(公)横浜市立大
掲載事項(記事)一覧

2009/01/08 新自由主義と大学教員の任期制、横浜市立大学は全教員任期制を廃止すべきである
2008/08/29 横浜市立大学、法人職員の任期更新「拒否?」問題
2007/12/28 横浜市立大学教員組合、昇任人事等における任期制の強要は違法行為である
2007/11/28 横浜市立大学教員組合、「組合員・教員の皆様へのメッセージ」 学長による「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦」に関する文書は、極めて許しがたいものである
2007/11/26 横浜市立大学の任期制強制システム、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為
2007/11/19 横浜市立大学任期制、再任に関する合意書
2007/09/25 横浜市立大、「全員任期制」 任期更新をめぐる労使の対立点
2007/08/27 横浜市立大学、「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員の主張
2007/08/24 横浜市立大学教員組合、任期制問題に関する団体交渉 そもそも「全員任期制」はありえない
2007/08/07 横浜市立大教員組合、任期更新手続きに関する要求「本来の教員評価制度が未確立の段階で、経営側の一方的な審査制度を適用することは、大学自治破壊である」
2007/08/01 横浜市立大、任期制 明確な契約書なしに、一方的に「任期更新」手続きに入る
2007/06/04 横浜市立大、昇任人事問題 大学のシステムとその運用は憲法違反
2006/10/25 横浜市立大学、教員評価制度 教員向け説明会について
2006/10/22 「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会
2006/08/29 横浜市立大学、法人による昇任人事をめぐる不透明なあり方
2006/07/14 横浜市立大学教員組合、昇任人事に関する声明
2006/06/30 横浜市立大学、昇進資格付与者に対し5年任期の新規雇用契約を求める
2006/06/21 横浜市立大学の任期制・昇任問題、組合要求と当局回答
2006/05/29 横浜市立大教員組合、教員全員任期制の導入など人事関連事項について回答を求める
2006/03/31 公立大学法人、全教員を対象にした任期制導入は横浜市立大学など4大学
2006/03/22 横浜市長選、中田氏「市大には多額の市税を投入してきた。やる気のない職員が長くいるのは問題だ」
2006/03/20 横浜市立大学教員組合、団体交渉申し入れ書 「任期付き雇用契約への同意を強制することは重大な違法行為」
2006/03/13 横浜市立大学全員任期制問題、「知的伝統が破壊され 実に腹立たしく悲しい」
2006/02/15 横浜市立大学労基法第14条に基づく全員任期制、国会の付帯決議にも違反するのではないか
2006/02/14 横浜市立大学、昇任規程の問題点
2006/02/13 横浜市立大学の労基法第14条に基づく全教員任期制の強要、日本の全大学人への挑戦ではないか
2006/02/10 横浜市立大教員組合、任期制強要にどう対処するか 顧問弁護士を招いて緊急学習会
2006/02/08 横浜市立大任期制問題、不当な昇任(発効)延期は当局にしかるべき弁償を求めるべきもの
2006/02/07 横浜市立大教員組合、「昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!」
2006/02/06 横浜市立大、准教授から教授への昇格・昇任 任期制同意者に限定か
2005/06/11 横浜市立大、大学当局 任期制同意状況を公表
2005/06/07 横浜市立大、教員任期制への「同意」状況 国際総合科学部は47.3%どまり
2005/04/12 揺れる『全員任期制』 独法化の横浜市大
2005/03/26 横浜市立大学教員組合、 任期についての素朴な疑問Q&A
2005/03/25 横浜市立大学問題を考える大学人の会、「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」
2005/03/25 横浜市立大学、個別任期契約に同意していない人が多数派 三学部で50%
2005/03/19 横浜市立大学、新たな差別を生み出す任期(有期雇用)契約への同意書
2005/03/19 横浜市立大教員組合、「待ってください! 任期制に同意する必要はありません」
2005/03/18 横浜市立大、最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」 (2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)
2005/03/17 横浜市立大教員組合、任期制についての委任状を組合に!  任期制に同意する必要はありません
2005/03/09 横浜市立大学教員組合、小川学長宛「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」
2005/03/03 横浜市立大学教員組合、「有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!」
2005/03/02 横浜市立大、第2回教員説明会 「任期制に同意しない者は昇任対象としない」
2005/02/25 横浜市立大教員組合、「わたしたちの権利について」
2005/02/18 横浜市立大、組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨
2005/02/10 横浜市立大学の全教員任期制、「個別同意に応じると大変」「期限の定めのない雇用が一番」
2005/02/09 横浜市立大教員組合、「教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す」
2005/02/05 横浜市立大の全教員任期制、大学を死滅させる!
2005/01/27 横浜市立大学、「教員の勤務条件に関する説明会」
2005/01/18 横浜市立大教員組合、当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)
2005/01/06 横浜市立大「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル:横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示
2005/01/05 横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」 「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」
2004/12/30 横浜市立大、新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み
2004/09/03 横浜市立大学教員組合、「普通にやっていれば再任される」任期制なんてあるのか?
2004/08/03 大学教員の任期制、螺旋的悪循環の連鎖-横浜市大 永岑三千輝氏最新日誌
2004/07/23 任期制は大学教員の質を高めることにならない! 横浜市大、永岑三千輝氏
2004/03/28 横浜市立大、「大学人の会」≪任期制・年俸制シンポジウム≫『報告集』
2004/02/16 『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ
2003/10/25 横浜市大、教員に「任期・年俸制」 大学改革案まとめる
2003/10/03 横浜市立大、現職全教員に任期制を導入することに反対する声明
2003/10/02 横浜市立大、 大学改革案における教員任期制の導入に関する商学部教授会意見

2009年01月08日

新自由主義と大学教員の任期制、横浜市立大学は全教員任期制を廃止すべきである

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2008年1月5日)

 横浜市立大学の全教員任期制は,2003年改正労基法第14条を根拠に導入されたものであった。その意味で同大学の任期制は新自由主義原理に基づく「大学改革」の典型事例とみなしてよい。この新自由主義がいま全般的に破綻しつつある中で,大学の教育現場を荒廃させている職員の非正規化(有期雇用,派遣労働の大規模化)を含め,教員の任期制について,その撤廃に向けた全国的な運動として取り組む必要があるであろう。
 現状では,一部の大学労組のみが個別的に対応しているに過ぎない。大学界の単産である全大教,あるいは日本私大教連はそうした運動を正面から掲げて取り組まない現状をどのように認識すべきであろうか。

1月5日 謹賀新年

 グローバル化と新自由主義の結果、働くものの職場の不安定性がこの10年ほどで一挙に拡大した。非正規労働者が3分の一に上るとか。その問題性が明確化するなか、かつての新自由主義の主唱者・先導者の一人・中谷巌氏も、今日の朝日新聞記事によれば、「転向」を表明しているとか。アメリカのオバマ大統領の登場も、この線上にあるだろう。

 グローバル化・新自由主義・「成果主義」の跋扈による雇用の不安定化の波にのって強行されたのが、大学における全員任期制なるものの導入であった。この間、教員組合の必死の努力で不安定化を阻止するための交渉が続けられている。

 しかし、それにもかかわらず、当局の態度は変わらない。根本から問題を見直そうとはしていない。

 現在、社会で問題になっているのは、不安定雇用が3分の1にまで増えた、そのひどさということであるが、本法人では「全員任期制」を基本方針とする態度を変えていないからである。その基本方針の元で、微修正に応じる、というのがこの間の態度であろう。そうでないなら、全員任期制の方針を廃止し、大学教員に関する任期制の法律に基づいた適正な制度(限定的な制度)に変更すべきである。

 任期制による採用(あるいは昇進における差別・・・昇任審査の前に管理職を通して、任期制への同意不同意の状況が確認されるというやり方・・・これまでの実績では不同意者は昇任が先延ばしになった)が行われており、任期制教員が増えれば、大学との結びつきの弱体化が進むであろう。当局が好む統計によれば、本学最大の組織である医学部における任期制教員の圧倒的多さからして、本学の任期制=不安定雇用化は全国最先端、ということになろう。(なぜ、本学では医学部が、また全国的にも医学部が文科系などの学部よりも、「任期制」を受け入れやすいのかは身分保障・生活保障のあり方をみなければならない。)唯一首都大学だけが、同じような「最先端性」を誇示している、ということになろうか。

 任期制への同意不同意などという基準は教育研究の実力・貢献とは関係がない。むしろ、不正常な関係・ゆがんだ状態さえ生み出す[1]。昇進においてはそのようなハードルは廃止して、教育研究の実績(ピアレヴュー=学界等の教育研究上の同僚・学問的同僚による外部評価による実績)に基づく制度に、根本から改めることが可及的速やかに求められるであろう。

 大学経営において、教育研究に従事するものの仕事へのインセンティヴが決定的に重要だと思われるが、その点からみて、この「改革」の中間決算はどうなるのであろうか?

 ともあれ、現在この場にいるものには、その持ち場で大学の再活性化のために、微々たるもの、牛のように遅々たるものであっても、可能な限りで尽力するほかないであろう。

 基礎からChangeを実現していくためには、昨年行われた4年次生へのアンケート結果の集約と速やかな全面的公表が待たれる。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2009年01月08日 01:23 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2008年08月29日

横浜市立大学、法人職員の任期更新「拒否?」問題

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月28日)
 ∟●横浜市立大学教員組合週報(2008.8.28)

8月28日 教員組合週報(本日付)が届いた。教職員倫理規定および法人職員の任期更新「拒否」(?)にかかわる重要な内容をもっている。ニュースが指摘するように、更新「拒否」の問題は、職員の問題だからといって、教員と関係のないことではない。

 精密な議論なしの「拒否」(?)あるいは、拒否の「示唆」(ニュースによれば「人事当局あるいは上司から更新の可能性がないかのような対応」)は、当該職員だけでなく全固有職員を萎縮させ、精神的隷属状況を作り出すであろう。「普通にやっていれば」任期更新するというが、法人固有職員の場合、「普通」とは、いかなる基準で、どのように各人の仕事を評価するのか。その客観性・透明性こそが大切だが、それがない状態では(不服審査委員会がそもそもあるか?)、一方的に職員側が不利になる。大学の自治的な創造的な発展とは逆のことになろう。

 そうした「示唆」、「脅かし」(?)を行うのは人事関係当局であり、理事長以下、法人当局の主要管理職は、市当局からの派遣(任命)なのである。市当局への大学の隷属をさらにいっそう決定的に進めていくものとなろう。

 弱い立場のものは組合に結集して、正当な権利を守るしかない。職員組合と連携した教員組合の毅然とした対応を期待したい。今回のウィークリーが示す申し入れも、その毅然とした対応のひとつであろう。

 倫理規定の箇所も、本学の本質的問題に関して指摘するものとなっている。入学に関して、教授会審議はない。「不正入試に対して脆弱」な現在の本学のシステムは非常に問題だという指摘は、まさにそのとおりであろう。ここでこの重要な問題の所在を重ねて指摘しておくことは、大変重要なことだろう。

 教員評価問題では、当局は、「消極的」になっているという。どのような意味か?

 何も具体的な検討を進めないで(あるいはひそかに検討を進めておいて)、「時間切れ」で、当局の提案を押し付けてくる可能性はある。「95%も参加しているから」と、マイノリティに煮え湯を飲ませることも辞さない可能性はある。そうした「時間切れ」という手段に直面した苦い経験は、組合執行部経験者なら何回か味わっているはず。新給与体系の提案は、12月26日だったかと記憶するが、仕事納めの前日だったはず。教員組合が仕事納めから正月まで慌てふためこうが苦しもうがそんなことはお構いなし、当局に有利なやり方で提案すればいい、とでも言うかのようであった。その苦い記憶はよみがえる。金を出すほうは、交渉がまとまらなければ旧の体系のままですよ、給料は上がりませんよ、と落ち着いていればいいことになる。われわれとしてはそうしたひどいやり方に対しても、誠実に(「弱さ」から?)対応したのではあるが。そして、それなりの体系にすることになったとは思うが。

 「処遇に反映させる」とする教員評価のシステムについても、ぎりぎりまで何も提案しない、折衝しないということか?

 法人の管理職・人事当局は、すべての時間をその仕事に当てればいいのだろうが、教員組合の執行部は、教育・研究・社会貢献の仕事もやっている。時間的にきびしいなかでの対応なのだから、きちんと時間的余裕を持って提案をしてくるべきではないか?

 この間、当局が提案するとしてきた新給与体系にもとづく給与アップ(業績給部分)について、何も前進していないのではないか?

 合意が出来上がるまでの中間的な妥当な引き上げを実施すべきだというのが組合の度重なる要求なのだが、このままでは、本学とほかの公立大学、国立大学や私立大学との給与の差はどんどん広がっていくのではないか?

 いずれにしろ、教育・研究・社会貢献とうにまい進できる状態をこそ作り出すべきだが、その諸条件はどこにあるか?

●法人職員の任期更新「拒否?」問題

 任期更新の時期を迎える法人職員が、本人が更新を希望しているにもかかわらず、人事当局あるいは上司から更新の可能性がないかのような対応を受けているという情報がありました。

 本人が更新を希望するにもかかわらず更新を拒否されて雇い止めとなる前例ができることは、教員にとっても大きな脅威であり、教員組合として重大な関心を持たざるを得ません。

 そこで、任期更新について具体的にいかなる対応をしたのか、以下のような質問書を7月23日付けで作成、30日の折衝で人事当局に提出し回答を求めました。また、後日、榊原委員長が本多理事長に会見して手渡しました。

2008年7月23日

公立大学法人横浜市立大学 
理事長 本多 常高 様

横浜市立大学教員組合
委員長 榊原 徹

法人固有職員の任期更新に関する質問書

 日ごろ教員組合の活動にご理解頂き、ありがとうございます。

 教員組合は、任期制すなわち有期雇用が、大学の自治・学問の自由を破壊するばかりでなく、優れた教員を本学に迎え、長期的視点に立って大学のために貢献してもらうことを阻害するなどの点で、きわめて有害であることを繰り返し主張してきました。

 本年12月末に任期更新の時期を迎える法人固有職員について、更新の可能性がないかのごとき対応をしていると聞いていますが、本当でしょうか。法人化に際し、また法人化以降も、当局は教員に対しても法人固有職員に対しても、「普通にやっていれば再任される」と説明してきました。法人固有職員の任期更新についても、教員組合として大きな関心と懸念を抱かずにはいられません。

 上記のような対応が本当であるのか、もしもそうであるならばいかなる理由でそのようなことを行うのか、説明を求めます。回答は文書でお願い致します。  


 8月22日(金)の折衝では、文書による回答はありませんでした。人事当局は、具体的な人名をあげたので、このような状況に置かれている法人職員がいることが明らかになりました。教員組合側が「更新の可能性がない」と言ったのかと質問したのに対し、「これまでの3年間の業務について話し合う場で、仕事を見直した方がよいというサジェスチョンをした。雇用の打ち切りは明言してはいない。『やめろ』という発言があったとは聞いていない」という返事がありました。

 「本人が更新を希望しているのに更新を拒否することをしようとしているのか」との質問に対しては、「まだ『結論』を出していない状況で、9月中に結論を出す、結論を出したら回答する」との答えでした。「結論」というだけで、それが何の結論かは不明です。

 いずれにせよ、本人が更新を希望しているにも拘わらず更新を拒否するならば、それ自体が深刻な問題です。その上、この法人職員がもしも一般の職員ではなく専門職で、「あなたの仕事はなくなったから」という理由で更新を拒否されるのであれば、教員にとってさらに重大な問題となります。なぜなら、大学教員はそれぞれ専門を持っており、「あなたの科目はもう開設しないから」などの理由で更新を拒否されることにつながるからです。

 また、本学では、今後市からの職員を減らして法人固有の職員を増やそうとしています。法人職員も「全員任期制」です。本学の法人職員が実際に更新拒否されたとなれば、本学の法人職員への応募に二の足を踏む人が出て、優秀な人材がとりにくくなるでしょう。

 教員組合は本年度、教員評価制度の評価結果を処遇に反映することについて、人事当局との間で交渉し、合意点を探っています。「処遇への反映」の中で最も重大な問題は任期更新の問題です。したがって、法人職員の任期更新を拒否するというような事態が生じれば、今後における合意形成の上で大きな障害になる可能性があります。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2008年08月29日 00:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年12月28日

横浜市立大学教員組合、昇任人事等における任期制の強要は違法行為である

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2007.12.25
大学改革日誌
 ∟●最新日誌(12月25日(2))

団交要求書を出しました

 この間、大きな問題となっている、昇任人事と任期制、職務業績給の平均的アップ、教員評価のあり方に関して、団体交渉を求める文書を、本日当局に提出しました。
 その要求書の全文を次に紹介いたします。
-----------------------------------

理事長 宝田良一殿
学長 ブルース・ストロナク 殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年12月25日
横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑三千輝                           

団体交渉要求書

 教員組合は、教員の教育・研究条件の向上を図るとともに、教育現場から本学の真の改革を目指すべく引き続き取り組んできているが、この間重大な問題となっている昇任人事と任期制、職務業績給の平均的アップ、教員評価のあり方に関して、問題の重要性および緊急性に鑑み、2008年1月中旬までに以下の事項について団体交渉を開催することを要求する。

Ⅰ.昇任人事等における任期制の強要について。

1.学長名による昇任に関する文書(「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」(平成19年11月14日付))では、昇任候補対象者について、教員中間管理職に「候補者の推薦にあたっては、任期制への同意状況等を確認」させ、また「学長から人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で、審査を依頼」すると記しているが、昇任審査の際に、任期制同意が前提条件ではなかった法人化以前の大学から身分を継承している教員に対して、このような変更が不利益変更でないというなら、それを立証できる法令あるいは文部科学省通達などの法的論拠を示せ。

2.その上で、学長はなぜ、このような平成19年11月14日付文書を出したのか、また2007年4月の昇任人事についても、6月4日付の教員組合からの昇任人事に関する14項目の質問状に真摯に回答することなく、さらには何ら詳細な審査報告書を提示しえず、かつその総頁数、総文字数すらも示すことなく、学則(第63条3項)をも無視した手続きによって新たな人事を行うことが、いかなる根拠によって正当化できるのかを、団体交渉の場で明確に説明せよ。学長の団体交渉への出席を要求する。

3.任期制への同意を昇任の前提条件とすることは不当なものであると、すでに教員組合は意見書(11月19日付)で指摘しているところであるが、法人化以前からの身分を継承している教員に対して、昇任審査にあたって任期制同意を前提条件とすることは、不利益変更措置であり、違法行為である。学長は平成19年11月14日付文書を撤回せよ。

4.教員管理職人事にあっても、任期制への同意を強制することは許されない。当局が仮に任期同意を求めるとすれば、それは不利益変更措置に他ならない。大学における教員中間管理職は、一般的に定年まで管理職を続けるわけでなく、管理職の職務終了にともなって通常の教員に戻るものである。教員管理職人事にあたっても任期制への同意を条件とすることがないことを明確に確約せよ。

Ⅱ.職務業績給の平均的・恒常的アップの要求について。

  2007年3月16日の新給与制度導入に際して労使間で締結した「合意書」において、当局はすみやかに職務業績給の適用に関して提案を行うとしているが、その後の事務折衝で組合が提示した要求、さらに文書による組合から提出した要求(「職務業績給に関する要求」(2007年11月29日))を無視し、当局は年末にいたるまで職務業績給アップにかんして、何らの具体的な提案をしようとしない。当局のこのような態度は誠実な労使関係の構築を著しく妨げるものである。そもそも法人化以降、法人化前の大学において行われていた定期的昇給に相当する額の昇給、約束した職務業績給の平均的・恒常的アップを果たさないことは、労使関係上、許されざる背信的行為に当たることを充分認識し、具体案を早急に提示せよ。

Ⅲ.教員評価制度に関して。

 当局は、現在のSDシートによる、いわゆる「教員評価」を、教員の納得が得られるまで処遇に反映させないと2006年11月30日の団体交渉で約束した(「処遇への反映は、教員の理解が得られてからになる。」(当局側回答)、「処遇への反映は教員組合との協議事項だ。教員組合との協議を経てという意味だ。」(当局側発言))。しかるに現在のSDシートは、さまざまの重大な問題をはらんでおり、いまだ処遇に反映することが可能なシステムとはなっていない。

 よりよい教員評価制度を構築し、横浜市立大学を社会が必要とする大学、また透明性が高い、社会に認められる大学にしていくのであれば、組合の質問に対する学長の不誠実な文書対応(「19年度組織目標提示ついての質問状に対する回答」(5月10日付)、表題なしの回答書(5月22日付)、表題なしの回答書(6月7日付))を充分自省し、18年度教員評価試行における問題点を洗い出し総括するとともに、それがいかに19年度評価シートに反映されたのか、また今年度の新たな問題点は何かを明確に示すことが必要である。労使間で積み上げてきたこれまでの合意を無視して独善的かつ欺瞞的な案を提示し、評価制度を一方的に処遇に反映させるなどということは、これまで築き上げてきた健全な労使関係、信頼関係を著しく損なうものである。今後の、教員の処遇そのものにつながりうる教員評価制度のあり方に関して、教員組合と真摯に協議を行っていくことを改めて確約せよ。

以上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年12月28日 21:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年11月28日

横浜市立大学教員組合、「組合員・教員の皆様へのメッセージ」 学長による「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦」に関する文書は、極めて許しがたいものである

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2007.11.27

執行委員会からの組合員・教員の皆様へのメッセージ

昨日、「組合員・教員の皆様へのメッセージ」をメールで組合員の皆様に配信いたしました。週報として、次に再掲させていただきます。なお、このメッセージは、学部長、研究科長等にも、プリントアウトしたものを、教員組合委員長名で届けましたことを、あわせてお知らせいたします。

組合員・教員の皆様へのメッセージ

2007年11月26日
横浜市立大学教員組合執行委員会

 すでに11月19日付組合週報でお知らせしましたように、学長は、11月14日「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」という文書を学部長、研究科長等に宛て出しています。

しかし、昇任問題に関しては多くの問題点が明らかになっていない上、さらに加えて、教員管理職にも被害が及びかねない新たな問題も出てきましたので、組合員・教員の皆様に、執行委員会としてメッセージをお届けいたします。

1.この「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」という文書に記載された手続きは、下記学則に反しています。

学則第63条3項には

「コース長はコース会議の議を経て、以下の事項について決定する」

とあり、その(2)および(3)には、はっきりと

(2) コースに係わる教員人事の学部長への発議に関すること
(3) コースに係わる教員配置に関して学部長への発議に関すること

と書かれていますが、未だ当局からは納得のいく説明がありません。どのように読んでも、この(2)に記載の教員人事は新任人事と限定されているわけではありません。

コース所属が明らかな教員の人事にかんしては、その発議者は「コース会議の議を経」たコース長であるべきです。

学長は自ら、大学の学則を破る行為を行なうつもりなのでしょうか。法は法、規則は規則です。学長から出された学則無視の文書は、やはり重大問題です。

「昇任候補者の推薦」にあたっては、まずこの問題を明確にしなければならないと考えます。

2.また同文書には、

「学長からの人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で審査を依頼します」と書かれています。

 これは、許しがたい言葉です。

すでに組合は6月4日、本年4月昇任人事について質問書を出し、「教授等の条件を文部科学省は大学設置基準第14条等で厳格に規定している」と書きました。大学設置基準は「一大学の一時期の経営方針」などより明確に上位に位置するものです。ここでも文部科学省の示した基準を遵守するどころか、恣意的「判断を加味」しようとするものです。

文部科学省と異なる条件を恣意的に加えることは問題である、と組合はすでに質問書で指摘しましたが、この質問事項に関して、当局は何らの回答もしていません。

また組合は、本年4月の昇任人事に関して、詳細な審査報告書を示すよう、また少なくとも詳細な審査報告書の総頁数ならびに総文字数が何字であるのか示すよう、質問を繰り返しているにもかかわらず、当局は総頁数や総文字数といったものすら示そうとしないことは、奇怪きわまりないことです。

このような状態のままでは、公正・公平・透明な人事が行なわれるとは、とても思えません。

3.さらに、学長の11月14日のこの文書には、

「候補者の推薦にあたっては、任期制への同意状況等を確認して下さい」
とあります。

任期制への同意・不同意の確認を、学部長、研究科長等の中間管理職に求めているわけです。つまり、任期制への同意・不同意の選別を、あらかじめ中間管理職にさせようという意図であるのは明らかです。しかし、これはこの先大きな問題をはらむことになると考えます。

もし仮に、自己申告希望者が推薦されなかったことを不服として、労働委員会等に提訴するといった行為に及んだ場合は、この段階では学長の関与ではなく、学部長、研究科長等の中間管理職が選別に関与したとして、係争問題の当事者となる危険があるのは明らかです。

つまり、当局はその責任・危険を中間管理職に押し付けようとしていると考えられます。同じ職場の教員が、係争問題の当事者とされる危険すら予見されうることでもあるので、同じ教員という立場の者として、きわめて問題であると考えます。

以 上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年11月28日 10:47 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年11月26日

横浜市立大学の任期制強制システム、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(11月23日)

11月23日 最近よく耳にするようになったのは、医学部においては教授会自治が復活し、機能しているということである。その実態をつまびらかにしないが、おいおいに情報が入ってくることになろう。

 ともあれ、国際総合科学部の人事においては、最近の「学長文書」でも明らかになったように、学長・学部長・研究科長が任期制を強制するシステムの担い手(意思確認の圧力行使主体)になり、昇任対象教員(自己申告する教員)の任期制同意の確認状況を踏まえる役目を負わされているということである。その学長文書がそのまま行使されれば、学長は副理事長として経営サイドの人間でもあるが、教学サイドの管理職を、昇任審査に入るかどうかの前提として任期制への同意状況を確認する仕事に組み込んでいるのである。

 学長文書が示すように、任期制に同意した(することを約束した)教員しか、昇任審査の人事委員会にかけないということは、今までにない事前の公然たる任期制強制システムであり、身分継承教員・定年までの身分保障を継承した教員への不当差別・不当労働行為を学長・学部長・研究科長が分担して行使することになる。教員組合が、ただちに、意見書で、重大問題だとして批判し、撤回を求めたのは当然である。

 昇任審査は、その教員の教育・研究・社会貢献等の実績の総合評価で行うべきであり、労働契約の条件である任期の有無とは関係なく行うべきである。それが、法人化以前のやり方であり、今なお全国ほとんどの大学で行われていることである。

 任期制の内容、任期制を適用する法人サイドへの信頼感がないとき(信頼できない人々にとって)、その任期制への同意不同意を昇任の判断基準とするのは、教育・研究・社会貢献の業績を正当に評価しないことに繋がる。

 任期制に同意する教員は、あまりにも法人サイドを信頼しているか、法人サイドに信頼されているか、いずれにしろ「当局寄り」の人々、ということになり、そうした経営サイドに協力する教員だけが、教育・研究・社会貢献等のしかるべき業績なしか相対的低水準であっても、当局に対して従順(「任期制同意」、任期制に危険性を感じない、etc.)だから昇任できるということになる。これは、処遇条件の中でも最も重要な問題、すなわち、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為ないし、それに繋がる。重大問題であることは明らかであり、撤回させなければならない。

 任期制不同意教員は、教員組合に結集し、有期契約に反対してきたのであり、大学自治破壊の改革過程の諸問題、これまでの当局のやり方、さらに、つい最近もみられた不当労働行為(労使対等の粘り強い交渉結果としての合意書が出たそのすぐ後で、合意書内容を否定するような評価システムを平気で提案するような法人サイドの態度)を批判する人々であり、大学自治の重要性を認識し、守ろうとする人々であり、その教育・研究・社会貢献等の業績は、ピアレビューできちんと評価するべきものだと考えているような人々である。

 もし学長文書がいうように「任期制への同意状況等も判断に加味」して、学長が「人事委員会に審査を依頼」すれば、事実上、文科系の圧倒的教員(任期制に同意していない教員が多数を占めるから)は、昇任審査において業績審査に入る前,すなわち、事前に、差別される、排除されるということになる。

 学長文書を書いたのは誰か?・・・学長責任であるのはもちろんだが、かなり問題のある日本語公文書を書いたのは学長ではないのではないか、とうわさされている。検証が必要!

 このシステムを推進するのは、誰か?・・・誰がこのシステムを推進しようとしているか注意深く観察せよ!
 このシステムによって利益を得るのは誰か?・・・・誰が、任期制に同意したことによって昇任したか、注意深く検証せよ!
 任期制同意によって昇任を勝ち得た人はどのような人か?
 今回のような学長文書を作成したひと、同意する人、推進する人は、どのような人か?・・・誰が推進しているか、注意深く観察せよ!

 推進者は、任期制に同意することによって、きびしい業績審査をクリアしないでも、昇任できた人々ではないか?
 厳しい業績審査をクリアし得ない人々が、任期制への同意によって、昇任しようとするのではないか?
 任期制への同意がハードルとしてあれば、競争相手が少なくなり(場合によっては、分野により、同意者一人なら競争相手がいなくなり)、それだけ、教育・研究・社会貢献の業績のハードルは、低くなる。それだけ、自分の昇任が早くなる?

 その結果、任期制への同意・不同意のハードルが業績審査の前にあることによって、相対的に低い業績のものが優先的に昇任審査を受けられることになれば、本学の教育・研究・社会貢献の諸力は、確実に、長期的に低下していくのではないか?

 自然科学系では任期制への同意者の割合が多い。しかし、それは、実は、日本の科学技術研究に深刻な破壊的な影響をもたらしかねない。信頼できる知人から頂戴した下記情報を引用しておこう。…


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年11月26日 09:47 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年11月19日

横浜市立大学任期制、再任に関する合意書

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(11月15日)
横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2007.11.15

 週報が発行された。法人経営者から大学管理職のすべてが、「外から」、「上から」任命されている全国でもまれな大学において、ぎりぎりのところで、任期制に同意した教員の自由・民主主義的権利を守っていくために、努力したが、この結果を、大学の自治、自由と民主主義の発展に活かすためには、全教員の不断の注意・努力が必要となろう。

 改革過程から今日までの当局のやり方を信頼できない多くの人々は、教員組合の一貫したスタンスに共鳴し、その基本的立場を現在なお支持し、「任期制への同意強制に反対」している。この同意強制は、労働基準法違反との見地である。昇任の可否という重大な処遇条件をハードルにして、任期制への同意を迫るものであり、差別条件の強制は、友好的で良好な関係に基づく真の合意にもとづくでないことを証明するものだからである。

 この間の昇任に関わる問題を見ても、当局に対する不信感には強いものがある。当局が示した新しい「説明」には、信義違反、団体交渉の結果の誠実な実行という点での違反もみられ、不信感と怒りを増幅している。

-------横浜市立大学教員組合週報------

「合意書」が取り交わされました

 すでに11月1日付の速報でお知らせしましたように、10月31日の団交を受け、再任に関しての基本的な考え方等に関して、付帯条件を付した「合意書」が作成され取り交わされました。

 付帯条件においては、再任に関して、当局が一方的に再任についての判断を行なわないよう判断基準や方法に関して、また不服申立やその審査制度に関しても、当局と組合間で協議を行なっていくという文言が入れられました。

 また、任期の開始時期に関しては、当局と組合間での見解は相違したままでしたので、「今回の取り扱いは」「当面の運用」とするということについて、評価制度やテニュア制度等を当局と組合間で協議をしていく中で、どのようにとらえるかを考えていくといった趣旨の文言を付することとで合意し、これらの問題においても当局と組合と協議が行なわれることが必要という条件を付することになりましたので、以下に、その全文を掲げ、お知らせいたします。

合 意 書

平成19年10月31日

公立大学法人 横浜市立大学  署名
 副理事長  松浦 敬紀

横浜市立大学 教員組合    署名
 執行委員長 永岑 三千輝

 公立大学法人横浜市立大学(以下、「当局」と言う。)と横浜市立大学教員組合(以下、「組合」と言う。)とは、平成19月10月31日までの交渉の結果、以下の条件を付して合意した。

 なお、この交渉結果について変更が必要となる場合は、改めて、当局と組合の間で協議を行う。

【合意事項】
1 再任に関しての基本的な考え方

教員の任期更新に関しては、次の考え方による。
(1)大学教員としてその能力及び意欲が欠如しており、教育・研究内容やそれらに対する取組みがきわめて不十分で、大学が果たすべき社会貢献について取り組む姿勢が見られず、また大学運営にもほとんど協力が得られないなど、本学の教員として、再任が適当でないと客観的に判断される場合以外は、再任する。
(2)これらの問題がある場合にも、改善のための働きかけを行い、本人の姿勢や行動から改善が期待される場合は再任も可とする。

2 任期更新手続きの時期

 任期が3年の教員の更新手続きの時期については、3年ごとに行うこととする。
 なお、准教授並びに助教について、任期中に労働基準法14条1項1号の規定に基づく厚生労働大臣が定める基準に該当した場合には、次期任期期間を5年とする。その場合も、当該職位の任期の上限年数は変わらないものとする。

【付帯条件】
1 【合意事項】1にある「客観的判断」の基準と判断方法、「改善のための働きかけ」方法、並びに想定しうる不服申立・審査制度のあり方に関して、当局と組合との間で、協議を行っていく。
2 任期更新に係る再任審査の実施にあたり、3年任期の教員あてに配付した文書「任期更新に伴う自己申告書の提出について」(平成19年7月24日付)にある、「今回の取り扱いは」「当面の間の運用とします」という文言の扱いに関しては、評価制度の任期更新への反映、並びにいわゆるテニュア制度の実現に向けた取り組み等を、当局・組合間で協議していく中で、今回の再任のあり方も含め、整合性のあるものとして整理・協議していくこととする。
【その他情報提供】
・「雇用契約書 兼 労働条件通知書」の様式について情報提供を行い、当局と組合で内容を確認した。

以上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年11月19日 00:05 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年09月25日

横浜市立大、「全員任期制」 任期更新をめぐる労使の対立点

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(9月24日)

9月24日 任期更新をめぐる労使の対立点は、つぎのようなものである。

 第一の根本的対立点は、法人サイドは、「全員」任期制を掲げていることであり、他方、教員組合は、公務員時代の身分継承の法理からしても、また、大学の自治(学問の自由の制度的保障)の見地からも、全員の有期契約はありえない、大学教員任期法に基づく限定的な任期付ポストの設定がありうるだけだ、との立場である。

 その立場からすれば、法人化後に採用され、募集時点で「任期制」を承諾していた教員についても、一定の条件を積めば、テニュア(定年までの雇用保障)を与えることを制度化すべきだということになる。法人サイドは、任期制が、大学の活性化に繋がるものとして、「全員」任期制を主張しているが、その合理的説明はない。法人サイドが任期付教員の解雇を行う自由のカードを一枚もったというところであり、任期をつけた教員の教育研究の活性化が、公務員時代の身分を継承している教員の活性度とどのようにちがうかの実証も検証も、今のところ示されていない。

 第二の対立点は、法人化に際して、「任期制に同意」した元公務員身分の教員と、法人化後に採用されて「任期制」を承知の上で職についた教員に関して、任期に関する契約(雇用契約)が結ばれているとする法人サイドと、それは明文化された形では存在せず、明文化された雇用契約でもって初めて任期に関する雇用が成立するとの立場(弱い立場・不利な立場)を擁護する教員組合のスタンスである。事実において、法人とそれぞれの任期付教員との間に、現在示されているような雇用契約文書は存在しない。(現在示されている雇用契約書なるものが、いつの時点で、誰に対して出されているのか、明確な説明はない。)今回初めて、その文書が教員組合に提示され、周知のものとなった。

 これまで、2005年4月の法人化発足時点では任期に同意した教員に関して、明文化された雇用契約のない任期であった、ということは事実である。そのことの重みをどのように考えるか、これが、法人サイドと教員組合とが対立するところである。

 この対立点が深刻な問題となるのは、助手、助教、准教授などであり、それぞれの最長任期延長期間が限定されているからである。

 (教授は、「考え方」に示された最低限の条件をクリアすれば、再任の回数制限がないので定年までの身分・雇用は確保できる。しかし、任期制とは、その期間内に「最低限の条件をクリアすればいい」ということを意味するのか?それは大学の教育研究の活性化と整合するのか、という根本問題はある。無限定の、「全員」任期制などというものが、いかに、教育研究の活性化とは矛盾するかを典型的に示す事例といえよう。)

 今回、当局が示した理事長見解(昨年末に新給与体系の提案に際して、その一部に付随的に盛り込まれていた副理事長見解を補足した3月時点での理事長見解)は、再任基準をめぐって不安を抱える教員に対して、再任における最低限クリアすべき条件を示そうとするものであり、ある意味では、再任審査の許容度を広く設定したものである。

 しかし、そのことは、今回、雇用契約に署名すれば、その署名の事実を持って、任期雇用の開始が2005年4月時点であったことを認めることとされ、この2年半の雇用契約書なしの宙ぶらりんの状態が、更新限度の年数(最長任期期間)関しては、一方的に法人サイドに有利に解釈されることになるのではないか、という問題がある。助手、助教、准教授にとって、3年間、雇用保障が延びるか短縮するかは、巨大な処遇の利益不利益、安定・不安定に関わる。

 法人サイドは、あきらかに、2005年4月の法人化開始とともに任期が開始したと解釈して、今回の再任手続きに入っているが、この間の、雇用契約書を個々人の教員と結ばなかったという問題点に関しては、その責任を逃れようとしている。(再任教員に対して提示しようとしている雇用契約書が今回初めて示されていることからしても、2005年時点にそのような契約書が存在しなかったことは厳然たる事実である)。

 助手、助教・准教授という身分的に不利な教員に対する配慮がないかぎり、若手教員のやる気、本学への帰属意識は希薄なままにとどまり、それは教育の活性化や充実には結びつかないだろう。とくに、学部の構成からして、教授数、准教授数等において厳しい制約がある医学部の場合、その問題が深刻となろう。

 第三の対立点は、4月の昇任が「経営的観点」から、拒否されたことにみられる人事評価のあり方の問題が、任期更新の審査でも、制度的に内在しているということである。昇任においては客観的基準が提示されているが、その運用が、一般教員の信頼を得ていない。何はともあれ「任期制に同意」し、教育研究の実績は積まなくても法人の意向に沿った学内事務的なこと(管理職業務)をやれば教授になれる、といった風評が流れるのは、そのあたりに問題があるからであろう。

 昇任問題と同じように、いくら「最低限の条件」を、法人が再任の条件として示していても、いざ審査の段階となると、「経営的観点」を理由に、再任を拒否することができる状態となっている。まさに、人事こそは、大学自治(学問の自由)の根幹に関わるものであり、そこでの教員の安全(自治)が確保されていない問題である。

 法人サイドの今回の再任手続きに関する文書では、今回のやり方が「教員評価制度の未確立」な段階での過渡的・臨時的な措置であることが文章化されて、示されている。教員評価制度が確立すれば、別の再任基準・別の再任手続き・別の再任審査機関等が適用されることになる。したがって、教員評価制度が未確立な段階(「考え方」の審査に当たっての基準や運用、その組織など)での「再任審査」が、業績の形式面だけを審査するものとならざるを得ないことを認めているといえよう。ただ、当局がそのことを、該当教員に分かるように説明しているわけではない。当該教員が不安に駆られているとしても、当然である。

 第四の対立点は、一見すれば、再任とは関係がないような問題、しかし、再任問題と深く関わる問題としての、昇任審査基準、その適用、判断主体(機関)の問題である。当面の再任は、「最低限の条件」でクリアさせておいて、昇任基準に関しては厳しく適用すれば(基準自体が厳しくなっている、あるいは、経営的観点を持ち出せば)、昇任不可能で、任期切れ、解雇に追い込まれる。この問題である。

 今回の「再任審査」の形式性やハードルの「低さ」にだけ注意を向けようとする態度が、法人サイドの発言に見られるが、それは、根本的に重要な問題を隠している、見ようとしない、態度といわなければならない。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年09月25日 21:53 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年08月27日

横浜市立大学、「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員の主張

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月24日)

横浜市立大学教員組合週報(2007.8.24)

目次 ●「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員の主張の紹介

 一昨日の団体交渉で、任期更新問題は、今後の組合と当局との継続審議事項ということになりました。

 また、24日までに、自己申告書を出さない場合にも、不利益措置はない、という確認を当局からとりました。

 しかし、教員組合の8月5日付の「任期更新手続きに関する団体交渉の要求」文書にある「制度への同意の条件となった約束の具体化・制度化が見られない」という理由により、今回、自己申告書提出が求められたことに対して抗議をし、「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員もいますので、その主張の要点を紹介します。

1.「同意書」には、「任期制を適用(任期のある雇用契約を締結)することに同意します」とあるにもかかわらず、「同意書」提出後、いかなる「任期のある雇用契約」も締結されていない。雇用契約とは、大学側と被雇用者との間に交わされるものであり、被雇用者の関知しないところで、一方的に大学側が「契約」を結ぶなどということは、ありえない。したがって、「任期のある雇用契約」は締結されていないとみなさざるをえず、任期制は現時点においてまだ適用されていないと考えるのが当然である。

