(国)東工大
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2000年02月08日

東工大、定年65歳に延長、私大の受け入れ減に対応、2002年から-東大なども

日本経済新聞(2000/02/08)

 東京工業大学は、教育・研究実績のある教員の有効活用を目指し、現在六十歳の定年年齢を二〇〇二年春から段階的に引き上げ六十五歳とすることを七日までに決めた。年金支給開始年齢の引き上げに対応するとともに、私大の人件費削減に伴う定年年齢引き下げで再就職先が減少している事情にも考慮した。東京大学も六十五歳への定年延長を検討しており、高齢化や大学を取り巻く環境の変化は、国立大の教員の雇用制度の見直しを迫っている。
 東工大は、第一段階として定年年齢を三年延長する。その後、三、四年かけて六十五歳まで引き上げる予定。これに伴い、ポスト不足が懸念される若手教員の研究環境の改善や教員の評価・選考方法の見直し、任期制の導入も検討する。
 「高齢化時代を迎え、六十歳を過ぎても現役として活躍できる能力のある教員を生かすのが狙い」(同大)だが、背景には雇用環境の変化もある。
 東工大の教授は約三百七十人で、毎年二十数人が定年退官している。関係者によると、五、六年ほど前から再就職先が見つからないケースが目立ちはじめ、最近ではその数が定年退官する教官の三割前後に上っているという。
 要因の一つが、有力な再就職先となっている私立大のリストラ。上智大が七十歳まで雇用する特例制度を廃止するなど、少子化による学生数の減少で経営環境が厳しくなっている私大では、人件費削減から定年年齢を引き下げるケースが相次いでいる。また、私大内で自前の教員が育ってきたり、社会情勢に応じた学部改組が進み、専門分野によっては、国立大を定年退官した教員に対する“ニーズ”が減っているという。
 こうした中で、東京大も昨年夏から六十歳定年を六十五歳まで引き上げる方向で検討を始めた。三年に一歳程度の割合で段階的に定年年齢を引き上げていく方針で各部局からの意見聴取を進めており、二〇〇一年度中に最終方針を決める。
 定年延長について東大広報室は「海外では六十歳を超えても現役で活躍している大学教員が多い。退官後の再就職口の減少が問題になっているが、実績のある教員の雇用延長で教育・研究を活性化するのが最大の目的」と説明する。
 このほか、東京外国語大も六十二歳から六十五歳への定年延長を検討する方針という。
 文部省によると、国立大学の定年年齢は大学ごとに定めており、六十歳定年は東工大と東大のみ。

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1997年04月18日

東工大職員組合、大学の教員等の任期に関する法律案の廃案を要求する声明

(出所)都大教ホームページより

大学の教員等の任期に関する法律案の廃案を要求する声明

1997.4.18
東京工業大学職員組合

大学教員任期制法案上程までの経過

 ここ数年、マスコミは大学教員に対して「黄色くなったノートを数十年間も授業で使っている」などとやゆする報道を繰り返し、「日本の大学教員は劣っている」との誤ったイメージを国民に広げました。こうした世論操作を背景に、文部省と大学審議会は、「大学の活性化」の課題の一つに任期制の導入をあげて検討を進めてきました。
 そして大学審議会は、一昨年9月、審議の「概要」を公表して意見を求めましたが、これには多くの大学教員や科学者、大学教職員組合、さらに国立大学協会、日本私立大学団体連合会、学術団体などが危惧を表明し、批判し、反対するなどの意見が出されました。しかし大学審議会は、これらを一切無視したまま昨年10月、「学生のニーズや社会の要請を踏まえた教育が行われていない、国際的な競争に耐え得る水準の研究成果が上がっていないなどの厳しい批判がある」との誤った認識のもとに、大学の活性化を図るためには任期制の導入が必要との答申を文部大臣に提出しました。
 その後法案作成に入った文部省は、反対運動が国民的に広がることを恐れて法案の内容を国会議員にも公開せずに隠し続けてきましたが、4月8日に法案を閣議決定し、国会に上程しました。ところが閣議前に国会議員に配布された法案と閣議後の法案では、法案の骨格である第1条の目的条項の内容が変更されており、文部省は、法案の修正を議員に配布した後に行うと云う醜態を演じ、法案の拙速さ、ずさんさを露呈しました。

