氏を客員教授に招くほか、三菱化学生命科学研究所の前主任研究員、戸沢譲氏を一日付で常任教授として招へい、三菱化学や島津製作所からも研究員を受け入れる。遠藤教授の特許を管理、活用する目的で設立されたセルフリーサイエンス(横浜市)も研究員を派遣、研究にあたる。
 院生以外の研究員には任期制を採用し、成果主義を徹底する。第三者も参加する全学的な委員会を設け、任期の更新の可否を判断する。

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2003年03月01日

都、公募職員を来月採用――病院や研究所、専門の人材確保

日本経済新聞地方経済面(2003/03/01)

 東京都は二〇〇三年度から職員採用を多様化する。外部公募した課長級の医事担当職員一人を四月に採用する。都立産業技術研究所も同月、任期三年の研究員三人を公募で採用する。行政サービスの多様化や事務の高度化が進み、技術の進展も加速している。採用方式の見直しにより、専門知識や経験が豊富な人材や、大学など科学技術の先端にいる研究者を採用しやくする。
 都は都立病院などで事務などに携わる「医事」職の課長級幹部職員を公募し、一人の採用を二十七日の人事委員会で正式決定した。四月から都の職員共済組合の病院で診療報酬請求事務の指導・監督などに当たる。
 医事事務は専門性が高く、「専門知識を持った課長級幹部を庁内で探すのは難しい」(総務局人事課)と判断した。医療関係誌や一般の就職情報誌で、民間病院などで医事事務に十年以上携わった経験のある中高年者を募ったところ、二十人の応募があり、論文試験や面接で選考した。
 幹部職員の外部公募は二〇〇一年度から制度化したが、これまで採用実績はなかった。
 都立産業技術研究所は任期三年の研究員を二月末まで募集した。「複合表面処理によるコーティング技術の開発」「組み込み技術を利用した分散制御システムの開発」など三つの研究テーマを提示。大学などで当該分野を研究する若手研究者を各テーマで一人ずつ計三人採用する。書類選考と口述試験などで選考し、三月下旬に採用者を最終決定する。
 任用機関は二〇〇三年四月一日から二〇〇五年三月末まで。
 同研究所は「技術は日進月歩で変化する中、限られた期間で成果を上げなければならない。新規採用だと育成に時間がかかって対応できない」(技術企画部)と、任期制導入の理由を説明している。
 都は任期制職員を今年から制度化した。公金の管理・運用に携わる職員として公認会計士や金融専門家、行政のIT化を促進するためシステムエンジニアを、それぞれ任期制で採用することも検討している。


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2003年01月31日

国立大経営に外部の声、「第三者評価」など導入、法人化法案概要固まる

日本経済新聞北海道(2003/01/31)

 文部科学省は三十日、二〇〇四年四月から国立大学を法人化するための国立大学法人化法案など関連六法案の概要を固めた。百七十一機関を九十七法人に再編統合、国立大学法人の経営審議機関として「経営協議会」を新設して過半数の学外委員を置くことや、「第三者評価制度」導入などが柱。産学連携強化をにらんで、研究成果活用のため技術移転機関(TLO)への出資規定を盛り込むことも検討している。
 文科省は二月下旬にも関連法案を国会に提出、法人化を目指す。
 六法案は国立大のほか関連機関の法人化などを規定。骨子によると、現行の国立九十九大学を八十九法人に、国立歴史民俗博物館など十五の大学共同利用機関は四法人に統合、その他の機関も大幅に整理する。現状では公務員である教職員の身分は「非公務員型」とし、各法人で任期制などを検討する。
国立大学法人化法案(仮称)の骨子
▽役員会を新設、意思決定の迅速化図る
▽経営面を担う経営協議会を設け、過半数は学外委員を招く
▽教育研究面は評議会で担当
▽学長任期は「2年以上6年を超えない範囲内」で各国立大学法人が定める
▽学長には役員会理事の、文科相には学長の解任権を与える
▽第三者評価を義務づけ、結果を運営費交付金に反映
▽研究成果の活用のため技術移転機関(TLO)などへの出資規定を設けることを検討


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2003年01月30日

法人化法案、国立大経営に学外の声――協議会、過半数外部から

日本経済新聞(2003/01/30)

改革加速へ第三者評価
産学連携へ、出資規定も
 文部科学省は三十日、二〇〇四年四月から国立大学を法人化するための国立大学法人化法案など関連六法案の概要を固めた。百七十一機関を九十七法人に再編統合、国立大学法人の経営審議機関として「経営協議会」を新設して過半数の学外委員を置くことや、「第三者評価制度」導入などが柱。産学連携強化をにらみ、研究成果活用のため技術移転機関(TLO)への出資規定を盛り込むことも検討している。(関連記事を社会面に)
 文科省は二月下旬にも関連法案を国会に提出、予定通りの法人化を目指す。
 六法案は国立大のほか関連機関の法人化などを規定。骨子によると、現行の国立九十九大学を八十九法人に、国立歴史民俗博物館など十五の大学共同利用機関は四法人に統合、その他の機関も大幅に整理する。現状では公務員である教職員の身分は「非公務員型」とし、各法人で任期制などを検討する。
 国立大学法人は教育面と経営面をそれぞれ「評議会」と「経営協議会」に委ねる。経営協議会には過半数の学外委員を置き“象牙の塔”からの脱却を図る。
 企業型のトップダウン統治を取り入れるため、上位機関として「役員会」を置き、学長、理事、監事が役員として重要事項の議決に当たる。教育、学術担当役員に加え、学外有識者や専門家を学外役員として招く。
 学長選考は経営面を担う経営協議会の学外委員代表と、教育面を担う学内教員組織の評議会から同数の代表者を出す「学長選考会議」が当たる。
 学長任期は「二年以上六年を超えない範囲内」で、各法人が定める。学長は職務上の義務違反や業績悪化を理由に役員会の理事を解任できる。
 国立大学法人の業務内容規定には、従来の国立大では認めていなかった出資規定設置を盛り込むことも検討。地方大学が共同して研究成果を活用できるようTLOを出資対象とすることを念頭に置いている。
 産学連携は、現行では個々の教員が企業側と共同で研究開発を進めるのが原則。TLOを出資対象とすることで大学本体が産学連携に対応、研究成果を社会還元する仕組みが可能になる。さらに新法人としての収益確保にもつなげる考えだ。
 第三者評価制度も導入し、文科相は六年間を期間として教育研究の質の向上や業務運営の改善、財務内容改善などの中期目標を定める。各法人は中期目標に沿って中期計画を作成、文科相の認可を受ける。
<国立大学法人化法案(仮称)の骨子>
▽役員会を新設、意思決定の迅速化図る
▽経営面を担う経営協議会を設け、過半数は学外委員を招く
▽教育研究面は評議会で担当
▽学長任期は「2年以上6年を超えない範囲内」で各国立大学法人が定める
▽学長には役員会理事の、文科相には学長の解任権を与える
▽第三者評価を義務づけ、結果を運営費交付金に反映
▽研究成果の活用のため技術移転機関(TLO)などへの出資規定を設けることを検討

