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2006年10月22日

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2006.10.20
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、10月20日(2)

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会-組合員からの報告・意見―

「公立大学法人横浜市立大学の教員評価制度」に関する教員説明会が、大学当局により9月中旬から10月中旬にかけて各キャンパス、病院、センターでおこなわれ、組合員の方々から報告・意見が寄せられました。

以下に、その一部を掲載いたします。
* * *
(その1)

教員評価制度に関する当局の説明会が各キャンパスで実施されてきましたが、その出席状況は瀬戸キャンパス、福浦キャンパス(医学部)ともに2回合計で100名足らずの低調ぶりだったようです。瀬戸キャンパスの第1回説明会にそくして当局の説明を要約すると次のようなものでした。

<ストロナク学長>

今回の教員評価制度案は完成版ではない。試行を重ねながら進化させてゆく。本学においては研究と教育、学生のニーズ充足のバランスが大切である。各教員が自己の強みと弱点を、第三者の目を通して客観的に知り、研究教育能力向上に役立てることが教員評価制度の目的である。ピア・レビューPeer reviewの実施の見通しは立っていないが、試行実施段階に到達したと判断した。中期計画に記載された時期よりもすでに遅延しているので、すぐに試行を実施したい。

<松山人事課長>

関係人事制度について、現在の検討状況を情報提供という形でお伝えする。

●試行の後、評価制度を本格的に実施する。評価結果を年俸、任期更新など処遇に反映させるが、そのタイミングについては試行結果などを見ながら今後検討する。
●年俸制について、従来任期中は基本給一定と説明してきたが、この点について再検討中である。すなわち、基本給部分は任期途中においても経験年数で変動するよう検討している。
●教員一人ひとりのレベルアップが大学全体の業績に結びつくように、優れた業績を上げた教員については積極的な評価を与え、モチベーション向上に役立てる。
●助手の任期は3年2期としていたが、5年2期ないし3年3期とするように見直し作業中である。
●学校教育法の改正に対応する作業を進めている。

<神内人事係長>

配布物に記載した内容で試行を今秋実施したい。できるだけ多くの参加者を期待する。評価結果は個々の参加者に通知するが、公開はしない。評価結果に関する不服申し立てについては今後の検討課題である。

<質疑応答における学長、馬来副学長の発言要旨>

試行への全員参加が原則だが、今回については自由参加とし、できるだけ多数の参加を期待することにする。ピア・レビューは今回できないし、来年についても未定である。現時点で評価制度のシミュレーションが十分できているとはいえない。個々の教員の研究に関する評価は別として、教育、診療、地域貢献については大学当局が定める組織目標に基づいて評価できる。評価制度が円滑に機能しているかどうかについては法人評価委員会で検討されることになる。

<感想とコメント>

当局は今回説明した評価制度案は未だファイナル・バージョンではないことを繰り返し強調した。今秋に試行を行い、その結果を踏まえて修正版をつくり、新年度に本格実施する方針を強く示唆した。

教員組合が9月上旬に提出した今回の評価制度案に関する質問事項に何らまともに答えないまま、試行を強行し本格実施に結び付けようとする当局の姿勢は拙速かつ理不尽と評さざるを得ない。

当局は評価結果を賃金や任期更新などの処遇に反映する予定であることを明言した。それにもかかわらず、評価基準など制度の根幹に関わる内容を明示しないのは制度導入における労使間の信義原則に反している。

評価の具体的な基準、評価者研修の内容など制度の前提条件が不明確なままでは、被評価者の教員は評価シートにどのように記入するべきか疑心暗鬼にならざるを得ない。

当局の説明を聞く限り「記入対象となる項目は列挙してあるが、全項目について記入しなくても良い。教員の自主的判断で自由にシートに書き込んでくれれば良い」というように聞こえた。そして記入された内容をどのような基準で評価するかについては何の説明もなかった。被評価者の教員だけでなく、コース長等の第一次評価者もさぞお困りのことと想像される。要するに制度の根幹部分は未だに白紙状態に近いと断ぜざるを得ない。

公正性・公平性・透明性といった制度の正統性に関する原理的な説明は欠如していた。このような形で試行から本格実施へ突き進むとすれば、被評価者である教員の理解や納得が得られるはずがない。したがって制度の円滑な運用などはとても不可能である。

人事課長から年俸や任期に関するいくつかの点で「飴」の要素が検討されていることが「情報提供」された点は注目される。しかしこれは、評価制度の導入によって「鞭」を振るわれる教員の激痛を多少緩和する程度の意味しかもたないであろう。さらに本質的に言えば、上記の「飴」はそもそも教員評価制度の関連事項扱いで「情報提供」するような筋合いのものではないはずである。年俸制の設計がないまま給与を固定している現状は理不尽というしかない。

説明会に参加して明確に理解できたことは、中期目標に掲げた「教員評価制度」を計画通りに「実施した」ことにしたい当局の姿勢だけである。このような当座しのぎのやり方は大学の将来に大きな禍根を残すことになる。このままでは本学教員が安心して研究・教育に取り組むことが非常に困難になることは確実である。

その後、大学ホームページに最近掲載された学長をはじめとする各段階評価者たちの「目標」をみた。同僚に言われてはじめて知った次第で、まだ読んでいない人も多いだろうと思われる。コース長など第1次評価者の中には未記入の人もあり、足並みの乱れを感じさせた。また、各評価者が掲げる「目標」は多くが抽象的で、それをふまえて「目標シート」に何をどのように書くべきか、戸惑いを禁じえなかった。学部長、コース長は教育現場にも関わる人たちでもあるのだから、まず自分たちの「目標シート」を作成して例示するべきであろう。同時に評価者としての評価基準も提示すべきである。各教員に「自由に」記入させて提出させ、その後考えると言うのでは公正で透明な制度とは言えず、被評価者たちの納得を得ることはできないであろう。そもそも平成18年度の「目標」を10月に示し、評価基準も不明確なままで各教員に「年度計画」の立案を命じ、12月に自己評価シートを提出させ、その後で段階的に相対評価を導入して評価結果を出し、各教員に通知するが、不服申し立てへの対応システムは未定などというスケジュール自体が常軌を逸している。教員の心配や懸念を放置したままでは、本格的な制度試行の前提条件が整ったとはいえないことを当局は肝に銘じるべきである。
* * *
(その2)
10月2日(月)の教員評価説明会に出ました。教員の参加は少なく、閑散としていました。説明のあと何人かの教員が質問したり発言しました。ある教員が平成19年度の評価結果を20年度の処遇に反映させることがあるかと質問しました。馬来副学長がそのようなことはないとくり返し言明していました。(処遇に反映させる場合、どのように行うかは重大問題なので、民間企業でもかなり時間が必要で、あたりまえのことですが)。人事担当の言うことはあてになりませんが、馬来副学長の発言なので、あてにしたいところです。
* * *
組合員の方々から寄せられたこれらの意見が示すように、当局が提示してきた教員評価制度は評価の対象となる内容、導入方法に、決して無視できない、大きな問題を含むものです。組合執行部では引き続き、この評価制度の導入に慎重に対処していきたいと考えています。


投稿者 jinkenyogo : 2006年10月22日 21:57

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