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2006年02月
掲載事項(記事)一覧


2006年02月15日

横浜市立大学労基法第14条に基づく全員任期制、国会の付帯決議にも違反するのではないか

衆議院厚生労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成15年6月4日)
参議院厚生労働委員会「労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成15年6月26日)

 2003年7月4日公布の改正労基法(2004年1月1日施行)は,解雇規定の新設および裁量労働制の規制緩和とともに有期労働契約の期間の上限に関する定めを変更した。その内容は有期契約の期間の上限を原則1年から3年に引き延ばし,特例の3年を5年に延長・緩和するものであった。
 
 労基法第14条は,これまで,その本来の立法趣旨と異なり,解雇権濫用の法理に対する回避策として利用されてきた。すなわち,期間の定めのない正規雇用者の場合,判例上「正当な理由」(整理解雇の4要件など)のない解雇は明確に違法とされており,この規制を免れるために,使用者は恒常的に必要とされる業務についても「期間満了」という形態で解雇が可能な有期労働契約を締結しようとしてきた(ただし,有期契約を何回も反復更新するなど,期間の定めのない雇用と変わらない労働実態が認められる場合,有期労働契約と言えども雇止めに対して解雇権濫用の法理が適用される。そこで,この問題をクリアすることが,上記労基法第14条改正の真の狙いでもあった。)したがって,労働契約期間の上限規制の緩和は,新たな不安定雇用者の拡大をもたらすものである。

 この点に関わり,労基法改正審議過程において,労働政策審議会労働条件分科会では,「有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い,企業において,期間の定めのない労働者の雇用に代えて有期契約労働者を雇用するケースが増大するのではないかとの強い懸念があり,常用代替が進まぬよう一定の期間を超えて雇用した場合の常用化や期間の定めのない労働者のとの機会均等を要件にすべきだ」との意見が労働者側委員から強く出された。他方,使用者側委員からは,「企業においては,基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており,今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約にすることは考えにくい」との反論意見が出された(下記を参照のこと)。

労働政策審議会労働条件部会「今後の労働条件に係る制度の在り方に関する議論の整理について」 (平成14年7月23日)

……

(2) 労働契約の期間

ア 雇用形態の多様化が進む中で、有期労働契約が労使双方にとって良好な雇用形態として活用されるようにしていくためには、有期労働契約の更新、雇止め等に係る実態等にかんがみ、良好な雇用の選択肢、雇用機会となるようにするための措置を講じていく必要があるとの共通の認識の下に、次のような議論が行われた。
 使用者側委員からは、①労働基準法制定当初にみられた人身拘束等の弊害がなくなってきていることから、民法の原則に立ち返り、労働契約期間の上限を五年とすることで選択肢を広げるべきであり、このことは労働者にとっても一定期間の雇用が保障されることから意義を有する、②企業の意識としても、今後とも期間の定めのない労働者が企業の基幹従業員であることに変わりはなく、従って労働契約期間の上限を五年にしたとしても、危倶されているような大幅な常用代替は起こらないのではないか、③有期労働契約の締結、更新等に係るルールについては、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成一二年一二月二八日 基発第七七九号)による運用で十分に対応可能であり、法制化の必要はないとの意見が出された。

 これに対し、労働者側委員からは、①労働基準法第一四条において労働契約期間が一年と定められている中で、労働契約期間の上限を延長すべきという労使双方のニーズが少ないこと、採用後意欲があれば継続して働き続けることのできる社会こそが目指すべき社会であること等から、労働契約期間の上限を延長する必要はない、②EU指令にみられるように、労働契約の基本は期間の定めのない契約であって、有期労働契約ば「臨時的・一時的」な業務に限定し、また、有期労働契約の反復更新にも制限を加えるべきである、③「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」(平成一二年一二月二八日 基発第七七九号)の内容は十分なものとはいえず、また、実効性に欠けるため法制化を求める、④有期労働契約が良好な雇用機会となるためには、有期労働者と無期労働者の「均等待遇」が不可欠であり、今のような雇用形態による待遇格差が維持されたままでは、今後、安価な労働力である有期契約労働その他の労働形態が拡大し、いわゆる正社員との代替が起こる可能性がある、⑤労働契約期間の上限を延長すれば、事業自体が継続する場合には、常用労働者の有期契約労働者への代替のみが行われることとなり不安定雇用の拡大につながるものであることから認められず、むしろ雇用の安定の確保の観点から、有期労働契約の雇止め等に係る点的ルールを構築する必要があるとの意見が出された。……