Posted by 管理者 : 掲載日時 2003年01月30日 17:44 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2002年11月22日

任期制職員を採用、都、来年から-外部の人材確保

日本経済新聞(2002/11/22)

 東京都は雇用期間を限った任期制の職員採用制度を来年から導入する。行政の情報技術(IT)化や会計処理の高度化などに対応し、豊富な知識・経験を持つ外部の専門家を柔軟に採用する狙い。最高で局長級の年収を保証し、優秀な人材の確保につなげる。関連条例案を十二月の定例都議会に提案し、来年一月の施行を目指す。
 任期制職員は一般職員と都立の試験研究機関のの研究員で導入する。まず来年四月、一般職、研究員合わせて十人近くを採用したい考えだ。
 一般職の任期は五年以内。都は「最高で局長級の年収になる」(総務局人事課)としており、給与月額は約八十五万円、年収は千六百万円程度になるとみられる。
 都は将来、一般会計などに企業会計方式を導入する。ペイオフ(預金などの払い戻し保証額を元本一千万円とその利息までとする措置)に伴い公金の管理・運用も難しくなっており、任期制で公認会計士や金融専門家などを採用したい考え。行政事務をIT化する「電子自治体」も推進中で、システムエンジニアの採用も考えている。
 研究員は大学院博士課程修了者を主な対象とする「若手型」(任期三年以内)と、優れた業績を持つ「招へい型」(同五年以内)の二本立てとする計画。
 従来の地方公務員制度は終身雇用が前提で、非常勤職員制度は期間は一年以内とされており、専門知識を持つ人材を柔軟に採用することは難しかった。地方公務員法の特例法により、研究員は二〇〇〇年に、一般職は二〇〇二年に任期制採用が制度化されたのを受け、都は準備を進めていた。

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2002年04月18日

高知大と高知医大、来秋統合を正式決定、合意書調印-2004年から新入生

日本経済新聞(2002/04/18)

 高知大学(高知市、山本晋平学長)と高知医科大学(高知県南国市、池田久男学長)は二〇〇三年十月に統合し、新大学を設立することを正式決定した。十七日に高知市内で統合合意書に調印した=写真。それぞれの人文、教育、理、農、医学部を継承する五学部と六研究科からなる大学院を設置し、二〇〇四年四月から新入生を受け入れる。
 統合の目玉として、両学長は高知らしさを特徴づける「大学院黒潮圏海洋科学研究科」と医学部以外の理系学部や文系学生を対象にした「大学院医学系研究科修士課程」の新設を強調した。新大学名や学長選出方法などは両大の教授らで構成する統合協議会で話し合う。教官人事は全学的な定員管理の仕組みを作るとともに、任期制を導入する方向で検討する。
 両学長は十八日、文部科学省に出向き、統合合意を報告する。共同会見で高知医大の池田学長は「建物に例えれば、ようやく設計図を引き終わった段階。設計図には満足しており、これから新大学の実際の建設に入っていく」と感想を述べた。高知大の山本学長は「何事も土台作りが肝心。今後は焦点を絞った議論ができる。一期生が卒業する時点で新大学の評価が出ると思う」と話した。

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2002年03月27日

富山の国立3大学、統合協議へ合意書調印、基本理念など確認

日本経済新聞(2002/03/27)

 富山大学(滝沢弘学長)、富山医科薬科大学(高久晃学長)、高岡短期大学(蝋山昌一学長)の富山県内の国立三大学の学長は二十六日、再編統合を推進するとした合意書と基本的確認事項に調印した。二〇〇三年十月の統合を目指し、正式に協議を始める。
 調印式は同日午前、富山医薬大で開かれた。調印後、同大の高久学長は「納税者、県民に満足いただけ、国際的にも羽ばたける大学を考えていく」と述べた。
 基本的確認事項は基本理念、教育研究で重視すべき項目、管理運営体制の三つで構成。基本理念には地域と国際社会への貢献などを掲げた。教育研究では生命科学を中心とした国際水準の大学院の新設や時代・社会の要請に応える学部・大学院の編成、地域産業との連携などを挙げた。
 管理運営では教員に対する評価を重んじるとし、評価に応じた人的、物的資源の配分、任期制の採用など六項目を盛り込んだ。
 これらの確認事項に基づき、三大学は四月から具体的な協議に入る。

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2002年01月28日

「知の拠点」へ大学再編-武者修業が活力生む

日本経済新聞(2002/01/28)

 研究者はいくつもの研究所を渡り歩いて武者修行しなければならない――。昨年のノーベル化学賞に輝いた野依良治名古屋大学教授の研究室にはこんなルールがある。卒業生は大学に残って助手にならず他の大学や研究機関に出す。野依教授の後継者である北村雅人教授は理学部でなく農学部(農芸化学)の出身だ。
 野依教授が所属する理学部は内部昇格者が非常に少ない。助手を含めて約百八十人いる教官のうち名大で博士号を取ったのは三分の一ほど。化学系の物質理学専攻などは「意識して外部から人材を獲得している」(篠原久典教授)という。
 硬直的な人事制度が、大学と社会との溝を大きくする温床ともいわれる。研究者の流動化は大学が競争力ある研究機関に変ぼうしていくための課題だ。
 文部科学省によると、国立大で教官の任期制を採用しているのは五十五大学、千六百六十六人(二〇〇一年八月一日現在)。任期制を認める特例法ができた当初の三年前と比べ、大学数で約四倍、人数では約二十三倍にもなった。
 ただ、学部や研究所の判断で一部にだけ導入している大学が大半。国立大教員全体の三%にも満たない。北陸先端科学技術大学院大学は三研究科すべてで実施しているが、こうしたケースはまだ珍しい。
 昨年暮れに総合科学技術会議がまとめた「研究者の流動性向上に関する基本的指針」では、任期付き研究者に対し研究費の充実など待遇改善が必要だと提案している。