 しかるに、このたび大学側は「今年度末で任期満了となります」とする文書を送りつけてきたのは、明確な違反である。

 一言でいえば、「雇用契約(任期、年俸などに関して)」を締結していないのに、「同意書」を提出した者を「任期つき」教員とみなす今回の大学側のやり方には、大学側と教員の信頼関係を損なう、重大なあやまりがある。

2.平成17年3月15日付の松浦最高経営責任者名による、任期制への同意を求めるための文書「任期の定めのある雇用契約への同意について」には、明確に「今回は、あくまでも任期制の適用に同意をいただけるかどうかを確認するものです」とあるにもかかわらず、「同意書」の提出を任期制の適用とみなすような、「任期更新に伴う自己申告書」の提出を求めることは、違反行為である。

3.昨年10月2日、大学側が開催した公式の「説明会」において、「任期制はすでに発足しているのか」との質問に、座長の馬来副学長が「まだ発足していない」と返答した。にもかかわらず、大学側は平成17年度において任期制がスタートしていることを前提とした、「任期満了」の通知を送りつけてきた。これは許容しえない違反行為である。

4.大学側が「同意書」をとりつけるに際して付した「任期制運用の基本的な考え方について」に示されている、「同意書」を提出した者に対する優遇措置が何一つ実行されていない。ここにも重要な約束違反があるが、それ以上に、このことは、「同意書」提出後、「任期のある雇用契約」がなんら締結されておらず、したがって任期制もまだ適用されていない、と考えることの正当性を証明するものである。

 任期にかかわるような労働契約は、文書をもって示し、それにもとづいて契約を締結しなければならないのは、明らかなことです。また、任期制への同意を求めるにあたって、当局が示し教員に期待を抱かせた諸条件は、法人化後、2年以上経過したにもかかわらず、何ら実行されていません。このことは、任期同意者の期待を裏切るものあり、信頼関係を踏みにじるものに他なりません。当局は、欺瞞的な言葉によって任期への同意を求めたことの責任を明らかにしなければならないと考えます。また組合は上記のような立場をとる組合員の権利をも守るよう努めます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年08月27日 00:08 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年08月24日

横浜市立大学教員組合、任期制問題に関する団体交渉 そもそも「全員任期制」はありえない

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月23日)

8月23日(1) 当局との「任期更新手続き」に関する第一回団体交渉を行った。

 組合側は、原則的原理的に「全員任期制」はありえないし[1]、従ってそのような制度には反対である旨、年来の主張を繰り返した。

 なお、今回の交渉は、3学部解体・法人化移行への二つの重大な変更が行われようとしている混乱期、評議会・教授会の機能停止のなかで、制度設計の主導権を市当局(改革本部)が握った異常な事態における「任期制への同意」であって、その当時には任期制の内容は不明確であったが(当時の就業規則に関する組合意見書参照)、当局を信頼し、あるいはさまざまの不利益を恐れ、あるいは当局の約束を信用した人々に関するものであり、そうした人々が不利益措置に陥らないためのものであることを一貫して主張した。

 また、平成17年3月時点の「任期制への同意書」は、あくまでも「制度への同意」である。それに基づいて、次に行われるべき任期の明確な提示を含む再任条件等が明記された雇用契約書が結ばれていないので、雇用契約書を持ってはじめて任期の開始となる、というのが組合側の一貫した主張であり、明示的に意見表明された多くの組合員の考えでもあって、当局のスタンス(平成17年4月1日から任期に関する雇用契約も開始したとの主張)とは平行線をたどった。

 結論的にいえば、更新手続きに関しては、「交渉継続」となった。
 したがって、当局との交渉継続中であることから、任期更新諸条件の不確定な段階で当局提示の更新手続きについて何の危惧・懸念も抱かない人々は少ないであろうから(団体交渉要求書はその不安・懸念の意見を集約しているので参照されたい)、そのことへの配慮を求め、それについては了承された(本日発行予定の組合ニュース参照)。

 今回、「3年任期」該当者と当局が考えて任期更新手続き書類を送付された関係者は、当局提示の条件に危惧を抱き、重大な不利益があると懸念する場合(それは大学や社会の情勢変化で十分想定される懸念であるが)には、「任期雇用の契約書を見ていない」、「任期雇用の契約書に署名していない」など、現在も法人化までの身分が継続している、といった自らの考え・主張を文書で提出しておくことが必要であろう。

 組合の見地では、当局への団体交渉要求書が示すように、それがなくても、現在の更新手続きに瑕疵があるので、任期制への同意自体を撤回し、法人化までの身分保障(65歳定年までの期限の定めのない雇用契約)に復帰することができるものだと考えているが、その意思表明は各人・該当者が行っておく必要があろうということである。すでに明確に「任期を明確に規定した雇用契約がなく、それに署名していないのに、今回、更新手続きを送りつけてくるとは失礼千万、今回の手続きを撤回せよ」と求める文書を、経営最高責任者に書留で送った教員もいる。その教員はさらに、かつて提出した同意書を、上記のような諸理由を挙げて「同意撤回の条件があり」として、返還するよう求める文書を副理事長(経営最高責任者)宛に送付している。これは、どうしたらいいか困っている若手には参考になろう。

 当局を信じ、何も疑念を抱かない人は(その多くは多分、当局サイドべったりの人、また多分当局と一体化した人、定年が近く更新手続きをしても自分には何の不利益も不安もない人、いや更新手続きで当局の覚えがめでたい人、などであろうが、それが何人いるのか? 少数者としては絶対の自信を持って再任されると思う人、また、ごく少数としては、不利益措置があれば闘うことを覚悟し、労の多いその闘いに勝利する自信を持っている人もいるだろう)、何も意見も述べずに(意見書提出なしに)更新手続き書類を提出することになろう。

 しかし、任期更新回数が限定されている以上、それによって一番重大な不利益をこうむる恐れのある助手を初めとして、少なくとも准教授までの人々は、任期回数制限が来た場合のことを考えると、また、それまでにどのような事情変更があるかもしれないことを考えると、組合の見地に従った予防措置を講じておいた方がいいのではないかと思われる。

 法人化後採用され、最初から、法人採用であるために、任期制で公募された人々の場合は、任期雇用の契約書にサインしているはずである。(少なくとも組合の入手した昨年度までの雇用契約書では、サインする書式となっている)

 しかし、その場合にも、再任条件、再任審査体制等に関する意見があれば、それを明確に述べておくことが必要であろう。公正な、大学らしい客観的な審査を求めるであろうから。

 たとえば、「普通にやっていれば更新」という基準を客観的に規定せよ、ピアレヴュー体制が確立していない現在の状況では審査基準の適用について安心できない、早急なピアレヴュー制度の制定を求める、大学の自治の制度の下でピュアレヴューがおこなわれるべきであり、憲法的要請からして、そうした大学にふさわしい再任審査を求める、とかいろいろと各人の考え方に応じて意見の表明の仕方はあろう。

 4月昇任で、「経営的観点から」拒否された教員の業績はどう評価されたか?
 4月で昇任した人の業績は、どのようだったか?
 評価・審査の体制は、公正・透明と思うか?
 そもそもかつての教授会のような審査報告書を読んだか?
 審査報告書はあるのかないのか?

 われわれが知る限りは、「任期制に同意していない」人が、昇任を拒否された。つまり、任期制は、同意しない少数者をいじめる(差別する)道具、寒々しい手段になってはいないか?

 任期制は、業績を評価して、それに対するポジティヴな処遇を提示して、人々を奮起させるものとなっているか?

 組合の検討でも問題になったが、任期審査に関する規定を該当者は見てほしい。学長がかなりの権限を持っている。いや場合によっては決定的な(生殺与奪の)権限を持っているとも解釈できる。(組合の議論でも解釈は対極的なものがあった。)
 その学長は、皆さんが選んだ、あるいは選出に参加した学長であるか、信頼できるか、学内構成員によるチック機能は働くか。

 現在の学長には場合によっては問題を感じないかもしれない(だがSDシート記入に際して「脅かし」のメールを送りつけたことをどう見るか?)。しかし、任期更新の継続中に,学長は次々と変わりうる。その場合、つぎに「外部から」「権力的な」学長が投げ込まれた場合(一般の全体的な大学教職員による学長選挙制度がない現在の制度では、それが十分可能である)、審査の公平性がどうなるかわからない。その不安はないか?
 つまりは、憲法の保障する大学自治に関する重大な欠陥がある現状を、そのまま信用していいか、そのような制度を作った行政当局を単純に信頼していていいのか、といったことが問題となろう。

 代表的な意見に関しては、組合の団体交渉の要求書に、すでに明記してある。すなわち、組合員の意見を集約する形で、教員団体としての見解を表明しているので、それを検討してほしい。それが不十分だと考える場合、各人が独自の意見書・見解を明確に追加的に述べておく必要があろう。そのような意見表明の数が多い方がいいと考える。黙っていれば、すべて納得とみなされる。「同意書」を提出しただけで、任期をつけた契約書とみなされる。だまっていればそうなる。
 「反対しないもの、黙っているもの」は、60年安保条約締結時、岸信介政府によって、どのように解釈されたか?

 組合の表明したスタンスと同じであれば、組合員としての自らの見解が代表的集約的に表明されていると考えてもいいであろう。当局との交渉は、組合執行部がやっていくことになる。交渉は継続中である。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年08月24日 00:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2007年08月07日

横浜市立大教員組合、任期更新手続きに関する要求「本来の教員評価制度が未確立の段階で、経営側の一方的な審査制度を適用することは、大学自治破壊である」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月06日)

8月6日 先日(2日)の執行委員会・拡大執行委員会の審議を経て、いわゆる「3年任期」の教員に対する更新手続きに関して、何重もの重大問題がある、ということで団体交渉を求め、経営トップと直接組合執行部と協議する場を設定するよう求めた。また、大学院手当て問題に関して、抗議と要求を出した。それを知らせるウィークリーにもリンクを張っておこう。夏休みで(われわれも、講義等の学期中の仕事は「休み」、普段できない研究関連の仕事にもっと時間を割きたいのだが・・・)、組合HPへのアップは遅れるかもしれないので。

 専攻長・研究科長等に数理科学の教員が確認したところ、当然のことながら、総合理学研究科は存続しており、この総合理学研究科に今回手当てを削除された教員全員が現在も所属している。そうした大学院研究科組織の構成メンバーに当然支払われるべき手当てを支払わなかった、シラバスだけを見て事務的に処理をした、ということになる。大学院のあり方に関して、またこれまでの経緯に関してなんら調査しない、実に乱暴なやり方である。

 これは、大学院研究科委員会が機能していない(人事課当局・法人当局との連絡欠如の)現状の反映でもある。手当て問題の取り扱いに関しては、研究科長・専攻長と事前にきちんと調整を行い、問題点がないかどうか確認しておくべきものなのである。

 もう一点の問題は、「改革」過程で強行的に廃止した数理科学科等の教員の新しい研究科での任務をきちんと整理し確認してこなかったということである。大学院の理科系の諸コース、とりわけ物理等の基礎的な諸学問において数理科学は絶対必要な科目のはずであり、そうした科目を講義課目として、あるいは、演習科目として設定しないでいいのかという問題がある。これは法人と大学の現在の執行部全体に問いかけられている問題であろう。また、これは、研究院の組織に対しても問いかけられていることである。

 教員組織としての研究院には、数理科学等の教員が全員所属しているのであり、その研究院から、各専攻科や各コースに教員を派遣するというシステムのはずであり、その見地からすれば、数理科学等の教員をしかるべき大学院の専攻の諸科目に派遣するのが筋である。現在の経営と大学・研究院の責任者たちが、その調整を行ったという話を聞かない。

 研究院に所属していて大学院に派遣されないのは、変則であり、適切な科目(しかも当然に必要な数理科学の科目)を新しい大学院の科目に設定することこそ、学問的な必要性からしても総合的な発展を目指すやり方からしても、また「生首を切らない」(あの数年前の激動の「改革」期に語られた言葉)温和な改革の手法としても、基本的な筋道のはずである。

 いったい、研究院はどうなったのか?

 国際総合科学における理科系専攻(修士・博士)は、数学の科目は必要ないのか?

 一昨日だったか、小柴昌俊氏の刺激的で面白いインタビュー番組をNHK・BS2で見たが、物理研究において数理科学は非常に重要だというのははっきりしめされていたが、それはある意味では初歩的な知識ではないのか?その数理科学の科目が大学院になくていいのか?不思議だ。貴重な人材を大学院が活用しないなどとは。

理事長 宝田良一殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年8月6日
横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑三千輝 
                          

任期更新手続きに関する団体交渉の要求

 以下のような諸理由・諸要求により、「3年任期」の対象とされる教員の今回の更新手続きを停止し、改めて「3年任期」の教員に対し、「5年任期と同様の制度」を提案すること、また、任期制度の前提となる教員評価制度を大学の自治の原則に合致する制度として構築すること、そのために教員組合との協議を積み重ねることを要求する。

 当局が示す自己申告書の提出期限が8月24日であり、事態の緊急性に鑑み、8月24日以前に、第一回の当問題での団体交渉の場を設定するように要求する。

―今回の手続きの問題点と要求事項―

 処遇の中でも最も重要だと思われる雇用身分に関して、とりわけ、任期の適用に関して、教員組合になんら原案を提示せず、一方的に経営サイドで決めることは許されない。このまま強行することは、労使対等原則での雇用関係構築に反するものであり、信頼関係に基づく労使関係を構築する姿勢ではなく、不当であり、大学の発展を阻害するものとなる。

 任期制適用に関して、以下の問題点と要求事項に答え、団体交渉を踏まえて、労使の合意に基づいた協定書を作成することを求める。

1.任期開始時期に関する要求

 任期がいつから始まるかは、雇用保障の期間に関係し、とりわけ、助手・助教・准教授の場合、更新回数が限定されていることから、また、分野によっては教授への昇任が教授数との関係で絶対に不可能なことから、重大な問題となる。そうした重要な問題について納得のいく制度を明確に教員側に提示していない。さらに、当局は、雇用契約書が存在しないにもかかわらず2007年4月を開始時点としている。何重もの問題点をもつ開始の時点に関して、経営サイドが一方的に決めていることは問題である。

 当局が根拠としている同意書は任期の開始時期を明確に規定していない。しかも、同意書の文面からすれば同意書とは別に法人化後に雇用契約が行われると読みとれる。期間を明確に定めた雇用契約の締結をもって任期が始まると思っていた教員に、不利益措置となるような任期開始(2007年4月)を一方的に法人が定めることは重大な問題をはらむ。同意書に任期不記載の当局責任を認め、任期を明記した個別契約書の締結を持って任期開始とすべきである。

 「教員評価制度」の結果を任期更新の判定に用いるとすると位置付けているにもかかわらず、当局の都合で「教員評価制度」が2年遅れてスタートし、しかも本年度の評価結果は処遇に反映しないとしている。このような当局の怠慢を自ら反省せず、「教員評価制度」の結果を待つことなく、任期更新の審査を別途行うことは重大な違反と言える。

 任期制度と評価制度の相互関係から当然の帰結として、処遇に反映される「教員評価制度」が実施されると同時に実質的な任期開始となるべきであると考えていた教員も多い。

 以上の問題指摘に対して、教員の納得出来る説明を行うことを求めると同時に、同意書を提出した教員に対して即刻雇用契約書の締結を行い、それをもって任期開始時期を明確にすることを求める。

2.「3年任期」・「5年任期」の同等扱いに関する要求

 当局は法人化前の教員説明会での配布資料(添付資料参照)において、「任期が3年となる者については、任期年数の上限を5年任期のものと同様の扱いとなるようにする。したがって準教授の場合、最長15年まで認める」としている。また、職員任期規程の第2条の別表1にも、教員説明会の資料にあると同様、「任期が3年となる者については、任期年数の上限を5年年期の者と同様の扱いとなるようにする。したがって、助教の倍は最長10年まで、准教授の場合は最長15年まで認める」としている。

 こうしたことから、該当する教員は、5年任期の教員と同様に運用されるものと考えていた。この「同様の扱い」を反映させた具体的運用方法を示すことを求める。組合に提示された「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」なる書式を見ると、「任期更新回数」が明記されることになっているが、この運用を実質的に否定するような「任期更新回数」の明記を許すことはできない。「任期更新回数」の項の削除を求める。

3.「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」なる書式によれば、労使協議の場に持ち出すことなく、任期に関して重大な不利益変更を行っている。すなわち、「任期は年度単位とし、年度途中採用者は採用年度を任期の初年度とする」ということを追加挿入している。対外的に「3年任期」、「5年任期」で募集をかけながら、すべての審査を終えて、いざ採用する段階になると、雇用契約書でそれ以下の任期に削減することを「その他」の条項で示し押し付けるなどというのは、公序良俗に反する。この事項を撤回すべきである。

4.今回、突如「3年任期」該当者であることを知って、不当だと異議を申し立てる教員が、すでに教員組合にも直接訴えてきている。こうした個別の教員の異議申し立てに対して、謙虚・慎重・誠実に対応せよ。任期制に同意したのは、当局が法人化後の任期更新について「普通にやっていれば再任する」システムにすると説明していたからである。制度への同意の条件となった約束(副理事長の教員説明会文書参照)の具体化・制度化が見られないこともあり、「そのようなシステムが作られていないので任期制への同意は撤回する」との教員の意思も、合理的な態度である。

 この二年間の経験を総合的に踏まえて、任期制への同意を撤回するとの教員の意思表明を認めよ。教員によって理解と態度が異なるのは、まさに、当初の同意書調達を踏まえて、当局が各教員に明確な契約の提示をしなかったことが、そもそもの原因だからである。

―本質的な問題の指摘と要求―

 上述と重なる部分もあるが、以下、時間をかけてつめていくべき本質的な問題に関わる指摘と要求を提示しておきたい。

1.本来の教員評価制度が未確立の段階で、経営側の一方的な審査制度を適用することは、大学自治破壊である。教員評価制度が出来上がっていない段階で、法人当局が、任命権を持っている管理職で構成した「人事委員会」において、教員に不利益となるような判定を出すことは、すでに述べたこととあわせ何重にも不合理であり、不法である。

 また、当局がその任命権限にもとづいて組織している現行の教員評価委員会も、一般教員の自由な意思表明によって編成されたものではなく、あくまでも便宜的試行的なものと見るべきであり、これをもって教員の不利益となるような審査を行うとすれば、大学自治の原則から逸脱し、憲法的にも根本的に問題をはらむものである。

 ところが、現行のものとして教員組合に提示された「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」なる書式によれば、「更新の有無」の項目に、「更新する場合があり得る」となっている。この文言は「原則は更新しない」ことであることを明確に示している。このように重大極まりない決定を、経営審議会は承認したのか。この文言を撤回せよ。そして、従来繰り返し明言してきたとおり、すくなくとも「普通にやっていれば更新される」、「普通にやっていれば再任する」と明文で記載せよ。
 同時に、その項目において、「任期更新回数」が明記されることになっている。その更新回数はいかなる原則で明記されるのか。労働契約通知書の段階で一方的に雇用者側に示されるのは不当である。教員組合の基本要求からすれば、何回かの更新後は、「定年までの期限の定めなき雇用」に移行すべきであり、その意味でのテニュアを制度化すべきである。したがって、この観点からも「任期更新回数」の項目を削除せよ。

2.このことと関連し、「普通にやっていれば再任」と説明してきたことと、今回の「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」における原則非更新の規定とは身分保障の上で根本的に重大な不利益変更である。同意書を取り付けるまでの説明と今回の更新時の契約書の文言との齟齬は、当局に対する不信感を決定的なものとする。これにより、教員が、同意書を提出した時点での態度と今回の更新手続きにおける態度とを変更することは合理的な根拠を持つことになる。そのことを認めよ。

3.経営側の一方的で恣意的な審査を許容する文言は、今回示された「再任基準」の文言からも明らかである。その基準は、きわめて主観的なものであり、曖昧なものである。なんら客観的な基準がない。その判定を行うとされる人事委員会のあり方とも関連して、この再任基準は、いかようにでも適用できる危険性をはらむ。再任基準を提示するに際して、客観的基準を明記せよ。さらにその基準を判断適用するため、大学自治に基づく審査体制を構築することが、公正妥当な本来の任期更新手続きの前提として必要である。ピアレヴューの原則にもとづく審査体制を早急に構築せよ。また、公正で透明な異議申し立て制度を構築せよ。

4.この間の団体交渉の記録確定においても確認したように、処遇に反映させる教員評価制度に関しては教員組合との交渉事項であり、それはいまだ確立していない。他方、今回のように杓子定規に3年任期を適用するとすれば、まさに適用された准教授以下の教員は何年か後には更新回数制限で失職という重大な身分変更を受けることになる。

 労使協定に基づく教員評価制度の存在しない現在の任期は、その意味で、本来の任期(制限された更新回数に含まれる任期)ではないことを確認せよ。また、法人化後に採用の教員に関しても、早急に定年までの身分保障を確立していく制度(移行条件、その審査基準、審査体制など)を構築せよ。

5.大学の教育研究の発展のためには、安定的な強力な教授陣が必要であり、そのための雇用の安定が必要である。法人化後は任期制を掲げて公募しているとしても、採用された教員の定年までの任期の定めなき雇用保障があってこそ、教育研究に専心できる。将来が保障されない不安定な任期制度では、定年までの雇用保障のある安定した大学を目指して多くの教員が去っていくのは必然となる。大学の教育研究体制の発展の見地から、本来のテニュア制度の構築を行うべきである。その方針に関して、経営サイドの責任ある表明を文書で求める。

以上

--------大学院手当て問題での抗議と要求--------- 

理事長 宝田良一殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年8月6日
教員組合執行委員長
永岑三千輝

大学院手当て問題に関する抗議と要求

 この間、数理科学科の教員等に対する大学院手当ての突然の廃止が問題になっています。手当ては、当然にも、教員組合との協議事項でありますが、この7月の唐突な削減問題に関して、組合には何の通知も連絡もありませんでした。この点、第一に抗議します。しかるべき釈明を求めます。

 第二に、法人化以前は,研究科委員会のメンバーであるかどうかで支給されました。海外出張期間でも、研究科委員会のメンバーとして出張期間中における教育研究のための仕事をしているものとして支給されました。大学院での教育だけでなく,運営,研究業務に従事している人には支給する,という原則からです。要するに,研究科委員会のメンバーには支給してきたのが原則です。

 この制度を変えたのかどうか、変えたとすれば,何の交渉もなく,行ったのは不当であります。変えていないとすれば,当然,・・・先生と数理科学の教員にも支給すべきです。

 以上、教員と教員組合を無視し、唐突な変更を執り行っている法人に対して、厳重に抗議し、説明と協議を行うことを求めます。

以上

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2007年08月01日

横浜市立大、任期制 明確な契約書なしに、一方的に「任期更新」手続きに入る

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月31日)

7月31日 この間、任期制同意書を出した教員のうち、当局が3年任期とみなし、しかも、当局がその任期の開始を任期制度への同意書と同時とする見地から、一定数の教員を選び出し、再任の意思確認の書式、再任のための業績等の記載書式が送りつけられた。

しかしこれには、任期制に同意することで当局に協力する姿勢を示そうとした教員のなかにも、強い反発、怒り、不安が巻き起こっている。「任期制に同意することで協力の姿勢を示したのに、任期制不同意の教員に対しては行われない再任確認・再任審査を行い、不利益措置を行うなら、到底、法の基本原則、法の前の平等の見地からしても許容できない」、

あるいは、「任期制度には同意したが、それに基づく雇用契約はまだ結んでいない、その点では他の身分承継教員と同じ法的状態にある」、

あるいは、「任期制についてです。人事から届いた書類を添付いたしました。この書類を見ると何年かごにはクビになるのかととても恐ろしく感じて参りました。・・・任期制等については,契約書のような書面でのやりとりは一切やっておりませんし,ハンコすら押す手続きはありませんでした(調べてもらえればすぐ分かると思いますが...)このことは事実です。やはり,以前から在職している先生方が契約に判を押さないのと同じように,任期制は契約が成立して始めてなすものだと思います。ただHPでの案内には,任期制のことはのっておりましたが...。このように,契約が成立していない事実で更新というのが納得できない・・・」といった声が、教員組合に続々と届けられている。

教員組合としては、顧問弁護士とも相談し、2日の拡大執行委員会で議論して、しかるべきスタンスを組合内外に知らせるつもりである。各人に対して、いかなる任期なのかを明確に示さないで、その明確な契約書なしに、一方的に「任期更新」手続きに入ることができるかどうかなど、法律問題をしっかり検討して行きたい。

身分・雇用継続に関わることは、少しばかりの大学院手当てなどとは決定的に違う重みを持つ処遇条件であり、軽々しい処理は許されない。その重みをどの程度法人当局が認識しているかも、今後の折衝、団体交渉で明らかになろう。


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2007年06月04日

横浜市立大、昇任人事問題 大学のシステムとその運用は憲法違反

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(6月4日)

6月4日 教員評価制度問題で多忙を極めたため、先延ばしになっていた重大問題、すなわち、昇任人事に関する対当局交渉を開始した。人事は、給与や評価と並んで、大学自治にとって決定的に重要な問題である。

本学(本法人)においては、昇任規程なども、教授会や評議会で審議決定するのではなく、「上から」任命された管理職ばかりで決めている(したがって、そこには、行政優位の規定がいくつもあり、全国的に比較してみれば、その行政優位の規程は一目瞭然となろう)。本学のシステムとその運用は、徹頭徹尾、大学自治の憲法原則とは相容れないというべきだろう。

------(芦部『憲法』第3版より)------

「大学の自治の内容としてとくに重要なものは、学長・教授その他の研究者の人事の自治と、施設・学生の管理の自治の二つである。ほかに、近時、予算管理の自治(財政自治権)をも自治の内容として重視する説が有力である。
 (1)人事の自治  学長・教授その他の研究者の人事は、大学の自主的判断に基づいてなされなければならない。

以下略・・・・・・・・・・・・・・・」

------
 この憲法学の標準テキスト(最近4版が出た)が示す基準に照らすとき、本学が、憲法違反状態にあることは、誰が見ても明らかであろう。
 法令順守と法人・大学当局は看板を掲げる。法令の精神を倫理的にも追求するという。
 わが国の最高法規である憲法に違反するような人事制度を採用していて、はたして、法令順守といえるのか?
 どこに自治があるか?
 理事長、副理事長(最高経営責任者)、学長のすべてが「上から」「外から」の任命であることは明確である。どこに、大学の自主的判断があるか?
 「学生管理の自治」が、憲法的要請であるが、学長以下の管理職がすべて任命制の教育研究審議会で、TOEFL500点基準を設定し、教授会審議を経ていないで、仮進級などの措置をとっている。このどこに大学の自治があるか? 
 まさに、そのこと(自治の欠如、そこから来る不透明性)を明らかにするのが、この間の人事問題、とくに、今回の昇任人事をめぐる不透明さである。
 任期制評価問題WGの議論、組合執行部での議論を重ね、下記のような質問状・要求書を本日、当局に提出した。この問題は、つぎの団体交渉マターとなるべきものであり、その準備書面、とでも言うべきものである。
 昇任に当たって、任期制同意を条件とするなどというのは、すくなくとも、公務員時代からの身分継承の法理からしても、不当労働行為である。
 新任人事のように、さしあたり、外部からの採用時においては、法人が掲げている任期制に同意せざるを得ないとしても、その間にしかるべき業績を上げて、安定したテニュアの地位を得るのが、全教員の希望であろう。またそれが、大学の安定的発展の基盤となろう。
 任期制同意への事実上の強制に苦しめられている教員、任期制に同意して新規採用されたが将来の安定が見えてこない教員、公務員身分の継承にもかかわらず「任期制」に同意して不安・不安定な状態におかれている教員、これらすべての人のために、下記のような当局への質問状は意味があるであろうし、透明性のある制度、安心して働ける制度を構築することが、今後の団体交渉の課題であろう。

昇任人事に関する質問書
2007年6月4日

公立大学法人横浜市立大学
理事長 宝田 良一 殿

副理事長 松浦 敬紀 殿
学長 ブルース・ストロナク 殿

横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑 三千輝

2007年4月の昇任人事に関する質問書

 前年度、各コースの審議を経て2007年4月に昇任させるにふさわしいと判断された教員を、各コース長を通じ、昇任適格者として人事委員会に対して発議したが、4月以降に教員組合が調査したところ、各コース・人事委員会の発議の対象となった教員のうち数名が、「経営上の判断」から4月には昇任できないとされたことが明らかになった。

 教員の昇任は、対象となる教員の研究・教育業績の内容を理解し、それを公正に判断できる教員組織がこれまでおこなってきたが、このたび数名の昇任が発令されなかったことは、教員が営々と積み重ねてきた研究教育業績に対して、それを否定するばかりでなく、「経営上の」理由を大義名分のごとく掲げ、研究教育業績審査をも意味のないものに貶める、忌々しき出来事であると考える。

 この件ついて当局に対して以下の質問を提出する。各事項について、昇任の判定・判断に関与した当局側のそれぞれ該当する各責任者に対して、誠意ある文書での回答を、下記6月12日の期日までに求める。

― 記 ―

1.サイボウズに掲載された「第11回人事委員会議事録」(2007年2月9日開催)には、国際総合科学系部会から国際総合科学系の「昇任候補者の部会審査結果」が審議事項として発議され、「藤野国際総合科学部長より[国際総合科学部昇任]推薦者の内容が説明され、質疑の後、昇任候補者について承認した。なお、任期制に同意していない教員が昇任することは適当でないという意見が出された。」とある。「昇任候補者について」の何を「承認」したのか。「承認」された内容を詳らかにせよ。

2.さらに、この「任期制に同意していない教員が昇任することは適当でないという意見」は、近視眼的な経営的視点による、学問業績への冒?的かつ不当な介入である。このことにより被評価者の評価が低く位置づけられ昇任自体がおこなわれないようなことがあれば、それは学問・教育・研究を真摯におこなう者への侮蔑的発言である。議事録に記載された経緯を問うとともに、この発言者および座長・議事録作成責任者にその謝罪を要求する。

3.同じくサイボウズに掲載された「第12回経営会議報告」(2007年3月8日開催)には、上記の第11回人事委員会での決定事項は、その後、この第12回経営会議の議事として取り上げられ、この事項について「2月9日(金)、2月23日(金)に行われた第11回及び第12回人事委員会結果について、報告」されたと記されている。第12回経営会議では、第11回人事委員会の決定事項について報告のみがおこなわれたのか、あるいは審議もされたのか、明らかにせよ。

4.さらに、「第11回人事委員会議事録」に記された「任期制に同意していない教員が昇任することは適当でないという意見」は、この第12回経営会議ではどのように取り扱われたのか、明らかにせよ。また任期制に合意することが、経営会議において昇任の条件とされたのか否か、回答せよ。

5.昨年7月の昇任人事においては、昇任対象者に事前に労働契約書(含任期制合意確認)を提出させ、提出した者のみを昇任させ、非提出者には今年3月に至るまで昇任発令が出されないという忌々しいことがおこなわれた経緯があるが、今回は、事前に労働契約書の提出を求めることがなかったのはなぜか、説明せよ。

6.昨年7月人事における昇任対象者と異なり、今回の候補者に対しては、任期制への同意確認がおこなわれないまま、昇任に関しての順位付けがなされたのか否か、回答せよ。また前回とは異なり、同意確認もすることなく、昇任候補者間で差別的扱いをした明確な理由を示せ。

7.教員組合の調査により、数名の教員の昇任を発令しない根拠は「経営上の判断」であることが明らかになった。この「経営上の判断」はいかなる会議でなされたものか、明らかにせよ。

8.数名の教員の昇任を発令しない根拠とされている「経営上の判断」とはいかなることか。その裏付けとなる論拠を示した上で、「経営上の判断」に含まれる事項を列挙し、具体的かつ明確に説明せよ。

9.この「経営上の判断」が、研究・教育業績によって判断されるべき教員の昇任の事柄と具体的にどのように結びつくのか、説明せよ。

10.人事委員会が発議した際に、各コースが昇任適格者と判断して発議された教員は、文系・理系の別にその研究・教育業績が点数化され、順位付けがおこなわれたとされるが、教員の研究・教育業績を点数化するにあたり、それを学術的・教育的に客観的に判断できる資格・能力を持つどのような審査者が参加し、その点数化がどのようなプロセスに従ってなされたのか、また具体的な配点項目と配点基準は何か、明らかにせよ。

11.人事の透明性を謳う新法人当局からすれば、審査基準・配点基準の公開のみならず審査結果の公開は当然のことであり、もし仮にそれを公開しないのであれば、透明な人事という原則を踏みにじるものである。従来法人化以前の教授会においては候補者の専門を判断できる教員によって構成される人事選考委員会が作成した詳細な報告書が教授会構成員全員に配布され、昇任についての判断理由の詳細な説明がなされていた。本年度4月昇任の人事に関しても同様に、最終決定の段階において、候補者が教授等に昇任するのに適任あるいは不適任であるとする人事委員会あるいは経営会議の正式かつ詳細な文書が存在しなければならないはずである。その文書の有無を問う。

ここでいう文書とはサイボウズ上に出された簡単な報告・文書を意味しない。最終決定の根拠となる、法人化以前に教授会報告で作成されていた審査報告書と同等ないしはそれ以上の、詳細な審査報告書の存在の有無を問うているのであり、もし存在するのであれば、その詳細な審査報告書を全教員・教授会全構成員に公開せよ。

上述したようにサイボウズ上に、きわめて簡単な審査報告はあり、各候補者と昇任者・非昇任者との同定は可能であることからしても、個人情報保護等による文書開示拒絶はできない。法人化前の教授会における人事選考以上の透明性・公平性を謳う新法人であるなら、少なくとも全教員・教授会全構成員に詳細な審査報告書を示すことがなくてはならない。それなくしては、公平・透明・厳密な審査がおこなわれなかったことの証左に他ならない、ということを申し添えておく。

12.様々な学問分野・教育科目が存在する各系において、その個別性・多様性を否定することにも繋がる恐れが明らかに存在する点数化・順位付けのシステムが、教員の昇任の審査において適切であると判断した論拠は何か、明らかにせよ。

13.文系・理系別に順位付けされた昇任適格者を、さらにどのように順位付けして昇任人事がおこなわれたのか。その際、きわめて多様な専門分野にわたる候補者を、客観的に序列化できる能力を持つ審査者が最終段階で選考をおこなったというなら、そのことは審査者の業績・能力から客観的に判断できねばならないはずである。それを明確に示せ。

14.教授等の条件を、文部科学省は大学設置基準第14条等で明確に規定している。それ以外の基準を設け昇任人事をおこなうことは、法令遵守の精神に反する行為をあえておこなうことになる。人事の透明性・公平性を踏みにじり、人事に恣意性・非公平性を持ち込むことに他ならない。そのようなことが起こらぬように、大学設置基準は厳格に規定している。「任期制に同意していない教員が昇任することは適当でない」という意見は、まさしく法令遵守の精神に悖る。いやしくも公立大学法人に身を置くものであれば、まず、日本国の法令を遵守せねばならない。それが一大学の一時期の「経営上の判断」などより上位に位置するのは当然のことである。発言者に法令遵守の精神が欠如していることをいかに考えるか、また、法令を遵守せずに人事がおこなわれたことをいかに考えるか、回答せよ。

以上すべての質問事項は、いずれも昇任審査をおこなうにあたり、審査権限をもつ部局において明確に確認されているべき事柄である。これらの事柄が明確かつ迅速に明らかにできないというのであれば、本年度4月昇任の昇任審査が必要な手続きに従っておこなわれたものでもなく、また客観的かつ公正におこなわれたものでもないと疑わざるを得ない。

6月12日を期限として遅滞なく、各項目(計14項目)について、該当する各責任者からの文書による回答を求める。

以 上

Posted by 管理者 : 掲載日時 2007年06月04日 22:35 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年10月25日

横浜市立大学、教員評価制度 教員向け説明会について

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、10月25日

 10月25日 一昨日、メールで教員評価への参加を呼び掛ける事務局からの連絡が届いた。今朝は、ボックスに印刷物が入っていた。

 事務局主導、ということか。あるいは事務局にそうしたメール発送、ついで文書配布を指示した上位者がいたのかどうか。

 巷で不思議がられていることは、「提出期限を11月上旬まで延ばす」ということが、突如としてこのメールで告げられたことである。その判断は誰がしたのか。また、そもそも、「期限はいったいいつまでだったの?」と。また、いつまでという期限を切った提出要請が仮にあったとすれば、誰がいつの時点で、どのような文書で、誰に対して行ったのか、といったことが不思議がられている。一般教員は狐に包まれたような状態である。

 説明会への参加が自由であり、教員評価システムが十分な検討を踏まえたものではないことから、たんなる「試行」であって、参加は自由である、というこれまでの当局のスタンスからすれば、そうした不安定なシステムに乗ってみようという人がどれくらいいるのか。なかには、不安定でひどい内容だということを確認するために、あるいは評価者を評価するために、評価者がどのようなことを言うのか確認するために〔その発言次第では学問の自由を阻害する問題も発生しよう〕、ひとまず参加してみようという人もいるかもしれない。

 そもそも現状・現段階では不安定なシステムに安易に乗るべきではないという教員組合のスタンスは、すでに公開されているとおりである(教員評価制度問題に関する見解)。

 第一次評価者、第二次評価者という権力・権限を「上から」「外から」与えられている人びとが、はたしてその職務にふさわしいのかという点も、多くの人が問題としているところである。まさにピア・レヴューが求められるゆえんである。ところが、肝心のピア・レヴューのシステムはなにも整っていないという。これは恐るべきことである。あるいは、研究についてだけピア・レヴューが整っていないという言い方もされている。これまた安易な言い方であり、問題だろう。

 評価するものが評価される。評価する人が、教育研究においてどのような計画・目標を立てているか、言葉だけでなくその実績を示しているか、その説明責任を果たしているか、どのような手段・方法をもってか説明責任を果たしているかなどが、評価者を任命する各段階の権限・権力者、法人内部に限ってみても上は理事長にいたるまで、検証されなければならない。評価者の評価は文書で、反証可能なように明確に示されなければならない。そして、それに対する不服申し立て、異議申し立てシステムは、「試行」とはいえ、必要不可欠である。そうでなければ、不利益措置等を恐れての、評価されるものの奴隷化がはじまる。それはまたそれで、システムの根本的欠陥を意味する。

 民間会社の成果主義において問題となるのは、まさに評価者の力量であり、利害関係である。権力・権限だけ与えられて、しかるべき評価の力量がないとすればどうなるか。そのあり方で、組織全体が沈滞し、不満が鬱積し、空気がにごってしまう。結局、全体として、マイナス効果を生み出すということになる。数年でいなくなる人が権力・権限を持てば、その結果はどうなるか。

 教授会という自治組織において、その権限と責任が明確に規定してあれば、そしてそこでの審議を踏まえ決定したものであるならば、しかるべき内面的拘束力がある。行政主義的に「上から」「外から」命じられたこととは違うからである。そもそもそうした審議機関としての教授会が、一般教員にとっては存在しない状態なのだから、決められたことは「上から」「外から」という外在的・外発的なものでしかありえない。ここにも、現在の学則の問題点〔しかしさらに当面その運用における自治の実質化を志向しない問題点〕が露呈しているといえよう。

 いずれにしろ、当局作成の文書には「自主的」といった言葉が出ているが、現実には、評価の対象となる一般教員の内発的内面的な「自主」とは違うであろう。すくなくとも、教員組合のスタンス(教員評価制度問題に関する見解)からすればである。


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2006年10月22日

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2006.10.20
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、10月20日(2)

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会-組合員からの報告・意見―

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会が、大学当局により9月中旬から10月中旬にかけて各キャンパス、病院、センターでおこなわれ、組合員の方々から報告・意見が寄せられました。

以下に、その一部を掲載いたします。
* * *
(その1)

教員評価制度に関する当局の説明会が各キャンパスで実施されてきましたが、その出席状況は瀬戸キャンパス、福浦キャンパス(医学部)ともに2回合計で100名足らずの低調ぶりだったようです。瀬戸キャンパスの第1回説明会にそくして当局の説明を要約すると次のようなものでした。

<ストロナク学長>

今回の教員評価制度案は完成版ではない。試行を重ねながら進化させてゆく。本学においては研究と教育、学生のニーズ充足のバランスが大切である。各教員が自己の強みと弱点を、第三者の目を通して客観的に知り、研究教育能力向上に役立てることが教員評価制度の目的である。ピア・レビューPeer reviewの実施の見通しは立っていないが、試行実施段階に到達したと判断した。中期計画に記載された時期よりもすでに遅延しているので、すぐに試行を実施したい。

<松山人事課長>

関係人事制度について、現在の検討状況を情報提供という形でお伝えする。

●試行の後、評価制度を本格的に実施する。評価結果を年俸、任期更新など処遇に反映させるが、そのタイミングについては試行結果などを見ながら今後検討する。
●年俸制について、従来任期中は基本給一定と説明してきたが、この点について再検討中である。すなわち、基本給部分は任期途中においても経験年数で変動するよう検討している。
●教員一人ひとりのレベルアップが大学全体の業績に結びつくように、優れた業績を上げた教員については積極的な評価を与え、モチベーション向上に役立てる。
●助手の任期は3年2期としていたが、5年2期ないし3年3期とするように見直し作業中である。
●学校教育法の改正に対応する作業を進めている。