労働政策審議会労働条件部会「今後の労働条件に係る制度の在り方について」(建議) (平成14年12月26日)全会一致

今後の労働条件に係る制度の在り方について(建議)

Ⅰ 労働契約に係る制度の在り方

 2 労働契約の期間
 (1)有期労働契約の期間の上限について

……
 有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い、合理的理由なく、企業において期間の定めのない労働者について有期労働契約に変更することのないようにすることが望まれる。
 本項目については、労働者側委員から、有期労働契約の期間の上限を延長することに伴い、企業において、期間の定めのない労働者の雇用に代えて有期契約労働者の雇用にするケースや、新規学卒者の採用に当たって三年の有期労働契約とすることにより事実上の若年定年制となるケースが増大するのではないか、との強い懸念があり、常用代替が進まぬよう、一定の期間を超えて雇用された場合の常用化や期間の定めのない労働者との均等待遇等を要件とすべきであるとの意見があった。一方、使用者側委員から、企業においては、基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており、今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約とすることは考えにくいとの意見があった。。……

 この懸念については,国会においても同様に問題にされ,最終的に改正法案を通過させるにあたって,衆参両厚生労働委員会は以下のような付帯決議をつけた。すなわち「労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと」である。こうして,改正労基法第14条は,適用にあたっては常用雇用の有期雇用への代替,有期雇用の無限定な拡大が戒められている。

 因みに,労基法の改正は,第14条第3項として以下の文言が新たに加えられることになった。

2  厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

3  行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 横浜市立大学の労基法第14条による任期制は,期間の定めのない雇用者たる教員を全員3~5年の有期雇用に置き換えようとするものであり,まさに下記の付帯決議の趣旨に違反する(基幹労働者の丸ごと代替有期雇用化などあり得ないと発言した労働政策審議会使用者側委員の想定をも超えたといえよう)。また,期間の定めのない労働契約を有期労働契約の変更するためには,労働者の合意が必要にもかかわらず,昇任手続きと引き替えに無理矢理に不利益変更への合意を強要することも違法であろう。理性と良識の府たる大学において,かの厚生労働大臣でさえ,契約期間上限の延長のデメリットとして認識し防止しなければならないと公式国会答弁した有期雇用への置き換えについて,横浜市立大学はこれを意図的に強引かつドラスチックに進めようとしているのである。
 このように雇用面での安定秩序を破壊し,大学教員への権利侵害・反労働者的行為を平気で行う大学において,西の横綱を立命館大学とするならば,横浜市立大学はまさに東の横綱として堂々「昇格」した。

労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

平成15年6月4日
衆議院厚生労働委員会

一 労働契約の終了が雇用者の生活に著しい影響を与えること等を踏まえ,政府は,本法の施行に当たり,次の事項について適切な措置及び特段の配慮を行うべきである。

1 (略)
2 労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。

3 以下、略。

労働基準法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

平成15年6月26日
参議院厚生労働委員会

一 政府は,次の事項において適切な措置を講ずるべきである。

1 (略)
2 労働契約期間の上限の延長に当たっては,常用雇用の代替化を加速させないように配慮するとともに,有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。

3 以下、略。

衆議院厚生労働委員会 第18号 平成15年5月28日(水曜日)