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2002年01月11日

名大改革駆け出す英知(4)眠る資産企業に売り込め(新天地を拓く)

日本経済新聞(2002/01/11)

 柔軟な人事で競争力
 この四月、名古屋大学東山キャンパスに国立大学では珍しい企業インキュベーション(ふ化)施設が誕生する。産学でベンチャー企業を立ち上げる場合、企業側が大学側にプロポーズすることが多いが、新設の施設の役目は逆。学内の研究者が持ち込んだ技術やビジネスモデルを審査した上で大学が企業へ売り込む。
 「大学が企業からの誘いを待つだけの時代は去った。企業が及び腰ならば名大発で会社を作れる」。名大先端技術共同研究センター(先端研)のセンター長、早川尚夫(61)の鼻息は荒い。早川が率いる先端研には名大と企業との技術の橋渡し役だけでなく、ベンチャー創業を支援する機能も加わる。
 旧通産省の電子技術総合研究所の研究者だった早川は一九八六年、超電導の専門家として名大に招かれた。そこで早川の目に映ったのは名大と企業の「無機質な関係」だった。
 論文作成に没頭する多くの研究者。研究者に代わって特許申請手続きをし、特許収入など研究の果実を得る企業。「菓子折り一つで将来何千万円にも化ける可能性のある研究成果を企業に譲り渡していた」
 名大に埋もれる「財産」を外部にどうアピールし、研究に生かすか。センター長に就いた九六年春以来、早川はこの一点に心血を注いできた。
運営教授ポスト新設
 二〇〇四年度にも始まる大学の「法人化」。国の直轄から解放され人事権などの裁量が増す一方で、経営力が問われる。大学は従来以上に企業から研究費を集めなければならない。
 早川の挑戦は「マネジメント(運営)教授」というポスト新設から始まった。学内では研究分野を持たず、授業もしない。使命は研究成果を学外に送り出し、研究費を確保したり、学内の起業意識を高めること。忙しい学内の教授には任せられない。ならば外部から専門家を招くしかない――。
 奇策を練った早川は九六年夏、予算要求した。国は「教育も研究もしない教授ポストは認められない」とつれない。だが「学外の専門家の力が名大に不可欠」という早川の信念が揺らぐことはなかった。
 「これが秘けつか」。九六年一月、米スタンフォード大学を訪れた早川は衝撃を受けた。同大のCISといわれる組織は、産学共同研究やベンチャー創出実績で世界のトップを走る。その裏には猛烈な競争原理が働く仕掛けがあった。
 大学が一年間に教授に支払う給料は授業がある九カ月分だけ。残りは教授自身が企業などから資金を引っ張ってくるしかない。研究成果が評価されると金はついてくるが、認められなければ研究費すら出ない。この仕組みを支えるのが産学連携専門の運営スタッフだ。大学、企業双方の研究分野を収集し、企業化に向け両者の「お見合い」を取り持つ。
 CISの衝撃を胸に旧文部省へ通い、運営教授の必要性を訴え続けた早川。執念は二〇〇〇年に実り、名大は全国初となる二人の運営教授を迎え入れた。
 その一人が渡辺久士(59)。トヨタ自動車で二十七年、知的財産部に籍を置き弁理士資格を有する特許のプロだ。渡辺は「右手に論文、左手には特許」を合言葉に学内で三十回を超す説明会を開催、研究者の意識改革を説いて回る。
 もう一人の運営教授、枝川明敬(46)は起業講座の開設、企業経営者を招いたセミナー開催など、名大を核にしたベンチャーネットワーク作りに奔走する。
 ただ、産学連携を巡っては「研究の国内空洞化」という新たな懸念材料が持ち上がっている。企業の研究費の内外大学別の支出動向をみると国内大学向けは一九九〇年の千六十億円から九九年には九百七十億円に減少。半面、海外向けは六百八十億円から千五百六十億円と二倍強増加した(内閣府調べ)。中部企業が製造拠点の海外移転を急ぐ中、名大がどこまで企業を囲い込めるかが試されている。
活力高め臨戦態勢
 「超えよ限界、破れ常識」を信条とする早川。有力企業と共同研究を手がけるなど研究者としての実績は十分。今は「黒子」に徹しながら新たな限界に挑む。年内にも定年退官した教官の再雇用制度を導入する。OBに引き続き一線の研究に従事してもらい、名大全体の競争力を高める狙いだ。
 名大は昨年、ノーベル賞を受賞した野依良治教授の定年延長を決めた。個人の実績を明確に処遇に反映させるため、名大は定期的に処遇を見直す任期制導入など柔軟な人事制度作りに乗り出す。
 大学改革を進める文部科学省は「大学というムラ社会にこもるのでなく、人・研究両面で外部との交流を深めてこそ大学の価値は増す」(清水潔・高等教育担当審議官)という。大学大競争時代を見据え、名大は臨戦態勢を整え始めた。

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2001年12月26日

理研が新ルール策定、研究成果の帰属徹底管理-人材流動の必要条件に

日経産業新聞(2001/12/26)