<神内人事係長>

配布物に記載した内容で試行を今秋実施したい。できるだけ多くの参加者を期待する。評価結果は個々の参加者に通知するが、公開はしない。評価結果に関する不服申し立てについては今後の検討課題である。

<質疑応答における学長、馬来副学長の発言要旨>

試行への全員参加が原則だが、今回については自由参加とし、できるだけ多数の参加を期待することにする。ピア・レビューは今回できないし、来年についても未定である。現時点で評価制度のシミュレーションが十分できているとはいえない。個々の教員の研究に関する評価は別として、教育、診療、地域貢献については大学当局が定める組織目標に基づいて評価できる。評価制度が円滑に機能しているかどうかについては法人評価委員会で検討されることになる。

<感想とコメント>

当局は今回説明した評価制度案は未だファイナル・バージョンではないことを繰り返し強調した。今秋に試行を行い、その結果を踏まえて修正版をつくり、新年度に本格実施する方針を強く示唆した。

教員組合が9月上旬に提出した今回の評価制度案に関する質問事項に何らまともに答えないまま、試行を強行し本格実施に結び付けようとする当局の姿勢は拙速かつ理不尽と評さざるを得ない。

当局は評価結果を賃金や任期更新などの処遇に反映する予定であることを明言した。それにもかかわらず、評価基準など制度の根幹に関わる内容を明示しないのは制度導入における労使間の信義原則に反している。

評価の具体的な基準、評価者研修の内容など制度の前提条件が不明確なままでは、被評価者の教員は評価シートにどのように記入するべきか疑心暗鬼にならざるを得ない。

当局の説明を聞く限り「記入対象となる項目は列挙してあるが、全項目について記入しなくても良い。教員の自主的判断で自由にシートに書き込んでくれれば良い」というように聞こえた。そして記入された内容をどのような基準で評価するかについては何の説明もなかった。被評価者の教員だけでなく、コース長等の第一次評価者もさぞお困りのことと想像される。要するに制度の根幹部分は未だに白紙状態に近いと断ぜざるを得ない。

公正性・公平性・透明性といった制度の正統性に関する原理的な説明は欠如していた。このような形で試行から本格実施へ突き進むとすれば、被評価者である教員の理解や納得が得られるはずがない。したがって制度の円滑な運用などはとても不可能である。

人事課長から年俸や任期に関するいくつかの点で「飴」の要素が検討されていることが「情報提供」された点は注目される。しかしこれは、評価制度の導入によって「鞭」を振るわれる教員の激痛を多少緩和する程度の意味しかもたないであろう。さらに本質的に言えば、上記の「飴」はそもそも教員評価制度の関連事項扱いで「情報提供」するような筋合いのものではないはずである。年俸制の設計がないまま給与を固定している現状は理不尽というしかない。

説明会に参加して明確に理解できたことは、中期目標に掲げた「教員評価制度」を計画通りに「実施した」ことにしたい当局の姿勢だけである。このような当座しのぎのやり方は大学の将来に大きな禍根を残すことになる。このままでは本学教員が安心して研究・教育に取り組むことが非常に困難になることは確実である。

その後、大学ホームページに最近掲載された学長をはじめとする各段階評価者たちの「目標」をみた。同僚に言われてはじめて知った次第で、まだ読んでいない人も多いだろうと思われる。コース長など第1次評価者の中には未記入の人もあり、足並みの乱れを感じさせた。また、各評価者が掲げる「目標」は多くが抽象的で、それをふまえて「目標シート」に何をどのように書くべきか、戸惑いを禁じえなかった。学部長、コース長は教育現場にも関わる人たちでもあるのだから、まず自分たちの「目標シート」を作成して例示するべきであろう。同時に評価者としての評価基準も提示すべきである。各教員に「自由に」記入させて提出させ、その後考えると言うのでは公正で透明な制度とは言えず、被評価者たちの納得を得ることはできないであろう。そもそも平成18年度の「目標」を10月に示し、評価基準も不明確なままで各教員に「年度計画」の立案を命じ、12月に自己評価シートを提出させ、その後で段階的に相対評価を導入して評価結果を出し、各教員に通知するが、不服申し立てへの対応システムは未定などというスケジュール自体が常軌を逸している。教員の心配や懸念を放置したままでは、本格的な制度試行の前提条件が整ったとはいえないことを当局は肝に銘じるべきである。
* * *
(その2)
10月2日(月)の教員評価説明会に出ました。教員の参加は少なく、閑散としていました。説明のあと何人かの教員が質問したり発言しました。ある教員が平成19年度の評価結果を20年度の処遇に反映させることがあるかと質問しました。馬来副学長がそのようなことはないとくり返し言明していました。(処遇に反映させる場合、どのように行うかは重大問題なので、民間企業でもかなり時間が必要で、あたりまえのことですが)。人事担当の言うことはあてになりませんが、馬来副学長の発言なので、あてにしたいところです。
* * *
組合員の方々から寄せられたこれらの意見が示すように、当局が提示してきた教員評価制度は評価の対象となる内容、導入方法に、決して無視できない、大きな問題を含むものです。組合執行部では引き続き、この評価制度の導入に慎重に対処していきたいと考えています。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年10月22日 21:57 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年08月29日

横浜市立大学、法人による昇任人事をめぐる不透明なあり方

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、8月28日

8月28日 大学による昇格人事・法人による昇任人事をめぐる不透明なあり方に関して、実際に昇任者が公表され(不利益者が出た)現段階で、再度、有志が学長に質問状を出した。ヴォランタリーな意見表明は、大学活性化のひとつの重要な要素ではなかろうか。

人事制度はしっかりした真の意味で透明な制度設計・制度運営が必要なものであって、これはひそひとと議論すべきことではない。オープンな議論(すくなくとも関係する教員全体の議論)が必要である。

だれが昇任したのかを知るのは、少なくともわれわれ普通の教員はごく普通の一般市民と同じく、大学のHPだということが現実である。これは大学自治が機能している大学(自治的機能で昇格・昇任が内部で決定されている場合)ならありえないことではなかろうか。

昇格に値する研究教育業績を上げているかどうかをだれが判断するのか、その判断の根拠となるデータをどのようによむのか、その審査所見はどこでだれによってオーソライズされるのか、といったことは学問の自由に取ってきわめて重要である。学問の自由・研究の自由・教育の自由は、その手続のあり方、決定権の所在などによって大きく左右される。(昇格基準の妥当性、その基準の適用の妥当性、これらの妥当性を大学の自治の見地から保障する手続・主体の妥当性、などいろいろと関連問題がある・・・これらも教授会での審議が行われてはいない、そもそも審議の対象とされていない、教授会マターではない、と)

しかも、今回は、任期制に同意するかどうかでも、差別がなされているようである。差別は任期制同意への強要にほかならない[1]。不利益措置を覚悟で、そうした屈辱に抗したひとがすくなくとも2割以上いると教員組合からの報告(週報参照)である。

教員組合は、「●任期制への同意如何は、昇進資格になんら関係はありません」との立場であるが(そして、「昇進資格あり」とする点は「法人」も認めているということだが)、現実において不利益が発生するとすれれば、すなわち、法人が昇任差別で、昇進資格ありとする教員をしかるべき地位に任命しない(発令しない・・・その結果としての給与条件、社会的ステータス等の明確な不利益の発生)とすれば、由々しいことではないか。

こうした任期制の適用は、教員組合が繰り返し主張しているように違法ではないかと思われる。とりわけ、公務員として採用され、その身分保障の元で研究と教育を10年以上行ってきたひとについてそうである。しかるべき十分な業績をあげていても、任期制に同意しない限り、差別的措置として法人が昇任を発令しないということは、不利益措置であることははっきりしているだろう。任期制法案審議において、そうした強引な任期制適用は行ってはならないと付帯決議がなされたのではなかったか。

刑法に不遡及原則があるように、任期制が不利益をもたらす恐れが非常にあるときに(利益がはっきりしていない、利益となるのかどうか分からない、基準がはっきりしない、判断の主体がはっきりしないなど種々の問題があるとき)、最近できた法律を適用するものとして就業規則を制定して不利益措置を行うのは、法的見地からして、市民的常識からしても、重大な問題ではないか。10年以上をかけて目指してきた昇任が、しかるべき研究教育上の業績があると大学側で判断されても、法人サイドにおいて「任期制に同意しない限りだめ」と差し止めになるとすれば、良好な労使関係・良好な研究教育環境は維持できるであろうか。

地方公務員として、公立大学で研究教育に励んできた法人化前に採用された教員に関しては、以前に一般的に適用されていた原則にしたがって、粛々と昇任の発令を遡って平等に行うべきであろう。

法人化後、「任期制」を掲げた募集で採用された人の場合も、その制度には、教員評価のありかたをはじめ、非常に問題がおおいのであるから、時間をかけて、すくなくとも2年か3年かけて、法人と教員組合との十分な議論を踏まえて、安心できる制度にしていくべきであろう。3-5年の任期で採用されたとすれば、少なくとも2年程度、しっかり法的諸問題、大学の自治の観点での十分な検討などを行い、教員組合との合意の上で、就業規則を改定するなどが必要となろう。

種々な観点からして、現在のやり方は大学教員の多くを納得させるものではなかろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年08月29日 00:34 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年07月14日

横浜市立大学教員組合、昇任人事に関する声明

横浜市立大学教員組合
 ∟●昇任人事に関する声明

 横浜市立大学の対応は,現行労基法の規定との関連において問題があると思われる。下記はいわば常識に属する事柄であるが,若干敷衍しておこう。

有期労働契約に関する現行労基法の趣旨と規定について

(1)現在期間の定めのない契約を結んでいる労働者を,有期労働契約に切り替えることは可能であるのか?

 以下の場合にのみ可能である。
 1.定年を迎えた労働者を再雇用する場合
 2.本人との間に合意があった場合

 それ以外について,期間の定めのない労働契約を締結していた労働者を有期労働契約に切り替えることは許されない。
 また,これまで新規採用者について期間の定めのない契約の労働者として採用した方針を,有期契約労働者のみ採用する方針に変更するなど、有期労働契約を期間の定めのない労働契約の代替として利用することは、法改正の趣旨に反し許されない。

 因みに,厚生労働省『早わかり改正労働基準法 決定版』労務行政(2003年10月23日)によれば,ご丁寧にも次のようなQ&Aが明示されている。
Q 今回の有期労働契約の見直しについての改正に伴い,現在,期間の定めのない労働契約を締結している労働者について,3年間の有期労働契約に変更することが可能でしょうか?」
A 労働契約の変更に際しては,労使当事者間の合意が必要ですので,少なくとも,使用者側の一方的な意思表示により,現在の期間の定めのない労働契約を有期労働契約に変更することはできません。
 このため,労働契約の変更について,まずは,労働者の意思を確認した上で,本人の同意を得るといった手続きが必要でしょう。」(30ページ)

(2)「本人との間の合意」により有期労働契約を結んだ場合,必要な手続きは何か?

 この点について,以下の労基法第14条2項に基づき定められた「有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準」を遵守することが求められる。

現行労基法第14条2項

「厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。」


    ↓
有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準
(「雇止めに関する基準」告示)
(平成15年10月22日・平成15年厚生労働省告示第357号)

(契約締結時の明示事項等)
第1条 使用者は,期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し,労働者に対して,当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
2 前項の場合において,使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは,使用者は,労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
3 使用者は,有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には,当該契約を締結した労働者に対して,速やかにその内容を明示しなければならない。

(3)有期労働契約を更新する場合又はしない場合の判断基準の明示とは具体的にどのような内容か。

 厚生労働省労働基準局編『改正新版 労働基準法(上)』労務行政(2005年3月3日)によれば,一般企業の場合,「契約期間満了時の業務量により判断する」「労働者の勤務成績,態度により判断する」「労働者の能力により判断する」「会社の経営状態により判断する」「従事している業務の進捗状況により判断する」等を例示としてあげている。
 なお,これらの事項は,「トラブルを未然に防止する観点から,使用者は労働者に対して書面を交付することにより明示されることが望ましい」とされている。

 労基法第14条の規定に基づき全教員の「任期制」導入を図ろうとする横浜市立大学は,これまで期間の定めを持たない教員に対して,昇任審査を通過していても,新たな有期労働契約に同意しない限り法人として発令しないという対応をとっている。いうならば,本人の自由意思であるべき労働契約の締結に際して,身分・待遇・労働条件の不利益を無期限に余儀なくさせるとともに,昇任と引き替えに有期労働契約への「合意」を強要しており,違法である。

 また,本人との間で有期労働契約の合意を取り付けた場合においても,当該契約を更新するか否かの具体的判断基準を本人宛明示していない限り,「雇止めに関する基準」告示に反している(「雇止めに関する基準」は行政指導の根拠とするものであり,使用者がこれに違反した場合,法律上何らかの効力が発生するというものでは残念ながらないらしい。ただし,大学に対して労基署からの行政指導が入る余地はある)。

昇任人事に関する声明

横浜市立大学教員組合
2006年7月12日

 公立大学法人横浜市立大学当局は、2006年6月27日に昇任予定者に対して労働契約書を示し、 6月30日までに署名押印して提出するよう求めた。このプロセスを実際に体験した組合員からの声は「組合週報」(6月30日)に掲載したところであり、そこには当局の不誠実な対応ぶりが如実に示されている。

 当組合が確認した情報によれば、今回の昇進予定者のうち2割を超える教員が、昇任の条件として任期制を受け入れることはできないことを主な理由として、契約書への署名押印を拒否した。ただし、これにより今回の審査過程で承認された昇進資格は消滅することなく、無期限に留保されていることが4月末の団体交渉における当局答弁で確認されている。当組合は、任期制を拒否した先生方と連帯して、任期制受け入れを条件とせずに昇進させるよう当局に求める原則的立場を貫いてゆく所存である。

 任期制に同意して昇進人事を受け入れた先生方については、労働契約書には「任期5年(再任あり)」と記されているのみで、再任条件に関する記載はなく、口頭での説明もなされなかった。これは、再任条件の明示を義務づけている任期つき労働契約締結に関する法的要件を欠くものであり、当局の示した契約書は違法性の高いものである。団交等の場における当組合の追求に対して、当局はこれまで「普通にやっていれば再任される」という発言を繰り返すばかりで、「普通」の定義については一切説明してこなかった。このような態度は法が禁じる不誠実対応そのものであり、この状況を放置すれば、5年後の再任審査の時点で教員側にとって不利な事態を招く恐れが強い。当組合は組合員一人ひとりの選択を尊重しつつ、どのような場合にも組合員の側に立ち、組合員の権利擁護の戦いに継続的に取り組んでいく。以上、声明する。

以上


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年07月14日 00:01 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年06月30日

横浜市立大学、昇進資格付与者に対し5年任期の新規雇用契約を求める

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、6月29日

6月29日 教員組合委員長からの「緊急報告」を受け取った。「茶番劇はいつまで続くのか」と怒りの声がウィークリーに乗せられていたが、いよいよ宣戦布告、というところか? 示されたという雇用契約書は、労使の誠実な交渉と合意に基づくものか? 「5年の任期」の継続更新(ないし打ち切り)に関する明確な条件の提示はあるのか?示すべき諸規定/諸条件を明確な形で提示しないで、5年任期制の契約にサインを求めるという行為自体、不当労働行為ではないのか?

組合サイドは、公立大学時代以来の教員に関しては少なくとも不利益変更に当たり、違法なものと主張していることではないか?(Cf.教員組合ウィークリー6月19日

組合員の皆様へ緊急連絡

教授等への昇任人事問題について新たな動きがありましたので緊急にお知らせ致します。
6月27日、昇進資格付与者に対し、人事当局より昇進にあたって新規の雇用契約書(5年任期制)が示され、6月30日までに契約書にサインするよう求められました。

当局は、団体交渉の場で、任期制を直ちに受諾しない場合でも、昇進資格を喪失するようなことはなく、昇進資格は継続すると言明しています。
昇進対象になっている方は、事態を冷静に受け止め、慎重に対応を熟考されるるようお願い致します。

組合としては、昇進発令にあたり任期制受け入れを強要することは不法であることを再三指摘してきました。
このような強要を撤回させるよう、組合は全力を挙げて当局と交渉していく方針です。

横浜市立大学教員組合
執行委員長 岡真人


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2006年06月21日

横浜市立大学の任期制・昇任問題、組合要求と当局回答

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」( 2006.6.19 )

団体交渉の文書回答項目に関する要求書

4 月25 日に行われた団体交渉において積み残しとなった項目につきまして、その後、文書による回答をお示しいただきました。つきましては、これに関する当組合の見解を以下項目ごとに申し述べますので、再度ご回答いただきますようお願い申し上げます。ご回答は、再度の団体交渉の開催、もしくは文書により、6 月上旬までにお示しいただきますよう要望いたします。

一 現在、大学当局が進めている教員昇任人事および関連事項に関する要求

1.現在、大学当局が進めている本学教員の昇任人事プロセスは不透明かつ説得力に乏しく、教員間に不安や疑念を引き起こしている。今回は特に昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについて明快な説明を求める。さらに、今後どのようなプロセスを経て昇任決定に至るのかについて具体的な説明を求める。

当局側回答 4月25日団体交渉で回答済み。

組合の見解 4月25日には、申し入れ書の後の推移を中心とした説明はなされたが、申し入れ書で求めた「昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについての明快な説明」は依然として不十分であると考える。より明確で透明性のある説明をするよう努められたい。

当局側再回答 今回の推薦手続きについては、各学部長等の考えに基づき実施され、手続きの詳細について多少異なるところがありました。今後昇任に当たってどのようなルールで進めていくかについては、検討し次回の昇任作業に反映させていきたいと考えています。

2.今回の大学改革における教員全員任期制の導入は関連法規の条文と付帯決議、法曹界での議論にてらして違法性が極めて強いばかりでなく、関係教員の労働条件の一方的な不利益変更にあたるというのが当教員組合の一貫した基本的見解である。横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されている。この身分継承者が教授等への昇進に際して、すでに獲得している定年までの期間の定めのない雇用保障に関する権利を放棄するよう強制されることは重大な労働条件の不利益変更に当り違法である。したがって、昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。昇任の機会を利用して任期付き雇用契約への同意を強制することは、重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告する。

当局側回答 通告なのでコメントはありません。

組合の見解  「重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告」したのに対してコメントがないというのであれば、当組合の主張する違法性を認めたと解される。ただちに、昇任人事にあたって任期制受け入れを条件とする方針を撤回したことを文書で確認することを求める。もし、当組合の主張を受け入れず違法性の認識がないというのであれば、当局は合法性の論拠を明確に述べる義務があり、このような回答では団体交渉における誠実交渉義務を果たしているとは言えない。期間の定めのない雇用における昇進の機会がある制度からその可能性がない制度への変更は、重大な労働条件の不利益変更に当たるという組合の再三の指摘に、当局はこれまでなんら明確な反論をしていない。再度の回答を求める。

当局側再回答 教員全員に任期制を導入することは違法性が高いという見解が示されていることは承知しております。しかしながら、市大では法人化にあたって任期制を基本とした制度設計をしており、昇任に際しては新たな雇用契約を前提としていますので、引き続き任期制に同意していただけますよう働きかけてまいります。

3.任期付の雇用契約を教員が受け入れた場合、どのようなメリットとリスクが生じるかについて、雇用主としての公立大学法人は詳細な説明を行い、労働契約条件を文書で示し、しかるべき考慮・検討時間を保証する必要がある。このプロセスを欠いた労働契約は無効であるというのが当組合の基本的見解である。この立場を踏まえ、次の事項を要求する。

1.昇任後の賃金、労働条件について文書で明示することを求める。

当局側回答 雇用契約書及び労働条件通知書を示し、雇用契約を結ぶ手続きを行いますので、その際に賃金等について明示されます。

組合の見解 「任期付の雇用契約」を受け入れる以外に昇進はないという提示のしかた自体に問題があると考えているが、さしあたり当該契約について以下の点を求める。
 (i) 雇用契約書及び労働条件通知書の雛形を組合に提示されたい。
 (ii) 今年度の昇任人事における賃金算定基準についての原則ないし考え方を説明していただきたい。

当局側再回答 
(i) 別紙のとおりです。
(ii)従来の横浜市における昇格手続きを参考にして決定します。

2.昇任人事に際して昇任候補者に推薦された教員が任期つき労働契約の締結を検討しようとする場合、「再任」の基準・条件が明示されていない状況においては、契約締結の諾否について適切な判断を当人が行うことは困難である。これに関して「普通にやっていれば再任される」という趣旨の発言が以前の当局説明会においてなされたが、「普通」とは具体的に何を意味しているのか曖昧なので具体的で明確な説明を求める。

当局側回答 再任手続きの詳細については、現在検討中ですが、再任は説明会でもお話ししましたが、普通にやっていれば再任されるという考えを基本としております。詳細についてはしかるべき時期になりましたらご説明します。

組合の見解 「具体的で明確な説明を求める」とした当方の要求に答えていない。「しかるべき時期」はすでに法人化をした昨年までに過ぎ去っており、現在再び昇任人事に際して問題になっている。これ以上曖昧なまま引き延ばすような態度は認められない。

当局側再回答 任期制・年俸制・評価制が連動して運用されるよう検討しておりますので、その進捗状況に応じて、できれば年内には基本的な枠組みをお示ししたいと考えております。

4.今回の昇任人事に関する規程および内規は平成17年12月20日施行とされているが、当組合がその存在を確認したのは平成18年2月1日の団交時であり、全文入手にはさらに数日を要した。教員の身分や労働条件に関する重要事項について、当局が当組合に速やかな周知を行わなかったことは労使間の誠実で信義ある関係を損なうもので極めて遺憾である。このような事態の再発防止を強く求めるとともに、今回の昇任人事規程および内規について内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行うことを求める。

当局側回答 一般的に施行日と手続き開始時期は、ずれます。なお、学内における情報共有システムについては検討を進めており、夏前にはご説明できるものと考えております。

組合の見解 組合が提起している問題に対する回答になっていない。以下の点を含めて再度の回答を求める。
(a) 規程第104号「教員昇任規程」(平成17年12月20日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(b) 各「教員昇任内規」(平成18年1月24日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(c) これらの規程がただちに全教員に対して周知されなかったのはなぜか。
(d) .昇任人事の推薦を求めた際、推薦者およびそれを補助する教員管理職にこれらの規程は示されたのか。示されたとすれば、その際、これらの規程を他の教員に明らかにしないように指示したのか。指示したとすれば、それはなぜか。
(e) これらの規程の決定に当たって、教員組合との協議を経なかったのはなぜか。
(f) これらの規程の内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行う用意があるか。

当局側再回答 
(a)「教員昇任規程」は12月20日の教員人事委員会で決定しております。
(b)「教員昇任内規」は1月24日の教員人事委員会で決定しております。
(c)一般的に推薦を必要とする昇任については、必ずしも全体に周知した上で実施しなければならないものとは思われませんが、次回以降の検討課題とさせていただきたい。
(d)今回の推薦手続きについては、各学部長等の考えに基づき実施され、手続きの詳細について多少異なるところがありました。今後昇任に当たってどのようなルールで進めていくかについては、検討し次回の昇任作業に反映させていきたいと考えています。
(e)及び(f)様々なご意見については今後の参考とさせていただきたいと考えております。


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2006年05月29日

横浜市立大教員組合、教員全員任期制の導入など人事関連事項について回答を求める

横浜市立大教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.5.25)

2006年5月22日

公立大学法人 横浜市立大学 

理事長 宝田 良一 殿
横浜市立大学教員組合 

執行委員長 岡 眞人

団体交渉の文書回答項目に関する要求書

4月25日に行われた団体交渉において積み残しとなった項目につきまして、その後、文書による回答をお示しいただきました。つきましては、これに関する当組合の見解を以下項目ごとに申し述べますので、再度ご回答いただきますようお願い申し上げます。ご回答は、再度の団体交渉の開催、もしくは文書により、6月上旬までにお示しいただきますよう要望いたします。

一 現在、大学当局が進めている教員昇任人事および関連事項に関する要求

1.現在、大学当局が進めている本学教員の昇任人事プロセスは不透明かつ説得力に乏しく、教員間に不安や疑念を引き起こしている。今回は特に昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについて明快な説明を求める。さらに、今後どのようなプロセスを経て昇任決定に至るのかについて具体的な説明を求める。

当局側回答 4月25日団体交渉で回答済み。

組合の見解 4月25日には、申し入れ書の後の推移を中心とした説明はなされたが、申し入れ書で求めた「昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについての明快な説明」は依然として不十分であると考える。より明確で透明性のある説明をするよう努められたい。

2.今回の大学改革における教員全員任期制の導入は関連法規の条文と付帯決議、法曹界での議論にてらして違法性が極めて強いばかりでなく、関係教員の労働条件の一方的な不利益変更にあたるというのが当教員組合の一貫した基本的見解である。横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されている。この身分継承者が教授等への昇進に際して、すでに獲得している定年までの期間の定めのない雇用保障に関する権利を放棄するよう強制されることは重大な労働条件の不利益変更に当り違法である。したがって、昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。昇任の機会を利用して任期付き雇用契約への同意を強制することは、重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告する。

当局側回答 通告なのでコメントはありません。

組合の見解  「重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告」したのに対してコメントがないというのであれば、当組合の主張する違法性を認めたと解される。ただちに、昇任人事にあたって任期制受け入れを条件とする方針を撤回したことを文書で確認することを求める。もし、当組合の主張を受け入れず違法性の認識がないというのであれば、当局は合法性の論拠を明確に述べる義務があり、このような回答では団体交渉における誠実交渉義務を果たしているとは言えない。期間の定めのない雇用における昇進の機会がある制度からその可能性がない制度への変更は、重大な労働条件の不利益変更に当たるという組合の再三の指摘に、当局はこれまでなんら明確な反論をしていない。再度の回答を求める。

3.任期付の雇用契約を教員が受け入れた場合、どのようなメリットとリスクが生じるかについて、雇用主としての公立大学法人は詳細な説明を行い、労働契約条件を文書で示し、しかるべき考慮・検討時間を保証する必要がある。このプロセスを欠いた労働契約は無効であるというのが当組合の基本的見解である。この立場を踏まえ、次の事項を要求する。

昇任後の賃金、労働条件について文書で明示することを求める。

当局側回答 雇用契約書及び労働条件通知書を示し、雇用契約を結ぶ手続きを行いますので、その際に賃金等について明示されます。

組合の見解 「任期付の雇用契約」を受け入れる以外に昇進はないという提示のしかた自体に問題があると考えているが、さしあたり当該契約について以下の点を求める。
 (i) 雇用契約書及び労働条件通知書の雛形を組合に提示されたい。
 (ii) 今年度の昇任人事における賃金算定基準についての原則ないし考え方を説明していただきたい。

昇任人事に際して昇任候補者に推薦された教員が任期つき労働契約の締結を検討しようとする場合、「再任」の基準・条件が明示されていない状況においては、契約締結の諾否について適切な判断を当人が行うことは困難である。これに関して「普通にやっていれば再任される」という趣旨の発言が以前の当局説明会においてなされたが、「普通」とは具体的に何を意味しているのか曖昧なので具体的で明確な説明を求める。

当局側回答 再任手続きの詳細については、現在検討中ですが、再任は説明会でもお話ししましたが、普通にやっていれば再任されるという考えを基本としております。詳細についてはしかるべき時期になりましたらご説明します。

組合の見解 「具体的で明確な説明を求める」とした当方の要求に答えていない。「しかるべき時期」はすでに法人化をした昨年までに過ぎ去っており、現在再び昇任人事に際して問題になっている。これ以上曖昧なまま引き延ばすような態度は認められない。

4.今回の昇任人事に関する規程および内規は平成17年12月20日施行とされているが、当組合がその存在を確認したのは平成18年2月1日の団交時であり、全文入手にはさらに数日を要した。教員の身分や労働条件に関する重要事項について、当局が当組合に速やかな周知を行わなかったことは労使間の誠実で信義ある関係を損なうもので極めて遺憾である。このような事態の再発防止を強く求めるとともに、今回の昇任人事規程および内規について内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行うことを求める。

当局側回答 一般的に施行日と手続き開始時期は、ずれます。なお、学内における情報共有システムについては検討を進めており、夏前にはご説明できるものと考えております。

組合の見解 組合が提起している問題に対する回答になっていない。以下の点を含めて再度の回答を求める。
(a) 規程第104号「教員昇任規程」(平成17年12月20日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(b) 各「教員昇任内規」(平成18年1月24日施行)の決定は、いつ、どの機関によってなされたのか。
(c) これらの規程がただちに全教員に対して周知されなかったのはなぜか。
(d) .昇任人事の推薦を求めた際、推薦者およびそれを補助する教員管理職にこれらの規程は示されたのか。示されたとすれば、その際、これらの規程を他の教員に明らかにしないように指示したのか。指示したとすれば、それはなぜか。
(e) これらの規程の決定に当たって、教員組合との協議を経なかったのはなぜか。
(f) これらの規程の内容を再検討するための協議を当組合と速やかに行う用意があるか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年05月29日 00:21 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年03月31日

公立大学法人、全教員を対象にした任期制導入は横浜市立大学など4大学

公立大学の法人化を契機とした特色ある取組(詳細)

公立大学の法人化を契機とした特色ある取組(詳細)

……
4 柔軟な人事・会計制度の活用
(1)弾力的で多様な人事制度の導入

○法人化に伴い弾力的で多様な人事制度の導入が可能となり、各法人において任期制、年俸制、裁量労働制などの導入が行われている。
◆教員の任期制を導入:6法人
◆教員の任期制導入を検討:1法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人国際教養大学、公立大学法人首都大学東京、公立大学法人横浜市立大学、長崎県公立大学法人)
○全教員を対象とした任期制を導入した。また、横浜市立大学においては、教員のほか、大学専門職や固有職員の事務職を対象に任期制を導入している。
(公立大学法人大阪府立大学)
○「大学の教員等の任期に関する法律」により、法人化後の新規採用の助手については、任期を付した。

◆年俸制を導入:4法人
◆年俸制の導入を検討:1法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人国際教養大学、公立大学法人首都大学東京、公立大学法人横浜市立大学)
○全教員を対象とした年俸制を導入した。また、横浜市立大学においては、教員のほか、大学専門職にも年俸制を導入している。
(公立大学法人北九州市立大学)
○常勤役員の報酬に導入している。

◆裁量労働制を導入:1法人
◆裁量労働制の導入を検討:3法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人岩手県立大学)
○平成18(2006)年1月から、外部資金により採用された研究プロジェクト従事者に導入した。
(公立大学法人首都大学東京)
○全教員(助手相当の職にある者を除く。)への専門業務型裁量労働制(1日のみなし労働時間8時間)の平成18(2006)年4月導入を目指し、協議・検討中である。
(公立大学法人横浜市立大学)
○裁量労働制の適用を予定している。ただし、診療業務に従事している教員は、1ヵ月単位の変形労働時間制を導入予定である。なお、事務職員について、交代制勤務・フレックス勤務を検討している。

(2)新たな人事評価制度の導入
○職員の業績に対する厳正な評価制度、業績に対してインセンティブを付与する制度の導入が行われている。
◆新たな人事評価制度を導入:3法人
◆新たな人事評価制度の導入を検討:3法人
【具体的な取組例】
(公立大学法人国際教養大学)
○教員については、業績評価、事務職員については業績評価および能力評価(スタッフ層のみ)を実施している。評価期間は暦年(1月~12月)とし、最終評価は翌年2月中に行われ、3月に各人へ通知することとなる。業績評価は通常5段階評価であるが、特別な業績がある場合には、さらに2段階の特別評価枠が加わり、これら評価結果に応じて翌年度の年俸が上下最大20パーセントの範囲内で変動する。大学側の契約時の期待を満たすことが標準評価(プラス・マイナス・ゼロ)となる前提であり、契約時の合意年俸額が維持されることとなる。
(公立大学法人岩手県立大学)
○各教員は、学部等の方針に基づき、教育活動、研究活動、大学運営、社会・地域貢献活動の4分野に目標・達成基準を設定し、その取組結果を自己点検・評価する。学部長等は、各教員の目標・達成基準設定や進捗状況に対しての指導助言や達成状況の評価を行う。これらにより教員のモチベーションを向上させ、諸活動の活性化と充実を図ることを目的に教員業績評価を実施している。
(公立大学法人北九州市立大学)
○教員個人の教育活動・研究活動・管理運営活動・社会貢献活動の4領域について、領域ごとに評価項目を設定し、多角的で総合的な教員評価を行っている。評価結果については、各学部及び学科の見地から総合的に分析し、教員に対する適切な指導及び組織的なFD活動の向上に活用することを予定している。なお、個人の評価結果は、翌年度の研究費の配分に反映させることとしている。
(公立大学法人首都大学東京)
○全教員の任期制の導入にあわせて、教員の意識改革及び能力向上、大学全体の活性化を通じた教育の質の向上及び都民への説明責任等を目的として、教員の教育・研究、組織運営等の諸課題の公正・公平な評価を行う「教員評価制度」を平成18(2006)年度から実施する予定である。

……


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2006年03月22日

横浜市長選、中田氏「市大には多額の市税を投入してきた。やる気のない職員が長くいるのは問題だ」

日経神奈川版(3月11日)で,12日告示の横浜市長選で,10日夜,現職の中田氏と新人の松川康夫氏が横浜市の課題をめぐって舌戦を繰り広げた。以下,教育分野でのそれぞれの主張の要約。

 …… 教育では松川氏が横浜市立大学での教員任期制導入などを「学問の自治を尊重すべき」と批判。中田氏は「市大には多額の市税を投入してきた。やる気のない職員が長くいるのは問題だ」と切り返した。……

Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年03月22日 23:41 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年03月20日

横浜市立大学教員組合、団体交渉申し入れ書 「任期付き雇用契約への同意を強制することは重大な違法行為」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.3.17)

>団体交渉申し入れ書

……

一 現在、大学当局が進めている教員昇任人事および関連事項に関する要求

(1)現在、大学当局が進めている本学教員の昇任人事プロセスは不透明かつ説得力に乏しく、教員間に不安や疑念を引き起こしている。今回は特に昇任候補者の推薦が誰のどのような判断基準に基づいて行われたのかについて明快な説明を求める。さらに、今後どのようなプロセスを経て昇任決定に至るのかについて具体的な説明を求める。

(2)今回の大学改革における教員全員任期制の導入は関連法規の条文と付帯決議、法曹界での議論にてらして違法性が極めて強いばかりでなく、関係教員の労働条件の一方的な不利益変更にあたるというのが当教員組合の一貫した基本的見解である。横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されている。この身分継承者が教授等への昇進に際して、すでに獲得している定年までの期間の定めのない雇用保障に関する権利を放棄するよう強制されることは重大な労働条件の不利益変更に当り違法である。したがって、昇任有資格者と認定された者に対して、任期制受け入れの諾否に係らず速やかに昇任の発令をすることを求める。昇任の機会を利用して任期付き雇用契約への同意を強制することは、重大な違法行為であると当組合は考えていることを通告する。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年03月20日 11:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年03月13日

横浜市立大学全員任期制問題、「知的伝統が破壊され 実に腹立たしく悲しい」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2006.3.9)

新執行委員長就任挨拶

岡 眞人(国際総合科学部人間科学コース教授)

……

 大学当局は一貫して「教員全員任期制」を大学改革の目玉にしています。全員任期制は大学教員任期法はじめ関連法規の精神に全くそぐわないもので、教員の身分を不安定にし、教員が安心して教育・研究に取り組める環境を破壊しています。その結果、とどまるところを知らない人材の流失が進行しています。研究棟の廊下を歩くと空室が目立ち、まるでシャッターを閉めた店が連なる崩壊寸前の商店街のようです。横浜市大が長い歴史の中で脈々と育んできた知的伝統の森は乱開発で根こそぎなぎ倒されているように感じます。実に腹立たしく悲しい想いです。

 横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されました。当局は任期制への同意を求める文書を各教員に送りつけましたが、多くの教員は正当な法的権利に依拠して任期制受け入れを拒否し、従来どおり定年までの雇用保障の権利を維持したまま勤務しています。しかし、ここに再び重要問題がもちあがりました。教授や準教授への「昇任」を契機に、任期付きの新しい労働契約を迫るという事態です。これは定年までの期間の定めのない雇用保障を放棄することになるので、実に重要な労働条件の変更になります。組合との協議は不可欠ですが、当局のやり方は一本釣り方式で新契約締結を強行しようとしているように見えます。その上、当局は契約期間終了後の「再任」について何ら説明をしていません。まるで白紙委任状の提出を求められているのに等しく、5年ほどの任期が切れたら「契約期間満了」という名の「雇い止め」になる可能性も否定できません。これではリスクが高すぎて「昇任」という甘い香りに誘われて任期付き契約に同意することは賢明ではないと言わざるを得ません。

 この問題は法人化後、新規に任期付きの条件で採用された教員が数年後に直面する問題でもあります。すでに任期制に同意した人であっても、教育と研究に継続的に安心して取り組める環境は必要不可欠です。新規採用になった教員に聞いたところ、「任期制に同意できますね」と口頭でいわれただけで、労働条件の文書による提示はなく、再任ルールの説明もなかったそうです。これでは落ち着いて教育・研究に打ち込むことはできないでしょう。当局は「普通にやっていれば再任される」と以前説明したことがありますが、その「普通」の定義は曖昧なまま放置されています。

 ここに任期制に同意していない人も同意した人も、全ての教員が直面する切実な課題があります。これこそ教員組合が当面取り組むべき最大の課題だと思います。組合の基本的立場は、任期付き雇用に同意することなく教授等への昇任を実現することです。大学当局は、全員任期制が改革の目玉なので絶対譲れないという立場に固執しています。これは関係法規の条文と精神に照らして誤っているだけでなく、大学運営の現実論から見ても人材の大量流失を招き、本学の教育・研究の質的低下を引き起こすという間違いを犯しています。そもそも、現場の教員の声を無視して、トップダウン方式で横浜市立大学の全てを一挙に変えるのが改革だといわんばかりの蛮行を犯したツケが回ってきているのです。……


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2006年02月15日

横浜市立大学労基法第14条に基づく全員任期制、国会の付帯決議にも違反するのではないか

衆議院厚生労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成15年6月4日)
参議院厚生労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成15年6月26日)

 2003年7月4日公布の改正労基法(2004年1月1日施行)は,解雇規定の新設および裁量労働制の規制緩和とともに有期労働契約の期間の上限に関する定めを変更した。その内容は有期契約の期間の上限を原則1年から3年に引き延ばし,特例の3年を5年に延長・緩和するものであった。
 
 労基法第14条は,これまで,その本来の立法趣旨と異なり,解雇権濫用の法理に対する回避策として利用されてきた。すなわち,期間の定めのない正規雇用者の場合,判例上「正当な理由」(整理解雇の4要件など)のない解雇は明確に違法とされており,この規制を免れるために,使用者は恒常的に必要とされる業務についても「期間満了」という形態で解雇が可能な有期労働契約を締結しようとしてきた(ただし,有期契約を何回も反復更新するなど,期間の定めのない雇用と変わらない労働実態が認められる場合,有期労働契約と言えども雇止めに対して解雇権濫用の法理が適用される。そこで,この問題をクリアすることが,上記労基法第14条改正の真の狙いでもあった。)したがって,労働契約期間の上限規制の緩和は,新たな不安定雇用者の拡大をもたらすものである。

 この点に関わり,労基法改正審議過程において,労働政策審議会労働条件分科会では,「有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い,企業において,期間の定めのない労働者の雇用に代えて有期契約労働者を雇用するケースが増大するのではないかとの強い懸念があり,常用代替が進まぬよう一定の期間を超えて雇用した場合の常用化や期間の定めのない労働者のとの機会均等を要件にすべきだ」との意見が労働者側委員から強く出された。他方,使用者側委員からは,「企業においては,基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており,今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約にすることは考えにくい」との反論意見が出された(下記を参照のこと)。

労働政策審議会労働条件部会「今後の労働条件に係る制度の在り方に関する議論の整理について」 (平成14年7月23日)

……

(2) 労働契約の期間

ア 雇用形態の多様化が進む中で、有期労働契約が労使双方にとって良好な雇用形態として活用されるようにしていくためには、有期労働契約の更新、雇止め等に係る実態等にかんがみ、良好な雇用の選択肢、雇用機会となるようにするための措置を講じていく必要があるとの共通の認識の下に、次のような議論が行われた。
 使用者側委員からは、①労働基準法制定当初にみられた人身拘束等の弊害がなくなってきていることから、民法の原則に立ち返り、労働契約期間の上限を五年とすることで選択肢を広げるべきであり、このことは労働者にとっても一定期間の雇用が保障されることから意義を有する、②企業の意識としても、今後とも期間の定めのない労働者が企業の基幹従業員であることに変わりはなく、従って労働契約期間の上限を五年にしたとしても、危倶されているような大幅な常用代替は起こらないのではないか、③有期労働契約の締結、更新等に係るルールについては、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成一二年一二月二八日 基発第七七九号)による運用で十分に対応可能であり、法制化の必要はないとの意見が出された。