……

○坂口国務大臣 おはようございます。
 有期労働契約期間の上限延長に伴うデメリットについてお話がございましたが、現在いろいろ懸念をされておりますことは、一つは、期間の定めのない労働者にかえて有期契約労働者を雇用したり、有期労働契約が事実上の若年定年として利用される可能性があるのではないかというのが一つ。それからもう一つは、一年を超えるようなより長期の有期労働契約を締結した場合には、契約期間の途中でさまざまな事情の変化が起こる可能性が高いにもかかわらず、そのような場合にも中途解約ができずに、不当に労働者が拘束されるおそれがあるのではないか。この二つのことが懸念として示されているというふうに思っております。
 過去のいろいろの裁判例等を見ましても、この辺につきましてはさまざまな角度からの最高裁あるいは高等裁判所等からの判決も出ておるところでございまして、かなりこの辺も整理をされてきているというふうに思っている次第でございます。
○水島委員 判例においてはかなり整理されてきているという御認識であるわけですが、今大臣が懸念される点として挙げられた点については、まさに私も同感でございます。本日、ぜひこの質疑の中で、その点について、大臣がその懸念をどのような形できちんと措置されているかということを明らかにしていっていただきたいと思っております。
 そもそも、大臣はこの有期雇用というものに関しては望ましい雇用形態と考えていらっしゃるでしょうか、それとも、あくまでも例外的な雇用形態というふうに考えておられるでしょうか。
○坂口国務大臣 どのような雇用形態によって労働契約を締結するかということは、これは労使双方が労働条件などのさまざまな要件を考えて選択をし、締結をするものでありますから、雇用形態がどれがいいということを一概に言うことはなかなか難しいというふうに思います。
 しかし、最近の状況を見ますと、みずからの専門的能力を生かして働きたいという労働者の意識の高まりというのも、今までに比較をいたしますと大きくなってきているというふうに思います。また、労働者の転職希望率というのも、これもまた高まっておりまして、終身雇用や年功賃金に関する意識変化というものがあることも御承知のとおりでございます。
 このような状況の中で、転職を繰り返す中でキャリアアップを図りたい、そういう方もございますし、あるいはまた、自分の専門的知識を生かして働きたい労働者にとって、有期労働契約がメリットの人もおみえになる。
 ただし、そうはいいますものの、そういう労働者ばかりではありませんから、有期労働ということによってマイナスになる可能性の方も私は率直に言ってあるというふうに思いますから、そういう皆さん方に対してマイナス面をより少なくしていくという努力が必要ではないかというふうに思っております。
○水島委員 確認をいたしますけれども、つまり、有期雇用という形で働きたいということを進んで希望する方には、当然、有期雇用という制度があるべきであるけれども、有期雇用という形を望まない人にとっては、やはりこの有期雇用が実質的に働き続ける唯一の手段となることはできるだけ防いでいかなければいけないというような御認識ということでよろしいでしょうか。
○坂口国務大臣 常用雇用というのが決してなくなるわけではございません、これからも続くものというふうに思っておりますし、経済の動向によりましては、企業の側も常用雇用というものをもっと重視する可能性もございます。したがいまして、常用雇用を希望される方はやはりその道をできるだけ選ばれる、そういう選択が十分にできるような体制というのをつくっていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。……


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都立大・短大教職員組合、「任期制適用に関する意向確認書」の提出強要に抗議する!

東京都立大学・短期大学教職員組合
 ∟●手から手へ、2397号(2006年2月14日)

「意向確認書」の提出強要に抗議する!
「意向確認書」の締切りを簡単に延期できるならば、
当局は組合との協議、教員への説明に十分な時間をとるべきであった。
「意向確認書」不提出者は、任期制不同意とみなせばよいはず。

2006年2月14日  東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

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 昨日2月13日付けのメールで「教員各位」に対して、総務部総務課長、人事担当課長名による「『任期制適用に関する意向確認書』をご提出下さい」という文書が送られています。
 この文書は、任期制を選択できるのは原則として今回限りであり、新規採用者・昇任者を除き今回任期制を選択しても、次年度に「任期なし」に戻ることができることを強調し、「旧制度」選択者に「任期制適用に関する意向確認書」の提出を促すものになっています。
 この文書には大きくいって二つの問題があります。
 第1に、当局は「意向確認書」配布に際して、提出のない場合は任期なしを選択したものと扱う(「任期制適用について」)としていたのにもかかわらず、この文書にはそうした文言がみあたらず、「旧制度の皆さんについては、『任期制適用に関する意向確認書』を提出していただくことになっております」と、あたかも提出が当然であるかのような書き方になっている点です。教員は2003年10月の「同意書」、2004年2月の「意思確認書」によって大学管理本部から「踏絵」を踏ませるような強圧的な態度による文書提出を求められました。これに対して多くの教員が反発し、現在まで引きずる東京都に対する不信感の根源となっています。「意向確認書」の説明では先に述べたような但し書きがあり、提出しない自由が担保されていたはずです。今回、そうした但し書きをはずして、一律に提出を求める理由が不明です。
 そもそも、「意向確認書」提出は、大学教員任期法における本人同意を確認する行為だと組合は理解しています。法律の趣旨からすれば任期に同意する人がその意思表示のために提出すればよいはずです。逆に、任期に同意しない人が文書によって積極的意思表示をする責任は法律上ありません。今回、「旧制度」教員全員に提出を求める手続を行っているのは、法人当局が「全員任期制」という方針をとっているためだと思われます。つまり任期制を選択させることを前提として、当然任期制を選択するであろうという期待を込めながら教員の同意を求める行為を行っているのです。だから同意しない教員にも、あえて不同意という積極的な意思表示を求めているのでしょう。
 しかし、組合は労使交渉のなかで「全員任期制」という方針は一切認めませんでした。また教員の多くもそれを認めていません。だとすれば、「全員任期制」を前提に当局が行おうとしている手続自体を、積極的に拒否するという行為も正当だと考えます。
 第2に、2月10日締切りというのは、当局の事務作業上のデッドラインだという事情で設定されていたはずです。デッドラインであるからこそ、提出しない場合は同意しないものと扱うという但し書きをつけたのではないでしょうか。それを、当局が期待したほど「意向確認書」が集まらなかったというだけの理由で、いとも簡単に締切りを1週間のばすというは驚きです。もしそれが可能なのであれば、教員に対する説明会などをさらに行って、制度内容や、今回誤解の多かったとされる点、あるいは昨年「新制度」を選択した教員が任期の定めのない雇用へ復帰できるということなども、くりかえし丁寧に説明する時間をとるべきであったはずです。2月10日が期限ということで決断を迫られて選択をした教員に対してどのように説明するのでしょうか。また組合は、限られた協議の時間のなかでぎりぎりの決断をしたのです。1月末から2月はじめにかけて、組合が実施した説明会には110名もの教員が参加し、「全員任期制」という当局の方針には、多くの疑問が寄せられました。まさにこの事態こそが、期限を過ぎても未提出者が多いことの原因であると法人当局は認識すべきです。もしはじめから1週間余裕があることがわかっていれば、制度の詳細なつめ、あるいは昇任問題の要求に関して、あの時点で苦渋の決断をする必要はなかったでしょう。これは労使の信頼関係の維持に努力してきた組合に対する重大な裏切りだと考えます。