 元研究者による遺伝子スパイ事件をきっかけに、理化学研究所が研究サンプルの取り扱いなどに関する研究者向けのルールを策定した。来年一月、実施に移す。学術研究で獲得した研究成果をいったいだれが管理するのか。人材が流動化し産学官の連携が加速する中、これまであいまいだった日本的慣習は抜本的に見直され、帰属を明確にする動きが大学や国の研究機関にも広がりそうだ。
 理研の新ルールは、研究活動を通じて開発した実験装置や新しい遺伝子サンプル、細胞株などはすべて理研に帰属させることにした。このため、ほかの研究機関へ移籍する際には、研究者が理研時代の研究試料を持ち出す場合、理研と移籍先との間で契約を交わさなければならない。
 逆に、新しく理研に採用された研究者が、これまで在籍していた研究機関から遺伝子サンプルなどを持ち込むには、前の所属組織のの取扱規則に沿った手続きを必ず踏む。規則がない場合でも、在籍していた機関から文書で承諾を得るように定めた。
 遺伝子スパイ事件の起訴状によると理研の元研究者は、米国から移籍するときに研究サンプルを無断で理研に持ち込んだとされる。事前にきちんと契約さえ交わしておけば、事件へと発展せずに済んだ可能性が高い。帰属の徹底管理に踏み込む背景には、移籍時のルールを軽視していたとの反省が理研にあるからだ。
米国の事例参考に
 理研は、在籍する研究者約二千四百人のうち八割強を三―七年の任期制で採用している。研究者の移籍は企業や大学と比べても盛んで、研究プロジェクトごとに人が入れ替わるのは日常茶飯事。にもかかわらず研究室が保有する試料については、各研究室の管理に任せきりで、所有権がだれにあるのか明確にしていなかった。
 国立大学や政府系の研究機関の場合、理研と同様に実験データや試料について研究者個人の判断にゆだねているケースがほとんどとみられる。
 内閣府は事件直後、六十二の独立行政法人や国立大などの研究機関を対象に、研究成果の帰属先に関する調査を実施した。「何らかの規定を設けている」とする回答は、研究データだと五機関、研究サンプルでは六機関とそれぞれ一割にも満たなかった。
 米国では一般に、研究成果は特許やデータ、サンプルまですべて研究機関に帰属させている。人材の移籍が激しい社会の中で研究の継続性を保つため、雇用時に所属機関と研究者との間で成果の譲渡契約を結ぶのが普通だ。理研も今回のルール策定では「米国立衛生研究所(NIH)やマサチューセッツ工科大(MIT)が採用している規則を参考にした」と明かす。
各機関に普及へ
 研究者にとって極めて重要な実験データや研究サンプルに対し、米国流の厳格なルールを浸透させることは、研究者の交流や人材の流動化にとって阻害要因になるのではと心配する声もある。しかし、東京大学医科学研究所の新井賢一所長は「むしろ逆だ」と指摘する。学術界でもきちんとしたルールを整備することで「研究者の自由は守られ、産業界との交流にも弾みがつく」(新井所長)と強調する。
 米国の研究機関は、研究サンプルやデータの外部利用を制限しているようにみえるが、実際そうしているケースは少ない。「利用目的は研究に限り商業利用しない」や「許可なく第三者に移転しない」などの条件をきちんと守れば、通常開放している。理研も一月以降、手続きをきちんと踏めば研究データなどの移転は従来通りに促していく。
 研究開発型の各特殊法人は、独立行政法人へと移行することが決まった。国立大も二〇〇三年度をメドに独法化する予定だ。国の研究機関といえども自主運営が求められる。総合科学技術会議も、研究成果の取り扱いに関するルールの策定を今後、各機関に促していく構えだ。

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2001年06月16日

大学研究者の起業環境整備、近畿経産局が来月研究会――任期制や「産学」補助拡大

日本経済新聞(2001/06/16)

 近畿経済産業局は大学研究者の起業を支援する体制を整備する。研究者が企業へ転身するのを促すため、一定期間しか大学にいられない仕組みや産学連携研究の補助金枠拡大を検討する研究会を七月にも発足させる。バイオなどでは最先端を走る関西の大学だが、首都圏に比べ成果を基に起業する研究者はあまり多くない。こうした環境を変えて大学発ベンチャービジネス(VB)の数を増やすことで関西経済の浮揚に一石を投じる。
 研究会は起業家やベンチャーキャピタル(VC)経営者らで構成する。福井を含む近畿二府五県で研究者出身の微細加工技術(ナノテクノロジー)や新素材関連ベンチャー社長らに聞き取り調査を実施し、起業を妨げる問題点を洗い出す。二〇〇一年度内に報告書をまとめる。
 研究者は特定の大学で長期間の勤務が保障されることが多い。研究者にある大学で研究する期間を区切る「任期制」を設け流動性を促して企業との出合いの場を広げられないか検討する。
 産官学の共同研究を対象にした補助金制度は実施数に対し申請数が二〇〇一年度で七倍の高倍率となる狭き門。大学や中小・VBの集積度に対応した十分な補助金が割り当てられないためでこれが研究者の起業意欲を阻害する一因になっており、補助枠拡大がテーマになる。
 このほか、VB創出に熱心に取り組む私立大学への支援拡大やTLO(技術移転機関)の機能強化なども研究対象になりそう。
 いずれの施策も本省や文部科学省との調整が必要になりそうだが、経産局は「大学に眠る無数のシーズ(種)を産業ニーズに結びつける」(中島誠局長)としている。政府の産業構造改革・雇用対策本部(本部長・小泉純一郎首相)は大学発ベンチャーを三年間で千社設立する目標を掲げており、同局でもこれを踏まえた関西の大学での起業支援体制を充実させる。
【表】研究会の調査内容
○大学研究者が起業した背景、環境などの現状と課題の事例提示
○研究者によるベンチャーの必要性や社会的意義、地域経済への効果の検証結果報告
○研究者向けに望ましい起業モデルの提言(バイオ・ナノテクノロジー分野など)
○起業促進のための環境整備策の提言(TLOの機能強化、大学の研究者の任期制、ベンチャー創出に取り組む私立大学への支援など)

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2001年05月18日

研究者の任期制-やる気引き出す評価法カギ(Technoonline)

日経産業新聞(2001/05/18)