文部省・大学審議会の大学教員に対する現状認識は誤っている

 大学教育に関しては、大学教員は多くの時間を割いて精力的な改革を進め、地道で着実な成果を上げてきています。さらに研究に関しては、カーネギー財団が行った大学の国際比較調査によれば、日本の大学教員は給与では11位、施設設備では12,13位にもかかわらず、研究業績では、学術論文、学会発表、講演会、学術書について多くの専門分野で1,2位であることが示されています。こうした事実を文部省・大学審議会が知らないはずもなく、大学教員がいわれなき「厳しい批判」に曝される理由などないのです。
 最高裁で合憲判断が示されている1年以上の有期限雇用を禁止した労働基準法を否定する法案であり、大学教員の身分保障を奪う「大学教員解雇法案」であるこうした答申をもとに上程された法案の第1条の目的では、「教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究活動の活性化にとって重要である…」としていますが、上述の通り、活性化を必要とする前提が誤っています。
 法案の第1条の後段では、「教員等の任期について必要な事項を定めることにより、…教育研究の進展に寄与することを目的とする。」とし、第2条4項には、「期間の満了により退職することとなる」としており、これは「大学教員解雇法案」と云えるものであり、最高裁で合憲判断が示されている1年以上の有期限雇用を禁止している労働基準法と真っ向から矛盾します。こうした手荒な手段を用いなくとも、教育の改革は進みつつあり、研究も不十分な施設・設備の下でも世界のトップレベルの成果を上げているのです。

憲法に保障された学問・思想の自由が脅かされ、教育公務員特例法に保障された大学の自治はさらに形骸化が進む

 学校教育法第五十二条には「大学は、学術の中心として、…深く学芸を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力を展開させることを目的とする。」とあります。この目的の実現には、学問・思想の自由の権利を行使するとともに、大学の自治の担い手である教員の身分保障が不可欠です。任期制により教員の身分が脅かされれば、自由な学問も、その保障となる大学の自治も揺らぐことになります。

任期制法案は、大学だけでなく国民・国家にも「百害あって一利なし」

 任期付教員は短期に研究成果が要求されるため授業に充分な時間を割けず、教育の軽視が必然的に進み、ひいては独創性、創造性を持った有益な人材の育成を困難にします。任期制は、若手の優秀な人材確保を困難にし、過度の競争的環境による「悪しき業績主義」をはびこらせ、企業の商品開発型や技術開発型の無難な研究が一般化し、学理を究め事象の本質をしっかりと捉える独創性、創造性を持った研究者の養成を大変に困難にすることなど多くの弊害が生ずる危険があります。これでは財界が期待する「日本のビル・ゲイツの出現」も「新産業の創出」も望めなくなるでしょう。

乱暴な任期制法案の成立をなぜ急ぐのか?財界に開かれた大学づくりが狙い

 世界経済のグローバル化が進む下で、メガ・コンペティションに立ち向う財界は危機感を募らせ、その勝利に向けて、未踏領域の科学技術開発力を高めて高度情報化技術の開発や、新産業を創出することに求めています。そこに大学や国立研究機関の人材を総動員するために、科学技術基本法に基づく政府の科学技術基本計画(2000年までに17兆円の国家予算を投入)を呼び水に、大学教員・研究公務員への任期制導入を圧力に、産官学の技術者・研究者・教員の人材交流を急速に進めようとしているのです。

任期制法案は、助手だけでなく教授・助教授、全ての教員に任期の導入が可能

 法案の第3条で「任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは教員の任期を定めなければならない」として、任期制の導入は大学で決められるとしていますが、この間の文部省の財政誘導による強引な行政指導を見るとき、自主的判断はまず不可能でしょう。さらに第4条では、教員を採用する場合、以下の3つの職に該当する場合は任期を定めることができるとしています。
1先端的、学際的、総合的な教育研究や、教育研究の分野、方法の特性から、多様な人材の確保が特に求められる職に就けるとき。
2助手の職で自分で計画して研究を行う職務に就けるとき。
3特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。
 任期制は、この3つ職に限定して適用するように読めますが、職の定義は抽象的で、すべての教員ポストに適用できる内容と読み取れます。

任期制法案は労働基準法の全面改悪への露払い

 現在、労働大臣の諮問機関では、財界の強い要望(「新時代の『日本的経営』」で打ち出している雇用形態の流動化)を背景に「労働法制の規制緩和」と称して、労働基準法の全面改悪が検討されており、その1つに有期限雇用の自由化が挙げられています。大学教員への任期制導入法案は、全労働者の権利の剥奪への露払い法案であり、抵抗の弱いところから突破してそれをてこに全面改悪することは許せません。

大学の活性化は、法律による強制でなく現場の人々のイニシアチブで

 本来、大学の活性化は、教育研究の現場にある人々のイニシアチブによって長期的展望をもって推進されるべきものであり、一片の法律によっては実現できず、ましてや、期限を切って解雇を強制できるこの法案では、かえって大きな混乱を招きます。政府・文部省がまず取り組むべきことは、研究条件を世界のトップクラスの水準に引き上げることであり、「大学教員解雇法案」などに精力を注ぎ込むことではないはずです。大学教員の身分を脅かし、教育研究の自由を奪い、大学の自治の形骸化を進め、労働法制全面改悪の露払いとなる「大学教員解雇法案」の廃案を強く要求いたします。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年04月18日 12:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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