 この問題は、労使の信頼関係を大きく傷つけるものであり、組合は当局に対して厳重に抗議します。また、現「旧制度」教員で任期に不同意の者に、今回の「確認書」の提出義務がないことをここにあらためて確認し、不当な圧力を加えないことを強く求めます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月15日 02:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月14日

横浜市立大学、昇任規程の問題点

『カメリア通信』第37号
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月13日)

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第37号
2006年2月12日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No. 37, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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昇任規程の問題点

横浜市立大学研究院
教授  一楽重雄

 12月20日に施行されたという「公立大学法人横浜市立大学昇任規程」が、2月に入って明らかになった。明らかになったと言うより、この規程とその内規によって実際に昇任のプロセスが始まっている。教員全体に周知することもせず、管理職が該当すると思われる教員ひとりひとりを呼び出し、「推薦するから書類を書くように、締切りは来週の月曜日」と言っているような状態である。しかも、管理職によって内規を示す場合示さない場合とそのやり方にも差がある。

 想像するに当局の言い分は、「昇任は、もう一年近く待たせているのだから4月にはぜひとも発令したい」ということであろう。しかし、一年も遅らせたのは誰なのか。当該教員には、何の責めもない。しかも、12月20日施行と言うのに、なぜ、一月以上も経った2月になるまで明らかにされなかったのか。一月も空白期間をおきながら、2,3日で書類を調えろということは、あまりにご都合主義ではないだろうか。

 この規程は、教授資格、準教授資格を定めたものであり、大学にとって大変重要なものである。したがって、学校教育法によって教授会で審議すべきものであることは、明白であろう。改革と言いさえすれば、法律を無視してもよいというわけはない。大学の自治は、憲法で定めている学問の自由を保障するものとして重要な法律的概念であり、現在も守らなければならないことには誰も議論の余地がない。問題であったのは、大学の自治という美名のもとに、教授たちは己の利益を守るためにのみ腐心し、大学の問題点を放置し、改革を怠ってきたのではないか、ということであった。仮に、この指摘が当たっていたとしても、大学の自治を守らなくてよいということにはならない。

 だからこそ、松浦副理事長も、法人化するに当たっての教員への説明会で「今後は大学の自治を尊重する」と明言したのであった。この言葉に期待をしていた多くの教員は、今回の昇任規程を見て、裏切られた思いでいっぱいであろう。

 せめて、規程の中味が納得のいくものであれば、「結果よし」としよう、ということもあるかも知れない。が、今回の規程は中味も大問題である。 第一に、昇任人事発令のために「新しい契約」を必要とすることを明記したこと。これは、任期制への同意を強制していることである。もちろん、これも法律違反の可能性が高い。本人の同意なしに期限なしから期限つきの労働契約に変更することはできない。