 国立研究所からの移行で四月に発足した科学技術分野の独立行政法人が、在職期間を三年程度に限定した研究者を採用する任期制の導入を積極的に進めている。五年間の活動計画をまとめた中期計画に数値目標を掲げた法人もあり、例えば環境省系の国立環境研究所は「研究部門中の任期付き研究員の占める割合を一三%程度とする」と明示している。ただ任期制がこのまま拡大することに懸念がないわけではない。
 組織の運営面で独立行政法人の裁量は、国立研究所時代に比べてぐんと増した。これまでのように所管する中央官庁にいちいちお伺いを立てなくても事業を遂行できるようになった。
 しかし、職員の定数を守るという基本原則はある。独法化は行財政改革の一環であり、職員の増加は行革の理念に反するからだ。任期制の導入は、終身雇用を建前とする正規職員を増やせないので一時雇用でカバーするという側面もある。
 もちろん優秀な人材をどしどし採用することで研究レベルは向上し、組織の活性化には大いに貢献する。短期的に集中投資を受けて優れた成果をいち早く上げたい、と願う研究者にも任期制は向いていると言えるだろう。情報技術(IT)やバイオのように、国際的に生き馬の目を抜く激烈な競争が繰り広げられている分野では、とくにその傾向が強い。
 しかし、任期制は良いことばかりではない。自然界を相手にするような宇宙、地球科学、動植物、環境、土木などのいわゆる息の長い研究分野では、計画段階からまとまった成果が出るまで数年から十数年かかるのが普通だ。三年程度で「目に見える成果を出せ」と要求するのは難しい。この場合、任期制だと身分が不安定になることから、かえって研究者のやる気をそぐ恐れもある。
 任期制は独立行政法人化を控えた国公立大学でも相次いで導入されており、すでに世の流れになりつつある。ただし研究者の業績を公正に評価する手法はいまだ定まっていない。独立行政法人の経営陣には、一人ひとりの研究者のやる気を最大限に引き出す評価システムをつくる努力が求められるだろう。


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2001年05月15日

大学教授も業績主義、国公立大に任期制広がる、研究の質向上-理工系目立つ

日本経済新聞(2001/05/15)

 教官の在職期間を限定する任期制の導入に踏み切る国公立大学が相次いでいる。東北大学や九州大学などが一部の研究所の全教官ポストに任期制を採用するなど、組織的に取り入れる例が目立ってきた。定年まで在職するこれまでの制度では人事が硬直化したため、優秀な人材を集めやすい任期制によって研究や教育のレベルを高める狙いがある。大学の独立行政法人化ともからみ、大学教官にも本格的な競争・業績主義の時代が訪れそうだ。
 東北大学は金属材料研究所が四月から教授を含めて約百六十のすべての教官ポストに任期制を導入した。任期は教授、助教授、講師がそれぞれ十年、助手が七年。在任中の業績を評価したのち、再任も可能だが、教授を除き再任は一回のみで任期も短くなる。制度は教官が新しく任用される段階で適用され、今春赴任したり昇格したりした十五人の教官が任期付きとなった。
 井上明久所長は「研究レベルが高まるだけでなく、結果として優れた若手の人材を多く供給できるようになる」と期待する。
 九州大学でも生体防御医学研究所が四月、全部門に導入した。任期は教授十年、助教授六年、講師と助手が四年。大阪大学産業科学研究所は助手の約五十ポストを対象に任期七年の制度を取り入れた。このほか、東京大学工学系研究科など理工、医学系の学部・研究科を中心に任期制導入が増えている。
 国公立大学の教官を含む公務員は、公務員法で任期付採用が原則禁じられている。米国の大学などに比べて、研究者の流動性が低いことが研究活動の足を引っ張っているとの批判から、国公立大学教官の任期制を認める特例法が一九九七年八月に施行され、制度に風穴が開いた。
 文部科学省の調べでは、一部でも任期制を導入している国公立大学・共同利用機関とその適用者数は九八年十月に十七大学・機関、八十三人だったのが、二〇〇〇年十月には五十六大学・機関、六百七人に増加した。国公立大学は全国に百七十三大学あり、教官は約七万人いる。文科省は「最新のデータはないが、現状ではさらに任期制による教官数は増えている」と話している。
 任期制は業績評価を前提としているため、どれだけ公平な評価の仕組みを整えられるかが制度を定着させるポイントになる。東北大金属材料研究所の場合、研究、教育、学会など学外活動の三分野について、合計七十項目を毎年チェックする仕組みをつくった。

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2001年03月02日

東大定年延長その後…、教授も“就職難”、任期制は難航-ブランド力低下背景に

日本経済新聞(2001/03/02)

 東京大学(蓮實重彦学長)が教員の定年を六十歳から六十五歳に段階的に引き上げることを決めてから半年。定年延長はすんなり実現したものの、これとセットになるはずだった任期制の導入がなかなか進まない。定年延長だけが「先食い」されかねない状況だが、背景には退官後の他大学への再就職率が低下するなど、教官が真剣に将来設計を考えなければならなくなってきたという事情があるようだ。
 全部で十三ある東大の研究科(学部)のうち、これまでに全教員への任期制導入を決めたのは工学、農学生命科学、医学の三つ。人文社会、経済学は助手のみで導入、法学や総合文化(教養)などは未定という。
 昨年九月に定年延長を決めた東大の評議会が「(反対は)皆無に近かった」(蓮實学長)というのとは対照的。任期制の導入の是非や具体的な内容は各研究科の判断に任せていることもあり、足並みが乱れている。
 「定年延長と任期制導入は別々の問題」(大塚柳太郎東大広報委員長)というのが東大の公式な立場だ。任期制は本来、研究者の業績を厳しく評価して有能な人材を残そうという狙いで、若手教官も対象になる。ただ人事の停滞を心配する学内の声に配慮する形で任期制が位置づけられているのが実態だ。
 任期制の導入を決めた工学系研究科(工学部)の場合は、五十六歳以降も大学に残るには教授会の審査を必要とするとしており、定年延長を強く意識した内容。しかしこうした場合でさえ「本人が大学に残りたいと強く希望した場合、同僚が拒否するというのは日本の社会では事実上無理」(関係者)との見方もある。
 定年延長がすんなりと実現した背景には、教官が再就職する際の東大教授のブランドがかつての神通力を失ったという現実がある。
 これまでは六十歳で定年退官したあと私大などに移って七十歳前後まで勤めるというのが一つのパターンだった。だが私大も経営改善のため定年年齢を引き下げるところが目立つようになったうえ、母校出身者や企業経験者を教授に迎えるケースが増えた。かつてはほぼ全員が可能だった再就職の割合が六―七割に落ちた研究科もあるという。
 米国の大学では他大学の出身者を積極的に教員に採用する傾向があるが、東大では教員の八割以上を出身者が占める研究科もあるという。東京大学理学部長をつとめた電気通信大学の益田隆司教授は「人材の流動性がもともと低いのが問題」と指摘する。早期退職制度もないため、満額で四千万円近い退職金が数年の差で一千万円以上違ってくる。「こうした制度上の不備を放置して定年だけを延長するのは問題」(益田教授)とみる。
 国立大の定年は「大学がそれぞれ決める」(文部省人事課)のが原則。約百ある国立大学の三分の二は定年六十五歳で、残りも大半は六十三歳。六十歳だったのは東大と東京工業大だけで、東工大もこのほど六十五歳への延長を決めた。六十三歳制の大学も両大学に追随するとみられる。
 民間企業では従業員が自らの定年延長を決められるという話はあまり聞かないが、それができるのも株主や経営者のいない国立大学特有の現象と言えそうだ。