 これに対し、労働者側委員からは、①労働基準法第一四条において労働契約期間が一年と定められている中で、労働契約期間の上限を延長すべきという労使双方のニーズが少ないこと、採用後意欲があれば継続して働き続けることのできる社会こそが目指すべき社会であること等から、労働契約期間の上限を延長する必要はない、②EU指令にみられるように、労働契約の基本は期間の定めのない契約であって、有期労働契約ば「臨時的・一時的」な業務に限定し、また、有期労働契約の反復更新にも制限を加えるべきである、③「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成一二年一二月二八日 基発第七七九号)の内容は十分なものとはいえず、また、実効性に欠けるため法制化を求める、④有期労働契約が良好な雇用機会となるためには、有期労働者と無期労働者の「均等待遇」が不可欠であり、今のような雇用形態による待遇格差が維持されたままでは、今後、安価な労働力である有期契約労働その他の労働形態が拡大し、いわゆる正社員との代替が起こる可能性がある、⑤労働契約期間の上限を延長すれば、事業自体が継続する場合には、常用労働者の有期契約労働者への代替のみが行われることとなり不安定雇用の拡大につながるものであることから認められず、むしろ雇用の安定の確保の観点から、有期労働契約の雇止め等に係る点的ルールを構築する必要があるとの意見が出された。……

労働政策審議会労働条件部会「今後の労働条件に係る制度の在り方について」(建議) (平成14年12月26日)全会一致

今後の労働条件に係る制度の在り方について(建議)

Ⅰ 労働契約に係る制度の在り方

 2 労働契約の期間
 (1)有期労働契約の期間の上限について

……
 有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い、合理的理由なく、企業において期間の定めのない労働者について有期労働契約に変更することのないようにすることが望まれる。
 本項目については、労働者側委員から、有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い、企業において、期間の定めのない労働者の雇用に代えて有期契約労働者の雇用にするケースや、新規学卒者の採用に当たって三年の有期労働契約とすることにより事実上の若年定年制となるケースが増大するのではないか、との強い懸念があり、常用代替が進まぬよう、一定の期間を超えて雇用された場合の常用化や期間の定めのない労働者との均等待遇等を要件とすべきであるとの意見があった。一方、使用者側委員から、企業においては、基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており、今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約とすることは考えにくいとの意見があった。。……

 この懸念については,国会においても同様に問題にされ,最終的に改正法案を通過させるにあたって,衆参両厚生労働委員会は以下のような付帯決議をつけた。すなわち「労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと」である。こうして,改正労基法第14条は,適用にあたっては常用雇用の有期雇用への代替,有期雇用の無限定な拡大が戒められている。

 因みに,労基法の改正は,第14条第3項として以下の文言が新たに加えられることになった。

2  厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

3  行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 横浜市立大学の労基法第14条による任期制は,期間の定めのない雇用者たる教員を全員3~5年の有期雇用に置き換えようとするものであり,まさに下記の付帯決議の趣旨に違反する(基幹労働者の丸ごと代替有期雇用化などあり得ないと発言した労働政策審議会使用者側委員の想定をも超えたといえよう)。また,期間の定めのない労働契約を有期労働契約の変更するためには,労働者の合意が必要にもかかわらず,昇任手続きと引き替えに無理矢理に不利益変更への合意を強要することも違法であろう。理性と良識の府たる大学において,かの厚生労働大臣でさえ,契約期間上限の延長のデメリットとして認識し防止しなければならないと公式国会答弁した有期雇用への置き換えについて,横浜市立大学はこれを意図的に強引かつドラスチックに進めようとしているのである。
 このように雇用面での安定秩序を破壊し,大学教員への権利侵害・反労働者的行為を平気で行う大学において,西の横綱を立命館大学とするならば,横浜市立大学はまさに東の横綱として堂々「昇格」した。

労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

平成15年6月4日
衆議院厚生労働委員会

一 労働契約の終了が雇用者の生活に著しい影響を与えること等を踏まえ,政府は,本法の施行に当たり,次の事項について適切な措置及び特段の配慮を行うべきである。

1 (略)
2 労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。

3 以下、略。

労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

平成15年6月26日
参議院厚生労働委員会

一 政府は,次の事項において適切な措置を講ずるべきである。

1 (略)
2 労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替化を加速させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。

3 以下、略。

衆議院厚生労働委員会 第18号 平成15年5月28日(水曜日)

……

○坂口国務大臣 おはようございます。
 有期労働契約期間の上限延長に伴うデメリットについてお話がございましたが、現在いろいろ懸念をされておりますことは、一つは、期間の定めのない労働者にかえて有期契約労働者を雇用したり、有期労働契約が事実上の若年定年として利用される可能性があるのではないかというのが一つ。それからもう一つは、一年を超えるようなより長期の有期労働契約を締結した場合には、契約期間の途中でさまざまな事情の変化が起こる可能性が高いにもかかわらず、そのような場合にも中途解約ができずに、不当に労働者が拘束されるおそれがあるのではないか。この二つのことが懸念として示されているというふうに思っております。
 過去のいろいろの裁判例等を見ましても、この辺につきましてはさまざまな角度からの最高裁あるいは高等裁判所等からの判決も出ておるところでございまして、かなりこの辺も整理をされてきているというふうに思っている次第でございます。
○水島委員 判例においてはかなり整理されてきているという御認識であるわけですが、今大臣が懸念される点として挙げられた点については、まさに私も同感でございます。本日、ぜひこの質疑の中で、その点について、大臣がその懸念をどのような形できちんと措置されているかということを明らかにしていっていただきたいと思っております。
 そもそも、大臣はこの有期雇用というものに関しては望ましい雇用形態と考えていらっしゃるでしょうか、それとも、あくまでも例外的な雇用形態というふうに考えておられるでしょうか。
○坂口国務大臣 どのような雇用形態によって労働契約を締結するかということは、これは労使双方が労働条件などのさまざまな要件を考えて選択をし、締結をするものでありますから、雇用形態がどれがいいということを一概に言うことはなかなか難しいというふうに思います。
 しかし、最近の状況を見ますと、みずからの専門的能力を生かして働きたいという労働者の意識の高まりというのも、今までに比較をいたしますと大きくなってきているというふうに思います。また、労働者の転職希望率というのも、これもまた高まっておりまして、終身雇用や年功賃金に関する意識変化というものがあることも御承知のとおりでございます。
 このような状況の中で、転職を繰り返す中でキャリアアップを図りたい、そういう方もございますし、あるいはまた、自分の専門的知識を生かして働きたい労働者にとって、有期労働契約がメリットの人もおみえになる。
 ただし、そうはいいますものの、そういう労働者ばかりではありませんから、有期労働ということによってマイナスになる可能性の方も私は率直に言ってあるというふうに思いますから、そういう皆さん方に対してマイナス面をより少なくしていくという努力が必要ではないかというふうに思っております。
○水島委員 確認をいたしますけれども、つまり、有期雇用という形で働きたいということを進んで希望する方には、当然、有期雇用という制度があるべきであるけれども、有期雇用という形を望まない人にとっては、やはりこの有期雇用が実質的に働き続ける唯一の手段となることはできるだけ防いでいかなければいけないというような御認識ということでよろしいでしょうか。
○坂口国務大臣 常用雇用というのが決してなくなるわけではございません、これからも続くものというふうに思っておりますし、経済の動向によりましては、企業の側も常用雇用というものをもっと重視する可能性もございます。したがいまして、常用雇用を希望される方はやはりその道をできるだけ選ばれる、そういう選択が十分にできるような体制というのをつくっていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。……


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2006年02月14日

横浜市立大学、昇任規程の問題点

『カメリア通信』第37号
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月13日)

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第37号
2006年2月12日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No. 37, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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昇任規程の問題点

横浜市立大学研究院
教授  一楽重雄

 12月20日に施行されたという「公立大学法人横浜市立大学昇任規程」が、2月に入って明らかになった。明らかになったと言うより、この規程とその内規によって実際に昇任のプロセスが始まっている。教員全体に周知することもせず、管理職が該当すると思われる教員ひとりひとりを呼び出し、「推薦するから書類を書くように、締切りは来週の月曜日」と言っているような状態である。しかも、管理職によって内規を示す場合示さない場合とそのやり方にも差がある。

 想像するに当局の言い分は、「昇任は、もう一年近く待たせているのだから4月にはぜひとも発令したい」ということであろう。しかし、一年も遅らせたのは誰なのか。当該教員には、何の責めもない。しかも、12月20日施行と言うのに、なぜ、一月以上も経った2月になるまで明らかにされなかったのか。一月も空白期間をおきながら、2,3日で書類を調えろということは、あまりにご都合主義ではないだろうか。

 この規程は、教授資格、準教授資格を定めたものであり、大学にとって大変重要なものである。したがって、学校教育法によって教授会で審議すべきものであることは、明白であろう。改革と言いさえすれば、法律を無視してもよいというわけはない。大学の自治は、憲法で定めている学問の自由を保障するものとして重要な法律的概念であり、現在も守らなければならないことには誰も議論の余地がない。問題であったのは、大学の自治という美名のもとに、教授たちは己の利益を守るためにのみ腐心し、大学の問題点を放置し、改革を怠ってきたのではないか、ということであった。仮に、この指摘が当たっていたとしても、大学の自治を守らなくてよいということにはならない。

 だからこそ、松浦副理事長も、法人化するに当たっての教員への説明会で「今後は大学の自治を尊重する」と明言したのであった。この言葉に期待をしていた多くの教員は、今回の昇任規程を見て、裏切られた思いでいっぱいであろう。

 せめて、規程の中味が納得のいくものであれば、「結果よし」としよう、ということもあるかも知れない。が、今回の規程は中味も大問題である。 第一に、昇任人事発令のために「新しい契約」を必要とすることを明記したこと。これは、任期制への同意を強制していることである。もちろん、これも法律違反の可能性が高い。本人の同意なしに期限なしから期限つきの労働契約に変更することはできない。

 市会での委員会質疑において「任期つきの教員は、任期なしの教員とは、待遇に差をつけるべきではないか」とか「学生が任期のある教員とそうでない教員を分かるようにしたら」というような意見があった。これらに対して、当局は、ほとんど積極的な回答を与えることが出来なかった。それは、「全員任期制」という制度設計自身が間違っていたからである。まず、「全員任期制」が法律に違反している可能性が高い。少なくとも法律の趣旨に反していることは、労働基準法が改正されたときの付帯決議で明らかである。いわゆる大学教員の任期法によって任期のあるポストを大学の一部に作るのであれば、任期のある教員をいかように優遇することも出来た。しかし、全員任期制では、制度として一つであって、制度上は任期なしの教員は存在しない。たまたま、任期つきに切り替えることに同意しない教員がいるだけである。また、同意しないことは、法律上の権利であるから同意しないからと言って差別をすることも出来ない。結局、任期のある教員を優遇することは出来ない。

 現実には、この制度はよい教員を追い出す作用しか持たない。教員の流出は相変わらず、止むところを知らない。テレビで中田市長自らが取材したA教授はこの4月から転出する。

 規程の問題は、任期制にとどまらない。管理職の推薦がない限り審査の対象ともならないことも大問題である。この問題点は、教員説明会において指摘したのだが改善されていない。しかも、管理職が選挙で選ばれたわけではないから「あんな管理職に推薦されたくない」という人が出ることも十分考えられる。専門分野が異なれば、仕事の評価はおろか内容の理解さえできないのが、学者の世界である。自分の仕事が分かるはずもない人に推薦してもらうのもおかしなことである。

 昇任の資格として「ふさわしい研究業績」に並んで「本学に対して多大な貢献をした者」という一項が入っている。これは、大学の自殺行為である。本学に対して多大な貢献をした人に対しては、その貢献の種類に応じたしかるべき待遇をするべきであって、「ふさわしい研究業績がない」人を教授や準教授にすることは、学生や社会を欺くことにほかならない。今でさえ「学務教授」という教授でない「教授」を作ってしまった。今後は、教授でない「教授」が出現する。

 学長・理事長は、新大学を本当によいものとする気持ちを持っているのであれば、今回の昇任規程をいさぎよく撤廃し、真によい大学を作るために新しい規程を早急に教授会の審議を経て決定すべきである。

 今年も入試志願者は、3371名にとどまり、平成16年度の4654人にはとうてい及ばない。市民にとって価値がある大学に改革されたならば、当然志願者も大幅増のはずである。大学改革の図面をひいた人は責任を取るべきである。仮に「大学改革はうまく言っている、このままでよい」ということであるとするなら、改革の図面を引いた本人が、表に出てリーダーシップを発揮すべきである。批判を恐れ、隠れたところで欠陥図面を出し続けるならば、これは構造計算偽造と同種の犯罪行為である。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月14日 00:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月13日

横浜市立大学の労基法第14条に基づく全教員任期制の強要、日本の全大学人への挑戦ではないか

 横浜市立大学は,任期制導入問題について,教員組合との団体交渉の際,「任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない」とする態度を示し,個々の昇任をたてにとって力ずくで任期制の導入を強要しようとしている。

 横浜市立大学の任期制は,通常の任期制と次の点で特異な性格をもつ。一つは,全教員に適用させるものであり,いまひとつはその法的根拠を「大学の教員等の任期に関する法律」ではなく,労基法第14条に置いている点にある。この2つをセットにした任期制は,全国広しと言えども横浜市立大学をおいて他に例がないのではないか。そもそも労基法第14条は,有期の労働契約が特定使用者への長期間の緊縛をもたらすことがないよう,契約期間の上限を定めるものであって,あくまで職業選択の自由を保障する労働者への保護が立法趣旨である。この規定を逆手に利用して期間の定めのない常用雇用者を有期契約雇用者に,しかも在職教員を全員それに適用させる行為は暴挙というほかない(一般の民間営利企業でさえ,こうした乱暴な雇用条件の不利益変更は聞いたことがない。つまり課長や部長に昇進したければ皆有期雇用の契約にサインしろというのと同じ。)本来の任期制の趣旨とは遠く離れて,実質は全教員の不安定雇用化=「有期雇用化」である。

 厚生労働省は,「有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準」告示において,有期労働契約を締結するに際して,「労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」としているが,横浜市立大学の任期制は,この判断基準さえ具体的に示していないようだ。したがって,同大学のそれは大幅な規制緩和(改悪)を狙った2004年改正労基法にも悖る。

 日経新聞(2月2日付)において,宝田良一理事長は,下記のように,「それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」とのコメントを出している(教員の「指導計画」とは何かよく分からないが,とにかく実施することに重きを置いている)。他方,教員組合は,「現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大学だけの闘いではありません。われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大させる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります」と述べている。まさに組合の主張通りだと思う。いま,全国の大学をみても,すさまじい勢いで,教員の雇用不安定化が進んでいる。大学教員の人材派遣さえ登場している中にあって,まさに市大の闘いは,日本の全大学関係者の闘いでもある。

日経新聞神奈川版(2006/02/02)

 横浜市立大学で四月に始まる教員の人事評価制度の準備が進んでいる。研究成果、授業の教え方。専門分野によって評価軸は異なる。医学部では大学病院の患者への対応までも考慮しなくてはいけない。昨年四月の独立法人化とともに年俸制と任期制がスタートした。評価制度は教員向け改革の総仕上げでもある。
 定年制の公務員から三年ないし五年の任期制度への変更には本人の同意が必要となる。「評価された結果、どうなるのかが見えないのに任期を限られても」。任期制導入からまもなく一年。全教員の三割は同意を保留したままだ。
 「一律に評価することは確かに難しい。それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」。宝田良一理事長は重要性を説く。評価項目など制度の概要が固まった後、任期制の同意が増えるかどうかは見えない。……

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌

2月10日 教員組合が騒いでいる「任期制同意」なるものは、たんなる大学改革への同意を求めたものに過ぎない、という「甘い言葉」[1]をささやく人がいる。昨年3月の任期制同意に関する文書は、そのようなものだという[2]。

本当か?

しかし、そんな抽象的なことに同意をもとめられたのならば、どうしてそのような同意書に多くの教員(文科系の教員を中心に国際総合科学研究科・国際総合科学部の教員)が署名するのを拒否し、教員組合に預けたのであろうか? そんなにも多くの教員は愚かなのか?

記憶は薄れる。もしかしたら、私の記憶違いで、「改革に賛成してくださればいい」というようなあいまいな内容だったのかと、文書をひっくり返してみた。

タイトルからしてまぎれなく、「任期の定めのある雇用契約への同意について」とはっきり規定している。たしか就業規則で任期は3年とか5年などとなっている。同意を求める内容もかなり具体的な事項に踏み込んでいる。勤務時間のあり方も具体的に言及している。これらの部分が、同意書に署名した人々を拘束することは確実だろう(一体どこまでに同意したことになるのか、不安になるのは当然ではないか[3])。その意味で、やはり多くの教員が危惧を抱く内容・文面である。「改革に同意すればいいのです」というような抽象的で、誰も否定できないような「甘い文面」では決してない、と私は考える。誤解なら、明確な文書で責任を持って、誤解を解いてもらいたい。

教育研究業績の評価システムが、大学らしいものとして整備されていない段階(それは、現在の審議システム・学則では経営審議会・理事長副理事長などの経営責任者に責任があると思われるが)で、昇格審査者に対して研究業績教育業績等の審査に合格した後も任期制に同意しないうちは昇任させない、という団体交渉での回答とあわさって、大変な怒り・不信感を増幅させているのである。

巷には、当局回答が「組合側の誤解だ」などという説も出てきたが(どうしてそのように当局の考えを知っているのだろう?)、それならば、当局は、明文を持って、きちんと不安を取り除き教員のプライドを傷つけないような回答文書に仕上げ、組合に提示すればいいであろう。

昨日は、代議員会があったという。そのひとつの論点に、「昇任審査基準を公開しないのはなぜか」という問題があったということである。1月30日に人事委員会(誰が委員会メンバー?学長が委員長であることは確実だが)で制定されたというルールなのだから、公開すべきである。

誰が該当者か、基準がはっきりしなければ応募しようがないではないか。コース長が恣意的に基準の内容を伝え、本来の該当者を排除してしまう可能性だってある。人事における公明性・公開性はどうなったのか?

法人サイドに都合のいい(法人に従順な人だけを昇任させる・法人の言うままの大学・・・法人責任者は誰が任命しているか?・・・大学の自治は?)人事制度だという疑いをもたれても仕方がないのではないか?

他方では、かなり問題の条項もあるかに噂されている。それを隠すためか?

一方で審査基準が厳しくなったという噂を耳にする。他方で、研究教育業績などなくても、当局の言うままに行動すれば褒章が与えられる規準となっているとも耳にする。

現物を見ないので、疑心暗鬼! 「過去5年間に論文一本も書いていなくてもいいんだって・・・」などと[4]。

いらざる噂の徘徊を防ぐ道は、早急な基準公開であろう。

かつては教授会で公然と昇任基準を議論していた。誰でもが基準を知り、その基準をクリアすべく、努力していた。

現在は、学長等の管理職(全員法人任命のはず)で構成する人事委員会が決定権を持ち、しかも、それをわれわれ一般教員には分からないようにしたままで、ことを進めている。

いつになったら基準は公開されるのか?

人事委員会が責任を持って決めたものならば、普通の教員にわかるように、なぜ公開しないのか?

ごく少数のちょくせつの該当者だけがわかっていいものではない。なぜか?

いまだ候補資格はなくても、何年かけて、どのような業績を積めばいいのか、たくさんの若手教員は知りたいだろう。それなくしては努力の仕様がないだろう。規則・基準の公開性は、大学の人心を安定させるためには不可欠である。かつては教授会規則・教授会人事規定などとして誰でも分かる形になっていた。

そして次に問題となるのは、審査を誰がやるかである。

審査員を誰が決めるのか?

それによって、結論は初めからわかってしまう場合さえあろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月13日 23:22 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月10日

横浜市立大教員組合、任期制強要にどう対処するか 顧問弁護士を招いて緊急学習会

横浜市立大学教員組合
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月9日)

緊急学習会のお知らせ
昇格人事における任期制強要にどう対処するか?

 教員組合「ウィークリー」でもお伝えしましたように、2月1日の団体交渉において当局は、任期制を認める契約に同意しなければ昇格人事は発令しないという強圧的な方針を示しました。これは、合理的な理由なしに一方的に従来の労働条件を不利益変更しようという不当かつ違法な方針と言わざるをえません。教員組合は、法律上の考え方を含め、この問題にどう対処していくべきかを話し合うため、緊急に顧問弁護士をお招きして学習会を開催いたします。組合員の皆様、どうぞご参加ください。

教員組合学習会

テーマ: 昇格人事における任期制強要にどう対処するか
日 時: 2006年2月13日(月) 午後6時より
場 所: シーガルセンター1階(生協)ゲストルーム
講 師: 弁護士・江森民夫さん(東京中央法律事務所)
主催:横浜市立大学教員組合(Tel 045-787-2320)
組合HP:http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月10日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月08日

横浜市立大任期制問題、不当な昇任(発効)延期は当局にしかるべき弁償を求めるべきもの

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月6日)

2月6日 教員組合ウィークリーを頂戴した。以下にコピーしておこう(いうまでもないことながら、何時ものように強調箇所は引用者・私によるもの)。

2月3日付けで緊急に書き留めておいた本日誌の記述がほぼ正確であったこと、当局の回答の不当な内容が正確にわかる。

下記の委員長・組合執行部の見解に全面的に賛成する。

昇格候補の各教員は、正々堂々と審査基準(いまだ公開されていないが)にしたがい、昇任資格審査(研究教育・学内貢献・社会貢献等の業績審査)を受け、その合格をかちとり、その上で、「任期制を承認しない限り昇任させない」などという当局に対し、労働法、労働基準法、学校教育法、その他の関係諸法律・諸権利(国際基準としてのユネスコの宣言なども含めて)をもとに、教員組合とともに対峙することを期待したい。現在の法人当局のやり方は、大学教員任期法制定時の国会付帯決議が「乱用」をいましめたその「いましめ」を破るようなことをやっているのではないか。そこに今回の教員組合委員長文書が示す怒りが湧き上がるのではないか。

不当な昇任(発効)延期は、その間の経済的不利益、精神的不利益・苦痛、社会的不利益も含めて、当局にしかるべき弁償をもとめるべきものである。当局の不当な強制に従順にしたがうのではなく、当面、すくなくとも、任期制の制度設計(大学の研究教育の活性化の説得的合理的説明を伴う合法的な制度)が明確になるまでは、その任期制への同意を避けるべきではないだろうか。

合理的で説得的な制度で、しかも大学教員任期法の精神と諸規定に真の意味で合致する制度であるならば、生き生きと力を発揮できる制度ならば、そしてそのようなものに選ばれたのならば、まさにエリートとして任期制の契約(契約文書をきちんと入念に見る必要があるが・・・京都大学井上教授事件の痛々しい経験を反面教師とし参考にすべきである)をしてもいいのではないか?

それはともあれ、正々堂々と昇任を勝ち取ったあかつきには、昇任業績審査合格時点からその時点(昇任発効時点)までの不利益は、損害賠償等としてしかるべき弁償をさせるようにするべきであろうと考える。それは無理なことか?私はそれこそ正当なことだと考えるが。イェーリングが『権利のための闘争』で説くように、先人の辛苦と血で作られ守られてきた諸法律は、それを活かす現代人の努力なくしては、無に帰してしまうのではないか。

学生、教員、市民に「プライド」を説く学長(1月30日付記事)は、教員に精神的苦痛を与え、大学の研究教育を担う主体である教員集団のプライドを台無しにするこうした法人当局の態度に対しては、どのような態度をとるのであろうか?


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月08日 00:16 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月07日

横浜市立大教員組合、「昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!」

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報  組合ウィークリー 2006.2.6

昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!

 さる2月1日(水曜日)午後5時半より、教員組合と当局との団体交渉が行われました。
 その場で当局から次のような重大な回答が行われましたので、われわれの基本的立場を明確にするとともに、今後の対応をどうすべきか検討していただくために緊急に組合員の皆さんにご報告いたします。

 われわれの要求「教員の昇格人事に際し、任期制を受け入れる旨の新規雇用契約を強制しないこと」に対し、当局は、次のように回答しました。

(1) 1月30日の人事委員会で承認基準の内規を決定し、それに基づく昇格候補者の推薦を各学部長にお願いした。審査対象者にする際に任期制の同意を条件とすることはしない。

(2) しかし、任期制は改革の根幹をなすものであり、この原則は譲れない。任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない。任期制を受け入れれば、業績審査は改めてせずにその時点で昇任を発効させる。
 
 この回答は、われわれ教員組合に対する正面からの挑戦です。
 われわれは、任期制や評価制度、年俸制は、「その内容が不明瞭で、きわめて危険な可能性を含んでおり、現状のままでは到底受け容れられない」としてきたからです。
 「任期制への同意を強制しない」と言っておきながら、「昇任させてもらいたければ任期制に同意しろ」と言う「給料と地位」を餌に「任期制の理念への屈服」を求める当局のこの力ずくの方針が、どれほどわれわれ教員の誇りを傷つけるかを当局は知るべきです。
 このような当局の態度は、当局に対する教員の不信感を一層増幅させ、ただでさえ、教員の大量流出、横浜市立大学への帰属意識と士気の低下、大学運営の混乱という現状を一層、ひどいものにする可能性があります。当局はその責任を負わなければなりません。
  
 この回答は、「経営責任者として合理的説明なしに従来の労働条件の不利益な変更を行う」当局の方針の一方的通告にあたり、われわれは、労働組合として到底受け入れることはできません。今後、組合は、当局にその義務である「誠実交渉」を求め続ける方針です。

 教員組合の執行部としては、昇任手続きの進行に遅れることなく、顧問弁護士を交え、独立法人化対策委員会のメンバーの方々などとご相談しながら具体的方針を早急に提示するよう努力して行く所存です。

昇任対象になられた先生方へ

 特に、昇任対象になられた先生方は、近く極めて厳しい選択を迫られることになるものと思われますが、私たちは、組合員個々の対応を特定の方向で縛ることはありません。このような状況の下で、それぞれの組合員の方にとって何がその身分を守り、生活・研究・教育条件を向上させて行くのに最も良いのか、情報や見解を提示し、皆さんからの質問に答えるよう努力したいと思います。そして組合として皆さんの利益を守るために可能な限りのことを行って行きます。ここでは、現在まで明らかになっている次のことを最低限お示ししておきます。

(1) 任期制は、評価制度と結びついており、現在その評価制度の概要さえも提示されておらず、それが、どれほど客観的で、公正に機能するかは全く予断を許さない状態のままであること。(ことに「改革」の強引な推進によって、教員の間で、当局に対する疑心暗鬼が募っている状況の下で、「怨念を残さない意欲を高める評価、教育研究の活性化を図る評価」がどれほど可能か、きわめて疑問です。)

(2) 任期制は、その期間の雇用を保証しているだけであり、たとえ業績が充分であっても、人件費の大幅削減を求められている状況の下では、「雇い止め」の可能性が充分ありうること。(「普通にやっていれば」などと言われて、安心していられる状況ではないのです。)

(3) 万が一、不当な理由で「雇い止め」の通告を受けたとしても、任期制に同意する署名をしてしまうと、それが裁判では不利に作用することが、すでに他の裁判で実証されていること。


 現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大学だけの闘いではありません。
 われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大させる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります。
 われわれは、労働者としての法に保障された権利に基づき、横浜市立大学人事当局の不当な攻撃に屈することなく正々堂々と闘っていきます。

(文責 教員組合委員長 上杉 忍)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月07日 00:54 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月06日

横浜市立大、准教授から教授への昇格・昇任 任期制同意者に限定か

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月3日)

 昨日の夕方、教員組合定期総会があった。出席者・委任状を含めると組合員の9割くらいが定期総会の議題に関心を持ちまた、総会の結論に賛成したことになる。任期制・年俸制問題、研究教育条件の問題など、難問が山積しており、多くの教員が切実な関心を持ち、組合に期待していることが伺われる。まさにその教員組合の存在意義・力量に直接関わるような回答が、当局側からあったようである。

 正式の内容はいずれ組合ニュースなどで知らされるだろう。しかし私の理解したかぎりでは、「准教授から教授への昇格・昇任者には任期制を承認させる(任期制同意者のみを昇任させる)」との回答だったようである。これは繰り返し教員組合が、「やらないように」と求めてきたことであったことは、ウィークリーなどから明らかだが、その根幹的な要求を拒否した内容のようである。

 私の考えでは、これは、大学教員任期法が規定した限定的な研究教育活性化のための任期制ではなく、昇格者全体に任期制を昇任と引き換えに強制しようとするもので、大学教員に対する任期制の不当な適用であろう。組合執行部は顧問弁護士とも相談しながら、法的措置も含めて本格的に検討を開始するということで、今回の団体交渉における当局側答弁によって、まさに教員組合の存在意義と力量、全大教など全国教員組織の力量とが問われる事態となったように感じられる。

 法律に基づいた大学教員の任期制のきちんとした制度設計がないままに、制度の承認だけを迫る(「承諾しなければ昇任なし」というのは最大の強制である)、内容の分からない不透明な制度に同意しなければ昇任させないというのは、これは不当なことではないか? 重大な不利益措置、不当労働行為ではないか?

 これは一般的な公序良俗にさえも反し、憲法の諸規定に反することではないか?

 昇任者・昇格者という弱い立場の人間(大学教員全体から言えば、当面の事例に即しては少数者マイノリティ)を差別し、各個撃破しようとするものではないか?しかるべき研究教育業績を上げ、しかるべき大学運営に貢献した実績が客観的基準で示されれば昇任する、というのがこれまでの本学、そして全国の大学の教員の昇任のあり方だったからである。この根本を転覆しようとするものであろう。

 それは不利益措置でなくてなんであろうか?

 こんなことが通用するのか?労働基準局はどう反応するのか?

 任期制導入の本来の趣旨、任期制適用の精神である大学の研究教育の活性化とどのように結び付くのか、経営側の説明責任が問われる。

 「上から」任命された学部長の下では、「権限なし」、「審議権なし」などと教授会は開催されないとしても、代議員会は憲法や学校教育法で規定された教授会の権限を行使するために、きちんと議論すべきではないか?

 他方また、昨日の時点では、昇格基準に関しては明文規定(公明・公開の規定)が示されないままに、候補者をコース長が選ぶ、という。いつの時点で基準が公開されるのか、その基準の適用をコース長だけが行うとすればどのような問題が発生するのか、大変な問題になりそうである。

 その他、総会では、数理科学科廃止に伴い数理科学科の教員の配属問題が宙ぶらりん状態になっているようである。形式上は、4名が基盤科学コース、4名が環境生命コースに割り当てられているようだが、それは本人たちの同意・合意なしのようである。そうした事態が発生したこととの関連で、改革の目玉とされた研究院・学府構想の崩壊(文部科学省で拒否されたこと)がある。研究院は一応教員全員が所属するものとして、位置づけられているが、その実権・実務処理分野がほとんど皆無なので、名ばかりの研究院所属、となっている。その活性化・機能強化も、改革理念を大切にするなら検討すべき(学則改正など)だが、それは問題提起に留まるか、端緒についたばかりというところだろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月06日 00:42 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年06月11日

横浜市立大、大学当局 任期制同意状況を公表

横浜市立大学教員組合、組合ウィークリー(2005.6.9)
大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌(2005年6月9日)より

大学当局、任期制同意状況を公表
同意、新学部で半数下回る

 最近、大学事務当局は、任期制への同意状況として、任期制を受け入れた教員の先月30日現在の人数を、下記のように発表しました(次面へ)。

              教員数    同意数    同意割合
国際総合科学部(注)  167人    79人       47.3%
医学部           227人   163人    71.8%
付属病院          93人    64人    68.8%
センター病院        129人  104人      80.6%
計                616人    410人     66.6%

 「国際総合科学部」(注)において任期制に同意した教員の数は半数を下回っています。
 当組合執行部は、3月末の段階で、任期制に同意した教員の数は金沢八景キャンパスにおいては半数を下回っていると推定していましたが(本紙3月24日号)、現段階においても基本的にその状況は変わっていないことが明らかになりました。
 病院の教員と医学部教員の多くの部分は医師であり、他の教員と条件が大きく異なっていますので、そこですら7割程度しか同意がないのは、むしろ予想を下回るものです。
 なお、この件は今月6日付け『東京新聞』神奈川版でも「統合の新設学部『同意』半数届かず」と報じられています。

(注)当局発表の「国際総合科学部」教員数は、金沢八景キャンパス勤務の専任教員(135名)に、舞岡キャンパス(14名)と鶴見キャンパスの教員(18名)を加えた数となっています。

 このうち国際総合科学部の授業を担当していない教員は学部教授会メンバーではありませんので、同教授会の構成員は144名です(学部長口頭報告による)。なにゆえ医学部・病院以外の全教員すべてを「国際文化学部[1]」に含めているのか不明です。
 なお、新しい国際総合科学部には、旧3学部(商・国際文化・理)教員のほか、総合理学研究科・経済研究所・木原生物学研究所の教員、および新任教員が含まれています。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月11日 09:16 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年06月07日

横浜市立大、教員任期制への「同意」状況 国際総合科学部は47.3%どまり

統合の新設学部『同意』半数届かず 横浜市大の『教員任期制』

東京新聞(6/06)

 四月に地方独立行政法人となった横浜市立大学はこのほど、教員の任期制への同意状況を公表した。国際総合科学部、医学部、付属病院、センター病院の合計六百十六人のうち、同意は66・6%。商学部など旧三学部を統合して新設した国際総合科学部では百六十七人のうち47・3%にとどまり、半数以下となった。

 市大は全教員を原則任期制とすることをうたっていたが、任期制の適用には本人の同意が必要。競争原理を持ち込み教員の質を高めたいとの考えだったが、看板の新設学部では思惑通りに進んでいない。

 旧三学部の教員が中心となっている教員組合は三月から、各教員に対し任期制の同意で態度を保留し委任状を組合に提出することを呼び掛け、四月には「旧三学部出身の教員のうち、過半数が組合に委任状を提出した」としていた。

 市大の松浦敬紀副理事長は、「文系の研究は数年で実績を挙げにくいため、任期制を敬遠する教員もいる」とした上で、「身分が任期制か否かで二分されていることで学部内に溝が生まれるとは考えていない。今後も任期制への理解を深めてもらうように努力する」としている。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年06月07日 00:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年04月12日

揺れる『全員任期制』 独法化の横浜市大

東京新聞(4/12)

 四月から地方独立行政法人となった横浜市立大学で、「全教員を原則任期制とする」とした方針が揺れている。教員に任期制への同意を求めた大学側に対し、特に三学部の統合で新設された「目玉」の国際総合科学部の過半数の教員が、態度を留保するよう呼び掛けた教員組合に委任状を託す事態となっているからだ。任期制で競争原理を持ち込み教員の質を高めたいとする大学側だが、思惑通りに運ばず多難な滑り出しとなっている。 (金杉 貴雄)

■大学側、思惑通り進まず

 大学側によると、任期制により、教員は教授、準教授(旧来の助教授、講師)、助手に分類。教授は五年任期で何度も契約更新されるが、準教授は五年任期で更新は二回まで、助手は三年任期で更新は一回まで。つまり教授は継続的に雇用されるが、準教授は最長計十五年、助手は同六年で契約が切れる。

 大学側は「契約の継続を希望する準教授や助手は、契約期間中に博士号を取得したり優れた研究実績を残したりして、教授あるいは準教授への昇格を目指してもらう」とする。

 任期制は雇用形態が変更となるため、個々の教員の同意が必要とされるが、同意しない場合でも身分の継承が地方独立行政法人法で義務づけられているため、従来通りの「身分の定めのない契約」として継続される。

 だが、大学側は任期制を選べば(1)裁量労働制を結ぶことができ勤務時間の自由がきく(2)基本的な一律の研究費(年三十万円)のほかに、付加的な研究費(最高年五十万円)を優先的に配分する-などとし、有利な面があるとする。

 これに対し、市立大学教員組合は「雇用形態で差別的な扱いをすることは許されない」と反発。各教員に「任期制に同意せず組合に委任状の提出を」と呼び掛けている。

 大学側は当初、三月二十二日を同意期限としたが、同意書が集まらなかったため期限を延期している。新大学がスタートした現在でも「どの学部で何人が同意したかは、現時点で答えられない」という。

 一方、教員組合の山根徹也書記長は、新大学の二つの学部のうち組合組織率が低い医学部については不明だが、国際総合科学部(旧商・国際文化・理学部)では教員約百二十人のうち半数以上から委任状を預かっているといい、任期制に同意したのは、ごく一部ではないかとみている。

 組合側は大学側に話し合いを求めているが、教員の処遇をめぐる混乱が長引けば、学生の不安にもつながりかねない。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年04月12日 09:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月26日

横浜市立大学教員組合、 任期についての素朴な疑問Q&A

任期についての素朴な疑問Q&A
 <シリーズ第2弾>

2005年3月24日発行
横浜市立大学教員組合

Q4 職場を変わりたいときには現在のように自由に異動できますか?

今提案されている就業規則(案)では、退職しようとする6ヶ月前までに理事長に申し出ることとされています。翌年の4月に新任地に赴任すると仮定すると、この条件ではその前年の9月には内定していなくてはならないことになります。異動先の大学などの事情にも左右されますから、9月時点での転出確定は現在でも容易ではありません。
 これでは任期付きであるか否かに関わりなく、全ての教員にとって他大学などへの移動の自由がひどく制限されてしまいます。
 期間の定めのない雇用の場合には、解約を申し入れて2週間後には雇用関係は終了することになっています(民法第627条)ので、6ヶ月という定めは不法・不当です。

Q5 任期付きの場合の離職はどうなりますか?

 法律上は、期間の定めのない教員に比して大きな制約条件が付されています。 労働基準法上の期間を定めた雇用の場合、期間には二種類あります。3年の場合と5年の場合です。
 3年任期の場合には、契約が始まった最初の1年間は転職できず、その後の2年間は「いつでも退職できる」ことになっています(労基法第137条)。しかし、最初の1年間は拘束され、かつ、さきの6ヶ月の規定がそのままだと移動がきわめて不自由になります。
 5年任期の場合にはこの第137条が適用されませんので、期間の定めのない場合には認められている「辞職」が通常の理由では認められにくくなっているのです。ですので、5年任期のケースでは、労働者からの契約解除の申し入れに対しては損害賠償責任が求められる可能性が残ります。

Q6 でも、ほかの大学の理工系・医学系では任期付きでもけっこう異動している人いるのですが、どうしてですか? 任期法と労基法でちがいがあるのですか?

 他大学で行われている任期制は通常、教員任期法(大学の教員等の任期に関する法律)にもとづくものです。それに対して、横浜市大で当局が導入しようとしているのは、労働基準法第14条にもとづく任期制です。おっしゃるように、教員任期法と労基法14条では大きな違いがあるのです。
 教員任期法にもとづく任期の場合には、1年以内の異動はできないのですが、労基法14条による任期制に比して、しばりは少ないのです。学問研究の性格上、大学教員の場合には必要とあれば自由に異動して研究環境を変化させるという選択肢が保障されている必要があります。
 労基法14条による任期制では、この点での制約条件が、Q5へのお答えで示したように、たいへんに強いのです。「全員任期」ということ自体が学問教育の性格を無視した発想ですが、それを、労基法14条にもとづいて実施しようという当局案が、二重三重に大学と学問教育の性格に反するものだといわなければなりません。

Q7 自分が3年任期か5年任期かなど、条件が明確でないのに、任期に「同意」しても大丈夫ですか?

 Q5でみたように、3年任期と5年任期とでは身分的拘束の条件が異なっています。ですので、自分の契約する任期が3年であるのか、それとも、5年であるのかという具体的な契約条件が個々人に提示されていることが「同意」するかどうかを判断する最低限の条件のひとつです。
 私たちが商品購入の契約をしようとするとき、その商品の基本的な属性をつまびらかにしていなければ契約を結びはしません。私たちは、教育研究労働を提供することでその対価を得ようとするわけですから、商品の提供者には情報提供の義務があり、教員にはそれを知る権利があります。 条件がつまびらかになり自分が納得できなければ「同意」する必要は全くないわけです。
 <シリーズ第1弾>に指摘しましたが、任期への「同意」がなくても現在の任期なしの身分は承継されます。

Q8 任期付きの雇用は将来、経営不振などで人員整理に使われませんか?