 市会での委員会質疑において「任期つきの教員は、任期なしの教員とは、待遇に差をつけるべきではないか」とか「学生が任期のある教員とそうでない教員を分かるようにしたら」というような意見があった。これらに対して、当局は、ほとんど積極的な回答を与えることが出来なかった。それは、「全員任期制」という制度設計自身が間違っていたからである。まず、「全員任期制」が法律に違反している可能性が高い。少なくとも法律の趣旨に反していることは、労働基準法が改正されたときの付帯決議で明らかである。いわゆる大学教員の任期法によって任期のあるポストを大学の一部に作るのであれば、任期のある教員をいかように優遇することも出来た。しかし、全員任期制では、制度として一つであって、制度上は任期なしの教員は存在しない。たまたま、任期つきに切り替えることに同意しない教員がいるだけである。また、同意しないことは、法律上の権利であるから同意しないからと言って差別をすることも出来ない。結局、任期のある教員を優遇することは出来ない。

 現実には、この制度はよい教員を追い出す作用しか持たない。教員の流出は相変わらず、止むところを知らない。テレビで中田市長自らが取材したA教授はこの4月から転出する。

 規程の問題は、任期制にとどまらない。管理職の推薦がない限り審査の対象ともならないことも大問題である。この問題点は、教員説明会において指摘したのだが改善されていない。しかも、管理職が選挙で選ばれたわけではないから「あんな管理職に推薦されたくない」という人が出ることも十分考えられる。専門分野が異なれば、仕事の評価はおろか内容の理解さえできないのが、学者の世界である。自分の仕事が分かるはずもない人に推薦してもらうのもおかしなことである。

 昇任の資格として「ふさわしい研究業績」に並んで「本学に対して多大な貢献をした者」という一項が入っている。これは、大学の自殺行為である。本学に対して多大な貢献をした人に対しては、その貢献の種類に応じたしかるべき待遇をするべきであって、「ふさわしい研究業績がない」人を教授や準教授にすることは、学生や社会を欺くことにほかならない。今でさえ「学務教授」という教授でない「教授」を作ってしまった。今後は、教授でない「教授」が出現する。

 学長・理事長は、新大学を本当によいものとする気持ちを持っているのであれば、今回の昇任規程をいさぎよく撤廃し、真によい大学を作るために新しい規程を早急に教授会の審議を経て決定すべきである。

 今年も入試志願者は、3371名にとどまり、平成16年度の4654人にはとうてい及ばない。市民にとって価値がある大学に改革されたならば、当然志願者も大幅増のはずである。大学改革の図面をひいた人は責任を取るべきである。仮に「大学改革はうまく言っている、このままでよい」ということであるとするなら、改革の図面を引いた本人が、表に出てリーダーシップを発揮すべきである。批判を恐れ、隠れたところで欠陥図面を出し続けるならば、これは構造計算偽造と同種の犯罪行為である。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月14日 00:19 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月13日

横浜市立大学の労基法第14条に基づく全教員任期制の強要、日本の全大学人への挑戦ではないか

 横浜市立大学は,任期制導入問題について,教員組合との団体交渉の際,「任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない」とする態度を示し,個々の昇任をたてにとって力ずくで任期制の導入を強要しようとしている。

 横浜市立大学の任期制は,通常の任期制と次の点で特異な性格をもつ。一つは,全教員に適用させるものであり,いまひとつはその法的根拠を「大学の教員等の任期に関する法律」ではなく,労基法第14条に置いている点にある。この2つをセットにした任期制は,全国広しと言えども横浜市立大学をおいて他に例がないのではないか。そもそも労基法第14条は,有期の労働契約が特定使用者への長期間の緊縛をもたらすことがないよう,契約期間の上限を定めるものであって,あくまで職業選択の自由を保障する労働者への保護が立法趣旨である。この規定を逆手に利用して期間の定めのない常用雇用者を有期契約雇用者に,しかも在職教員を全員それに適用させる行為は暴挙というほかない(一般の民間営利企業でさえ,こうした乱暴な雇用条件の不利益変更は聞いたことがない。つまり課長や部長に昇進したければ皆有期雇用の契約にサインしろというのと同じ。)本来の任期制の趣旨とは遠く離れて,実質は全教員の不安定雇用化=「有期雇用化」である。