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2000年12月23日

第3回大学学長アンケート本社調査(上)6割が「教員評価に課題」(教育)

日本経済新聞(2000/12/23)

 日本経済新聞社は日経リサーチに委託して、全国の大学学長・総長六百五十人を対象に「第三回大学学長・総長アンケート」を行い、四百九十六人(七六・三%)から回答を得た。教員の業績評価が適正に行われていないと考えている学長が六割近くにも上る実態が明らかになった。また、教育改革国民会議が打ち出した「学部三年で大学院重視」の改革案には四割が賛成した一方、反対やどちらともいえないと言う学長も多く、評価が定まらなかった。
 大学の教員の業績評価が適正になされていないとの指摘に対する意見を聞いた。各学長は自分の大学について、「文系、理系を問わずその傾向が強い」(三五・九%)、「文系学部でその傾向が強い」(一八・八%)、「理系の学部でその傾向が強い」(二・六%)と考えている。三回答を合計すると、「適正に行われていない」という学長は五七・三%に達する。これに対し、「適正に行われている」は三六・三%に過ぎず、教員の業績評価が大学にとって大きな課題になっていることが浮き彫りになった。
 「適正に行われていない」という比率は、公立で四六・四%なのに対し、国立で五四・九%、私立で五九・五%。学生数が五千―一万人規模の大学で七一・三%、一万人以上で六八・九%、明治創立の大学で六四・八%、大正創立で七二・七%と、規模が大きく歴史の古い大学の学長に、適正評価がされていないと考えている人が多いという傾向が出た。
 理系の単科大では四六・〇%なのに、文系単科大では六四・二%に上り、理系よりも文系の方がより深刻な状況をうかがわせた。
 教員の業績評価に必要な手法を尋ねたところ、「学生による授業評価を加味した教員評価の実施」が三三・一%で最も多く、以下、「学内評価だけでなく外部の専門機関に評価を委託」(二七・二%)、「研究より教育を重視した業績評価の実施」(二二・六%)、「教員の任期制を拡大」(九・一%)、「教育より研究を重視した業績評価の実施」(二・二%)と続く。
 「専門機関に委託」は公立(三九・三%)が、国立(二八・〇%)、私立(二五・一%)に比べて多く、「教育重視の評価」は私立(二五・七%)が、国立(一九・五%)、公立(七・一%)より多い。「任期制」は国立が一一・〇%で公立は八・九%、私立は八・七%だった。
 「任期制」については学生数一万人以上の大学(一五・六%)、大正創立の大学(二二・七%)、医・歯系単科大(一四・八%)の学長に支持が多かった。
 教育改革国民会議は中間報告で、「大学の学部では、教養教育と専門基礎を中心に行い、大学院へは学部の三年修了から進学することを一般的なものとする」ことを提言、最終報告にも盛り込まれた。高等教育を一層の大学院重視に切り替えるこの提言について、学長の意見を聞いたところ、賛成が三九・三%、反対が二〇・〇%、どちらともいえない三八・七%、無回答二・〇%という結果が出た。
 賛成の内訳を詳しく見ると、国立四二・七%、公立三九・三%、私立三八・五%で、国公私による特に大きな差はない。反対については国立二二・〇%、公立二六・八%、私立一八・四%で、私立に少なく公立に多い。
 賛成する理由で圧倒的に多いのは、「より高い専門性と教養を持った人間を育てるには学部教育だけではもはや不十分」(八七・七%)。以下、「諸外国では、博士号や修士号を持つ専門家が活躍するのがあたりまえ」(五・六%)、「大学院拡充は大学の生き残りにつながる」(一・五%)、「学生のニーズが高い」(〇・五%)、「社会のニーズが高い」(〇・五%)と続く。学部教育だけでは不十分という意識が極めて強い半面で、学生や社会のニーズの高まりをあげた学長はほとんどいなかった。
 一方、反対の理由では、「大学教育は学部教育が中心であるべき」が六一・六%と最も多く、学部教育軽視にもつながりかねない提言への抵抗感が強い。どちらともいえないと答えた学長は、「学部の性格によって事情が異なる」(四八・四%)、「個々の大学の選択に任せるべき」(三四・九%)が圧倒的理由だった。
 国民会議は大学院拡充の方策として、「プロフェッショナルスクール(高度専門職業人教育型大学院)と、研究者養成のための大学院(研究者養成型大学院)の設置」を打ち出した。各大学の対応を聞いたところ、「プロフェッショナルスクール、研究者養成型大学院ともに持つ大学を目指す」が四四・二%、「プロフェッショナルスクールを持つ大学を目指す」(三三・一%)、「研究者養成型大学院を持つ大学を目指す」(四・四%)、「学部教育特化の大学を目指す」(一四・一%)という回答だった。
 「ともに持つ大学」を目指すのは、国立が六三・四%、公立五五・四%、私立三八・〇%。「プロフェッショナルスクール」を目指すのはそれぞれ二八・〇%、二三・二%、三五・八%、「研究者養成型」は同三・七%、一〇・七%、三・六%。「学部教育特化」は同二・四%、八・九%、一七・六%だった。
 国立では両タイプを兼ね備えた大学院志向が強いのに対し、公立は「研究者養成型」、私立では「プロフェッショナルスクール」を目指す傾向が強い。また、私立では六人に一人が「学部教育特化」を挙げているのも特徴だ。学部教育特化を目指す学長は、昭和四十年代以降創立の大学に多い。
 一定の割合の受験生を暫定的に入学させ、一年間の成果によって改めて合否を判定する暫定入学制度については、「点数主義の入試から脱皮できる」(四・六%)、「受験生の適性が見られる」(二八・〇%)、「大学に合わないときは他に移れる」(六・五%)、「学習のインセンティブを与えられる」(七・九%)との理由で賛成という学長が四七・〇%に上り、比較的好意的に受け止められている。
 一方で、「大学としてメリットを感じられない」(一三・三%)、「受験生にメリットが感じられない」(五・二%)、「受験生確保に苦労している中で現実味がない」(一一・五%)との理由で反対という学長が三〇・〇%、「どちらともいえない」が二〇・〇%いた。
 賛成は公立が五五・四%と最も多く、反対は私立が三三・二%で最も多い。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2000年12月23日 18:18 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2000年09月20日