 率直に言ってこの点はたいへんに心配です。当局は「リストラが第一義的な目的ではない」などと言っていますが、企業の場合には、経営不振の時にまず整理の対象とされるのが、期限付労働者であるという事実から目を逸らすわけにはいきません。
 法人化した横浜市立大学の大きな収入源は横浜市からの「運営交付金」ですが、これが年次的に縮減されることがすでに示されています。また、教育事業は営利目的になじまないので、授業料収入の大幅増を前提にするわけにもいきません。法人の経営体としての課題は山積し、かつ、十分な見通しを立てられているわけではありません。
 この条件のもとでは、ご心配のように任期が「人員整理」に使われていく可能性を否定できません。少なくとも、人件費がふくらむ高次のポスト設定に経営側が積極的になる条件は多くはないでしょう。 むろん、教員組合は、いかなる形であっても人員整理を許さぬよう全力を傾注します。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月26日 14:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月25日

横浜市立大学問題を考える大学人の会、「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」(2005年3月23日)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月24日)

「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める」
-研究・教育の劣化を押しとどめるために-

 横浜市立大学は、4月から商学部・国際文化学部・理学部を廃して「国際総合科学部」に統合し、医学部と共に地方独立行政法人化した新大学として再出発する。しかし、その再出発は、それぞれ誇るべき歴史と伝統を持ち性格も違う3つの学部を、特別な理念もないまま強引に1学部に統合し、教授会から人事権のみならず教学権まで剥奪するという、まともな大学がどこもしなかった暴挙をあえて行った上で、どたんばで前代未聞の教員全員任期制・年俸制・評価制の導入を強行しようとしている。これらの制度の導入は、大学の最大の資産である「優秀な人材」の確保を保証しないばかりか、大学の存立根拠である「研究・教育の自由」を奪う怖れが極めて強く、ひいては市民の「言論の自由」の侵害にも道を拓きかねない危険性を持つものであり、認め難い。

(1)新大学への応募倍率の低下
去る2月末新大学に学生を迎える初めての入試が行われたが、前期試験の応募倍率は、理学系の5.6倍から2.1倍への低下をはじめ、医学部を除くすべての系で半減または激減する結果となった。この数字は、教員や関係者の多くの反対にもかかわらず強行された「改革」が、受験生からも予想以上に厳しい評価を受けたことを示唆している。

(2)止まらない教員の流出
ある新聞が「隠れFA宣言」と報じたように、横浜市大からの教員の流出も止まらない。定年前に横浜市大から流出した教員は、商学部で26.4%(2002年3月現員比率、以下同)、国際文化学部で24.1%、理学部で16.4%、木原生物学研究所で22.2%に及ぶなど、高率の教員流出が続いている。流出者の中には、若手教員や現・前学部長など、大学の中核を担うと期待されていた人材が少なからず含まれていることは特に注目される。

(3)再三行ってきた批判と検証
 「横浜市大問題を考える大学人の会」は、2003年4月15日「『横浜市立大学のあり方懇談会』答申に関する訴え」を出し、任期制の問題点を明らかにしたことを始めとして、同年11月25日には「横浜市立大学の新たな大学像について」に関する声明を発表し、横浜市が導入しようとしている教員全員任期制は、特に教授会による自治が保障されない状況の下では、研究・教育の自由を侵害するおそれが強いことを指摘した。また、「教員全員に任期制を導入した場合、適任と思われる人材が応募をためらい、注目される教員は任期制でない他大学に引き抜かれるなど、研究・教育水準の低下が懸念される」と危惧を表明した。
 さらに、「大学人の会」は2004年3月28日に、成果主義賃金制度に詳しい経営コンサルタントや米国の大学での管理職経験者等を招いて「任期制・年俸制・教員評価制度の導入は研究・教育にいかなる影響を与えるか」に関するシンポジウムを行った。その結果、①民間企業でも成果主義賃金制度はうまく機能していない。原因は評価制度が社員の労働意欲を低下させてしまっている点にある。②任期制を先行導入した国立研究所では、目先の成果が上がりそうな研究テーマを選ぶようになり、仲間との交流も減った。③アメリカの大学は任期制ではなく、テニュア(終身在職権)制である。⑤日本型任期制は、京都大学の井上事件に象徴されるように「業績のある教員」を排除する制度にもなりうること、等が明らかにされた。

(4)批判と教員大量流出の現実を無視した「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行
上に記したわれわれの批判と教員の大量流出にもかかわらず、横浜市は市大における教員全員任期制・年俸制・評価制の具体案を発表し、導入を強行しようとしている。われわれは、この具体案が今後の市大における研究・教育に重大なマイナスの影響を与えるものであることを痛感し、「教員全員任期制」と「年俸制」、提案された「評価制度」の導入を停止し、以下のような措置をとることを求める。

(5)教員組合と協議しその了解を得ること
 雇用者は被雇用者(教員)の身分や労働条件の大幅な変更をともなう「改革」を行う場合には、事前に被雇用者の過半数を代表する組織の了解をえることが義務付けられている。にもかかわらず、昨年12月末に至ってようやく一部の案を提示し、本年の1月25日に初めて説明会が持たれたことが示すように、教員との協議により「改革」を進めようとする姿勢が欠けている。横浜市は性急な「改革」の強行を止め、教員組合と協議しその了解を得て「改革」を行うことをまず、要望する。

(6)「全員任期制」では、優秀な教員を採用・確保できず、教員の流出は止まらない
 京都大学再生医科学研究所における任期制(有期雇用)をめぐる裁判で明らかになったように、任期制のもとではいかに優れた研究成果をあげていても、雇用者は「再雇用をしない」ことが可能である。ほとんどの研究者にとって任期終了による失業は、避けたい事態である。先のシンポジウムでも示されたが、アメリカの大学で終身雇用保障を与える終身在職権(テニュア)制度が拡大したのは、大学間競争の中で大学が優秀な人材を確保するためであった。世界の有力大学で「全員任期制」を採用している大学が皆無であるのは、当然のことである。すでに進行している横浜市大からの人材流出が示唆するように、優秀な人材が任期制ポストへの応募をためらい、在職教員が終身雇用を保障する他大学に移出してゆくのは自然であり、横浜市の「導入の目的」(12月28日付資料)とは逆に「全員任期制」は「優秀な人材の確保」を困難にするであろう。

(7)大学における成果主義(年俸制、評価制)の導入は、研究・教育意欲を向上させない
 すでに「成果主義の導入が企業の生産性上昇を阻害する」ことは、かなり有力な学説となっている。最近の日本能率協会や労働政策・研究機構の調査でも、従業者の多くは、成果主義の導入による「勤労意欲の上昇はない」と回答し、「評価に対する納得度は低下した」と答えている。民間企業の場合、評価者は被評価者とおおよそ同一内容の業務をしており被評価者の仕事内容がかなりよく分かるはずであるにもかかわらず、評価が適切だと納得している従業員は少ない。
 大学の場合は、教員間の専門性の違いは大きく、専門分野ごとに標準的な研究や教育の方法も成果の出方も異なる。この違いを無視して共通の評価基準を作ることはほとんど不可能である。また、専門分野を知らない評価者による評価が被評価者を納得させることは難しい。正当だと思われない評価に基づいて年俸を決められた場合、研究・教育意欲の低下はまぬがれない。まして、市大の場合評価は「相対評価」で行われるから、どんなに努力して業績を上げても、何らかの理由で下位にランクされた教員は、再任の途を断たれるか減俸の対象になる。
 成果主義賃金制度を導入した数少ない大学の一つである北陸大学の場合、制度の導入によって「意欲が高まった」と答えた教員は回答者中の4%に過ぎず、63%は「低下した」と答えている(北陸大学教職員組合調査による)。「不透明、不公平、恣意的な業績評価、それに基づく人事考課は不信と諦めを生み出すだけだ」という意見は、アンケートにみる代表的な意見である。意欲の低下に加え、結果が予想できない困難な研究課題への挑戦を避け、数年で消費され尽すような研究であっても、短期的に成果が予想できる課題を研究テーマに選ぶようになる可能性は高い。

(8)研究・教育の自由を奪う制度
 横浜市立大学の場合、評価を担当する学部・コース・研究院などの組織の長は、教員によって選出されるのでなく、「上から」の一方的任命である。全国の国立大学法人や首都大学東京でさえも、「教員人事に関する事項」は教育研究審議会(評議会)の審議事項であるが、横浜市立大学定款では、教員人事は教育研究審議会(評議会)の審議事項から除外されている。理事会は、横浜市長が任命する理事長がほとんどの理事を決められる制度となっており、横浜市の意向を体したもののみが教員組織の長に任命される、という事態を防止する制度的保障は全くない。憲法が保障する学問の自由と、大学の自治や「大学には重要事項を審議する為に教授会を置く」とする学校教育法の精神に反した制度になっている。
 このように「上から」選ばれた組織の長が、教員の活動の評価者となるため、横浜市の行政に対する忠誠度や思想、個人的関係など学問外の要因が評価に影響する可能性は小さくないし、被評価者が、そうした非学問的な要因や第一次評価者の主観的判断が評価に影響していると推測する可能性は高い。
 まして、横浜市立大学の場合、この評価制度は任期制と結合した「相対評価」だから、威力は相当なものになるであろう。その結果は、評価を上げて再任されるために、教員は、評価者や横浜市の意向に、学問的に、政治的に、社会的に、擦り寄ることを強要されることになりかねない。評価者や設置者の顔色をうかがい、批判的精神を失った研究・教育を行う大学は、大学が社会から負託された社会的責務に応ええないものに変質するといわなければならない。

(9)全員任期制の承認を踏み絵にしてはならない
 横浜市は、任期制度の導入を強行するために「任期制に同意しない教員については(助教授から教授などへの)昇任を認めない」方針である、と伝えられている。教員の昇任は、当該教員の研究・教育の成果に関する専門性をもつ教員集団を中心とした評価と適格性の判断によって決められるべき性格の問題である。「任期制に同意しないと昇任させない」という筋違いの条件をつけること自体、任期制が研究・教育の自由を侵害する怖れが極めて強いものであることを物語っている。

(10)「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行に反対し、中止と撤回を求める
 以上、私たちは、横浜市による市大への教員全員任期制・年俸制・評価制の導入強行に反対し、その中止と撤回を求める。それは「研究・教育の自由」を侵害するのみならず、市民の「言論の自由」の抑圧に道を拓くことになる可能性が強いからである。人事制度の変更については教員組合の同意をえること、教員の人事権、教学権については教授会に戻し、教授会の自治ならびに大学の自治を回復することを強く訴える。

2005年3月23日

「横浜市立大学問題を考える大学人の会」(・印呼びかけ人)
相原光(横浜市立大学名誉教授)、浅野洋(神奈川大学特任教授)、伊豆利彦(横浜市立大学名誉教授)、板垣文夫(横浜商科大学教授)、伊東昭雄(横浜市立大学名誉教授)、・伊藤成彦(中央大学名誉教授)、・今井清一(横浜市立大学名誉教授)、・久保新一(関東学院大学教授)、・田中正司(横浜市立大学名誉教授)、玉野研一(横浜国立大学教授)、津久井康之(専修大学教授)、土井日出夫(横浜国立大学教授)、田畑光永(神奈川大学教授)、中川淑郎(横浜市立大学名誉教授)、長谷川宏(東京都立大学教授)、平塚久裕(横浜市立大学名誉教授)、本間龍雄(東京工業大学名誉教授)、宮崎伸光(法政大学教授)、安田八十五(関東学院大学教授)、・柳澤悠(千葉大学教授)、矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)、・山極晃(横浜市立大学名誉教授)、吉川智教(早稲田大学大学院教授)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月25日 10:05 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大学、個別任期契約に同意していない人が多数派 三学部で50%

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.3.24)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月24日)

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー

(2005.3.24)

もくじ
●要求Ⅱを提出
●委任状の受け付け状況 同意していない人が多数派
●当局文書を批判する  同意書を提出しないのはあたりまえ
●看護短大学習会
●大学人の会、声明発表
●メディアが注目 各紙、市大問題を報道
●「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ」全文(添付)
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要求Ⅱを提出
時間・兼業・就業規則などについて

 当組合は、昨日、当局に対し、要求書「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ」を提出しました。
 前回8日の要求書の後半部分にあたるもので、おもに、勤務時間制度、兼業規程、その他の規程類、および就業規則本則についての要求と質問を掲げ、回答を求めています。
 全体として、教職員の活動を制限し、不利益を与える、もしくは与えるおそれのある規定・制度、本人の自由な判断に委ねられるべきことを、理事長の裁量権限のもとに置こうとする規定が数多く、労使対等の原則にもとるという問題点を中心に、数多くの問題点、許されない点を指摘しています。
 当局は早急に回答し、交渉に入るべきです。(全文を7ページ以下に掲載)


委任状の受け付け状況
 八景、同意していない人が多数派 三学部で50%

 当組合は、任期制への同意を保留するさいに、個人に不当な圧力がかかるのを防ぐために、執行委員長宛てに同意についての委任状を提出するよう呼びかけています(本紙2月28日号)。
 23日現在の集計の結果、組合で受け付けた委任状のうち、金沢八景三学部(商・理・国際文化)所属の教員からの提出数は60となり、三学部所属の全教員数から転出予定者および中西執行委員長を除いた数120人(当組合推計。管理職・管理職就任予定者を含む。)の、ちょうど50%に達しました。さらに、組合に委任状を提出しようと思っているが、まだ出していない人や、委任状は提出しないが任期制に同意しないという人が多くいることを勘案すると、金沢八景キャンパス所属の教員のうち、半数を相当うわまわる数の教員が、当局設定の期限であった22日までには、任期制同意書を提出していないことは明らかです。
 もちろんほかの部局の教員からも多くの委任状が集まっていますし、同意しないつもりであるという人もますます増えている模様です。
 仲間は多いのです。安心して同意書提出をみあわせましょう。

当局文書を批判する
同意書を提出しないのはあたりまえ

15日文書

 前号(3月)で報じたように、当局は15日付で、任期制への同意を求める文書を教員に配布しました。この文書には、形式にも内容にも重大な問題と欠陥があり、およそ有効なものとはいえません。

同意する必要はありません

 この文書に応じて同意する必要はありません。
 任期制度案の内容が変わって、労働者として十分に納得できるものになり、かつ当局の行動のしかたが誠実なものへと変化すれば別ですが、当面、同意することは不利ですし、以下に示すように、同意を拒否しても不利になる可能性はそれほど高くはありません。
 また、当局は来年度途中での同意書提出も可としていますから、今後も様子を見ながら、ゆっくり検討すればよいのです。

多数が同意せず

 実数は把握できませんが、多くの教員が昨日の締切までには同意書を提出していないと思われます。同意を保留するための委任状も、しだいに組合に提出する教員が増えてきました(前の記事参照)。

返事をしない・撤回する

 引き続き、返事をしない、同意はしない、少なくとも保留、という方針を貫きましょう。
 また、こんなこととは知らずについ同意書を出してしまったという人は、同意が無効ですので、撤回することは法的に可能です。「しまった、撤回したい」と思ったら、組合に連絡を取ってください。
 以下、当局文書の問題点と、わたしたちとして注意すべきと思われる点を示します。

○同意を求めたこと自体不当

 当局が、現時点で個別に任期制への同意を取り付ける作業に入ったこと自体、不当であります。任期制を含む労働条件の変更については、当組合と交渉中、というよりは、ようやく交渉の前提としての条件案提示を当局が終えたばかりです。当局に対する当組合の要求は、誠実な交渉をすることをめざして、可能なかぎり早期に提出しています(3月8日)。それにもかかわらず、当局は交渉のプロセスを無視して、今回の行動に踏み切ったのであります。これは、単に道義的に不当であるばかりではなく、労働諸法令の定める、誠実交渉義務を無視する、不誠実な行動であり、当組合として断固、抗議します。
 また、このように交渉が進んでいないこととあわせて、当局の提示する制度内容は、曖昧であり、さまざまな問題点をどのように解決するのか、示されていません。条件が曖昧なまま提出された同意書は、労働契約として不完全であり、その有効性に重大な瑕疵があります。

○医学部における配布のしかた

 この文書は、金沢八景キャンパスでは、各教員自宅宛てに簡易書留郵便で送られ、看護短大では各教員の研究室に事務側から直接届けられた。それに反して、医学部では「所属」の教授をとおして各教員に手渡すという方法が取られました。なにゆえ、医学部においてのみこのようなしかたになったのか疑問です。すでに解体されたはずの「講座制」を利用しようとするもののようにもみえ、不透明なありかたです。

○同意を求める文書の性質に問題

 同意書には、松浦最高経営責任者名による「任期の定めのある雇用契約への同意について」という、同意を求める文書とともに、同最高経営責任者名の「任期制運用の基本的な考え方について」(以下、「考え方」)、ならびに個人別の年俸推計額表を同封しています。
 このことにも、以下のように重大な問題があります。

○任期制への誘導・同意しない者についての不利益変更による脅しは許されない

 「考え方」において、当局は、さまざまな点で、任期制を受け入れると有利になると宣伝しています。しかし、このような宣伝は、逆に言うと、任期制に同意しない者は不利益になると脅して、同意へと誘導する行為である。不利な労働条件を押し付けることによって、同意へと誘導することは、法の趣旨に反し、違法性があり、不当です。
 他方、以下に示すように、任期制の有利な点として示された事項も、実現しえないか、不当であって、到底容認しえないものばかりなのです。そのような事項は、当組合が粘り強く抵抗するので、その実現は当局にとってきわめて難しくなります。

・裁量労働制を利用する差別は不当、不可能
 任期付雇用の教員についてのみ、専門業務型裁量労働制を導入するとしています。しかし、裁量労働制を導入するかどうかということと、任期付雇用か否かということは無関係であり、両者を結びつける根拠に欠けます。裁量労働制を使って差別を設けようとするのであれば、不当であります。
 なお、裁量労働制については、労使協定を結ばないと導入できないことになっており、労働者の過半数代表者もしくは過半数労働組合との合意が必要です。一方的に、使用者が裁量労働制を適用することはできません。ちなみに、金沢八景キャンパスでは当組合が過半数労働組合となる見込みです。
 裁量労働制を取らない教員については、現状どおりの時間管理制度を実施するよう組合は要求していますし、現状よりも不利な制度に変更することは法的に許されません。

・兼業についても不利益変更は不可能
 裁量労働制とのかかわりで、任期付雇用のほうが、「兼業の機会もひろがることが考え」られるとしていますが、任期付雇用を選ばない場合に兼業をしにくくすることは、不利益変更であり、不可能です。兼業については従来どおり認めることは先月末の教員説明会で当局も述べています。そもそも、その根拠としている裁量労働制は上記のとおり、一方的には導入できません。

・給料増額における差別は不可能
 任期制を受け入れた者は、再任時に給料相当分の「増額の機会が広がる」ことが考えられるとしています。しかし、再任のさいには増額しない、あるいは減額となることもありうるので、なんの約束にもなっていません。また、任期付雇用のもとにない教員の給与については、当組合と使用者側の労使交渉を通じて決まるものであり、増額しないと当局が一方的に決定することはできません。

・昇任にさいしての任期制同意強制も違法
 説明会では、任期付雇用を受け入れないと昇任がないと当局は述べていましたが、今回の文書では、やや変更し、昇任のさいには任期制による労働契約を結ばせるとしています。これは、任期制に同意しないかぎり昇任させないということを結局は意味しており、今まで昇任の可能であった雇用条件を、昇任のない労働条件に変更するという不利益変更であり、違法です。

・海外出張・長期研修・研究費の面での差別は許されない
 当局はまた、海外出張・長期研修・研究費の面でも差を設けるとしていますが、このようなこともすべて不利益変更にあたり、許されません。
 また、任期制を受け入れることと、研究費等の事項は無関係です。後者は本人の利益のために行なうのではなく、研究・教育の向上のために行なうものであり、任期制を受け入れるかどうかと関連づけることは、大学の健全な研究・教育の発展を阻害することにもなります。研究・教育を任務とする大学の根本的な理念に配置する措置であり、到底、許されません。

○給与推計額は同意と無関係

 年俸制を導入した場合を想定した給与推計額を示す表が同封されていますが、給与額は任期制の同意・非同意と無関係です。
 なお、年俸制についても当組合との交渉を経ていない現在、年俸制導入を決定することは不当であります。

○当局案の任期制はキケン

 本紙において当組合が何度も示してきたように、任期制には大きな危険性がつきまといます。とりわけ、現在の当局案は、どのような基準で再任があるのか、どのようなプロセスで再任審査をするのかなど、重要な部分で不分明な点があまりに大きく、任期付教員が不当に雇い止めにされてしまうおそれがあります。
 「考え方」において当局は、任期制は「任期の期間の雇用を約束するもので、教員のリストラを第一義の目的としたものではありません。」と述べて、この制度がリストラにも利用できるものであることを、かえって示してしまっています。
 教員各位におかれては、任期制に同意する前にこうした問題と危険性をよくよく考えられるよう、切にお勧めします。


看護短大学習会ひらかれる

 8日、看護短期大学部において、野村執行委員(看護短大)の準備により、看護短期大学部に所属する非組合員を含めた教員を対象に、学習会が開催されました。
 看護短大の教員から多数の参加を得て、活発な議論がなされました。
 特に関心の集中した点は、任期制および、任期制非同意の問題、組合の委任状の意味、育児介護休業制度に関連する問題点などでした。いずれについても具体的で、重要な論点が提出され、教員をとりまく状況が明らかになりました。
 今後も看護短大や他の部局で、部局単位のこのような学習会を持ちたいと執行部では考えています。

大学人の会、声明発表

 昨日、「横浜市立大学を考える大学人の会」(呼びかけ人、久保新一氏ほか)は、声明「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める 研究・教育の劣化を押しとどめるために」を発表し、中田市長、小川学長、宝田理事長予定者、松浦大学改革推進本部最高経営責任者に対して提出しました。
 全員任期制・年俸制・評価制の問題点を指摘し、その撤回を求めています。


メディアが注目 各紙、市大問題を報道

 本紙でも『朝日新聞』に市大の問題を報じる記事があったことを伝えましたが、今週に入り、各紙が市大問題に注目して報道しています。
 22日付け『毎日新聞』神奈版は、「横浜市大:教員の任期制導入で混乱」と、全員任期制導入にともなって現在、生じている問題を報じ、昨日付け『東京新聞』は、「競争力つくはずが・・・ 横浜市大 改革の責任誰に?」と、受験生志願倍率低下の問題と、教員流出の問題を報じています。
 わたしたちの直面する問題が、社会に広く認識されるようになってきたといえるでしょう。

「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求Ⅱ」全文(添付)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月25日 10:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月19日

横浜市立大学、新たな差別を生み出す任期(有期雇用)契約への同意書

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市 大学改革推進本部 最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」(3月15日付)、(2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、(3)当該個人の平成17年度年俸額推計表(省略) 05-3-18

 2つの目標・側面から大学の社会的意義を訴え,それを達成する上で任期制が必要である旨説明する文章としては,見事なほど官僚的であり,無内容に感じる。教員は事前に説明を受けたとはいえ,これを読んで新たな有期雇用契約に同意することには,大変な抵抗感をもつだろうと想像する。
 民間会社をアナロジーにとれば,雇用期間の定めのない正社員全員を一旦契約社員に変え,そのなかで一定期間内に業績をあげた者を元の正社員の身分に戻すといった取り扱いである。これを「リストラ」と言わずして,何というのだろうか。そもそも営利企業でさえあり得ないこのような極端な人事政策が,大学の世界であたかも活力を生み出す手段であるかのように主張されるのには驚く。

 2つ目の文書である「任期制運用の基本的な考え方について」は,有期雇用契約に対する個別同意の有無がもたらす差別待遇が主張されている。ここでは,個々人にとって「メリット」とも「デメリット」とも受け取れるような内容が見られる。例えば,任期付き雇用者には,「専門業務型裁量労働制を導入され」,おまけに医師には「1か月変形労働時間制」が無条件に導入される。明示的ではないが,個別同意に応じなかった者は,裁量労働制は適用されない?(実際の運用において,労働時間管理を任期のありなしで別の取り扱いができるのか大変疑問である)。これらの制度は基本的に残業規制の緩和を目的とする時間管理であり,有期雇用契約に同意する者にとっては,何らかの歯止めがない限り踏んだり蹴ったりの措置であろう(因みに,「専門業務型裁量労働制」を導入するためには,労働者の過半数を代表する者の書面協定が必要である。横浜市大ではそのような労使協定はあるのだろうか)。
 他方,任期契約に同意するか否かで,賃金増の機会拡大,管理職就任の可能性,海外出張や長期研修などの際の優先度,教育研究費の付加給付など,明確な待遇条件上の差別が主張されている。これらは任期契約同意への労働条件上の誘導というよりも,拒否者に対する恫喝に近い。

平成17年3月15日

教員各位
横浜市大学改革推進本部
最高経営責任者 松浦敬紀

任期の定めのある雇用契約への同意について

 新たな大学においては、市が有する意義ある大学として、市民が誇りうる、市民に貢献する大学となること、さらには、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門能力の育成を目指す実践的な国際教養大学となることを目標としております。
 この2つの目標を実現するため、「教育重視・学生中心・地域貢献」という基本方針のもと、大学を自主的・自立的に運営し、教育・診療・研究の活性化及びその水準の向上を図ることを目指しております。
 横浜市立大学の公立大学法人化は、単なる公立大学法人への衣替えではなく、併せて教育システムの大胆な改革を一体的に推進するなど、新しいしくみに対応する制度設計も同時に行い、教育面及ぴ運営面を一体として改革を推進し、大学自らが、時代の要請に、より迅速に応えることができる、活力ある大学にして行こうとしているものであります。
 新しい法人では、こうした新たな大学の目標を達成すぺく、総合的な教員評価制度のもと、年俸制や任期制という3つの制度を一体とする新たな人事制度の構築を進めております。
 この新たな人事制度の大きな柱の一つが任期制であると考えております。
 さて、公立大学法人横浜市立大学における勤務条件につきましては、これまで、就業規則(案)等をお示しするとともに、1月及び2月に開催したキャンパス別の説明会でお話ししてきたところですが、新たに導入する人事制度のうち、任期の定めのある雇用契約を締結するためには、教員の皆さん一人ひとりの同意が必要とされています。
 つきましては、別紙「任期制運用の基本的な考え方について」及び「平成17年度年俸推計額」をご覧の上、これまで私が、皆さんにご説明申し上げてきたことなども考慮していただき、別紙の同意書に自署または押印の上、次の期限までに、大学改革推進本部事務局(大学改革推進課)へ提出してください。

1 提出期限
平成17年3月22目(火)

2 提出先
大学改革推進本部事務局(大学改革推進課)
※病院に所属されている方については、病院管理部を経由して提出していただいても結構です。
(代表問合先)
電話787-2412担当中山・倉本

3 その他
(1)今回は、あくまでも任期制の適用に同意をいただけるかどうかを確認するものです。
(2)したがって、期限までに回答がない場合は、任期の定めのある雇用契約に同意していただけなかったものとみなして扱います。
(3)なお、移行初年度の扱いとして当面の間、年度途中でも任期の定めのある雇用契約への変更を受けることとします。この場合の任期の始期は、平成!7年4月とします。

平成17年3月15日

教員各位

横浜市大学改革推進本部
最高経営責任者 松浦敬紀

任期制運用の基本的な考え方について

 新しい法人では、教員評価制度のもと、年俸制、任期制という3つの制度を一体とする新たな人事制度の構築を進めております。
 説明会においてもお話したとおり、個々の教員ばかりではなく、大学全体として、教育・診療・研究の活性化及びその水準の向上という目標の達成に向けた、この新たな人事制度の大きな柱の一つが任期制となっております。
 法人との間において、一定の期問を定めて雇用契約を締結する、いわゆる「任期制」につきましては、優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活性化を図るなど、大学全体としての教育・診療・研究を進展させることを期待しております。
 このため、教員の皆さん一人ひとりにつきましては、任期という一定の期間に目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただけるよう期待しております。
 私としても、皆さんが任期の期間において、目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただけるように、支援等を行っていきたいと考えております。そのことを十分に考慮していただいて、任期の定めのある雇用契約への同意をいただきたいと考えております。

<任期制運用の基本的な考え方>
 任期制は、教員評価制度をはじめ、年俸制と一体として運用することにより、教員一人ひとりの教育・診療・研究活動の水準を上げ、専門分野・キャリア開発の契機としていただくとともに、組織の様々な活動への参画、目標達成への努力等によって、大学における教育・診療・研究の地域社会への貢献等の水準の向上や質の向上に寄与できるものと期待しております。
 任期制は、その運用にあたり、一定の任期の中で、目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただき、その評価を再任の手続きに反映していく仕組みでありますが、これまでも説明してきたとおり、「普通にやっていれば再任される」制度として運用していく考えであります。
 任期制は、任期の期間の雇用を約束するもので、教員のリストラを第一義の目的としたものではありません。

 新しい大学においては、勤務時間管理等、新たな人事制度のもと、適正な制度運用を図ってまいりますが、任期制に同意していただいた方に対しては、大学の目標・計画に沿づて一体となって活動いただく点や任期期間中に一定の成果・業績をあげることが求められることから、制度運用の中で、様々な形で支援してまいります。

例えば、

○任期付雇用の方は、教員自身の行動計画に併せた時間管理を行いやすくするため、労基法第38条の3第1項第1号に該当する業務を行う方を対象に専門業務型裁量労働制を導入します。なお,任期の有無に関わらず附属病院及び附属市民総合医療センターにおいて,医師として職務を行う方については,1か月変形労働時間制を導入します。

○任期付雇用の方は、任期の更新時に年俸額の給料相当分についても見直しが行われるので、給料相当分の増額の機会がひろがることが考えられます。

○裁量労働制や変形労働時間制の中で、時間管理が行いやすくなった結果として、兼業の機会もひろがることが考えられます。

○任期付雇用の方は、大学の管理職に就任し学内貢献をしていただく機会がひろがることが考えられます。

○任期付雇用の方は、いろいろな面で評価の機会がひろがりますので、自ずと評価結果に反映され,テニュア教授への就任も含めた昇任等の機会がひろがることが考えられます。
なお、昇任審査は本人の意向を確認の上、行いますが、現職が期間の定めのある契約か期間の定めのない契約かどうかに関わらず、昇任となった場合については、新たな職位において、新たな職位の任期の期間に基づく新たな労働契約を締結することになります。

○任期付雇用の方は、海外出張や長期研修などの際にも、優先度を上げて承認等をしていくことが考えられます。

○基本的な教育研究費の支給に差は設けませんが、上積みとしての付加給付の交付に当たっては、任期付雇用の方には、優先度を上げて交付していくことが考えられます。

 新しい組織に生まれ変わる横浜市立大学が、横浜市にとって必要な存在意義を有し、市民に理解され、横浜市とともに発展していくために、教員の皆さんも責任感と危機感を持ち、共通の目標に向けて教育・診療・研究に取り組んでいただきたいと思います。
 新しい法人では、同じ船に乗る者として、新しい人事制度の定着を図り、法人化後の基礎、土台をしっかりと構築し、予想される大学教育界の激しい変化を、ともに乗り切っていきたいと考えております。ご理解、ご協力を賜りたいと思います。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月19日 03:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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横浜市立大教員組合、「待ってください! 任期制に同意する必要はありません」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.3.18)

待ってください! 任期制に同意する必要はありません。

15日、当局(横浜市大学改革推進本部)は、任期の定めのある雇用契約への同意を取りつけるために、同意書用紙を、松浦最高経営責任者名による説明文書など[1]を同封して、各教員に配布しました。[2]

 任期制導入を含む労働条件の変更については、当組合との交渉が始まったばかりであり、いまだじゅうぶんな交渉を経ないまま、当局が同意書用紙配布によって任期制導入の手続きに入ったことは、きわめて不当であり、誠実交渉を行なっていないと言わざるをえません。当局に対してここに抗議します。
 また、このような文書が来たからといって、任期制に同意する必要はありません。署名捺印するまえに、この新聞を読んで考えてみてください。

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 [1] 横浜市大学改革推進本部最高経営責任者松浦敬紀「任期制運用の基本的な考え方について」(3月15日付)、同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、当該個人の平成17年度年俸額推計表。このような文書の配布に法的問題がないか検討中です。
 [2] 八景キャンパスでは各教員自宅まで簡易書留で郵送されました。福浦の
 医学部では、所属の教授を介して配布が行なわれ、看護短大では各教員の研究室に届けられました。医学部での配布方法についても、今後問題になるでしょう。
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任期制に同意しなくてもよい

 あらためて確認しますが、任期制は本人の自由な判断にもとづく同意があった場合にのみ導入できます。そのさい労働条件を不利益変更してはならないですから、任期制に同意しなくても、雇用は継続され、給与も支払われるのです(当局も2005年度については、今年度の給与水準と変わらないとしています)。

あまりにも多い不備 ―いま同意する必要はない

 当組合が、要求書においても述べているように、現在当局が提示している任期制の内容は、さまざまな問題点が解決されておらず、あらかじめ明らかにされなければならない事項も明らかになっていません。任期制を受け入れる用意のある人にとっても、現在の案のまま同意するのは危険すぎます。

 制度内容の重要な点が明らかになっていない以上、少なくともじゅうぶんに制度の内容が明らかになるまで、同意については保留する人が多いことは当然です。当局もこのことを認めざるをえず、同意書提出の一応の期限を22日に設定しているものの、年度途中にも受け付けるとしています。今は同意しないでおいて、ゆっくり様子を見てもなんの問題もありません。

差別待遇・不利益変更は許されない

 当局は同封の文書において、任期付雇用を選んだ教員に、いくつかの点で有利な条件のあるとしています。しかし、これは任期制に同意しない教員を差別し、不利益を与えることであり、法制度上も許されることではありません。また、なかにはそもそも法制度上、実施不可能な事項もあります。このような差別は、組合に結集して闘うことによって阻むことができます。(詳細は次頁)

とにかく出さないでおくほうが

 このように、どう考えても、いま同意する必要はありません。同意してしまうと不利ですし、同意しなくても不利にはなりません。
 同意は待ってください。
 ここに挙げたようなことをよく検討したうえで、それでも同意したほうがよいと判断された場合には問題ありませんが、少しでも悩んでいる場合には、諾、否いずれの返事もする必要はありません。とにかく今は、同意書は出さないでおくほうがよいでしょう。

組合は委任状を受け付け中

 いまは回答を保留したいのに、有力な職員・教員が圧力をかけてくるということも考えられます。そのような不安のあるかたは、是非、組合執行委員長に、任期制への合意に関する委任状を提出してください(説明は本紙3月2日号にあります)。回答をしないですますことができます。

(裏面のQ&Aもごらんください。)


任期制についての素朴な疑問 Q&A

<シリーズ第1弾>

 「同意書」は22日までにあわてて回答する必要はありません。教員がまとまって行動すれば不備な条件を改善・撤廃させる力になります。ぜひ教員組合に委任状を出しましょう。

Q1「同意書」が郵送されてきましたが、もし任期に同意しない場合、雇用はどうなるのでしょうか?

 法人化によって従来の身分はそのままで(有期雇用ではなしに)公立大学法人横浜市立大学に移行することが法律によって認められています。当局も、本人の同意のない場合には従来のままでの身分移行であることは認めています。ですから、任期への同意のない場合には、身分は自動的に移行されます。
 他方、任期に同意しますと有期雇用に変更されます。その場合には、自動的に再任されるわけでなく、雇用主である法人によって再任が拒否される可能性が生じてきます。つぎのQ2で触れますが、学会でも学問的力量が認められ、社会的にも嘱望されて「普通」以上に仕事をしていた京都大学の井上先生が、任期に「同意」していたとして再任を拒否される事件が起きています。

Q2「普通にやっていれば再任する」と言っていますが、本当に大丈夫ですか?

 「普通にやっていれば再任する」と当局はさかんに言っていますが、この言葉はある事件を思い起こさせます。「普通に、まともに仕事していれば、定年まで何度でも再任される」と説明を受けて任期に「同意」させられ、このことを根拠に任期満了と言うことで再任を拒否された事件です。現在、裁判が続けられています。京都大学再生医学研究所の井上一知教授は、日本再生医療学会の初代会長を務め、再生医療の研究業績で国際的に高い評価を受ける研究者です。
 一流の専門家7人によってつくられた外部評価委員会で再任の審査が行われ、委員全員の一致で再任が認められたのです。しかし、研究所は再任を不当に拒否したのです。この事件は、その経過においてきわめて不明瞭・不当な性格のものですが、しかし、任期制という制度の危険性を世間に知らしめてあまりあるものです。

Q3 井上事件の時には、専門家の外部評価委員会が一致して可としたのにそれでも再任拒否となってしまいました。提案されている審査制度で大丈夫でしょうか?