 厚生労働省は,「有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準」告示において,有期労働契約を締結するに際して,「労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」としているが,横浜市立大学の任期制は,この判断基準さえ具体的に示していないようだ。したがって,同大学のそれは大幅な規制緩和(改悪)を狙った2004年改正労基法にも悖る。

 日経新聞(2月2日付)において,宝田良一理事長は,下記のように,「それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」とのコメントを出している(教員の「指導計画」とは何かよく分からないが,とにかく実施することに重きを置いている)。他方,教員組合は,「現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大学だけの闘いではありません。われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大させる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります」と述べている。まさに組合の主張通りだと思う。いま,全国の大学をみても,すさまじい勢いで,教員の雇用不安定化が進んでいる。大学教員の人材派遣さえ登場している中にあって,まさに市大の闘いは,日本の全大学関係者の闘いでもある。

日経新聞神奈川版(2006/02/02)

 横浜市立大学で四月に始まる教員の人事評価制度の準備が進んでいる。研究成果、授業の教え方。専門分野によって評価軸は異なる。医学部では大学病院の患者への対応までも考慮しなくてはいけない。昨年四月の独立法人化とともに年俸制と任期制がスタートした。評価制度は教員向け改革の総仕上げでもある。
 定年制の公務員から三年ないし五年の任期制度への変更には本人の同意が必要となる。「評価された結果、どうなるのかが見えないのに任期を限られても」。任期制導入からまもなく一年。全教員の三割は同意を保留したままだ。
 「一律に評価することは確かに難しい。それでも実施してみないことには教員の指導計画もつくれない」。宝田良一理事長は重要性を説く。評価項目など制度の概要が固まった後、任期制の同意が増えるかどうかは見えない。……

大学改革日誌(永岑三千輝氏)-最新日誌

2月10日 教員組合が騒いでいる「任期制同意」なるものは、たんなる大学改革への同意を求めたものに過ぎない、という「甘い言葉」[1]をささやく人がいる。昨年3月の任期制同意に関する文書は、そのようなものだという[2]。

本当か?

しかし、そんな抽象的なことに同意をもとめられたのならば、どうしてそのような同意書に多くの教員(文科系の教員を中心に国際総合科学研究科・国際総合科学部の教員)が署名するのを拒否し、教員組合に預けたのであろうか? そんなにも多くの教員は愚かなのか?

記憶は薄れる。もしかしたら、私の記憶違いで、「改革に賛成してくださればいい」というようなあいまいな内容だったのかと、文書をひっくり返してみた。

タイトルからしてまぎれなく、「任期の定めのある雇用契約への同意について」とはっきり規定している。たしか就業規則で任期は3年とか5年などとなっている。同意を求める内容もかなり具体的な事項に踏み込んでいる。勤務時間のあり方も具体的に言及している。これらの部分が、同意書に署名した人々を拘束することは確実だろう(一体どこまでに同意したことになるのか、不安になるのは当然ではないか[3])。その意味で、やはり多くの教員が危惧を抱く内容・文面である。「改革に同意すればいいのです」というような抽象的で、誰も否定できないような「甘い文面」では決してない、と私は考える。誤解なら、明確な文書で責任を持って、誤解を解いてもらいたい。

教育研究業績の評価システムが、大学らしいものとして整備されていない段階(それは、現在の審議システム・学則では経営審議会・理事長副理事長などの経営責任者に責任があると思われるが)で、昇格審査者に対して研究業績教育業績等の審査に合格した後も任期制に同意しないうちは昇任させない、という団体交渉での回答とあわさって、大変な怒り・不信感を増幅させているのである。

巷には、当局回答が「組合側の誤解だ」などという説も出てきたが(どうしてそのように当局の考えを知っているのだろう?)、それならば、当局は、明文を持って、きちんと不安を取り除き教員のプライドを傷つけないような回答文書に仕上げ、組合に提示すればいいであろう。

昨日は、代議員会があったという。そのひとつの論点に、「昇任審査基準を公開しないのはなぜか」という問題があったということである。1月30日に人事委員会(誰が委員会メンバー?学長が委員長であることは確実だが)で制定されたというルールなのだから、公開すべきである。

誰が該当者か、基準がはっきりしなければ応募しようがないではないか。コース長が恣意的に基準の内容を伝え、本来の該当者を排除してしまう可能性だってある。人事における公明性・公開性はどうなったのか?