東大、定年65歳に延長、業績評価で硬直化防ぐ

日本経済新聞(2000/09/20)

 東京大学(蓮實重彦学長)は十九日評議会を開き、教員の定年年齢を現在の六十歳から六十五歳に引き上げることを決めた。二〇〇一年度から三年ごとに一歳ずつ段階的に引き上げ、二〇一三年度に六十五歳とする。その一方で、組織の硬直化を招かないよう、来年度以降、短期の任用期間を設けて教員の能力や適性を年限ごとに評価する「任期制」を半数以上の学部、大学院研究科で導入し、業績評価のシステムを整えるという。
 会見した蓮實学長は定年延長の最大の理由は「年齢による差別的人事の撤廃」と説明。年金支給年齢の引き上げに伴う場当たり的な対応ではないと強調した。
 東大の教員人事は現在の定年である六十歳から逆算して、三十歳代前半で「助手」、四十歳前後で「助教授」、四十五歳前後で「教授」に昇格するなど硬直的な仕組みが根強く残っていると指摘されている。
 外国や他大学から優秀な人材を招へいしようとしても、こうした年齢階層から外れると学内に登用しにくいなどの弊害があり「定年延長に、年齢にとらわれない業績本位の人事評価システムを併せて導入して、内外から優秀な人材を集めたい」と説明した。
 「若手のポスト不足に拍車がかかり、教育・研究が停滞する」との指摘については「すべての教員が東大に六十五歳まで居残る制度との誤解によるもので的外れな批判。シミュレーションでは定年を五歳延長しても、教員の平均年齢は一・七歳しか上がらず、影響は出ない」と述べた。
 在籍期間を主な判断基準にしている名誉教授制度は「年功色が強く不快感を覚える」として将来、廃止を検討するという。
 国立大の定年は各大学ごとに定めており、現在六十歳定年は東大と東京工業大だけ。半数以上は六十五歳だが、六十三歳の大学では追随する動きも出てきそうだ。

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2000年05月29日

臓器の再生を研究、熊本大がセンター

日本経済新聞(2000/05/29)

 熊本大学は遺伝子工学を利用して人間の細胞から皮膚や臓器などを作る研究に取り組む「発生医学研究センター(須田年生センター長)」を開設した。受精卵から胚(はい)ができるまでを研究する胚形成部門と胚から各器官ができるまでを研究する器官形成部門からなる。スタッフは医学部と理学部の教授や助教授など三十人。研究を活性化するため五年の任期制を導入した。


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2000年02月27日

大学の教養教育に再評価の声、学問の原点に回帰-国際基督教大学絹川正吉氏(教育)

日本経済新聞(2000/02/27)

