(国)東京大
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2004年02月21日

東大病院が改革案、教授以外も診療科長に、法人化、見直し促す

日本経済新聞(2004/02/21)

 大学病院の中でも保守的で、患者より研究に軸足を置いているともいわれてきた東京大学医学部付属病院(東京・文京、永井良三院長)が、変化の兆しを見せている。これまで各科のトップである診療科長は東大医学部の教授が独占してきたが、今後は教授の肩書を持たない医師でも患者を診る能力が優れていれば診療科長になれることなどを盛り込んだ病院改革案を、このほどまとめた。
 四月に迫った国立大学の法人化を前に、旧弊を断ち、病院の競争力を高めるのが狙い。
 東大病院には循環器内科や呼吸器外科など三十以上の科があるが、各科の診療科長は一部例外を除き、すべて医学部の教授が務めている。
 ただ、医学部の教授がほぼ自動的に診療科長を兼務する従来の体制では、人事権や診療方針を含め教授に権限が集中する傾向があり、「個々の診療科の力が強くなりすぎて、医療安全や経営面などで病院としての方針を徹底させるのが難しい」(永井院長)という弊害も指摘されてきた。
 このため東大病院では四月から、教授という肩書にとらわれず、講師や助手でも診療科長に抜擢(ばってき)できるよう人事規則を変更。さらに診療科長ポストに、原則一年の任期制の導入を決めた。再任は可能だが、「医療事故を繰り返したり、科の運営が病院の方針と大きく異なる場合は、交代してもらうことができる」(永井院長)。
 東大病院が改革を急ぐのは、これまでどんぶり勘定で国費による補てんを受けていた国立大学が法人化されれば、病院のコスト削減や増収など、いや応なく効率的な経営を迫られるため。
 改革の成果はすぐには見えにくそうだが、研究のみを重視して教授になった医師でも当然のように診療科長になる慣行が見直されるだけでも、患者への恩恵は小さくないといえそうだ。


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2001年03月02日

東大定年延長その後…、教授も“就職難”、任期制は難航-ブランド力低下背景に

日本経済新聞(2001/03/02)

 東京大学(蓮實重彦学長)が教員の定年を六十歳から六十五歳に段階的に引き上げることを決めてから半年。定年延長はすんなり実現したものの、これとセットになるはずだった任期制の導入がなかなか進まない。定年延長だけが「先食い」されかねない状況だが、背景には退官後の他大学への再就職率が低下するなど、教官が真剣に将来設計を考えなければならなくなってきたという事情があるようだ。
 全部で十三ある東大の研究科(学部)のうち、これまでに全教員への任期制導入を決めたのは工学、農学生命科学、医学の三つ。人文社会、経済学は助手のみで導入、法学や総合文化(教養)などは未定という。
 昨年九月に定年延長を決めた東大の評議会が「(反対は)皆無に近かった」(蓮實学長)というのとは対照的。任期制の導入の是非や具体的な内容は各研究科の判断に任せていることもあり、足並みが乱れている。
 「定年延長と任期制導入は別々の問題」(大塚柳太郎東大広報委員長)というのが東大の公式な立場だ。任期制は本来、研究者の業績を厳しく評価して有能な人材を残そうという狙いで、若手教官も対象になる。ただ人事の停滞を心配する学内の声に配慮する形で任期制が位置づけられているのが実態だ。
 任期制の導入を決めた工学系研究科(工学部)の場合は、五十六歳以降も大学に残るには教授会の審査を必要とするとしており、定年延長を強く意識した内容。しかしこうした場合でさえ「本人が大学に残りたいと強く希望した場合、同僚が拒否するというのは日本の社会では事実上無理」(関係者)との見方もある。
 定年延長がすんなりと実現した背景には、教官が再就職する際の東大教授のブランドがかつての神通力を失ったという現実がある。
 これまでは六十歳で定年退官したあと私大などに移って七十歳前後まで勤めるというのが一つのパターンだった。だが私大も経営改善のため定年年齢を引き下げるところが目立つようになったうえ、母校出身者や企業経験者を教授に迎えるケースが増えた。かつてはほぼ全員が可能だった再就職の割合が六―七割に落ちた研究科もあるという。
 米国の大学では他大学の出身者を積極的に教員に採用する傾向があるが、東大では教員の八割以上を出身者が占める研究科もあるという。東京大学理学部長をつとめた電気通信大学の益田隆司教授は「人材の流動性がもともと低いのが問題」と指摘する。早期退職制度もないため、満額で四千万円近い退職金が数年の差で一千万円以上違ってくる。「こうした制度上の不備を放置して定年だけを延長するのは問題」(益田教授)とみる。
 国立大の定年は「大学がそれぞれ決める」(文部省人事課)のが原則。約百ある国立大学の三分の二は定年六十五歳で、残りも大半は六十三歳。六十歳だったのは東大と東京工業大だけで、東工大もこのほど六十五歳への延長を決めた。六十三歳制の大学も両大学に追随するとみられる。
 民間企業では従業員が自らの定年延長を決められるという話はあまり聞かないが、それができるのも株主や経営者のいない国立大学特有の現象と言えそうだ。

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2000年09月20日

東大、定年65歳に延長、業績評価で硬直化防ぐ

日本経済新聞(2000/09/20)

 東京大学(蓮實重彦学長)は十九日評議会を開き、教員の定年年齢を現在の六十歳から六十五歳に引き上げることを決めた。二〇〇一年度から三年ごとに一歳ずつ段階的に引き上げ、二〇一三年度に六十五歳とする。その一方で、組織の硬直化を招かないよう、来年度以降、短期の任用期間を設けて教員の能力や適性を年限ごとに評価する「任期制」を半数以上の学部、大学院研究科で導入し、業績評価のシステムを整えるという。
 会見した蓮實学長は定年延長の最大の理由は「年齢による差別的人事の撤廃」と説明。年金支給年齢の引き上げに伴う場当たり的な対応ではないと強調した。
 東大の教員人事は現在の定年である六十歳から逆算して、三十歳代前半で「助手」、四十歳前後で「助教授」、四十五歳前後で「教授」に昇格するなど硬直的な仕組みが根強く残っていると指摘されている。
 外国や他大学から優秀な人材を招へいしようとしても、こうした年齢階層から外れると学内に登用しにくいなどの弊害があり「定年延長に、年齢にとらわれない業績本位の人事評価システムを併せて導入して、内外から優秀な人材を集めたい」と説明した。
 「若手のポスト不足に拍車がかかり、教育・研究が停滞する」との指摘については「すべての教員が東大に六十五歳まで居残る制度との誤解によるもので的外れな批判。シミュレーションでは定年を五歳延長しても、教員の平均年齢は一・七歳しか上がらず、影響は出ない」と述べた。
 在籍期間を主な判断基準にしている名誉教授制度は「年功色が強く不快感を覚える」として将来、廃止を検討するという。
 国立大の定年は各大学ごとに定めており、現在六十歳定年は東大と東京工業大だけ。半数以上は六十五歳だが、六十三歳の大学では追随する動きも出てきそうだ。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2000年09月20日 18:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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