 「普通にやっていれば再任する仕組み」にすると当局はずっと言って来ました。ですから、教員のそれぞれが任期に同意するかどうかを判断しようするときに、この「普通」ということをどのように判断するかは大変に重要な意味を持つ訳です。
 しかし、任期規程には審査の「事項」は列挙されていても審査基準は明示されていません。
 そうなると誰が何を「普通」と判断するのか。
 身分に関わる判断が明確な基準の規程にではなく、「教員人事委員会」の判断に委ねられてしまうという恣意的なものになってしまうのです。しかも、この「教員人事委員会」の構成などについても任期規程にはまったく触れられていません。ですから、任期規程においては本質的に重要な機能を担うべきこの委員会はまったく恣意的に構成され、そのうえ「普通」がさらに恣意的に判断される危険性をもっているのです。
 しかも、当局は「任期の再任審査について」という説明文書では「5段階の相対評価」を行うと言っています。となりますと、相対評価ですから、「普通」をクリアーできない教員の存在が必ず想定されることになります。つまり、再任不可の教員層が一定数常に想定されてしまうことになるのです。これは、当局の主張との整合性という点でも、きわめて不合理な制度設計といわざるを得ません。

* シリーズ第2弾では、<再任不可の時、異議申し立てはどうなるのか?><同意しないと不利になることはないのか?><任期途中での転職はできるのか?><任期付きの場合、育児や介護休業はちゃんととれるのか?><任期制で昇任はどうなるのか?>・・・等々の疑問を考えてみます。
* 任期問題、その他の雇用条件に関して具体的な疑問を沢山お持ちと思います。
どのようなことでもぜひ遠慮なく教員組合までお寄せください。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月19日 03:18 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月18日

横浜市立大、最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」 (2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●学問の自由と大学の自治の危機問題 2002年~2005年3月
  ∟●横浜市 大学改革推進本部 最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」(3月15日付)、(2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、(3)当該個人の平成17年度年俸額推計表(省略)(2005.3.18)

横浜市 大学改革推進本部 最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」(3月15日付)、(2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、(3)当該個人の平成17年度年俸額推計表(省略)(2005.3.18)

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月18日 11:33 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月17日

横浜市立大教員組合、任期制についての委任状を組合に!  任期制に同意する必要はありません

横浜市立大教員組合
 ∟●任期制についての委任状を組合に!
 ∟●委任状提出方法のご案内(PDF版)
 ∟●「委任状」(PDF版)

横浜市大教員のみなさんへ 任期制についての委任状を組合に!
任期制に同意する必要はありません。

 任期制は、期間満了をもって雇用が終わってしまうという、きわめて危険性の高い制度です。
 現在、当局が提示している任期制の制度内容は、導入の理由の合理性、制度内容の合理性、法的根拠が明らかではなく、かつ教員の労働条件を不利益に変更するものであり、認めることはできません。また、さまざまな大小の問題点や不明な点があり、制度の説明自体、いまだ十分ではなく、組合としても要求のなかで質問しているところです。
 このような状況にあっては、当局が求めても任期制への同意に応じる必要はありません。

 しかし、同意を求めるために当局側がさまざまな圧力を個人にかけることが、危惧されます。そのような不当な圧迫を防ぐために、中西執行委員長まで委任状を提出しましょう。委任状を提出しておけば、同意を求められても、「組合執行委員長に委任してあるので回答できない」として回答を留保することができます。

 ぜひ、ご検討のうえ、委任状を組合に提出してください。
 非組合員の教員のかたについても、委任状を受け付けます。

 この委任状は回答を留保することが目的ですので、委任状をもって組合が任期制に同意してしまうことはありません。本人が同意を決定した場合は、手続きを取っていただいたうえで、委任状を返却します。
 なお、任期制に同意しない場合には、「期間の定めのない雇用」が続くことになり、この点は現在と変わりありません。
 また、任期制に同意しないことをもって、労働条件を不利益に変更することは法律上許されません。当局は、同意した教員と同意しない教員の処遇等に格差を設けるとしていますが、これも許されることではありません。組合を中心とする教員の運動によって撤回させましょう。


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2005年03月09日

横浜市立大学教員組合、小川学長宛「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「要求書を当局に提出 誠実交渉を! 制度変更を強行するな! 年俸制・任期制について要求と質問」横浜市立大学教員組合週報/ウィークリー(2005.3.8)

要求書を当局に提出 誠実交渉を! 制度変更を強行するな! 年俸制・任期制について要求と質問

 先月までに当局が就業規則案と諸規定類を提示したことを受け、組合は、本日、市大事務当局に対して要求書を提出しました。

 組合は、当局に対し、組合との交渉も始まっていないにもかかわらず、労働条件の変更を行おうとしていることに抗議し、誠実な交渉を行うこと、
 交渉をじゅうぶんに行わないうちに制度変更を強行しないこと、
 制度変更の実施以前においては現行の制度に拠ること
を要求しました。
 さらに、賃金についても、少なくとも2005年度については現行の制度にもとづいて支給することを要求し、年俸制についての多くの重大な問題―相対評価により必ず減給を受ける者が生ずるなど―を質しました。
 任期制についても、交渉を続けること、交渉ぬきに任期制導入を強行しないことを要求し、また、任期制への同意をしない教員について労働条件の不利益変更をしないことを強く求めました。
 最後の点に関連して、期間の定めのない雇用に留まる教員は昇任の対象としないとする、福島大学改革推進本部部長の発言の撤回を求めました。また、再任制度、昇任制度を含む任期制に関連するしくみのさまざまな問題を質しています。
(任期制については、第14面に参考記事「資料」)
 勤務時間その他の労働条件と就業規則については、今後、別途要求してきます。

(次頁以下、要求書全文掲載)

横浜市立大学学長
小川惠一殿

横浜市立大学教員組合
執行委員長 中西新太郎

2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求

 大学当局は2月上旬から中旬にかけ、教員組合が要求してきた教員の雇用・労働条件にかかわる規程類を組合に提示するとともに、1月14日付教員組合の「見解と要求」に対し口頭での回答を寄せた。

 雇用・賃金条件のきわめて重大な制度変更を表明した大学当局、横浜市大学改革推進本部に対し、教員組合はその制度内容を早期に示した上で教員組合との十分な協議、交渉をすすめるよう繰り返し要求してきた。

 当局は昨年9月に提案を行うとしてきたが、実際には、今回ようやく規程等をふくめた内容提示を行ったものであり、それらにしても、後述するように、いまだ制度概要にすぎない曖昧な点、相互に矛盾する点などが多くふくまれている。しかも、組合への就業規則及び関連規程類提示後に行われた教員説明会(2月末)において、これまで説明されてこなかった制度内容が口頭でのみつたえられるなど、当局の制度提案はあまりにも杜撰である。法人職員としての身分の根幹にかかわる任期制や雇用条件の内で最も重要な事項である賃金制度について、整備された制度内容を提示し周知したとはとうてい言えない状況であり、組合員と非組合員とを問わず、教員からは数多くの疑問が寄せられている。

 このような状況の下で教員に対し制度変更について同意を求めることは、拙速という以前に、不当かつ違法な振る舞いと言わねばならない。教員組合は、教員が意欲を持って働けるような勤務条件を求めるとともに、横浜市大がそこで学ぶ学生の要求や市民の期待に応え、真に魅力ある大学たりうる環境を求めてきた。そのために必要な課題の検討、遂行についてはこれまでも努力を惜しまなかったし、これからもそうである。しかし、現在当局が強引にすすめようとしている制度改変は、その手続きの点でも内容においても、大学運営に混乱をもたらし、教員の失望を誘い、横浜市大の魅力も品位も失墜させるものとなっている。何よりも恐れるのは、このような事態の進行によって、教育・研究機関としての大学の機能と役割が著しく低下することである。

 この悲しむべき状況に鑑み、大学にふさわしくかつ公正で法理に則った雇用・労働条件の確立を要求する立場から、当局提示の就業規則案及び規程類案に対する組合の見解と要求を示し、あわせて、雇用・労働条件の重大な変更事項の扱いに関する要求を示す。

 なお、就業規則案については、雇用・労働条件を規律する重要な内容であることから、個別条項について細目の要求を別途行う予定である。……

以下,各章の表題,および「4 任期制導入に関する見解と要求のみ」転載。(続きを読むへ)

1 雇用・労働条件に関して一方的に制度変更を行うことは許されない
2 制度変更の確定と実施以前の雇用・労働条件は現行制度に拠ること
3 年俸制の導入に関する見解と要求

4 任期制導入に関する見解と要求

① 協議・折衝を誠実につづけること、不利益変更をしないこと
 任期付教員への移行は労使双方にとって良好な雇用形態であることが合意され、教員の同意がある場合にのみ実施される。教員が「良好な雇用形態」であるかどうか判断する前提として、任期制の制度内容が適正かつ明確に設計されていることはもちろん、それが周知されかつ教員組合、各教員の疑問に答え、十分な協議、折衝を行うことが当然である。「期間の定めのない教員」を任期付教員に移行させることは、雇用形態における最も重大な不利益変更をもたらしうることから、これは当然の手続きである。こうした手続きを無視して拙速に任期制導入を実施すべきではない。
○任期制の制度内容について組合の疑問と要求とに誠実に答え、協議・折衝を続けるよう要求する。
○任期付教員への移行について、教員からの疑問に誠実に回答すること
 言うまでもなく、任期制の制度内容に関して疑問が解消されぬ場合には、かりに当局が同意を求めても教員には回答を留保する権利がある。
○任期付教員への移行を選択せず「期間の定めのない雇用」にとどまることを理由にした雇用・労働条件の不利益変更を行うべきではないこと
◎「昇任の対象は任期付教員のみ」という2月28日教員説明会での福島部長発言は不当かつ違法であり撤回を求める。
 福島発言は、「期間の定めのない雇用」を有期雇用契約に切り換えるために差別的処遇を明言したものであり、このような差別処遇は労働基準局長通達に明記された労基法第14条の趣旨に反する違法措置である。正当化されえない処遇にたいしては、組合は法的手段をふくめ必要な対抗措置をとる。
 2月28日教員説明会において、福島部長は、「期間の定めのない雇用」形態にある教員は昇任の対象としないと言明した。この発言は、24、25日説明会ではあきらかにされず、規程としてまったくあきらかにされていなかったものである。説明会資料にも記載されず、1箇所での説明会で突然こうした重大な、しかも明確に差別的な処遇を持ち出すことは、きわめて不穏当であり、制度設計の拙速、曖昧さを示すものである。制度変更に関する十分な周知と協議以前に、どのような雇用・労働条件が想定されているかさえ定かでない状況の下では、その適否についての判断も留保せざるをえない。
 「期間の定めのない雇用」に関する教員組合の質問にたいし、当局は2月15日付回答では、「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」に示された内容については任期付教員と同様としている。当然のことながら、職位は年俸水準等、勤務条件に密接にかかわるものであり、「期間の定めのない雇用」教員を昇任対象としないことは雇用・労働条件に関する明確な差別となる。また、現行制度における職位ごとの給与制度を考えるなら、28日説明会における発言は、雇用・労働条件に関するきわめて重大な不利益変更を表明したことになる。このような変更が許されないことはあまりにも明白である。

② 再任審査制度・昇任制度に関する文書の性格、規程としての明示
 任期制に関する必要事項についての学則案の提示
 任期制及びこれとかかわる再任審査制度・昇任制度について当局が直接触れている規程は、就業規則、任期規程(案)、「任期の再任審査について」「昇任等の審査について」(いずれも、2月15日市労連説明―以下、「説明文書」)である。説明文書についてはその性格があきらかではない。任期制は教員の教育研究評価にかかわるものであり、これらは学則として必要な事項を明示的に定めるべきことがらである。
○「説明文書」について、その性格をあきらかにするとともに、「異議申し立て」制度のような規程として明示すべき部分については規程に組み入れるよう要求する。
○必要事項についての学則案を提示するよう要求する。

③ 任期制及び昇任制度の制度内容に関する見解と要求
A 再任審査手続きと審査体制について
 任期制における再任審査手続きと審査体制について、審査の客観性、公正性、透明性を保障する観点から以下の点を要求する。
○審査機関が審査内容と審査基準とにもとづいて構成で客観的審査が行える資格を備えており、かつ審査が公正に行われたかどうかを検証できることが再任審査の条件である。この当然の原則を確認していただきたい。
○「教員人事委員会」の構成及び再任審査決定手続きについての規程、学則案を提示するよう要求する。
○また、説明文書「任期の再任審査」では、「必要に応じて人事委員会のもとに部会を設置し、審査する」とあるが、部会の設置要件、構成、組織及び審査権限、手続き等に関する考え方及び規程、学則案を提示するよう要求する。
○「教員人事委員会」は学長の諮問機関とされるが、学長は「教員人事委員会」メンバーに加わるのか?
○「学長は人事委員会からの再任の適否の判定結果を確認し、理事長に申し出る」(「説明文書」)とされているが、「確認」の意味は、「教員人事委員会」による適否の判定結果を翻すことなく自動的に理事長に申し出るということか?
○「教員人事委員会」は再任に関してその適否のみを決定するのか?
 教員説明会において「教員人事委員会」は教学組織より2名、経営管理組織より2名、学外より2名の組織となると説明されている。しかし、「教員人事委員会」の構成、審査手続き等については提示されておらず、再任適否の決定権限を持つと想定される重要な委員会についてその制度機構があきらかにされていない。
 また、教員の業績評価について説明された「教員人事委員会」が客観的評価を適正になしうるかはきわめて疑問である。説明された「教員人事委員会」の構成が大学自治の原則にてらし、教学の自律性を確保するとともに、公正かつ客観的機関たりうるかどうか疑問である。この点は、教員評価の結果をどのように扱うかにかかわり、また、「部会」の位置づけ、権限にかかわる。これらの点についてあきらかにすることが必要である。
○学長による審査手続きの省略は恣意的な再任拒否を許す制度上の危険をもつものであり、容認できない。このような規定をなぜ設けているのか理由をあきらかにするよう求める。
 任期規程案では、「学長が特に認めた場合は、教員人事委員会における審査の一部又は全部を省略できる」としている。主観的意図はどうあれ、この規定は、学長が一切の審査手続きを省略して再任の適否だけを人事委員会に求められるようにしており、再任審査の恣意的運用を制度上で可能にしてしまう。
○再任の適否に関する判定理由を再任申請者の求めに応じて遅滞なく示すこと。
 なお、判定理由の提示を求める請求は「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」第3条にもとづき、再任否の場合、請求理由を付す必要はない。そもそも再任の判定理由は教員の大学における職務・業績をみるものとして、本人の求めに応じ適否にかかわらず示すべきものである。
 また、後述するように、再任審査は降任や新たな任期期間における年俸の増減にかかわるものであり、その審査内容の透明性が厳密に保障されるべきである。
○この点から、判定理由の提示内容には、任期規程案に示された審査項目の全内容がふくまれるべきである。
○言うまでもないが、以上の開示内容は文書において示されるべきである。
○説明文書「任期の再任審査について 4 異議の申し出」における「審査の結果を知り得た日」とは曖昧であり、再任申請者にたいする審査結果通告日を規定すべきである。
○前項「異議の申し出」について調査・確認及び報告を行う組織が「教員人事委員会」とされているのは不適切であり、審査結果及び判定理由の適切・公正を検証するためには別個の組織によって異議申し出の審議がなされるべきである。
 2月28日教員説明会において、「教員人事委員会」での調査・確認を経た上で別途審議を考えると説明されたが、そうであれば、異議申し出を扱う組織、プロセス全体を示すべきである。
○再任審査の申請時期、期限及び再任審査期限(「最終年度の夏頃」)の整合性と妥当性をはかること

B 審査内容と基準

◎任期規程案及び説明文書「任期の再任審査について」における審査項目相互の関係、ウエイト、設定理由があきらかでない。
 教員評価結果以外の審査項目を付加することによって、業績を評価しうる「現場」から離れた「評価」によって審査結果が左右される可能性が増す。
○「本人が関係している組織の長」は教員評価における2次評価者であり、その評価は教員評価に反映されている。2次評価者にあたる組織の長の「意見」と2次評価とはどのように関係しているのか? 評価のダブルカウントではないか?
○「本人が関係している組織の長」は複数存在しており、その意見は「評点」としてどのようにカウントされるのか?
○「本人が関係している組織の長」の「意見」はその職責において管轄する事項について評点化しうるような段階をつけて記述されるのか?
○「教員評価の結果についての学長の意見」とは、教員評価のS~Dのランク付とどのように関係するのか?
○再任審査の性格にてらし審査項目、審査基準はあらかじめ明示的に示されるべきであり、「その他学長が指定する事項」を設けることは審査項目の恣意的操作を可能にする。このような審査項目を設ける理由は何か?
○また、任期規程案では、「学長が特に認めた場合は、審査する事項の一部又は全部を省略することができる」としており、審査項目全体が学長裁量により自由に操作できる規定となっている。再任の可否がもたらす重大な結果を考えるなら、このような規定のもつ危険性を座視することはできない。
○再任の判断基準が任期期間中において「普通にやって来られたかどうか」であるならば、任期期間中の業績評価が問われるべきであり、「次期任期に向けた取組計画」を審査項目に加えることは、業績評価に拠らず、検証されていない項目をふくむことになる。再任審査を歪めることになり不適切である。
○各審査項目間の関係、評点としてのウエイトはどのように考えているか?
◎再任可否の判断基準を任期規程に明記するよう要求する。
 再任可否の判断基準を規程上で明示することは有期労働契約において使用者側に課せられた義務である。(「使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」厚生労働省告示第357号)「普通にやっていれば再任する」という基準を任期規程において明記しなければ、この告示に背馳することになる。
◎説明文書「任期の再任審査について 3 再任基準等」について以下の諸点の説明を求めるとともに整合性を質す。
○「一定水準以上を得点した者を再任適任者とする」とあるが、「一定水準」とはどのような水準か? 「普通にやっていれば再任」という考え方にてらし、水準の内容を明確に示すよう要求する。
○また、その水準は得点として表示されるとしているが、そうであるとすれば、あらかじめ各審査項目の評点配置、得点基準が示されるべきである。
○教員評価の評価結果以外の評点は相対評価で行われるのか?
 絶対評価で行われるとすれば、教員評価の評価結果を相対評価とすることと不整合になるのではないか?
○教員評価の評価結果をS~Dの相対評価で示すことと再任の可否を一定の基準によって判定することとはどのように関係しているか?
○相対評価による評点化は上位から下位の枠づけられた分布を実現するものであり、一定水準をその枠内に設定するかぎり必ず再任不可の者が生じることになる。「普通になっていれば再任」という考え方と相対評価による再任の可否判定は矛盾するが、制度上での整合性ある説明を求める。
○「職位別に一定水準以上を得点した者を再任適任者とする」としているが、この場合に判定されるのは、その職位において再任可ということである。逆に、その職位において再任否となった場合には、教授、準教授においては「降任」判定を意味することになるのか?

C 期間と再任回数

○助手、準教授について再任回数をかぎる合理的根拠は存在しない。現行制度から不利益変更にあたるこうした限定についてその根拠を説明するよう要求する。
 とりわけ、助手の再任回数を原則1回とし、しかも任期3年以内としていることは容認できない。また、助手において、博士号取得の有無にかかわらず任期3年以内としていることも差別的処遇である。当局案による再任審査のスケジュールによれば、任期最終年度の評価はできないため、2年間の評価によって再任の可否が判断されることになり、このような制度設計では助手が大学において業績を積む環境は著しく阻害される。
○博士号を持たない準教授、教授が簡易審査によって3年任期を5年に任期に延長できるとする法律上の根拠について説明を求める。
○任期規程案3条、4条における休職中、育児休業又は介護休業中の任期付教員の再任回数について、恣意的運用を避けるために別途規程を設けるべきである。

D 再契約における条件設定

○新たな任期期間中の年俸等の条件はどのような基準にもとづいてどのように決定されるのか? またこの条件設定と再任審査とはどのように関係しているか?
○「普通にやっていれば再任」という考え方に立つならば、再任にさいしての減俸とされる根拠は何か?
 減俸しての再任は「普通にやっていても」賃金を減額することになり、再任の考え方と矛盾することになる。
○再任決定にもとづく新たな労働契約の締結は、教員が著しく不利な雇用・労働条件に同意せざるをえない恐れがある。再任決定にもとづく労働契約においては、あらかじめ規程上で明示された事項を除き、再任時における雇用・労働条件を引き下げぬよう定めるべきである。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月09日 00:58 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月03日

横浜市立大学教員組合、「有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!」

■横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ-クリー(2005.3.2)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(3月2日)
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)

最新日誌(3月2日)より

教員組合から本日付の週報が届いた。多くの教員に、現状では任期制への同意をしないことを勧めるものであり、不当な圧力に屈しないためには、教員組合に委任状を出すことを提案し、呼びかけている。

2月28日の教員説明会で、ある教員が外国の過去の事情などもあげながら、「大学の教員は強そうに言っていても、非常に弱くもろい」といっていた。まさにそうだと思われる。たくさんのひどい労働問題・労使関係を知っている吉田さん(香川大学)は、まさに「脱出」したではないか。精神的に奴隷化されることの危険性に敏感な吉田さんのHPをよく読んでみる必要があろう。

研究教育に没頭することだけを希望してこの道を選んだものが圧倒的多数のこの世界において、当局(さまざまな意味での財力・権力などをもつもの)に対して、きちんと対峙できるような百戦錬磨の闘士がいるわけがない。

いや、憲法の保障する「学問の自由」、「大学の自治」は、まさに真理探究を主眼としている大学教員が行政的(本学の場合で言えば市当局)な圧力におびえなくてもいいように保障しているものであろう。それは、個々の教員が弱いことを踏まえた上で、そうした弱みに「力」を持つものがつけけ込んではならないことを求めているものであろう。以下、委任状に関するニュースを掲げておきたい。

「そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。」とあるが、まさに、現在、大学自治の根幹に関わる部分で、それが破壊される危険性がある。人事の問題、教員評価の問題は、一体誰が行うのか? すくなくとも、この間、新規採用の人事においては、教授会審議は行われていない。新しい法人の人事であり、現在の教授会は関係ないからだ、といった論理で押し通している。

はたしてそれは、妥当か?深刻な問題を抱えているのではないかと考える。新規採用と同じことが、昇任等で行われるとどういうことになるか? 学問の教育研究に素人の人間が決定権を握るようになる可能性がある。そうしたシステムとなっているのではないか?

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横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ-クリー(2005.3.2)

もくじ
●有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!
●委任状について
●当局第2回教員説明会
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●有期雇用契約(任期制)に 同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!

任期制教員となって、もしも再任されない場合、裁判で勝てるか?
 「普通にやっていれば再任される」と当局は言っていますが、「普通かそれ以上」でも再任されないことがあります。任期制とは、例えば任期5年の場合、法的には「5年間は雇います。その後はそのときまた考えましょう」というものです。任期制は基本的に、任期の終了時、使用者は自由に労働者を解雇(=再任拒否)することができるのです。
 そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。また、「普通にやっている」と判断されたとしても、次の中期計画などで、その分野やコースあるいは担当科目が大学として不要だということにされてしまうと、再任されない可能性が大いにあります。教員が任期中にノーベル賞をとったとしても、このような事情で再任されない恐れもあります。
 再任されなかった場合に、労働者側が裁判で勝てるという保障はないのです。

任期制に同意しないことこそ、「普通にやっていればクビにならない」ための条件
 任期制に同意しなければ、自動的に「期間の定めのない雇用」となります。この場合に使用者が労働者を解雇することについては、労働法制上極めて厳しい条件が付いていますので、こちらの方こそが「普通にやっていればクビにならない」労働契約です。
 任期付教員にならない教員、つまり「期間の定めのない雇用」の教員は、「任期に同意した教員」と比べて不利益な扱いを受けるのではないか、と心配する人もいるかもしれません。しかし、両者の間で労働条件に差をつけると法律に触れるので、そういったことはできません。今回の説明会で、同意しない人とした人とを勤務条件(労働条件)で差別できないことは、当局も認めています(3~4面に関連記事)。
 何より重要なことは、任期付の契約に同意しないことです。つまり任期制教員になることを拒否し続けることです。任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、われわれ教員は有利になります。
 また、任期制に同意しないで期限の定めのない雇用になったからといって、昇給がないということにはなりません。法人化以降、すなわち4月1日以降、われわれ横浜市立大学の教員は公務員ではなくなります。公務員の場合、労働条件は市の条例で定められますが、法人化以降は、労使間の交渉によって決まります。民間企業の組合がストを構えて春闘を行うのと同じです。
 任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、そして教員組合の組合員数が多ければ多いほど、まともな労働条件で働くことができるのです。

組合に委任状提出を!
 「普通にやっていれば再任されるのだから、任期付契約に同意して下さい」とか、「任期付教員にならないと、研究費の面で不利益になりますよ」などと圧力をかけられるおそれがあります。
 このような不当・違法な圧力をはね返すために一番良いのは、教員組合に委任状をあずけることです。当局や「上司」に対して、「この件については、組合委員長に委任してありますから、回答できなせん」と言うのです。ぜひ、委任状を提出して下さい(下記参照)。

●委任状について

 労働条件、特に任期制に関する合意について組合に委任しましょう
 組合は、本学のすべての教員に、労働条件、特に任期制に関する合意について、執行委員長、中西氏に委任することを呼びかけます。委任状を提出しましょう。

非組合員の教員についても、委任状を受け付けます
 組合員各位には、非組合員の教員への呼びかけもされるようお願いします。

提出方法
 委任申込用紙とご案内は、すでに各組合員のもとに届いているはずです。
 委任状の提出は下記の方法のいずれかで行なってください。
  1 組合事務室に持参する
  2 組合事務室に、郵便、宅急便もしくは庁内便にて送付する
  3 最寄りの執行委員に預ける
 ご提出後、1週間程度で、委任状のお預かり証をお届けします。
 執行委員長と執行委員会は、責任をもって委任状を受けます。誰が委任したかについては秘密を厳守します。
 お問い合わせは、本号4面の連絡先までお願いいたします。

●当局第2回教員説明会

 先月24日、25日、28日、福浦、浦船、金沢八景の各キャンパスにおいて、当局によって、労働条件に関する第2回の教員説明会が催されました。おもに松浦大学改革推進本部最高経営責任者(副理事長予定者)と福島大学改革推進担部長から説明がありました。
 当局の説明とそれに直接関連する質疑応答において明らかにされたのは、おもに以下の点です。組合のコメントを括弧で示します。
 当局案全体についての論評と要求は、あらためて別に発表します。

当局のスケジュール
・4月1日より、任期制・年俸制・教員評価制度を導入する。
(当組合との交渉も本格的に行なわないで導入を一方的に決めるのは、不当であり、脱法行為です。)
・新法人に移行したくない者はなるべく3月4日までに、退職を申し出てほしい。
(同上。)

任期制
・任期制については個人の同意が必要であり、3月4日以降ないし3月中旬に手続きに入る。
(同上。)
・任期制を拒否する教員についても、雇用を継続し、期間の定めのない雇用とする。
労働条件の不利益変更は行なわない。
(当然です。そうでなければ違法です。)
・ただし、任期制を受け入れない教員については以下のような格差を設ける。
  1 裁量労働制を導入しない
  2 昇任がない(28日にはじめて言い出しました。24、25日には触れていません。)
(きわめて重大な不利益変更であり、不当、違法であるとともに、当局の上の言明と矛盾します。)

教員評価制度
・教員評価制度を年俸制、再任審査に連動させる。得点は5段階の相対評価により決める。
(全員頑張ると「普通に」、あるいは一生懸命に働いていて高い成果を得ても最低の評価になりえます。)

年俸制
・給料相当分(全体の6割程度)を任期期間中固定とする。再任時に見直す。ベースアップ、経済状況にみあった変化はありうる。
(昇級の保障はなく、減給になる可能性もあります。)
・職務給・職務業績給(4割程度)を評価に基づいて変動させる。変動幅は10%、すなわち全年俸の4%程度。
(同上)
・17年度分の年俸は、16年度のものに、定期昇給分を加味したものとする。

兼業制度
・兼業に従事する時間は、「法人の利益に資するものとして」特に理事長が認めた場合を除いては、賃金を減額、または報酬を法人に納付させる。
(何が「法人の利益に資するもの」なのかの客観的基準の有無、それを決定する権限が理事長にあってよいのかが問題です。)

過半数代表
・就業規則決定のために、労働者側からの過半数代表の選出が必要である。
 (当組合も準備を進めます。)

 その他、勤務時間制度、退職手当などについて説明と質疑応答がありましたが、ここでは割愛します。

当局の姿勢、改革失敗の責任追求
 さらに質疑応答では、改革において教員のみが痛みを負い、当局側が痛みを分かち合おうとしない姿勢、一方で教員に責任を負わせ、他方で教員管理を強化することの不当性が糾されました。
 当局の応答は、論点を回避するものでした。
 また、今回の改革全体について、入試志願倍率のいちじるしい低下をみても、客観的に失敗であるとの判定が下ったのであって、改革担当責任者の事務職員・教員は、責任を取るべきであるという、正当な主張と追求が教員の側からなされました。
 当局側は、個々に今後の業績いかんでは責任を取るという明言する者はいたものの、入試制度の不備を挙げるなど、論点をすりかえ、現時点で責任を取るとは述べませんでした。
 あらためて、教員・学生・一般職員の声と合意形成を無視した、上意下達型の一方的改革の無責任体制ぶりが明らかになったと言えるでしょう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年03月03日 00:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年03月02日

横浜市立大、第2回教員説明会 「任期制に同意しない者は昇任対象としない」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(3月1日)

 昨日(28日夕方6時から9時20分ころまで)、第二回教員説明会があった。最高経営責任者(予定者)及び大学改革推進本部労務担当部長の説明は、1時間近く行われ、その後2時間余にわたって会場参加者からの意見表明・質問とそれに対する回答があった。一番重要な任期制問題では、すでに行われた医学部の説明会での答弁と28日の八景キャンパスでの答弁とが違うことをはじめ、制度設計の全般にわたって重大な問題点がつぎつぎと指摘され、満足な回答は得られなかった。

 しかも、そのように重大な身分上の変更に関わる提案(説明)を、2月15日になって行い、十分な規定等の整備抜きで、今回の説明会において、「任期制」への同意だけを迫る態度を示したこと(会場発言の言葉を使えば、「卑怯なやり方」)は、労使関係の根本的なあり方としても、重大な問題をはらんでいることが、教員組合委員長をはじめとする参加者から繰り返し出された。

 いずれ教員組合も、昨日の重大な論点については整理し、文章化して法律問題、誠実な交渉義務の問題、就業規則提示の時期の問題、就業規則実施に伴う諸制度・そ規定の不備(欠如)の問題などを指摘することになろう。すくなくとも、現段階で任期制に同意をもとめられても、その判断材料が適正かつ公明な形で提示されていない以上、明確になるのは不利益がほとんどという状況では、問題外というのが多くの人の気持ちだったのではなかろうか。

 昨日の最高経営責任者・労務担当部長の発言で一番の問題は、任期制に同意しない者は昇任対象としないという部分であろう。すなわち、任期制と昇任とを結合させ、現在の公務員としての「期限の定めなき雇用」形態から、有期雇用の形態に何が何でも押し込んでしまおうとする態度をしめしたことだろう。これは、明らかな不利益措置であり、関係諸法律に違反するものといわなければならないだろう。

 そもそも昇任(助手から准教授へ、准教授から教授へ)とは何を基準にするのか、その根本が問題になる。昇任とは研究教育業績を積み、大学の使命(学則に示される真理探究など)の実現度・その実績に応じたものではないのか? 任期に同意するかどうかを昇任の基準とし、差別基準とするのは、これは根本的に(憲法的な意味で)重大な問題をはらんでいるのではないか?そうした任期制の制度設計は、大学の研究教育の活性化とどのように関係するのか、まさにその説明責任こそが問題となる。すべては教員組合がすでに繰り返し指摘してきた論点であろう。昨日の説明会の態度は、それにまともに答えない態度だということである。

 こうした昨日の説明会の問題点については、教員組合執行部がしっかり法律論をはじめとして、論点をまとめ、提起してくださるであろう。

 「大学教員任期法」の精神にも、労働基準法の有期契約の精神(労使双方の良好な関係・労使双方に有利な契約という精神)にも違反しているような制度をこの時点になって最高経営責任者と労務担当者から聞こうとはと、愕然とする。いったいこれで、どれだけの人が「よしこれならやろう」という意欲をもてたのか(ほとんどの人は不利益・不安しか感じなかったのではないか、特に若い人々、助手、講師、助教授の人々はそうではないか)、これが昨日の総括的印象である。

 もうひとつ、繰り返し提起された問題は、新しい学部の応募者・受験生の「激減」の責任を誰がどのように取るのかという問題であった。来年もこのようであれば、「私が責任を取ります」というのが最高経営責任者の言葉であった。大学改革推進本部が学長以下の入試管理委員会の組織を使って行っている入試であり、昨年までの入試とは違って教授会による審議(入学者判定教授会)は行われていない。ポイントはこの教授会審議の欠如という点である。学校教育法にもとづく重要審議事項として教授会が持ってきた責任と権限をどのように実行するのか、まさにこの点が最も重要な問題であろう。従って、今回の入試システム自体の持つ根本的問題(少なくとも学則による教授会審議事項の無視)も、その責任の所在を明らかにする上では重要な論点となろう。


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2005年02月25日

横浜市立大教員組合、「わたしたちの権利について」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月24日)

(組合員各位
 下記のようなビラを教員に配布しますので、配信します。
 どうぞお読みください。         執行委員会)

教員のみなさんへ!
 事前にもう一度はっきり認識しておきましょう。

・身分は承継
・任期制は本人の同意が必要
・同意しなくても雇用は継続
・不利益変更はいっさいできない

組合員ならびに非組合員の教員のみなさん!

 今月24日、25日、28日に当局は、新法人における勤務条件についての教員説明会を行なう予定であり、その後、労働条件の変更について教員の同意を得ようとすることが予想されます。
 そのまえに、わたしたちの権利について、また、当局は何ができないかについて、もう一度確認しておきましょう。

(1)身分は承継
 当局側の人々からはときに、新法人への移行にあたっては新たな労働契約がなければ身分が承継されないかのごとき、あやまった発言がなされています。
 しかし、地方独立行政法人法によって、新法人への移行にあたっては、かならず身分が承継されることが定められています。横浜市大についても、当局自身がこのことを、すでに昨夏に確認しております(当組合週報2004年8月23日号)。
 したがって、当局が何を言おうと、新たな労働契約がなくとも雇用は自動的に継続されますし、当局はそれ以外の措置を取ることはできません。

(2)任期制は本人の同意が必要、同意しなくても雇用は継続
 現在ほとんどの教員は、期限の定めのない雇用契約において労働していますが、これを任期付雇用に切り換える場合には、本人の同意が必要であります。本人が、この同意をしない場合には、身分が承継されること自体は変更のしようもありませんから、当然に雇用は継続されます。給与も、労基法の定めにより、4月5日付で当然支払われますし、5月以降も同様です。

(3)不利益変更はいっさいできない
 任期制に同意しない場合、新たな労働契約を結ばない場合、それとは無関係に身分が承継されるだけでなく、労働条件の不利益変更はいっさいできません。
 そんなことをした場合、あるいは、するぞと脅す、あるいは婉曲に、そのようなことを当局がしそうであると思い込ませるような言辞を吐くことは、いずれも違法な不当労働行為となります。もちろん実行はできません。
 すでにこれに近い暴言のたぐいは現れています。当局側がそのような不当労働行為を行なっていないかどうか、常に監視とチェックを怠らないでください。そのような事態が起きた場合には、なるべく詳しい記録を取って、当組合にお知らせください。ご自分と仲間の身を守るために役立ちます。

2005年2月24日
横浜市立大学教員組合


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2005年02月18日

横浜市立大、組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大、組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨(2005年2月10日)より一部抜粋

組合第1次見解要求(1月14日)に対する当局回答要旨

(2005年2月10日)

……

5 原則全教員への任期制適用について

1)全教員を対象とする任期制が大学の教育・研究のあり方に真にふさわしい制度であるという論拠は全く示されていない。
 全教員を対象とする任期制の導入が「優れた人材を確保する」といえる根拠は何か?
 「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、「教員任期法」)が大学における任期制の適用を限定的に扱っていることとの関係で、今回提示された任期制案が大学における「教育研究を進展させる」といえる根拠は何か?

回答:任期制は、公正かつ総合的な教員評価制度及び新たな給与制度(年俸制など)と併せて運用することにより、教育・研究活動の活性化を図ることを趣旨としたものである。また、優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活発化を図り、もって、教育研究を進展させるため、原則として全教員を対象に任期を定めて任用する制度としたものである。

2)重大な不利益変更を伴う任期付き教員への移行を正当化する根拠、理由は存在しない。
 任期の定めのない職員としての身分承継を否定し有期雇用契約に切り換える根本的で重大な不利益変更を行う、合理的でやむをえざる理由は存在しない。また、当局案には、全教員の有期雇用契約への切り替えが不利益変更には当たらないとする論拠、制度根拠は示されていない。

回答:任期制の導入は、他大学でも進めているところであり、教育研究の活性化に資するものだ。

3)仮に任期制を導入する場合、法理から言って「教員任期法」に拠らなければならず、労働基準法第14条に基づくことはできないはずである。

回答:平成16年の労基法改正により有期契約期間の上限制限とその適用範囲が改正されたことにより、労基法に基づく導入が可能となった。

・また、当局案が依拠する労基法14条の有期労働契約における期間上限延長は、「有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにすることを目的としている」。教員にとって従来の「期間の定めのない雇用」と比し、今回当局提案のどこが「良好な雇用形態」であるのか?

回答:なし

4)有期労働契約が合意にいたらず、「期間の定めのない雇用」が継続する場合の勤務条件は「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」文書における「任期」の項を「期間の定めのない雇用」に変更すると解しうるが、それ以外に変更がある場合にはその内容と理由を説明せよ。

回答:「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」に示された内容については、そのとおりだ。なお、詳細については別途示していきたい。

5)当局案(「教員の任期制について」)に示された任期制の制度設計は、雇用形態の変更という最も重大な労働条件の変更を提案しているにもかかわらず、以下に指摘するように、あまりに曖昧で具体性を欠く。以下の指摘は細部にわたるものではなく、制度設計の基本にかかわるものであり、それぞれについて具体的回答を求めるものである。
・「教員任期法の精神にのっとる」とは具体的にどういうことか。

回答:教員任期法の目的は、「大学等への多様な人材の受け入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与する」ことだ。

・「再任の考え方」の「最低限クリアしてほしいこと」とは、具体的にはどのような水準を規定しているのか。再任用件の内容として「取組姿勢、能力、実績など」としているが、「取組姿勢」の主観的で恣意的でない基準としてどのような指標を規定しているのか?
 また「取組」の具体的内容は何か?複数の要素にわたる場合、それらの相互関係はどのように規定されているのか?
 さらに、「能力」の具体的内容は何か?「実績」として判定されない「能力」として何を想定しているのか?

回答:再任及び昇任については、別途基準を示していきたい。

・「再任の考え方」にある「新たな市立大学の教員として」の「新たな」とは、現在の学部、短期大学部等は想定していないという意味か?
・助手、準教授、教授の職位にあることの可否と教員身分にあることの可否が同一視されている。
 再任審査において当該職位にあることの審査基準・内容と、教員身分にあることの審査基準・内容とにちがいはないと考えるのか? あるとすればどのようなちがいを想定しているのか? 市立大学教員として「最低限クリアしてほしいこと」と助手、準教授、教授それぞれの果たすべき職務が同じでないとする以上、再任の可否は直接にはそれぞれの職位にあることへの可否を意味するはずである。
 大学教員としての責務、市立大学教員としての責務、職位に応じた職務それぞれの内容についてあきらかにしたうえで、それらの相互関係を踏まえた再任要件規定が示されなければ説明としての一貫性を欠く。
・再任審査にかんする厳密で透明性のある手続規程が明示されていない。
「教員評価制度の評価結果など」を用いるとしているが、教員評価制度を再任審査に用いることの理由、根拠はまったくあきらかでない。どのような理由・根拠から教員評価制度を再任審査に利用するのか?

回答:なし

・「教員評価制度の評価結果など」を用いるとしているが、教員評価制度を再任審査に用いることの理由、根拠はまったくあきらかでない。どのような理由・根拠から教員評価制度を再任審査に利用するのか?

回答:すでに、「公立大学法人横浜市立大学職員任期規程」に示したとおりだ。

・「教員評価制度の評価結果など」の「など」とは何か?
・教員評価制度の評価結果を具体的にどのように用いるのか?
・単年度評価である教員評価制度をどのようにして3年ないし5年任期の任期制における評価と連動させるのか?

回答:再任及び昇任については、別途基準を示していきたい。

・「人事委員会で審査し」とされているが、審査内容と結果について透明性を確保する具体的保障が存在するのか?

回答:審査の基準を定めることや、学外委員を含め構成することにより、透明性を確保している。

・再任拒否にたいする異議申し立て制度を必要なしと考えでいるのか?

回答:評価結果にたいする異議申し立て制度を検討している。

・テニュア制度の導入を謳っているが、その具体的制度内容があきらかにされていない。テニュアの資格要件、テニュアヘの移行条件をどのように想定しているのか?

回答:教授の職位のうち、テニュア資格を有する教授として創設したもので、審査に合格した場合は、定年までの雇用契約を締結することができる終身雇用の教授だ。なお、テニュア教授への昇任については、別途基準を示していきたい。
・助手、準教授における再任回数制限の根拠が示されていない.この基準を仮に現行の助手、助教授に適用してみると、限度年限を越えるケースが存在する。特に、助手について3年任期の1回の更新しか認めない場合には、きわめて深刻な事態が予想される。このことを承知しているか?
 承知しているならば、予想される明白で重大な不利益を承知しながら当局案のような再任回数制限を設けているのはなぜか?

回答:助手については教員等の相互の学問的交流の促進を図り、教育研究の活性化を図る趣旨から任期は3年、再任は1回とするものだ。6年という期間の中で、是非とも成果を挙げてもらい、「上位の職への昇任に積極的にチャレンジしていただく」といった動機付けとしても考えている。

・3年任期の有期雇用契約は大学教員の職務にふさわしくない。

 大学教育にそくして教員の職務を評価する場合であれ、中期計画にもとづいて評価する場合であれ、3年任期の設定が大学にふさわしくないことはあきらかである。大学教育のあり方を無視している。大学における評価の整合性という観点から3年任期がふさわしいと考える根拠は何か?
 また、準教授について「簡易な審査」によりさらに2年の契約を行うとしているが、この場合、「簡易な審査」の内容は何か?

回答:なし

・昇任に関する制度内容は具体的にどのようなものか?任期制の再任審査と昇任制度との関連が指摘されているにもかかわらず昇任制度の説明が欠けている。

回答:昇任審査の資格要件などは別途示していきたい。

・再任と年俸との関係について曖昧な説明が行われている。
 再任にあたって年俸が同額、増額、減額の場合があるとしているが、年俸設定はその年度にかんして行われるものであり、3年ないし5年の任期最終年度における年俸増減をなぜ行うのか合理的説明がない。年俸設定が当該年度の教員評価にもとづくとするならば、「夏頃まで」の再任判断において年俸の増減を云々することは年俸制の趣旨に外れている。

回答:なし

・ローン設定を困難にするなど、「期間の定めのない雇用」から期限付き雇用への移行によって生じると予測されるさまざまな不利益について当局はどのような検討を行ったのか?

回答:既に、病院に勤務する教員の一部に任期制を導入しているが、そのような問題があることは聞いていないが、今度の制度構築の中で留意していきたい。なお、主要取引銀行に選定された横浜銀行は、任期制であることをもって、ローン設定を困難にするということはないとのことだ。……


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月18日 01:37 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月10日

横浜市立大学の全教員任期制、「個別同意に応じると大変」「期限の定めのない雇用が一番」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月9日)

 労働法・労働組合問題・労使紛争に詳しい人から、本学の就業規則案や教員説明会の当局側説明に関する感想が寄せられたので、紹介しておこう。

下記の意見のようであるならば、まさに独立行政法人化は、「噴飯もの」の就業規則と整理解雇の恐怖を背景にして、大学の自治・学問の自由の破壊、教員の精神的奴隷化を進めるものとなろう。批判(がましいこと)は就業規則をたてに「引っ掛けられる」となれば、私も含めて、多くの人は今以上に沈黙の度を深くする(せざるをえない)であろう。それは真の意味の大学活性化とは正反対のものとなろう。戦々恐々とした大学人とは、いったいなんだろうか? 憲法の保障は、就業規則の脅かしで換骨奪胎状態になるのか? 現在は、三菱自動車、NHK問題でもそうだが、むしろ、内部告発を守るのが民間企業でも大切になってきているのではないのか? さまざまの意味での権力をもったものが批判を封じることを簡単に可能にすれば、最終的には社会(市民・国民)が巨大な被害をこうむるのではないか?

就業規則案と教員説明会の言動だけでも、かなり多くの教員はいやけがさし、萎縮し、精神的自由を失ったのではなかろうか? 

教員組合が問題視するような、任期制に同意を迫るためになされる労働諸法律から見て「間違った」説明、曖昧な説明にうかうか同意すると、大変なことになる。京都大学事件はそれを示している、と。

現在、説明をしている当局側の人々は、来年以降大学(法人)にいるかどうか、わからない。口頭説明などは、形として、証拠資料として残らない。京都大学井上事件で明らかなように、事務局が同意書に署名捺印させるために発した言葉はどこにも残っていない、同意した文書だけが残っているのではないか?「任期に同意」という文書だけが残されることになるとすれば、恐るべきことではないか?