 大学における教養教育(リベラル・アーツ教育)の重要性を再評価する声が強まっている。リベラル・アーツ教育をカリキュラムの中心に据える国際基督教大学(ICU)の絹川正吉学長に寄稿してもらった。
 最近の教育論議の中で、しきりに大学の教養教育が取りざたされている。財界人の提言でも、たびたびリベラル・アーツの必要性が説かれる。一昨年の大学審議会答申「二十一世紀の大学像」でも、教養教育の重視が主張された。しかし、そのような教養重視の主張とは相反する現象が目立っている。一九九一年の大学設置基準のいわゆる大綱化で、教養課程は、ほぼ崩壊したといわれている。旧帝大系国立大学の大学教員の所属は、いまや学部ではない。もちろん教養部でもない。教員の身分は一様に「大学院研究科教授」である。
  掛け声だけの文部省
 教養教育を担う学部に専任教員は必要なくなったのであろうか。そうならば旧帝大系国立大学は学部を廃止し、すべて大学院大学にするほうが有効であろう。ただしその場合には、専任教員席の半数は任期制教員枠とし、すべての大学教員に開放する。私立大学教員も一定期間その教員枠を用いて研究を行い、任期終了後は原籍の大学に戻れるシステムにすれば、大学教員の流動性は高まり大いに大学は活性化するであろう。
 夢のような話は別にして、そうした状況を見ていると、とても教養教育を重視しているとは考えられない。それだから、大学審は教養教育重視を声高に主張しなければならないのであろう。そうならば、掛け声だけでなく、文部省は教養教育を奨励する文教政策を提示・実行すべきであるが、そういうしるしも全く見られない。文教政策の重点は大学院の充実に絞られている。大学審は、学部教員にこと細かに教育方法を示し、叱咤(しった)激励はしてくださるが、肝心の兵糧は用意してくれない。
 具体的にいえば、リベラル・アーツ教育は、少人数教育が重要な条件である。学生納付金が主要財源である私立大学では、リベラル・アーツ教育はしたくてもできない。少人数教育を犠牲的に実行している大学に、助成金をせめて現状の倍額にする、というのであれば、文部省が本気で教養教育を推進しようとしているのだと実感できよう。
 大学審は教養教育の重要性を、「課題探求能力」の育成という観点に立って、主張している。すなわち、「学術研究や技術革新の進展、国際化・情報化の進展」にともなって、「課題探求能力」を備えた人間を養成することが緊急に必要とされている。いわば知識・情報化産業のための人材育成が目下の急務であって、それにこたえる教育をすることを要求している。そこに、教養教育の重視という主張の底が見えてくる。
   魅力に乏しい科目
 さて、他人を批判するだけでは、責任は全うされない。大学は教養教育を重視しているか、自己点検・評価をしなければならない。多くの大学生にとって、いわゆる教養科目は少しも魅力的ではない。教員を専門学部に分属させて教養課程を解消し、代わりに全学的出動態勢で教養教育を行うとする大学が続出し、教養科目名が華々しい名称に変えられて登場した。その結果、学生の興味を引き、教養教育が推進されたかというと、そうはなっていない。教養教育の責任主体が不明確になっただけであるという。科目名を変更しても、実体は旧態のままであることを評して、「浴衣をほどいてワンピースに作り替えた」ことだ、と言った大学教員がいた。言い得て妙である。もっとも、この比ゆは敗戦直後の生活苦の経験者にしか通用しない。
 そもそも、教養とかリベラル・アーツとかいわれていることが一様ではない。大学審答申は、「学問のすそ野を広げる」ことが、教養教育の目標の一部であると述べている。学問をほとんど知らない大学生に「学問のすそ野を広げる」ことが、差し迫った必要になるのであろうか。大学教員がこのような課題に耐えられない。「学問のすそ野を広げる」ことは、せいぜい知識の集積の度合いの拡大を図ることにしかならない。今日の大学教員に、ソクラテスやプラトンのような存在になれ、といっても無意味である。そこで、原点に立ち返って考えなければ混乱の正体がわからない。
 学問という営みは、数千年の歴史を紡いできた。そのつながりの厚みのなかで、現代の学問が存在していることを忘れることはできない。その歴史をさかのぼると、学問とは「いかに生きるか」という問いから出発している。したがって、諸学問の成果は「いかに生きるか」という問いに答えるものでなければならないはずである。しかし、専門分科した現代の学問は、いかに生きるか、という問いに直接に答える位置を喪失している。この視点に注目する。教養とは、本来はいかに生きるか、という問いに答えるアーツである。学問はそういうアーツであるはずである。とすれば、教養教育とは、まずは学問という人間の営みに参加することを抜きにしては、実体を持つことはできない。
   生のよりどころに
 それでは、現在の大多数の学生が学問それ自体に興味と関心をもっているだろうか。かつての学歴エリートの教養主義、すなわち読書が教養であった時代ははるか昔で、学生の圧倒的関心は教養からエンターテインメントにシフトした。しかし、そういう状況であればこそ、かえって原点回帰が必要ではないか。現代の学問を、「いかに生きるか」という問いに立ち返らせる営みが必要なのである。
 教養教育は、幅広い知識を授けることではない。学問という営みを、「いかに生きるか」という問いの前に立たせることである。例えば、「憲法の学習も、ただ条文を学ぶのではなく、よりよく生きる人間のアートの生きたよりどころとして、原理的にも把握し直すような学び方に変えることである。あるいは、よりよき生を送ろうとする人間は、政治的であらざるを得ない、そういう視点で政治学を学ぶ。そのような政治学の学習は、ただ政治の原理を暗記または理解することにはならない(原文・立川明)」。
 一般的に言えば、教養教育とは「しっかりした学問的背景、方法論を持つ学問的営み」を、現実世界において意味付ける文脈的学習である。そのような学習テーマを、ICUでは、「行動するリベラル・アーツ」という標語で総括し、現代におけるリベラル・アーツ教育のカリキュラムの展開を試みている。
国際基督教大学学長絹川 正吉


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2000年02月08日

東工大、定年65歳に延長、私大の受け入れ減に対応、2002年から-東大なども

日本経済新聞(2000/02/08)

 東京工業大学は、教育・研究実績のある教員の有効活用を目指し、現在六十歳の定年年齢を二〇〇二年春から段階的に引き上げ六十五歳とすることを七日までに決めた。年金支給開始年齢の引き上げに対応するとともに、私大の人件費削減に伴う定年年齢引き下げで再就職先が減少している事情にも考慮した。東京大学も六十五歳への定年延長を検討しており、高齢化や大学を取り巻く環境の変化は、国立大の教員の雇用制度の見直しを迫っている。
 東工大は、第一段階として定年年齢を三年延長する。その後、三、四年かけて六十五歳まで引き上げる予定。これに伴い、ポスト不足が懸念される若手教員の研究環境の改善や教員の評価・選考方法の見直し、任期制の導入も検討する。
 「高齢化時代を迎え、六十歳を過ぎても現役として活躍できる能力のある教員を生かすのが狙い」(同大)だが、背景には雇用環境の変化もある。
 東工大の教授は約三百七十人で、毎年二十数人が定年退官している。関係者によると、五、六年ほど前から再就職先が見つからないケースが目立ちはじめ、最近ではその数が定年退官する教官の三割前後に上っているという。
 要因の一つが、有力な再就職先となっている私立大のリストラ。上智大が七十歳まで雇用する特例制度を廃止するなど、少子化による学生数の減少で経営環境が厳しくなっている私大では、人件費削減から定年年齢を引き下げるケースが相次いでいる。また、私大内で自前の教員が育ってきたり、社会情勢に応じた学部改組が進み、専門分野によっては、国立大を定年退官した教員に対する“ニーズ”が減っているという。
 こうした中で、東京大も昨年夏から六十歳定年を六十五歳まで引き上げる方向で検討を始めた。三年に一歳程度の割合で段階的に定年年齢を引き上げていく方針で各部局からの意見聴取を進めており、二〇〇一年度中に最終方針を決める。
 定年延長について東大広報室は「海外では六十歳を超えても現役で活躍している大学教員が多い。退官後の再就職口の減少が問題になっているが、実績のある教員の雇用延長で教育・研究を活性化するのが最大の目的」と説明する。
 このほか、東京外国語大も六十二歳から六十五歳への定年延長を検討する方針という。
 文部省によると、国立大学の定年年齢は大学ごとに定めており、六十歳定年は東工大と東大のみ。

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