法人サイドに都合のいい(法人に従順な人だけを昇任させる・法人の言うままの大学・・・法人責任者は誰が任命しているか?・・・大学の自治は?)人事制度だという疑いをもたれても仕方がないのではないか?

他方では、かなり問題の条項もあるかに噂されている。それを隠すためか?

一方で審査基準が厳しくなったという噂を耳にする。他方で、研究教育業績などなくても、当局の言うままに行動すれば褒章が与えられる規準となっているとも耳にする。

現物を見ないので、疑心暗鬼! 「過去5年間に論文一本も書いていなくてもいいんだって・・・」などと[4]。

いらざる噂の徘徊を防ぐ道は、早急な基準公開であろう。

かつては教授会で公然と昇任基準を議論していた。誰でもが基準を知り、その基準をクリアすべく、努力していた。

現在は、学長等の管理職(全員法人任命のはず)で構成する人事委員会が決定権を持ち、しかも、それをわれわれ一般教員には分からないようにしたままで、ことを進めている。

いつになったら基準は公開されるのか?

人事委員会が責任を持って決めたものならば、普通の教員にわかるように、なぜ公開しないのか?

ごく少数のちょくせつの該当者だけがわかっていいものではない。なぜか?

いまだ候補資格はなくても、何年かけて、どのような業績を積めばいいのか、たくさんの若手教員は知りたいだろう。それなくしては努力の仕様がないだろう。規則・基準の公開性は、大学の人心を安定させるためには不可欠である。かつては教授会規則・教授会人事規定などとして誰でも分かる形になっていた。

そして次に問題となるのは、審査を誰がやるかである。

審査員を誰が決めるのか?

それによって、結論は初めからわかってしまう場合さえあろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月13日 23:22 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月10日

横浜市立大教員組合、任期制強要にどう対処するか 顧問弁護士を招いて緊急学習会

横浜市立大学教員組合
大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月9日)

緊急学習会のお知らせ
昇格人事における任期制強要にどう対処するか?

 教員組合「ウィークリー」でもお伝えしましたように、2月1日の団体交渉において当局は、任期制を認める契約に同意しなければ昇格人事は発令しないという強圧的な方針を示しました。これは、合理的な理由なしに一方的に従来の労働条件を不利益変更しようという不当かつ違法な方針と言わざるをえません。教員組合は、法律上の考え方を含め、この問題にどう対処していくべきかを話し合うため、緊急に顧問弁護士をお招きして学習会を開催いたします。組合員の皆様、どうぞご参加ください。

教員組合学習会

テーマ: 昇格人事における任期制強要にどう対処するか
日 時: 2006年2月13日(月) 午後6時より
場 所: シーガルセンター1階(生協)ゲストルーム
講 師: 弁護士・江森民夫さん(東京中央法律事務所)
主催:横浜市立大学教員組合(Tel 045-787-2320)
組合HP:http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm


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2006年02月08日

横浜市立大任期制問題、不当な昇任(発効)延期は当局にしかるべき弁償を求めるべきもの

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月6日)

2月6日 教員組合ウィークリーを頂戴した。以下にコピーしておこう(いうまでもないことながら、何時ものように強調箇所は引用者・私によるもの)。

2月3日付けで緊急に書き留めておいた本日誌の記述がほぼ正確であったこと、当局の回答の不当な内容が正確にわかる。

下記の委員長・組合執行部の見解に全面的に賛成する。

昇格候補の各教員は、正々堂々と審査基準(いまだ公開されていないが)にしたがい、昇任資格審査(研究教育・学内貢献・社会貢献等の業績審査)を受け、その合格をかちとり、その上で、「任期制を承認しない限り昇任させない」などという当局に対し、労働法、労働基準法、学校教育法、その他の関係諸法律・諸権利(国際基準としてのユネスコの宣言なども含めて)をもとに、教員組合とともに対峙することを期待したい。現在の法人当局のやり方は、大学教員任期法制定時の国会付帯決議が「乱用」をいましめたその「いましめ」を破るようなことをやっているのではないか。そこに今回の教員組合委員長文書が示す怒りが湧き上がるのではないか。

不当な昇任(発効)延期は、その間の経済的不利益、精神的不利益・苦痛、社会的不利益も含めて、当局にしかるべき弁償をもとめるべきものである。当局の不当な強制に従順にしたがうのではなく、当面、すくなくとも、任期制の制度設計(大学の研究教育の活性化の説得的合理的説明を伴う合法的な制度)が明確になるまでは、その任期制への同意を避けるべきではないだろうか。

合理的で説得的な制度で、しかも大学教員任期法の精神と諸規定に真の意味で合致する制度であるならば、生き生きと力を発揮できる制度ならば、そしてそのようなものに選ばれたのならば、まさにエリートとして任期制の契約(契約文書をきちんと入念に見る必要があるが・・・京都大学井上教授事件の痛々しい経験を反面教師とし参考にすべきである)をしてもいいのではないか?