「引っ掛けられないように」と親身になって忠告していただき、感謝。

--メール・タイトル「滅茶苦茶ですね」----

 基本的には組合の見解に賛同します。ただ一点だけ気になることがあるのでそれについて書いておきます。それは「任期の定めのない雇用契約の場合、1年経過後には任期[雇用?]としては打ち切られることになる。」の所です。特に「1年経過後」とは何を意味しているのかさっぱりわかりません。一般的には解雇は何年雇用したかということとは関係ないからです。勤続20年で解雇されることもあれば、半年や一ヶ月で解雇されることだってあります。ですから、これは解雇法理の一般論を説明しているわけではないのです。

 理解できない発言を無理やり理解しようとすると、総務部長は解雇法理の説明にダブらせながら、法人化後の横浜市大の雇用方針について話をしている可能性が高いということになります。つまり「1年経過後」に整理解雇を実施する意図があることを言外にほのめかしているのではないかということです。「法人化された後の横浜市大では1年後に整理解雇を行う予定である。任期制を選択した教員はその対象外であるから、よりましな選択だ。」という脅し(メッセージ)がその中に含まれていると考えなければならないということです。
 となると、この脅しがどの程度実行される可能性があるかを評価するかということになりますが、これについてはまったく判断がつきかねます。市から繰入金の削減、カリキュラム改変等々、法人化後の状況は恣意的に人員整理が必要であるかのような状況を作り出せるからです。特に、市が「あり方懇」の5年で収支均衡という路線を堅持しているのならば、その可能性は高いことになるでしょう。

 では、当局の言うように任期付きを選択したほうが安全なのでしょうか。それこそ当局の思うつぼです。3年もしくは5年後には必ず人員整理問題をもちだすでしょう。その時には、当局の気に入らない教員(「業績のない教員」ではありません)は有無を言わさず再任なしということになり、かつそれには抗いようがないからです(京大の事件はまさにこの問題を端的に示しています。周知のように、あの事件は、再任されなかった理由について争っているのではなく、間違った説明で任期制の職につけられたことを争っているからです。あれだけの業績があっても「再任されなかった理由」について争えないのが任期制=有期雇用の法理なのです)。
 これに対して「期限の定めのない」労働者の整理解雇に関しては解雇の必要性の存在、回避努力義務、解雇者の人選の合理性、誠意ある協議という四条件を果して初めて正当な解雇として認められる整理解雇の四要件が定着しており、組合が言うように簡単に実施できるというものではないのです。人員整理の可能性が高いから「期限の定めのない雇用」を選択すべきなのです。・・・

 ところで、昨年末に出された就業規則案ですが、ひどいですね。組合でも議論されたことと思いますが、まったく噴飯ものの案ですね。特に懲戒の理由に「法人の名誉や信用を著しく傷つけた場合」とは別に「法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷づけ」というのがあります。これは拡大解釈で、教員・職員による大学批判を封じる条項になりかねません。先生のように意見(異見)を自由に公にされることに引っ掛けてくるかと思います。くれぐれもお気をつけください。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月10日 00:55 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月09日

横浜市立大教員組合、「教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す」

横浜市立大教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2005.2.8)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2月8日(3))
学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)

教員説明会(1月27日)における福島部長の暴論を糺す

 1月27日医学部で行われた教員説明会での質問に答え、福島部長は以下の発言を行っています。
 「任期の定めのある雇用契約ですと、基本的には、任期の期間中は雇用を保障されるということになると思います。任期の定めのない雇用契約の場合、1年経過後には任期[雇用?]としては打ち切られることになる。解雇要件になりますが、これは労基法に基づくため、非常にきびしく限定して運用されることになるが、原則的にはそういう不安定な雇用になる、と考えている」
 この発言は、人事・労務専門家の発言としてきわめて重大な問題を孕んでおり、暴論と言わねばなりません。以下に暴論である理由を述べ、その責任をきびしく糺すものです。
 福島発言の核心を取り出すと、「有期雇用の方が雇用は安定していて、任期を定めない雇用は不安定だ」ということになります。しかし、これはとんでもなく逆立ちした主張です。
 期間の定めのない雇用について、民法627条は、その契約を解約する申し入れがいつでもできると規定しています。しかし、それだから解雇が自由化といえば、決してそうではありません。解雇が正当と認められるためにはきびしい条件が付されることは判例や通説で明確に確認されています。解雇するには正当事由が必要であり、使用者がいつでも解約を申し出られるわけではありません。
 有期雇用の場合、組合が繰り返し主張してきたように、そうした解雇要件を満たしていなくても、契約期間終了時には契約更新を拒否される可能性がありその点で雇用は不安定なのです。更新拒否(雇い止め)の要件を解雇要件よりも「緩く」設定できてしまうところから、こうした不安定性が出てきます。
 雇用形態のこのちがいを逆立ちさせ、期間の定めのない雇用を不安定と強弁するのは、不見識をとおりこし、意図的で悪質な主張と言わざるをえません。
 福島部長の発言が正しいとすれば、任期付き教員でない大半の私学大学教員は「不安定な雇用」にさらされている、ということになるでしょう。もちろん大学教員のみならず、期間の定めのない雇用の下にある労働者は有期雇用の労働者とくらべ不安定だ、ということになります。誰がどうみても現実に反し、常識に反するそういう主張を公に述べること自体、信じがたいことです。
 福島部長は、「有期雇用への移行は雇用形態上有利な変更であり、不利益変更にはならない」と主張したいのでしょうか。だとしたら、任期付き教員への移行が有利な変更であることを堂々と述べたうえで、期間を定めない雇用よりも三年任期、五年任期の雇用制度の方がどれだけ有利なのかを具体的に示すべきです。当局提案の任期制が現行の雇用形態とくらべてどれだけ有利で魅力的かを示す証拠はありません。「有期雇用だからより有利だ」と言わんばかりの誤った説明で当局案を正当化することできません。
 言うまでもなく、有期雇用への移行が「有利」かどうかは、雇用者である教員がそう判断できるかどうかにかかるものであり、使用者側が一方的に「有利だから、のめ」と言えるようなものではないことも、あらためて確認しておきます。
 有期雇用ならば数年間は雇用が保障されるけれども、期間の定めのない雇用は不安定という福島発言は、雇用期間にかんする労働法理を歪めているだけでなく、そうすることで、「もし任期制に同意しなければ雇用が不安定になる」という印象を醸し出しています。「同意しなければ不利になる」とあからさまに述べていなくとも、不安定な雇用形態になること(これが誤った主張であることは上に述べたとおりですが)を想定しておいた方がよいと匂わせているのです。
 その意図はないと後でいくら弁明されても、発言全体が教員の不安を煽るレトリックとなっていることは否定できないはずです。
 労使交渉を誠実に果たすべき役割と責任を持つ人事・労務担当者がこうした発言を行うことは大学当局への深刻な不信感をもたらすものであり、座視することができません。何が何でも任期制に同意させるための誘導とみられても仕方のない発言は厳に慎むべきです。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月09日 09:55 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年02月05日

横浜市立大の全教員任期制、大学を死滅させる!

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2月4日)

2月4日 本日誌読者から久しぶりにメールを頂戴した。昨日の教授会でも話題になった受験者数のデータに関してである。外部の人がどのように見ているか、昨日教授会で話題となった視角とほとんど同じであるが、以下にコピーしておこう。この客観的データをもとに、社会の反応をどのように分析し、どのように説明するか。市行政当局・大学改革推進本部は下記のような評価に、どのように反論するであろうか?[1] 

私は、任期制や成果主義賃金の導入に関しては、慎重にも慎重に検討を重ねる必要があると考えている。無理押しは、面従腹背の教員を多くし、今年度中にも、さらには来年度以降も引き続いて、脱出を試みる教員を増やすだけだろうと考える。それは、大学活性化とは反対の方向だろうと思う。

任期制の導入は、東大等でもやっているように、全教員(助手、講師、助教授、教授の多様な層がいるが)に対してではなくて、全ポストに対して(科目に関わりなく、すなわち科目による差別なく-思想信条・学問の自由に関わるのでいかなる科目でも可能性ありとするのは憲法にかなっている)可能にすることは制度として考えられる。その場合、具体的なあるポストをいつの時点で活性化のために優遇した条件にするか、そしてその特別優遇のポストに誰をつけるか、ということはしかるべき社会的評価(学界等外部の第三者による客観的評価の検証可能なもの・・・内部のお手盛り的評価は許されない)の上で行う、ということは考えられる。任期制に移行するときに、その担当ポストが時代の最先端を行くとか、しかるべき大学教員任期法が定める資格要件を満たす必要はあろう。それが大学教員任期法の趣旨であり精神だと考える。首切りの脅かしのための全員任期法などというのは(他方では、「普通にやっていれば」問題ないなどという曖昧な、どのようにでも解釈でき内部的な恣意がまかり通る可能性がある規定)、それを就業規則案として公にしたことすら、本学の大学教員全体に対する侮辱ではないかと感じる。

私の得ている情報に間違いがなければ、東大の場合、60歳定年の原則(慣行)が確立してきたため、任期制ポスト(5年任期)への就任は、55歳の時点であり、5年後の定年退職を見越した導入であったという。その後、傾斜的な定年延長があり、任期制導入時点が現在どうなっているのか(定年延長にあわせて、57歳、58歳となっているのかどうかなど)はつまびらかにしないが、こうした事例も参考にはなろう。 

ドイツでも、普通の教授に対して(たとえばA教授というのか?)、Cクラスの教授とか言うのがあるそうである。これまであまり興味がなかったので調べたことはなく、人が話しているのを耳にしただけである。たとえば、「あの教授は一番上のランクのCクラスで、月給はこれくらいだそうですよ、われわれと比べると・・・・」、云々と。ドイツの場合、教授にもランクをつけているのであり、教授になってたとえば5年間で、教授クラスの上の段階(Bクラス)に上がるかどうかを審査する、そしてさらに5年後に最高のCクラスになれる人がなるということで、業績を評価しているというわけである。それならば、活性化につながるかもしれない。助教授にも、3クラス(5年刻みで)くらい設定することも可能かもしれない。問題はランク別の給料などではない。経営の厳しいときに格差があまりないのは当然であろう。意味があるのはランクそのものの設定だろう。

人によっては、5年間に更なる大きな前進を遂げる人もいれば、種種の理由からそうでない人もいるであろう。しかしだからといってひとたび教授(あるいは助教授)になった人が特別の事情のない限り、解雇や差別の恐怖におびえる(同僚・先輩教授、非専門家の管理職教授の顔色をうかがわなければならない)というのは許されないであろう。5年間にしかるべき前進を示さず業績を積まない人(あるいはそれを種種の理由から対外的には示さない人)は、現ランクにとどまればいいのである。

本学の場合でいえば、「有期契約3年・5年」で示されたような差別(妥当かどうかは疑問だが)を維持するとすれば、博士号等の特別の資格を有する人は、理論上(実際の個別事例・個々の教員に関してははわからない)、他からの引き抜きや流出の可能性がそうでない場合よりも大きいという一定の合理的な推定が働くので、それを抑止するために60歳になった時点で他の同じ年齢の教授よりは一ランク上に位置付けその任期を5年とする、博士号等の特別の資格を持っていない人は(それがその人の学問的業績の水準とはまったくべつであるし、最近のように文科系でも博士号が多発される時代とかつてのように何十年かにほんのわずかの人が取得できたという時代とでは博士の重みがまったく違う、博士号はそれ自体としては今後ますます重みがなくなろう・・その限界を見据えた上で)、62歳になった時点で一ランク上の3年の任期制ポスト教授に移行するか、そのまま定年まで普通の教授にとどまるかを審査選択してもらう、というやり方も考えられるであろう。

以上は単なる思い付きに過ぎないが、いずれにせよ、具体的ポストに関するきちんとした大学らしい検討抜きの全員任期制は大学を本当に死滅させるであろう。現在示されている就業規則案は法の精神と法体系を無視し、大学教員任期法の適用を回避するための労働基準法適用も姑息な手段だと考える。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年02月05日 01:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月27日

横浜市立大学、「教員の勤務条件に関する説明会」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(1月26日)

昨日夕方6時から9時近くまで、「公立大学法人横浜市立大学教員の勤務条件に関する説明会」があった。予想通り、これまでに配られた資料(就業規則等)の説明がほとんどであった。一番肝心の点、大学教員の任期法の「精神」に則り、労働基準法にしたがって「全教員を有期契約にする」という就業規則案の法理と論理の不整合については、何も真正面から答えるものではなかった。「結論を堅持する」という行政主義的態度だけが明確であった。公務員としての身分保障と任期の定めなき雇用(65歳定年までの任期制)を、公立大学法人において上記のように3年・5年の有期契約に変更することが、重大な不利益変更(ほとんどすべての教員に対する重大な名誉毀損・精神的ダメージをあたえるもの、怒り心頭に発している教員がたくさんいる、諦観状態の教員もいるが)である、ということについては、まともに答えることなく、全参加者に沈うつな空気が支配したと感じられた。

「活性化」という言葉は上滑りであるように思われた。何回か「活性化のため」という言葉が使われたので、市長等によって任命された人々だけは少なくとも「活性化」しているのかもしれない。

いや、私の判断違いで、参加者の多くは元気が出たのであろうか?

質問の冒頭に立ったある教授は、この間、非常に多くの教員が去っていってしまったことを指摘し、全員への「任期制」導入は、活性化とは結びつかない、どうして「活性化と結びつくのか」と質問したが、何も明確な説明はなかった。

それとも、私だけが理解しなかったということか? 

「活性化」と全員任期制が結びついていることが理解できた人はいるのか?

給与条件等でも支離滅裂な答弁(扶養家族手当、住宅手当等が業績給に位置付けられたりしている、また基本給部分は一切変動なし、上がりも下がりもしない云々)があった(これまた重大な不利益変更といえるだろう・・・12ヶ月だったかで1号俸上がることがこれまでの体系だったから実質切り下げ)。

「活性化」を掲げながら、「大枠な予算削減」、したがって「小さくなるパイ」の分捕りあいを強制するシステムとなっていることについては、「わらってしまいました」という鋭い質問が参加者から出たが、まともな返答はなかった。第2回説明会があるというので、明確な返答があることを、一応は期待しておこう。

テニュア制度に関しては、「ノーベル賞級の教員」、とか「誰も認める人」ということで、非常に狭く設定するような発言であった。これは現在の全員定年までの期間の定めのない雇用からすれば、著しい条件厳格化であり、明らかな不利益提案である。テニュアについては明確な基準を示さず、むしろ厳しい条件を暗示しながら、全員任期制だけは認めろ、というのは通用することであろうか?

再任不可の可能性を残すという鞭で大学教員の尻をたたこうという魂胆が、見えてくる。鞭がなければ働かないのは奴隷である。「ルサンチマンの改革」と称されることにも一理あると思えてくる。

ある若手教員は、「これまではプライドと責任感で研究教育に励んできた、10年近く、交通事故やその他の事故に遭っても講義を休むことなどはなかった」とした。しかし、4月以降は、「教員評価を行う管理職を見たら大きな声で挨拶しよう」、「どうすれば教員評価をする人の感じを良くするかだけに神経を使うことになろう」と発言した。教育研究者としての誇りや責任感、学界(学会)での評価と名誉感等をインセンティヴとするのではなくなろう、と。こういうことに追い込むことは、やはり、「教員は商品だ。商品が経営に口を出すな」と言った人間を物扱いする発想と関連することなのだろうか?

学の独立、学問の自由、真実・真理(普遍的価値のあるもの)の探究を使命として教育研究を担う大学教員の精神的自由の制度的保障に関して、最も重要なのがテニュア制度(現在の場合は、全教員が定年までのテニュアとなっているが)であり、准(準)教授以上の大学教員にとってテニュアと学問の自由・行政等の支配からの自由とが密接不可分であることが参加者から強調された。これに付いても明確な返答はなかった。

最初の説明のなかでは、給与条件等を任期制のもとでとこれまでの制度とでは違うようにする、同じではありえない、格差をつけるといった意味の発言をしていた。それは不利益措置を匂わせるものであったが、経済的利害から精神的自由を束縛していくということになろう。

大学教員の評価に関しては、学生・院生の評価、学界の評価、社会の評価と多面的多次元的評価がある(現実にそれが行われている)。

ところが、今回の「教員評価制度」は、その第一次評価者からはじまってほとんどが行政任命(いずれは法人任命)の管理職によってなされるシステムであり、根本的な問題をはらんでいる。大学の研究教育(その本質的要因)にどこまで深い理解を持っているのかわからない人々が作った民間営利企業の評価制度がそのまま導入されようとしている。参加者からはこの点にも鋭い批判が繰り返しだされた。しかし、行政的任命に慣れ親しんだ人々(それによって現在の地位を得ている人、そして次の地位を得ようとしている人)にとっては、理解されないようであった。

最後に「ご意見・ご質問票」が配られ、評価制度、就業規則等、その他の三つの欄に意見や質問を書いて提出すれば、それらのすべてに対し回答する、ということだった。言葉の上での「回答」はできるだろう。私の理解力の限りでは、歴史的に不名誉な就業規則案として語り継がれるであろうような文章であっても、はじめに「全員任期制」という結論があって、それに即した文章を作成してしまう態度である以上、どこまで法理を尽くした回答が得られるのか、はなはだ疑問である。

大学教員任期法と労働基準法の適用のあり方、一般法と特殊法の関係、「大学の自治」・「学問の自由」と大学教員の身分保障の関係等に関して、教員組合がすでに集約的に問題提起し批判しているのであって、これら諸論点に、どれだけ論理的に法理を尽くして説得的に答えるのか、これまでの改革のあり方の全経過を見ると、ほとんど期待できないように感じられる。さて、どうなるか。

最後に学長予定者の挨拶があった。よく聞き取れない江戸っ子風の言葉をちりばめた発言であった。雑談ならともかく、新しい勤務条件等を説明会参加者に語りかける言葉としては違和感を持った。

それとも多くの人は、親しみを持ったのか?

そして前回同様、「後半」(というか6-7割と感じられたが)、英語で語った。これまた私にはほとんどわからなかった。「評価はまずやってみなければ」という結論的主張だけが、理解できた。

壇上に居並ぶ人々は一語一語しっかりかみ締め理解していたのだろう。

また、会場のほとんどの人々は英語のスピーチを理解できたのだろう。

しかし、私は理解できないので怒りを感じた。

なぜ、学長予定者はきちんとした日本語で語らないのか?

学長予定者のメッセージを明確な日本語で全教員に伝える努力をなぜしないのか?

学長予定者を任命した人は誰か?誰がお膳立てしたのか?

大学改革推進本部の人々はなぜフォローしないのか?

彼らは学長予定者の英語がすべて明瞭に理解できたというのか?自分たちは理解できたので教員はもちろん理解できたと考えたのか? 学長のそばにいた人々に、尋ねてみたらいいだろう。

教員が講義において学生に理解できないようなことをしゃべることは何も問題ないのか?

講義の準備不足として、厳しい評価が与えられるのではないか?


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月27日 01:20 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月18日

横浜市立大教員組合、当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(1月17日(4))
 ∟●当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)(2005年1月14日)

当局提示の勤務条件等案にたいする見解と要求(第1次)

横浜市立大学学長 小川惠一殿

 昨年12月28日に大学当局が当組合に対して示した勤務条件等の案について、当組合は下記のような見解と要求を示す。当組合の見解を理解し、疑問に答え、要求を容れるよう求める。
 なお、今回の本文書は当局提示の案の一部に関するものであり、次回以降、「就業規則の概要」等の残りの部分について、またここで扱う問題についてもあらためて追加的に見解と要求を示す予定である。

2005年1月14日
横浜市立大学教員組合

1 根本的な前提
 昨年12月28日、大学当局が教員組合に示した勤務条件等案(以下、当局案と総称)は、大学が憲法上の責務としても社会的責任としても遵守すべき学問の自由を侵害する内容がふくまれていること、労働条件の重大な不利益変更をもたらす恐れのあることから、教員組合としてこれを容認することはできない。大学当局は、「大学の責務と大学教員職務の特性にてらした勤務条件等の設定を行う」「労働条件の不利益変更を行わない」という考え方に立って、教員組合との協議・交渉を誠実にすすめるべきである。

2 労働条件を具体的に検討するうえで不可欠な諸規定について
 当局案は労働条件を具体的に検討するうえで不可欠な諸規程がふくまれておらず、とりわけ、労働条件のうちでも最も重要な雇用期間、賃金について本来明確に規定されるべき諸事項に触れていない。組合および教員の提起する疑問に回答するとともに、組合との協議を踏まえ、明確な提示を行うべきである。

3 教員説明会
 昨年6月の中間案説明にさいし、当局は教員説明会の開催を約束している。今回提案にかんし教員説明会を開催し、教員の質疑・疑問・要求に誠実に回答すべきである。

4 教員組合との協議・交渉及び必要な手続を踏まえずに個々の教員に勤務条件に関する個別同意を迫らないこと
 教員組合との協議・交渉及び必要な手続を踏まえることなく個々の教員に勤務条件に関する個別同意を迫ることは不当・不法な圧力であり、許されない。労使双方の協議と納得にもとづく適正な合意形成手続を進めるよう求める。

5 原則全教員への任期制適用について

① 全教員を対象とする任期制が大学の教育・研究のあり方に真にふさわしい制度であるという論拠はまったく示されていない。
 全教員を対象とする任期制の導入が「優れた人材を確保する」といえる根拠は何か?
 「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、「教員任期法」)が大学における任期制の適用を限定的に扱っていることとの関係で、今回提示された任期制案が大学における「教育研究を進展させる」といえる根拠は何か?
 以上の疑問に答え、十分な論拠を示すことを求める。
② 重大な不利益変更をもたらす任期付き教員への移行を正当化する根拠、理由は存在しない。
 任期の定めのない職員としての身分承継を否定し有期雇用契約に切り換えることは、教員にとってあきらかかつ重大な不利益変更をもたらす。それは、テニュア資格が大学教員にとって有利で高位のキャリアとされていることからもあきらかである。独立行政法人化にさいしそれほど根本的で重大な不利益変更を行う合理的でやむをえざる理由は、存在しない。また、当局案には、全教員の有期雇用契約への切り替えが不利益変更には当たらないとする論拠、制度根拠は示されていない。
③ 仮に任期制を導入する場合、法理から言って「教員任期法」に拠らなければならず、労働基準法(以下「労基法」)14条にもとづくことはできないはずである。労基法14条にもとづいて任期制を導入する当局案は、どのようにして合法性を主張しうるのか?
 しかも、労基法14条にもとづいての任期制導入を主張する当局案は、同14条の趣旨をも歪め、脱法的に利用しようとしている。
 当局案が依拠する労基法14条の有期労働契約における期間上限延長は、「有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにすることを目的としている」。(労働基準局長通達「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)今回当局の示した任期制案が労使双方にとって「良好な雇用形態」とはまったく言い難い。
 教員にとって従来の「期間の定めのない雇用」と比し、今回当局提案のどこが「良好な雇用形態」であるのか?
 これらの問題について説明を求める。
④ 有期労働契約が合意にいたらず、「期間の定めのない雇用」が継続する場合の勤務条件は「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」文書における「任期」の項を「期間の定めのない雇用」に変更すると解しうるが、それ以外に変更がある場合にはその内容と理由とを説明せよ。
 「使用者が労働者との間に期間の定めのない労働契約を締結している場合において、当該労働者との間の合意なく当該契約を有期労働契約に変更することはできない」(同上「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)とあるように、労基法14条にもとづく有期労働契約への切り換えにおいても個々の教員との合意が前提であり、合意をみぬ場合の勤務条件についても確認しておくのは当然である。
⑤ 当局案(「教員の任期制について」)に示された任期制の制度設計は、雇用形態の変更という最も重大な労働条件の変更を提案しているにもかかわらず、以下に指摘するように、あまりに曖昧で具体性を欠く。以下の指摘は細部にわたるものではなく、制度設計の基本にかかわるものであり、それぞれについて具体的回答を求めるものである。
○ 「教員任期法の精神にのっとる」とは具体的にどういうことか?
 教育・研究評価プロジェクト「中間案」に比して、教員任期法の精神にのっとる旨が示されたことは一つの変化であるが、具体的にどのような制度内容について教員任期法の精神にのっとっているのか?
○ 概要における「再任の考え方」は具体的な再任要件になっていない。
 「最低限クリアしてほしいこと」を要件とするというが、「最低限」とは具体的にどのような水準として規定しているのか?
 再任要件の内容として「取組姿勢、能力、実績など」としているが、「取組姿勢」の主観的で恣意的でない基準としてどのような指標を規定しているのか? また「取組」の具体的内容は何か? 複数の要素にわたる場合、それらの相互関係はどのように規定されているのか?
 さらに、「能力」の具体的内容は何か? 「実績」として判定されない「能力」として何を想定しているのか?
 なお、「再任の考え方」にある「新たな市立大学の教員として」の「新たな」とは、現在の学部、短期大学部等は想定していないという意味か?
○ 助手、準教授、教授の職位にあることの可否と教員身分にあることの可否が同一視されている。
 再任審査において当該職位にあることの審査基準・内容と、教員身分にあることの審査基準・内容とにちがいはないと考えるのか?
 あるとすればどのようなちがいを想定しているのか?
 市立大学教員として「最低限クリアしてほしいこと」と助手、準教授、教授それぞれの果たすべき職務が同じでないとする以上、再任の可否は直接にはそれぞれの職位にあることへの可否を意味するはずである。
 大学教員としての責務、市立大学教員としての責務、職位に応じた職務それぞれの内容についてあきらかにしたうえで、それらの相互関係を踏まえた再任要件規定が示されなければ説明としての一貫性を欠く。
○ 再任審査にかんする厳密で透明性のある手続規程が明示されていない。
 「教員評価制度の評価結果など」を用いるとしているが、教員評価制度を再任審査に用いることの理由、根拠はまったくあきらかでない。どのような理由・根拠から教員評価制度を再任審査に利用するのか?
 「教員評価制度の評価結果など」の「など」とは何か?
 教員評価制度の評価結果を具体的にどのように用いるのか?
 単年度評価である教員評価制度をどのようにして3年ないし5年任期の任期制における評価と連動させるのか?
 「人事委員会で審査し」とされているが、審査内容と結果について透明性を確保する具体的保障が存在するのか?
 再任拒否にたいする異議申し立て制度を必要なしと考えているのか?
 再任審査の結果について、「学長から理事長に申し出る」とあるが、「就業規則の概要」では、「理事長は、任期付教員の労働契約期間満了の際、当該教員を同一の職位で再任することができる」としている。「学長の申し出」が尊重される保障は、この文言によるかぎり、定かではない。
○ テニュア制度の導入を謳っているが、その具体的制度内容があきらかにされていない。テニュアの資格要件、テニュアへの移行条件をどのように想定しているのか?

○ 助手、準教授における再任回数制限の根拠が示されていない。この基準を仮に現行の助手、助教授に適用してみると、限度年限を越えるケースが存在する。特に、助手について3年任期の1回の更新しか認めない場合には、きわめて深刻な事態が予想される。このことを承知しているか?
 承知しているならば、予想される明白で重大な不利益を承知しながら当局案のような再任回数制限を設けているのはなぜか?
○ 3年任期の有期雇用契約は大学教員の職務にふさわしくない。
 大学教育にそくして教員の職務を評価する場合であれ、中期計画にもとづいて評価する場合であれ、3年任期の設定が大学にふさわしくないことはあきらかである。大学教育のあり方を無視している。大学における評価の整合性という観点から3年任期がふさわしいと考える根拠は何か?
 また、準教授について「簡易な審査」によりさらに2年の契約を行うとしているが、この場合、「簡易な審査」の内容は何か?
○ 昇任に関する制度内容は具体的にどのようなものか?
 「任期途中の昇任も可能」「当該者の経験年数等の条件によっては、…昇任審査を行い」といった記述からみられるように、任期制の再任審査と昇任制度との関連が指摘されているにもかかわらず昇任制度の説明が欠けている。
○ 再任と年俸との関係について曖昧な説明が行われている。
 再任にあたって年俸が同額、増額、減額の場合があるとしているが、年俸設定はその年度にかんして行われるものであり、3年ないし5年の任期最終年度における年俸増減をなぜ行うのか合理的説明がない。年俸設定が当該年度の教員評価にもとづくとするならば、「夏頃まで」の再任判断において年俸の増減を云々することは年俸制の趣旨に外れている。
○ ローン設定を困難にするなど、「期間の定めのない雇用」から期限付き雇用への移行によって生じると予測されるさまざまな不利益について当局はどのような検討を行ったのか?
 また、どのように対処するのか?

6 教員の給与制度にかんする当局提案について

① 年俸制の導入を柱とする新賃金制度の検討にあたっては賃金制度の不利益変更をもたらさないことを前提に組合との協議・交渉をすすめてゆくべきである。
② 当局提案の年俸制が教員のインセンティヴを高める制度たりうる前提として、民間企業と異なる教育機関である大学が、教員各人の業績に応じた処遇に必要とする原資を確保し保障できうることが必要である。一定の賃金原資枠内で年俸の増額と減額を均衡させざるをえない制約がある以上、成果主義賃金制度としての年俸制はインセンティヴを高めるどころか、モラールの荒廃を招くだけである。
 当局案は年俸制導入の前提となるそうした根本的制約について納得できる説明を行っていない。このことについて納得できる説明を行うことを要求する。
③ 当局案は、年俸制度の検討にあたって、「現行の給与制度を踏まえ、国立大学法人や私立大学などとの均衡に配慮するとともに」、「個々の教員に対するインセンティヴのある制度とする」としているが、示された制度概要は図示されたモデルのみであり、制度提案に必要な説明が尽くされていない。賃金規程で明確にされるべき点を念頭において当局案にたいする疑問点の概要を示す。
○ 年俸における固定部分と解しうる給料相当部分が「基本的構成」とされているが、その給与体系はどのような考え方にもとづいてどのように構成されているのか?
○ 現行給与体系と年俸制との照応関係の根拠が不明確である。
 現行給与制度における「調整手当、扶養手当、住居手当、初任給調整手当」相当分が「職務給」に当たるよう図示されているが、これらを職務給として扱うことはその性格からして適切ではない。業績評価の対象として想定された職務給としての扱いに調整手当や扶養手当等が組み入れられるのは、「現行の給与制度を踏まえ」たとはとうてい言い得ない変更である。これらの手当ては「給料相当部分」に組み入れるか、その性格にそくしたカテゴリーとすべきである。
○ 職務給と業績給との区分が曖昧である。
 職務給は業績給と同じ評価制度を用いた業績評価による支給とされており、上記諸手当相当分に当たる職務給の性格が評価制度のうえで否定され、実質上業績給体系に吸収されている。職務給と業績給とは、現行制度に由来する「出自」のちがいにかかわらず、業績評価にもとづく「変動部分」として扱われることになる。
 当局案に言う職務給は、業績給と明確に区別した制度設計を行うべきである。
○ 年俸のうち業績評価に連動させられる賃金比率があきらかでない。
 年俸における変動部分の比率は、たとえ個別合意があったとしても適切とみなされる減額幅を越えることは許されない。モデル図における変動部分は見通しのある生活維持を危うくするほどの幅になっており、懲戒処分における減給の限度を越える。適正とみなす減額幅をどう想定しているのか?
○ 業績給における業績評価の基準、手続が曖昧である。
 年俸の変動部分については、「教員評価制度による評価結果を活用する」としているが、評価結果が具体的にどのように用いられるかを明示的に規定されていない。
 業績に応じた支給額算定において、支給段階はどのように想定されているか? またそのさいの基準は何か?
 「目標達成度や職務業績に応じて支給」とされているが、これは「教員評価制度」における目標達成度評価および職務実績評価それぞれに応じて支給額を算定すると解してよいか? その場合、両者の関係をどう考えているのか?
 提案された教員評価制度において評価にたいする異議申し立てが認められた場合、また、使用者が公正・適正評価義務を怠った場合に生じる損害の補正・補償についてどのように措置するのか?
④ 再任時、昇任時の年俸改定について
 再任審査にともなう増減額の基準が審査時年俸にもとづく理由は何か?
 また、増減額を給料相当分と変動部分に「一定の割合」で配分するとあるが、どのような根拠からどのような割合で配分するのか?
⑤ 退職手当算定基礎額の考え方について
 現行制度においては退職日における給料月額となっているが年俸制において退職年度年俸の月額への割戻額を基礎額とする合理的根拠は何か?
⑥ 仮に年俸制を導入する場合に必要な移行過程をどのように考えているのか? この問題に関連して、以下の疑問を示す。
○ 年俸制の導入にあたっては、通常、年俸査定に携わる評価者の十分な習熟・訓練が必要とされるが、どのような試行期間を想定しているか?
○ 現行学部、短大等が並存して存続する期間における当該部門は年俸の査定にかかる評価対象となるのか?
 その場合、だれがどのように査定に携わるのか?
⑦ 「平成17年度年俸の考え方」について
 平成17年度賃金については、給与制度全般にわたる制度内容への協議と切り離して定めるべきである。
 そのさい、現行水準からの不利益変更が生じないことが必要である。

7 その他の勤務条件案について
 以下の見解、疑問、要求を示す。
① 現行勤務条件からの不利益変更とならない事項については同意する。
② 病院及び医学部の臨床系を除く教員について、就業時間を、8時45分から18時15分の内の7時間45分としているが、労基法の休憩時間規定の趣旨に反する長時間拘束を設定する根拠は何か?
③ 現行時間管理との異同について説明を求める。

8 教員評価制度について
① 教員評価制度は大学における学問の自由の遵守という原則の上に立って検討されるべきであるが、当局案はこの原則に抵触する内容をふくんでおり、教員の負う責務にてらし座視することはできない。
 当局案(「教員評価制度について」)では、「教員各自が自ら目標を設定」するとしているが、「自己申告内容の確認・設定」は評価者との面談をつうじてなされる。参考資料として付された「教員評価実施マニュアル」では、「面談の結果、調整できない場合は二次評価者が大学としての全体最適の立場で目標を指示することもある」としており、研究内容、教育内容について教員の自律性を損なう恐れがある。学問の自由の遵守という当然の原則が確認されるべきである。
② 当局案による教員評価制度を任期制と連動させることは、教員評価制度を再任の可否を最大の目的とする制度に歪めるものであり、「教育・研究の活性化」を促進するのではなく著しく損なう。
「教員評価の目的」として当局案に挙げられている事項と雇用契約打ち切り(雇い止め)の可否を問う再任審査の目的とは整合しない。
 とりわけ、役割に応じた目標の達成度を競わせ評価する目標管理制度は、職務を「最低限クリアすること」を再任要件の考え方として謳った任期制案の審査制度とは性格を異にするものである。
③ 年俸制における業績評価とのかかわりでも、すでに指摘したように、教員評価制度をどのような制度枠組み、査定基準、査定手続の下で用いるのかが不明確である。
④ 教員評価制度を任期制、年俸制に連動させるとしている点に鑑み、教員評価制度の制度設計に関する疑問及び要求を挙げる。
○ 評価の対象とされる「地域貢献」「学内業務」の評価対象領域として性格、範囲が曖昧である。査定項目の選択に客観性、公正性が担保されているか疑問である。
「地域貢献」に関して、一方でピックアップされた評価項目のみによる恣意的査定の可能性が存在するだけでなく、他方では、たとえばNPO支援など、市民社会における自発的で自由な活動でかつそうであるがゆえに意味ある社会・地域貢献を査定対象として統制する危険がある。
 「学内業務」に関して、査定対象となる業務への配置が自律的選択によるものでなければ、配置権限者による評価の操作が可能であり、公正と言えない。
○ 人事評価を行う者が当該評価領域・分野について優れた専門的能力を有することは、評価の公正性、客観性、信頼性を保つ上で不可欠の条件である。当局提案の評価者体系ではこの条件はどのように確保されているか?
 また、評価者は被評価教員の業績についてよく知悉していることが当然であり、これらの観点に立つならば、「教員評価委員会(仮称)」が評価を行うことは適切でない。評価・査定責任を曖昧にする点でも、「教員評価委員会」に学長が評価を「依頼」し、さらに一次評価者、二次評価者を「委嘱」するという手続は不適切である。
○ 教員評価を年俸等の教員処遇と連動させる場合、査定の公正性、客観性とこれらを検証しうる透明性の確保は教員評価制度導入に不可欠の要件である。
 当局案における「評価結果のフィードバック」は、評価・査定の内容とその根拠を誤解なく明瞭につたえる手続上、様式上の要件を満たすものとなっていない。
○ 教員評価の公正性、客観性を保障するためには評価者にたいする評価が必要である。また、そのさい、被評価者による評価者への評価は成果主義人事にあっても有効、必要な手段とみなされているが、当局案にいっさい言及されていないのは不可解である。
評価者にたいする評価制度、評価手続を明確に示すよう求める。
○ 目標管理型評価制度における評価者の役割の重要性から、その導入にさいしては、評価者に対する十分な研修期間を含む試行期間が設けられるのが常識である。当局案はそうした試行期間を置かぬものとしているのか?

 以上。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月18日 00:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年01月06日

横浜市立大「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル:横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示

学問の自由と大学の自治の危機問題(佐藤真彦教授)
∟●「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル: 横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示(2005/01/05)

「無抵抗な家畜の群れ」化へのマニュアル: 横浜市当局、勤務条件・任期制等について提示

横浜市当局は,昨年末の12月28日に,教員組合に対して勤務条件・任期制等についての文書を提示した(下記のpdfファイル1~7[1]を参照)[2].一読して明らかなように,教員評価制度と連動した,全教員に対する任期制と年俸制を強制することで,行政の意を汲んだ教員の協力のもとに,市当局が教員を徹底管理することを第一目的としたマニュアルとなっている.すなわち,伊豆利彦本学名誉教授がいみじくも指摘された,教員を「無抵抗な家畜の群れ」[3]化するためのマニュアルである.

これで,中田宏市長,池田輝政総務部長(現泉区長),および,橋爪大三郎「あり方懇」座長(東工大教授)の連携プレーによる無法・違法の大学破壊のためのシナリオ[4][5]が,現大学事務局官僚の手によって,細部の詰めに至るまで仕上げられたことになる.

それにしても,教授会そのものを消滅させた上に,人事権のみならず教員の身分保障を剥奪する等の暴挙が,さしたる抵抗もなくすんなりと通って,中田市長と横浜市官僚にとっては,おそらく拍子抜けものの,予想をはるかに超えた“大戦果”だったのではないだろうか.下記に,2年前の「池田暴言」[6]のさわりをあげておくので,このことを確認されたい.

小川恵一学長を筆頭とする“すり寄り派”教員の積極的加担,および,一般教員の過剰な臆病と鈍感がなかったなら,これほどスムーズにことが運ばなかっただろうことは,間違いない.

ごくごく近い将来に,行政に対する批判はおろか,同僚教員,とくに,従来のような民主的選挙を経ずに上意下達で任命された幹部教員の学説やその指導学生の研究内容に対しても,学位審査会等において,まともにコメントすることすら憚られるという,甚だ好ましくない雰囲気が到来するだろう.これを,“学問の死”と呼ばずに何と呼ぶのか[7].うのき氏の痛烈な指摘を待つまでもなく,批判精神が消滅し,保身と打算の奴隷精神が蔓延するであろうそのような大学に,何の価値があると言うのか[8].

伊豆氏は叫ぶ.「大学問題を言論思想の自由に対する破壊の問題としてとらえる必要がある。そして、それはファシズムの支配、戦争国家への道なのだ。・・・いまの日本は民主主義の国だという。笑うべき幻想だ。すでに日本は戦争に踏み込んでいる。いま、私たちはどのようにして、それとたたかうことができるか。・・・」


文中にある注は「続きを読む」に掲載

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[1]
教員組合からのpdfファイル
1.「公立大学横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-1 Jouken.pdf
2.「就業規則の概要」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-2 Shuugyou.pdf
3.「別紙1 教員の給与制度について」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-3 Besshi1.pdf
4.「別紙2 教員の任期制について」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-4 Besshi2.pdf
5.「別紙3 教員評価制度について」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-5 Besshi3.pdf
6.「教員評価実施マニュアル」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-6 Manual.pdf
7.「各種シート」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228-7 Sheets.pdf

[2]
横浜市立大、新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み04-12-30
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041230katayama-ycu.htm
http://university.main.jp/blog2/archives/2004/12/post_306.html

「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」(2004年12月28日付文書)の問題点 永岑三千輝氏『大学改革日誌』2005年1月4日付05-1-4
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050104nagamine.htm
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/SaishinNisshi.htm

横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」05-1-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050105katayama-nagamine.htm
http://university.main.jp/blog2/archives/2005/01/post_325.html

[3]
日本はどこへ行くのか 04-12-26
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041226izu.htm 
・・・横浜市大を訪れて、そこに私は廃墟を見た。いまの学生や教授に無抵抗な家畜の群れを見た。学問に理解のない市長とその手下に見事に料理された情けない廃墟を見た。そして、それは我が日本国の運命なのだと思った。日本はどこへ行くのか。・・・

[4]
学問の自由と大学の自治の敵,橋爪大三郎「あり方懇」座長の危険性02-12-11
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page033.html 
・・・したがって,橋爪氏(および「あり方懇」を主導している横浜市大事務局)は,まさに,"学問の自由と大学の自治(および民主主義)の敵(破壊者)"であると断じざるをえない.・・・橋爪大三郎氏および横浜市大事務局の圧力に抗して,また,独立行政法人化・民営化の潮流に飲み込まれることなく,家永三郎氏が身をもって示したように,また,ウォルフレン氏の言うように,"荒野に呼ばわる少数者の声"を上げる"勇気"が,われわれ教員のひとりひとりに求められていると思う.・・・

[5]
『自作自演の茶番劇』:03/12/01横浜市が”大学側”改革案の全面的受け入れを表明03-12-04
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031204chaban.htm
・・・ “コワモテ”で鳴る石原慎太郎知事による,東京都立4大学に対する有無を言わさぬ強権的な“改革”(大学解体・破壊)に比べると,“市民派”中田市長のソフトさ・寛容ぶりが際だっているように見えるが,この横浜市大改革も,その実態は,都立4大学の場合と同様の,凄まじい大学解体・破壊であり,市長と市大事務局が主導した“自作自演の茶番劇”であることが,その経緯を見れば歴然となる.・・・

[6]
『部外秘資料』が語る,横浜市立大学の"独裁官僚"と似非民主制03-1-28
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page036.html 
・教員は商品だ.商品が運営に口だして,商品の一部を運営のために時間を割くことは果たして教員のため,大学のためになるのか.
・教員はだれにも管理されていない.自己管理だから問題なのだ.国立は教員評価がはじまった.評価が一番低い教員はクビになることだってある.
・改善するためには,現在の人事制度を全面否定して,ゼロから立ち上げるしかない.発議権は現場に与えられたとしても,最終決定は全学的制度の下で決定すべきである.
・人事を誰が握るかですべてが決まる.私立の理事会のように,決めたものを拒否できるシステムを作るべきであろう.
・大学教員はパーマネントで,教員を管理している人が誰もいない.そういうものを作らない限り,よくやっている人が馬鹿を見ることにもなると思う.
・横浜市から金をもらってこの大学が成り立っているという意識がない.喩えて言うならば,生んでくれた親に何をしてあげられるのか.大学が持つ資源で地域に何が出来るのかを考えなければならない.
・教授会がごちゃごちゃいわなければ,すんなり決まる.その辺をはっきりするということだ.
・教員は現実は違うのに自身をスーパーマンだと思っている.なんでも出来ると思っている.そこに事務が配転してくればやる気がなくなる.
・教員は横浜市に雇われているという意識がない.設置者がつくった制度を知らないで議論している.権限の構造がどうなっているかを教員は知らなければいけない.
・教員は自分の役割をはっきり認識していない.制度の上にたった自覚がない.何でも出来ると思っている.事務局の責任も8割はあると思う.うるさい集団に対して面倒くさい,やめようと思って,力を発揮していない.
・大学人の自由でありたいという願望があるわけだが,そのことと教員ひとりひとりがどういうふうに今の制度を認識しているかということの差の現れだと思う.市大の教員になった時に,公立大学であるということ,だからこういうルールがあるのだということを知らしめないといけない.
[7]
阿部泰隆(神戸大学):「大学教員任期制法の濫用から学問の自由を守るための法解釈、法政策論―京都大学井上事件をふまえて」+『追記』04-3-28
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328abe.htm 
・・・任期制は多数派による少数派弾圧手段 任期制は、身分保障に安住した怠慢な教員を追い出し、大学を活性化する手段だ等と思っている人が多いが、実は逆で、任期制法が適用されると、失職か再任かを決めるのは、当該大学(教授会、あるいは理事会)である以上は、怠慢な教員が追い出されるのではなく、学内派閥の少数派は、どんなに業績を上げても、追い出されやすい。多数派の身分が保障され、少数派の身分が害されるだけである。そこで、多数派に隷従するか、むしろ、自ら多数派になるしか、学内では生きることができない。同じ大学で、競争講座をおいて、あえて学説の対立を現出することによって、学問の進展を図ることなど、およそ夢の又夢になる。これでは、教員の学問の自由が侵害され、大学が沈滞することは必然である。したがって、教授の任期制を導入するまともな国はない。任期制が一般的な韓国でも、それは副教授以下に限っているから、日本のしくみは国際的にも異常である。私は、これまで幾多の闘争をしてきた。それは学問を発展させたと信じているが、それが可能となっているのは、わが同僚からは追放されない保障があるからである。もし同僚と意見が合わないと、追放されるリスクがあれば、私は「毒にも薬にもならないお勉強」をするに止めたであろう。・・・

[8]
「自治」以前の問題としてへの返信(2004.12.28)04-12-28
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/041228izu-unoki.htm  
・・・市大の大学人のほんの一握りの誠意ある非常勤の先生方とごく一部の真面目な学部生をのぞきましては、「何ごとにも優先すべき事項」とは「自分」であると思われます。このような市大が市民からの信用回復を得るには・・・市大にいる大学人自身が、いま「何ごとにも優先すべき事項」を考え直す必要があるのではないでしょうか。・・・


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2005年01月05日

横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」 「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2005年1月4日)

 「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」(2004年12月28日付文書)で、一番の問題は、やはり「任期制」「年俸制」を深く検討しないままに、行政当局の圧力で法的整合性に問題があるにもかかわらず、導入しようとしていることであろう。「任期」の項目のもと、「1.有期雇用契約 「大学の教員等の任期に関する法律」の精神に則って、労働基準法に基づき、原則として全教員を対象として期間の定めのある雇用契約を締結する」と。私はこの規程の根本において法律的に問題があるのではないかと感じる。

 「大学の教員等の任期に関する法律」(「全国国公私立大学事件情報HP・大学教員任期制ウェブログにリンク」)はその精神(目的)として、「第一条  この法律は、大学等において多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定めることにより、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的とする」とある。「できる場合その他」を限定して規定しようとするものであり、全教員を任期制にすることを予定したものではない。大学開設の科目等で何が任期制科目としてふさわしいか検討し(教授会・評議会、研究教育評議会など大学の自治の観点からしかるべき機関で)、限定的にその趣旨にしたがって導入しうるというものである。

 文章を素直に読めばわかるように、また国立大学法人や学校教育法に基づくほとんどの私立大学のほとんどの教員のばあいにおいても、また本学のこれまでの条件においても、基本は任期のない基幹的な教員集団(定年までのテニュア付き教員集団)で大学の教育研究を担う。ただそれだけでは、「多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況」を作り出せない問題点があり、「教育研究の活性化」のためには、相互交流を活発化する必要性を認めて、限定的に任期制の教員を導入するとしている。全教員を任期制にするというのは、立法の趣旨、大学の研究教育の恒常的安定性から言って、詭弁であろう。「大学教員任期法」の諸規定が、学校教育法等に依拠した評議会(教授会)での任期制導入の審議を前提にしていることも、重要である。

 本学の「任期制」導入を掲げた「あり方懇」答申の当時、そしてそれを受けた「大学像」策定の当時、「大学教員等の任期に関する法律」しかなく、明らかにそれを前提にした限定的な任期制であるのが筋であった。ところが、その後大学教員に関わらない一般の労働基準法に「任期制」を広く導入することを可能にする改正が行われると、大学教員という特定の職業の枠(「大学教員任期法」の諸規定を見れば大学の自治を尊重した種種の制約条件がある)を無視して「全教員」を対象にできるからと「労働基準法」に基づく任期制を導入しようとしているのである。これは法理にかなったやり方だろうか?

 本学の教員は、大学教員としての固有の使命や仕事の内容をもったものとしてではなく、一般の企業と同じ職業のものとして扱われ、しかも、一般民間企業でも全職員(全社員)を「有期契約」などにしている事例はないにもかかわらず、全教員を「有期契約」に投げ込もうとしているのである。恐るべき法解釈ではないだろうか?

 基幹部分を安定した教職員でしっかりカバーしていない大学(企業)などあるのだろうか?

 これが、研究教育の活性化に貢献するのか?

 教員の仕事の評価を定期的にきちんと行うこと、それを給料等にしかるべき合理性をもって反映することはありうるが、任期を定めて首切りを可能にする(しかもその評価は大学の自治的システムとは別に行政が任命した管理職によって行える)こととは別であろう。 

 目的・精神においてもその適用においても、重大な問題(私の解釈では法律違反)をはらんでいると考える。労働基準監督所でこれが通用するのか?

 本学で導入されようとしている上記条項は、もし何も問題ないのだとすれば,今後の日本の大学、社会にとっても重大な(深刻な)意味を持つものではなかろうか?

 法律とは、いろいろな意味で力(権力)をもったものが、自由に解釈し、自由に適用できるものなのだろうか?法律体系(諸法律の関連)は考えないでいいのか。憲法において「大学の自治」が保障されている意味は、一体何なのか? 本学には法律家はいないのか?

 年頭にあたって、この根本問題を改めて考えさせられる。

 11日には教員組合の集会が予定されている。そこでの意見交換に期待し、しっかり勉強したい。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年01月05日 01:06 | トラックバック (0)
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2004年12月30日

横浜市立大、新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み

横浜市立大学事務局大学改革推進部大学改革推進課
 ∟●「公立大学法人 横浜市立大学」(平成17年4月1日設立予定)の専任教員を公募について(12/28)
 ∟●新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み~教育・研究評価検討プロジェクト部会(中間案)~

教育・研究評価検討プロジェクト(中間案)
新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み

◆大学改革の推進~新たな教員人事制度の構築に向けて~
 横浜市では、現在大学改革を推進しており、その中で公正かつ総合的な教員評価制度の導入に向け検討を進めております。この教員評価制度は、組織や教員個人の目標に対して、達成状況をはじめ職務や業績などが適切に反映できるような制度を目指しており、教員が、教育・研究活動等自らの行動を振り返り、改善を重ねることで、個々の教員ばかりでなく組織としても、より一層能力が発揮され、大学全体として教育・研究水準の向上と活性化を図ろうとするものです。
 また、こうした公正かつ総合的な教員評価制度に基づき行った評価結果を、昇給、昇任、再任等に反映させていくなど、制度全体で「努力すれば報われる」仕組みに改革し、意欲ある人材が活かされるような、新たな教員人事制度の構築に向け、検討を進めております。
※なお、病院に所属する教員の評価制度をはじめ、年俸制や任期制は本検討を踏まえ、検討を行います。

1.教員評価制度のあらまし
(1)評価の考え方
 組織の目標と教員個人の目標を結合させ、大学としての社会的責任を果たすとともに、大学全体として教育・研究水準の向上と活性化を図っていくことが重要である。そのためには、教員全体が、組織の目標や自らに求められている役割を認識し、自らの能力を高めより一層発揮できるようにするとともに、大学運営や地域貢献に積極的に関わっていくよう組織と教員個人に対する公正かっ客観的な評価システムを構築し、評価を行っていく。
(2)評価のプロセス
①法人や大学全体として策定した目標・計画を受け、学部などの組織としての目標・計画などを策定する。
②学部長・コース長等は、学部等組織としての目標・計画のもとに面談・調整を行う。また、面談に基づいて、教員は、組織の目標や求められている役割を認識し、自らの目標・計画を策定する。
③個々の目標・計画に則って、教育・研究、診療等を行う。
④教育・研究成果または、目標・計画の達成状況について自己評価し、学長へ申告する。
⑤学長は、評価の公平性・客観性を担保するため、外部委員を含めた教員評価委員会(仮称)へ評価を依頼する。
⑥学長から評価結果等が伝えられ、その結果等を踏まえ、次年度の目標・計画へ反映する。
(3)評価の視点・分野
①大学あるいは組織の目標・計画に沿って「求められた役割を堅実に果たしているか」の視点で評価を行う。
②研究業績だけでなく、学生教育、(診療)、地域貢献、大学運営など多角的な評価を行う。
③評価の対象とするのは、基本的に、次の5分野とする。〈〉内の評価項目は例示
(ア)教育〈授業内容、履修支援等〉
(イ)(診療)〈診療実績、患者サービス等〉
(ウ)研究〈論文、外部資金の獲得、学会発表等〉
(エ)学内貢献〈学内業務への取組、共同研究等〉
(オ)地域貢献等〈地域貢献、市行政への貢献、政府審議会委員への就任等〉

<大学あるいは組織から求められる役割のイメージ>
大学あるいは組織の目標・計画の達成に向けて、各教員には画一的ではなく、各々の役割が求められる。

2.年俸制のあらまし
(1)年俸制導入の考え方
 教育研究活動等の活性化を図るため、公正かつ総合的な評価制度のもと、職責や業績に応じた、より適切な給与制度とする必要がある。そこで、教育や研究、診療や地域への貢献など、教員の活動実績が給与処遇などに反映され、「努力すれば報われる」仕組みを構築する。
 また、優秀な教員の招へいが図れるような制度の構築を目指す。
(2)年俸制の構成(イメージ)
固定部分(基本給相当)
変動部分(職務給・業績給相当)±(10~20)% (率は今後検討)

①教員として最低限の責務に対する保障部分
②生活給部分の保障

①教育、研究、大学運営等の職務に応じて支給する部分(職務給相当)
②上記等の各分野の業績評価に基づき支給する部分(業績給相当)
③評価にあたっては、公正かっ総合的な教員評価制度に基づき行う。
※1:固定部分と変動部分の比率や変動部分の増減率は今後検討する。
※2:新規採用者については、本市条例に準じて格付けを行う。
※3:退職手当は法人退職時に別途支給する。

3.任用制度と任期制のあらまし
<採用>
 法人化後の教員採用は、原則として公募により行うとともに、審査・選考は、学外委員も含む教員人事委員会により行うなど、全学的視点に立って、公正・公平で透明性の高い採用システムとします。
<昇任>
「教授」及び「準教授」などの職位ごとの定員枠にとらわれない制度とする方向で検討を進めており、「年功による昇任」や、「定員枠がないため昇任できない」などの状況を解消し、実力・実績に応じて昇任を可能とするシステムを目指します。なお、学外委員を含む教員人事委員会が、公正で客観的な昇任審査を行います。
<任期制導入の考え方と再任審査等>
 優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活性化を図り、教育研究を進展させるため、原則として全教員を対象に任期を定めて任用する制度とします。
 ただし、任期中、教育研究等の目標・計画に沿って、着実に努力した成果が、教員評価委員会で適正に評価され、それを受け、再任されることができるよう、学外委員が加わる教員人事委員会で審査します。
 また、教授となり、テニュア審査に合格した場合は、任期のない教授になることが可昇任審査能となります。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年12月30日 00:14 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年09月03日

横浜市立大学教員組合、「普通にやっていれば再任される」任期制なんてあるのか?

横浜市立大学教員組合週報/組合ウィークリー(2004.9.2)
大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2004年9月2日(2))より

「普通にやっていれば再任される」任期制なんてあるのか?

■任期付き教員に陥れるためのマヤカシ
 本学事務局は、本年6月の「教育・研究評価プロジェクト(中間案)----新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み」で、全員任期制を強硬に実施しようとするプランをわれわれに一方的に提示しました。しかし、教員個々人は、任期制に同意しなければ決して任期付教員にさせられません。
 したがって、教員一人ひとりに対して任期制の同意を取り付けることは困難です。そこで、学部(医学部)、学科(看護学科)、コース(金沢八景キャンパスの場合)ごと、あるいは旧学部(理学部など)ごとに、所属教員に一括して同意書を集めようとする可能性があります。実際にそのような方法がとられようとした大学がいくつかあります。
 その際の決まり文句は、「普通にやっていれば再任されます」というものですが、法的にそれが保障されている訳では全くありません。任期制とは、例えば任期5年の場合、法的には「5年間は雇います。その後はそのときまた考えましょう」というものです。再任するか否かを決めるのは、労働者(=教員)ではなく使用者(=最終的には理事長)です。任期の終了時、使用者は何も理由を示すことなしに、自由に労働者を解雇することができるのです。「再任を妨げるものではない」という規定があるとしても、「原則として再任する」という意味では決してありません。「5年という任期をわざわざつけたけれども、場合によってはまた何年か続けて働いてもらうこともありうる」というものです。教員が任期中にノーベル賞をとった場合でも、再任しなくても法的には何ら問題は生じない[1]ということになってしまうのです。要するに、「普通にやっていれば再任されるのだから、あなたも同意して下さい」などと言われても、それはまやかしです。そんなことを言う人に対しては、「万が一再任されなかった場合は、私が他大学に再就職するまでの期間、私の市大での年間給与(ボーナスを含む)を12で割った額を、あなたから私に対して毎月支払います」といった内容の文書を作り、署名、捺印するよう要求しましょう。

■ポストがなくなれば再任されない
 すでに任期制をとっている大学はないわけではありません。ただし、それは新設ポストや新規採用の際に任期制であることを明示した上で公募等を行って新しく雇用した場合です。そのような大学では、やはり「普通にやっていれば再任される」という説明がなされているケースがあります。しかし、それらの大学の再任に関する規程等を見ると、再任について検討する委員会の委員は誰かとか、どのような手続で審査するかについて定めているだけで、一体どのような水準の研究・教育を行えば再任されるのかについて規定を置いているケースは例外中の例外です。しかもその水準も抽象的であいまいなものが珍しくありません。
 そもそも、優れた教育・研究をしていても、中期計画などで、その分野やコースあるいは担当科目が大学として不要だということにされてしまうと、再任されない可能性が大いにあります。むしろこちらの方が重大問題です。

■任期制は大学の運営もダメにする
 任期制には他にも重大な問題を引き起こします。本学のように教授会自治が剥奪されつつある大学の場合、任期制は教員の人事評価(考課)制度と結合することによって、きわめて恐ろしいシステムになります。再任を検討する委員会(新人事委員会?)のメンバーになる管理職やコース長[2]などが教員の生殺与奪の権を握る絶大な権力者になるからです。したがって任期制は、雇用の面だけの問題ではありません。大学の管理のあり方を根本的からゆがめるものです。また、教員間の人間関係も悪くするものです。このように、任期制が導入されれば、ますますとんでもない大学になってしまいます。
 3学部の統合等により、大学の教育・研究のいわばハード面がこわされてしまいました。「教育・研究評価プロジェクト(中間案)----新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み」の示す改革案は、教育・研究を担う教員の活動、教員間の関係というソフト面を破壊するものです。教員のためだけでなく、卒業生や在学生、将来の入学生や市民のために、これ以上横浜市立大学がひどくされないようにしなければなりません。だまされてはいけません。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年09月03日 00:38 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年08月03日

大学教員の任期制、螺旋的悪循環の連鎖-横浜市大 永岑三千輝氏最新日誌

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌 2004年8月2日(2)

 「全国国公私立大学の事件情報」(8月2日)によれば、長崎県立の二つの大学においても、全員任期制が検討されているという(新首都圏ネットワークにも関連記事あり)。恐るべきムード的な事態[1]が全国化しつつあるといわなければならない。こうしてみると、多くの国立大学で熟慮しないままでたくさん部局に導入された任期制(どれだけの人がそのポストに移っているかはわからないが)が、東京都の「任期制」「年俸制」導入宣言に飛び火し、さらに本学に関する「ありかた懇」答申に伝染し、さらに悪いことに、センセーショナルに新聞報道された「大学像」において「全員任期制」の言葉が「はじめて」打ち出されるというふうに、この螺旋的悪循環の日本全国の大学と社会に与えたマイナスの影響ははかりしれないものがある。

 大学を活性化するための任期法は、いまやいたるところで悪用され、誤用されようとしている。国公立大学は、法人化を契機に、競って自分で自分の首を締め、優秀な教員をテニュアを付与した私学に追いやっている、優秀な教員を追い出すことに狂奔している、というべきではないか。法人化は、大学の独立性・自立性を高めるものから、逆に任期制による大学教員の奴隷化の推進手段になってはいないか?

 その行き着く先は、乱暴な私学経営の跋扈ということではないか。私学の経営がいかにひどいものであっても、経営陣は、任期制の不安定雇用におびえる教員を抱える国公私立大学との競争では、有利に経営できるということではないか。私学内部の多くの教員も、いずれ国公立以上の不安定雇用によって、ひどい状態に陥れられることになるのではないか。それは、わが国の大学の研究教育の自由で創造的な発展の筋道とは逆行するものであろう。「地獄への道は善意で敷き詰められている」。

 本学でも、内外からの幾多の批判を受けて、中間案においてテニュア制度(定年までの終身在職権)が明確に打ち出されたが(その不十分さ・不明確さに関しては教員組合の批判がある[2])、それがまだ最終的に確たるものとして提示されないために、本学の検討の到達点はいまだ全国では知られていないようである。常に模範とされ追随されるアメリカにおいて、テニュア制度が確立し、しかも、準教授で80%以上、教授では90%以上がテニュア取得(テニュア付与)であることの実態と意味は、周知のものとなっていないようであり、熟慮されてはいないようである。

 長崎県立の公立大学法人化の議論で、「各委員からは「優遇措置がなければ、任期制に移行する教員は数%ではないか」などの意見が出た」という。もっともな意見である。

 しかし、いったいいかなる優遇措置が、「首切り」を超えるほどの優遇措置だろうか? 任期制は、いずれにしろ、任期がくれば雇用は終了する、という制度であり、「首切り」合法化である。新たに採用される場合、新規採用と同じである。とすれば、そうした決定的な不利益・不安定雇用条件を超えるような魅力ある優遇制度とは何か?

 いくつかの国立大学で任期制が導入された場合、定年5年前での任期制ポスト(5年任期)への移行、ということがあるようである。これなら、すくなくとも実質的にはマイナス措置とはならないだろう。いやむしろプラスにすることが可能であろう。その場合に、任期制は名誉に値するものとして(最先端の仕事をしている、総合的な仕事をしているなどの審査とその基準クリア)、ワンランク上の給与条件などを与えるものとすれば、任期制に選ばれた教員は、それだけプラス評価されたことになろう。これならば不利益ではないだろう。それならば、競争化・活性化にも、ある程度(審査が公明正大で、透明性をもち社会的説明責任を果たすものならば)、役立つことにもなろう。

 あるいは、定年数年前に割愛願いが出る(た)ような有名教授をひきとめておくために、定年を数年間延長するような任期制教員として採用する対抗措置をとる(引き抜き防止措置)なども考えられるであろう。これも、それだけの実績と社会的説明責任の力のあるものならば、プラスの効果をもつであろう[3]。

 他方、「数年後」に任期終了とともに首切りが当然となっていても、当面なんとか就職できればいい、という無職の若手研究者の場合なら、「無職よりはいい」と、任期制でも応募することになろう。無職で苦労するよりは、任期制(数年後の問答無用の首切り)でもいいから助手ポストをたくさん増やしてほしい、という博士課程・オーバードクター・ポストドクターの若い人々は多いだろう。「余剰博士」はいまや大変な社会問題になりつつある。彼らも、もちろん、任期制でない安定したポストにも応募しつつ、「任期制ポスト」にも、余儀ない選択肢として応募するであろう。

 任期法によって「助手」ポストを任期制にすることは法律的に可能となった。これこそは、任期法制定のもっとも重要な背景(理由)なのではないか。それはそれとして(すなわち任期法による限定的なものとして)、積極的に活用すべきではないか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年08月03日 01:42 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年07月23日

任期制は大学教員の質を高めることにならない! 横浜市大、永岑三千輝氏

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2004年7月22日(3))

 「全国国公私立大学の事件情報」によれば、札幌市立大学も「任期制導入」と。来年4月開学の「札幌市立大基本計画案、やはり任期制導入 実績に応じた給与体系」と。「質を高めるため、採用期間に期限を設ける任期制を導入」と。教育公務員としての身分保障があり定年まで勤める教員では「質が低い」「質を高めることができない」という認識のようである。はたしてそうなのか? 任期をつけて首切りで脅かしつつ、しかも給与は実績で支払う、ということで、質のいい教員が集まり、その質のいい教員が任期を更新することになるのだろうか? 

 テニュア(終身在職権)がつけられた大学にチャンスがあればさっさと移るというのは普通ではないか。チャンスがない場合に、余儀なくいるだけではないか。質の高い教員を引き止めておくほどの実績に見合った給与(体系)とは一体いかなるものか? 実績と給与との相互関係は、公開されないとわからない。合理的なものかどうかもわからない。また、それが人を引き止めておくインセンティブになるかどうかもわからない。大学の研究教育にたずさわるものに対する考えが、なにか本質的なところで間違っているという気がする。

 大学教員が真理探究を第一の基準にして、研究教育を自由に推進することができるための制度的保障が、憲法や教育公務員特例法や学校教育法の精神を貫いていたことではないのか? 身分保障があるからこそ、自由に、さまざまな権威や利権(学問外的な諸利害)に対しても批判的なことが言えるのではないのか? 任期ごとの首切りを恐れたら、ほとんどの人は何も言えなくなるのではないか?

Cf. 大学教員の任期制を考える引用集(長野大学・石川剛志氏作成):「韓国からの特報」(韓国大法院判決・その解説、新設ルール等)

 大学教員の「質を高める」ためには、科学・学芸の論理に従った自由で民主主義的な競争的雰囲気(自由な研究、自由な意見表明、事実と論理を提示する自由な批判)こそが必要なのではないか。3年、4年、5年と言った短期間で首切りを可能とするようなことを武器にして、本当に「質が高まる」のか? そうでなくても、論文の本数などばかりが「客観性」の基準となって、3年とか5年程度でまとまるようなテーマだけを選ぶ風潮になってはいないか。 「質を高める」ためという目的と「任期制」という手段は対応しうまく合致しているか? 任期制導入の模範とされる自由競争の大国アメリカにおいて、助教授クラスで80%以上、教授クラスで90%以上がテニュアを獲得している(与えている、与えられている)というのは、何を意味するのか?

cf.アメリカの現状(教授90%以上、准教授80%以上、cf『文部科学省白書』、『諸外国の高等教育』をどう読むか、p4,7-9行)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月23日 00:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年03月28日

横浜市立大、「大学人の会」≪任期制・年俸制シンポジウム≫『報告集』

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●学問の自由と大学の自治の危機問題 2002年~2005年3月
  ∟●「大学人の会」≪任期制・年俸制シンポジウム≫『報告集』


[1]阿部泰隆(神戸大学):「大学教員任期制法の濫用から学問の自由を守るための法解釈、法政策論―京都大学井上事件をふまえて」+『追記』
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328abe.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328abe.htm 
[2]永井隆雄(AGP行動科学分析研究所):「成果主義賃金が大学教員に与える影響」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328nagai.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328nagai.htm 
[3]松井道昭(横浜市立大学):横浜市立大学の改革をめぐる諸問題」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328matsui.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328matsui.htm 
[4]田代伸一(東京都立科学技術大学):公立大学法人「首都大学東京」における人事給与制度について(レジュメ)
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328tashiro.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328tashiro.htm 

配布資料
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328toritsu-shiryou.pdf
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328toritsu-shiryou.pdf 
[5]平野信行(農業技術研究機構中央農業研究センター):つくばの国立研における独法化以降の問題点
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328hirano.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328hirano.htm 
[6]福井直樹(上智大学):アメリカの大学における「任期制」と「年俸制」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328fukui.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328fukui.htm 
[7]広渡清吾(東京大学社会科学研究所):「大学の理念を社会とともに創造すること」
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328hirowatari.htm (04-4-11掲載)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328hirowatari.htm 

フロアからの発言と配布資料

石原剛志(長野大学):長野大学教員任期制について
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328ishihara.pdf
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-03/040328ishihara.pdf 

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シンポジウム後の関連情報

(1)京大再任拒否事件裁判京都地裁不当判決、「任期制の恐ろしさ」を全国に知らしめた!04-4-1
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040401katayama.htm 
(2)京大井上事件京都地裁不当判決、京大総長が懸念を表明「この判決が判例となるのは良くない」04-4-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040405futouhanketsu.htm
(3)在米25年のイリノイ大学教授からの、福井氏講演録へのコメント04-4-7
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040407illinois.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-04/040407illinois.htm 
(4)『04/3/28任期制・年俸制シンポジウム』の報告から04-4-8
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040408houkokukara.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-04/040408houkokukara.htm 
(5)『学問の自由の無理解』と『研究者には理解できない判決の論理過程』04-4-8
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040408abe.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-04/040408abe.htm 
(6)落合栄一郎氏からのお便り:福井氏講演「アメリカの大学の年俸制、任期制」に関して04-4-9
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040409ochiai.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-04/040409ochiai.htm 
(7)『選ばれる立場にあるのは誰か:都立大を巡る一連の事態の本質と大学を巡る市場原理のあり方』04-4-13
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040413kikai.htm 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-04/040413kikai.htm 
(8)『週刊新潮12月4日号[特集]教授追放!『京大医学部』を揺るがす「白い巨塔」事件03-11-27』(再掲04-4-19)
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031127shukanshincho-inoue.htm
(9)成果主義賃金導入の企業、90%以上が制度運用で問題04-4-24
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040424katayama.htm 
(10)教員組合週報:《任期制・年俸制問題を考える》第1回『「普通に仕事していれば任期は更新される」という説明は本当か?』ほか04-4-26
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040426weekly.pdf 
(11)高橋伸夫東大教授インタビュー「成果主義是非論 その後」「成功した企業はありません」04-4-29
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040429takahashi.htm
(12)教員組合週報:《任期制・年俸制問題を考える》第2回『工夫次第でよい任期制ができる」か?04-5-10
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040510weekly.pdf
(13)教員組合週報:《任期制・年俸制問題を考える》第3回『本人が「イヤ」と言えば強要できない任期つき任用』04-5-17
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040517weekly.pdf
(14)組合ウィークリー:《任期制・年俸制問題を考える》第4回『たとえば任期5年でも退職の自由がある場合,ない場合がある』04-5-24
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040524weekly.pdf
(15)再任拒否の処分性を認めた韓国大法院の判決
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040523tsujishita.htm
(16)永岑三千輝氏『大学改革日誌』2004年5月24日付(2):「再任拒否の処分性を認めた韓国大法院の判決」について
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040524nagamine.htm
(17)組合ウィークリー:《任期制・年俸制問題を考える》第5回『恣意的でない教員評価とは?』04-5-31
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040531weekly.pdf
(18)新首都圏ネットワーク2004年6月1日付:秋田大学での任期制の問題について04-6-1
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040601shutoken-akita.htm 
(19)京大再任拒否事件、大阪高裁での勝訴に向けて(井上教授裁判その後の経過)04-6-2
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040602katayama-kyodai.htm 
(20)組合ウィークリー:《任期制・年俸制問題を考える》第6回『「とにかく申請に間に合わせ」と違法・脱法行為をすすめてよいか?』04-6-7
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040607weekly.pdf
(21)働くということ活力生む知恵(2) 東京大学教授高橋伸夫氏(経済教室) 04-6-10
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040610katayama-takahashi.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-06/040610katayama-takahashi.htm 
(22)永岑三千輝氏『大学改革日誌』2004年6月21日付:アメリカのテニュア制と横浜市大の「全員任期制」問題 04-6-21
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040621nagamine.htm
(23)『成果主義は日本の競争力を失わせる』 法政大学大学院教授 小池和男氏 04-7-4
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040704sundaymainichi-koike.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-07/040704sundaymainichi-koike.htm 
(24)阿部泰隆『京都大学 井上教授事件』が刊行されました(「横浜市立大学問題を考える大学人の会」柳澤 悠氏のメール04-7-3付より)04-7-3
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040703abe-inoue.htm
(25)長野大、任期制導入に関する新たな新聞報道04-7-5
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040705katayama-nagano.htm
(26)長野大石原剛志氏、「大学教員の任期制を考える引用集」04-7-7
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040707katayama-ishihara.htm
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/04-07/040707katayama-ishihara.htm 
(27)大学教員の任期制を考える引用集04-7-7
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040707ishihara-nagano.htm
(28)全国初の公立大学法人 秋田の国際教養大、任期・年俸制 「教授会自治」を改め経営権を理事会(大学経営会議)に集中04-7-7
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040707katayama-akita.htm
(29)永岑三千輝氏『大学改革日誌』2004年7月7日付04-7-7
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040707nagamine.htm
(30)任期付き研究員等の制度は今後どうなる?-「第22回国立試験研究機関全国交流集会」(6月9日)報告04-7-9
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040709katayama-kokuken.htm
(31)組合ウィークリー:《任期制・年俸制問題を考える》第7回『労働条件はいつどのように提示されるのか?』04-7-12
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040712weekly.pdf

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2004年02月16日

『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●学問の自由と大学の自治の危機問題 2002年~2005年3月

『東京新聞』特報
『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ(2004.2.16)

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2003年10月25日

横浜市大、教員に「任期・年俸制」 大学改革案まとめる

朝日新聞(2003年10月25日)

 横浜市立大学(横浜市金沢区、小川恵一学長)は、05年度から独立行政法人化し、教授など全教員に任期制、年俸制を導入する大学改革案を24日までにまとめた。今月中に中田宏市長に提出される。両制度の全教員への適用は、四つの都立大学を統合して05年度に開学予定の東京都の新大学でも検討されているが、導入が決まれば、既存の大学では初めてという。
 各分野の実務の専門家を公募しやすくし、業績主義を進めて大学教育や研究の質を高めるのが狙い。現在、同大学の教授、助教授、講師など教員は641人いる。任期と年俸の設定方法については、学内に人事委員会を新設し、教育、研究実績などに基づいて、同委員会で判定して決める方向で検討している。

 任期制や年俸制の導入は、1140億円(01年度末)の負債を抱える同大学の経営改革を検討していた市長の諮問機関が、2月に出した答申の中で、求めていた。

 このほか、改革案では経営改善のため経営組織と教育・研究組織を分け、それぞれ責任者として理事長、学長を置くことも盛り込まれている。

 国公立大学の改革を巡っては97年、大学の判断で任期制を導入できる法律が成立。文部科学省によると、02年10月時点で172の国公立大学のうち77大学で、医学部や研究所を中心に一部教員に導入されている。年俸制は国家公務員法により、現状では導入できないが、独立行政法人化されると可能になる。


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2003年10月03日

横浜市立大、現職全教員に任期制を導入することに反対する声明

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●学問の自由と大学の自治の危機問題 2002年~2005年3月
  ∟●現職全教員に任期制を導入することに反対する声明

現職全教員に任期制を導入することに反対する声明

2003年10月3日
横浜市立大学教員組合

「プラン策定委員会」幹事会が9月26日に提出した「大学改革の大枠整理(追加)について」においては、「原則として全教員を対象とする」任期制の導入を提案している。

教員組合は公立大学行政法人には反対の立場であるが、よしんば法人化を仮定したとしても、地方独立行政法人法においては従来の教員身分は法人に承継されることになっている。したがって、移行に当たっては基本的な労働条件の不利益変更は許されない。然るに、全教員に対する任期制の導入は、有期雇用への雇用形態の変更であり、労働条件の重大な不利益変更となる。

横浜市立大学教員組合は、任期制の安易な導入には反対である。「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、「任期法」)は、「任期を定めることができる場合」を限定しているのであり、この法律によって任期制を無限定的に導入できるわけではない。「1 先端的、学際的又は総合的研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。2 助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことを職務の主たる内容とするものに就けるとき。3 大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき」に限定される。現行「任期法」は限定的任期制であり、これを現職の全教員にまで拡大して無限定的任期制を採用することはこの法に違反することになる。事実、全国の大学において全学部の全教員に対して任期制を導入している大学は皆無である。                     

さらに、この法律には、「任期制の導入によって、学問の自由及び大学の自治の尊重を担保している教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮する」との附帯決議が付されており、その運用にあたって「身分保障」に関しての極めて厳しい条件が課されている。

教員組合は、現職全教員への任期制の導入は、教員身分に関する重大な不利益変更であり、これを断じて認めることはできない。事態の展開如何では、我々は、法的な対抗措置を講じることをも辞さない。


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2003年10月02日

横浜市立大、 大学改革案における教員任期制の導入に関する商学部教授会意見

大学改革案における教員任期制の導入に関する商学部教授会意見

2003年10月2日
商学部教授会

 プロジェクトR委員会は、9月26日に提出した『大学改革案の大枠整理(追加)について』と題する文書において、全教員を対象とする任期制の導入を提案しているが、任期制を導入することのメリットおよびデメリットに関する議論はともかくとして、そもそも教員全員について任期制を導入することは、現行法上ほとんど不可能であり、大学改革案においてかかる提案を行うことは、現行法における公立大学教員の任用に関する規制に抵触すると考えられる。その理由は、次の通りである。

1.現行法上、大学(学校教育法第1条に規定する大学をいう)の教員(大学の教授、助教授、講師および助手をいう)について任期制を導入することに関して法的規制を設けているのは、「大学の教員等の任期に関する法律」(以下、大学教員任期法と称する)である。この大学教員任期法は、平成9年に制定されたもので、その趣旨は、大学において多様な知識または経験を有する教員相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学における教育研究の活性化にとって重要であることから、任期を定めることができる場合その他教員の任期について必要な事項を定めることにより、大学への多様な人材の受入れを図り、もって大学における教育研究の進展に寄与することにある、とされている(同法1条)。このような立法趣旨に鑑みれば、同法は、大学の教員について任期を定めない任用を行っている現行制度を前提としたうえで、以下に述べるような個別具体的な場合(大学教員任期法第4条1項1号~3号)に限り、例外的に任期を定めた任用を行うことができることを明らかにしたものである(2003年5月16日衆議院における政府答弁)。

 2.大学教員任期法第3条によれば、公立の大学の学長は、教育公務員特例法第2条4項に規定する評議会の議に基づき、当該大学の教員(常時勤務の者に限る)について、次に述べる第4条の規定による任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員の任期に関する規則を定めなければならない。すなわち、任期制を導入しようとする場合には、まず、評議会の議に基づいて任期に関する規則を定めることが必要となるわけである。
そして、このような教員の任期に関する規則が定められた場合でも、任命権者が、教育公務員特例法第10条の規定に基づきその教員を任用するときは、次の3つの事由のいずれかに該当しない限り、任期を定めることができないのである。これは、すなわち、①先端的、学際的または総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野または方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき、②助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき、③大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき、である(大学教員任期法第4条1項)。また、任命権者は、このうちのいずれかの事由に該当するとして、任期を定めて教員を任用する場合には、当該任用される者の同意を得なければならない、とされている(同法4条2項)。

 以上の各規定から明らかなように、任命権者が公立の大学の教員について任期を定めるためには、前述のように評議会の議に基づき任期に関する規則を定めなければならないほか、さらに前記①~③の事由のいずれかに該当すること、および任用される者の個別的同意が必要であり、いずれの要件を欠いても、公立の大学の教員について任期を定めることができないことになっている。そして、前記①~③の各事由の内容の解釈からも明らかなように、大学の教員全員について任期を導入することは、ほとんど不可能であり、教員全員について任期を定めた任用を行うことは、任期を定めない任用を原則としつつ、例外的に任期を定めた任用を許容するという大学教員任期法における公立大学教員の任用に関する規制に反する。

3.大学の教員全員が前記①~③の事由のいずれかに該当し、かつ任期を定めることについて全員の同意が得られた場合には、大学全体について任期制を導入することは、理論的にはあり得る。しかし、現在ある学部または研究組織の全ての職を、例えば①の事由に該当するとして、教員全員について任期制を導入するとすれば、それは、①の事由の拡大解釈であり、このような拡大解釈は、「多様な人材の確保が特に求められる」という法文の趣旨に反するのみならず、任期を定めない任用を原則としつつ、例外的に任期を定めた任用を許容するという大学教員任期法の立法趣旨にも反することになる。また、①の事由の拡大解釈は、任期制の導入によって教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮するとする衆参両院の付帯決議にも違反する。

 4.来年度以降、公立大学法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第68条1項に規定する公立大学法人をいう)は、その設置する大学の教員についても、労働契約において任期を定めることができることになるが、その場合も、当該大学に係る教員の任期に関する規則を定める必要があるほか(大学教員任期法第5条2項)、前記第4条1項所定の①~③の各事由のいずれかに該当することが必要とされている(大学教員任期法第5条1項)。また、前述したのと同様の理由から、公立大学法人の設置する大学の教員の全員について任期を定めることは、ほとんど不可能であると解される。

 以上のように、プロジェクトR委員会が提案した横浜市立大学の全教員を対象とする任期制の導入は、現行法の解釈論としては認められないものである。もちろん、大学教員任期法第4条所定の3つの事由のいずれかに該当するときは、任期を定めることが可能であるが、これはいうまでもなく、当該3つの事由のいずれかに該当する教員について任期を定めることができるに過ぎず、プロジェクトR委員会の提案した教員全員を対象とする任期制の導入ではない。プロジェクトR委員会の提案は、公立の大学または公立大学法人の設置する大学の教員について任期を定めない任用を原則としつつ、例外的な場合にのみ任期を定めた任用を許容するという現行法上の規制に反するものと考えられる。よって、商学部教授会は、プロジェクトR委員会に対し、教員の任期制の導入に関して、関係する各法令をよく調査したうえで、慎重に検討するよう要望する。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2003年10月02日 18:45 | コメント (0) | トラックバック (0)
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