それはともあれ、正々堂々と昇任を勝ち取ったあかつきには、昇任業績審査合格時点からその時点(昇任発効時点)までの不利益は、損害賠償等としてしかるべき弁償をさせるようにするべきであろうと考える。それは無理なことか?私はそれこそ正当なことだと考えるが。イェーリングが『権利のための闘争』で説くように、先人の辛苦と血で作られ守られてきた諸法律は、それを活かす現代人の努力なくしては、無に帰してしまうのではないか。

学生、教員、市民に「プライド」を説く学長(1月30日付記事)は、教員に精神的苦痛を与え、大学の研究教育を担う主体である教員集団のプライドを台無しにするこうした法人当局の態度に対しては、どのような態度をとるのであろうか?


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月08日 00:16 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月07日

横浜市立大教員組合、「昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!」

横浜市立大学教員組合
 ∟●横浜市立大学教員組合週報  組合ウィークリー 2006.2.6

昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!

 さる2月1日(水曜日)午後5時半より、教員組合と当局との団体交渉が行われました。
 その場で当局から次のような重大な回答が行われましたので、われわれの基本的立場を明確にするとともに、今後の対応をどうすべきか検討していただくために緊急に組合員の皆さんにご報告いたします。

 われわれの要求「教員の昇格人事に際し、任期制を受け入れる旨の新規雇用契約を強制しないこと」に対し、当局は、次のように回答しました。

(1) 1月30日の人事委員会で承認基準の内規を決定し、それに基づく昇格候補者の推薦を各学部長にお願いした。審査対象者にする際に任期制の同意を条件とすることはしない。

(2) しかし、任期制は改革の根幹をなすものであり、この原則は譲れない。任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない。任期制を受け入れれば、業績審査は改めてせずにその時点で昇任を発効させる。
 
 この回答は、われわれ教員組合に対する正面からの挑戦です。
 われわれは、任期制や評価制度、年俸制は、「その内容が不明瞭で、きわめて危険な可能性を含んでおり、現状のままでは到底受け容れられない」としてきたからです。
 「任期制への同意を強制しない」と言っておきながら、「昇任させてもらいたければ任期制に同意しろ」と言う「給料と地位」を餌に「任期制の理念への屈服」を求める当局のこの力ずくの方針が、どれほどわれわれ教員の誇りを傷つけるかを当局は知るべきです。
 このような当局の態度は、当局に対する教員の不信感を一層増幅させ、ただでさえ、教員の大量流出、横浜市立大学への帰属意識と士気の低下、大学運営の混乱という現状を一層、ひどいものにする可能性があります。当局はその責任を負わなければなりません。
  
 この回答は、「経営責任者として合理的説明なしに従来の労働条件の不利益な変更を行う」当局の方針の一方的通告にあたり、われわれは、労働組合として到底受け入れることはできません。今後、組合は、当局にその義務である「誠実交渉」を求め続ける方針です。

 教員組合の執行部としては、昇任手続きの進行に遅れることなく、顧問弁護士を交え、独立法人化対策委員会のメンバーの方々などとご相談しながら具体的方針を早急に提示するよう努力して行く所存です。

昇任対象になられた先生方へ

 特に、昇任対象になられた先生方は、近く極めて厳しい選択を迫られることになるものと思われますが、私たちは、組合員個々の対応を特定の方向で縛ることはありません。このような状況の下で、それぞれの組合員の方にとって何がその身分を守り、生活・研究・教育条件を向上させて行くのに最も良いのか、情報や見解を提示し、皆さんからの質問に答えるよう努力したいと思います。そして組合として皆さんの利益を守るために可能な限りのことを行って行きます。ここでは、現在まで明らかになっている次のことを最低限お示ししておきます。

(1) 任期制は、評価制度と結びついており、現在その評価制度の概要さえも提示されておらず、それが、どれほど客観的で、公正に機能するかは全く予断を許さない状態のままであること。(ことに「改革」の強引な推進によって、教員の間で、当局に対する疑心暗鬼が募っている状況の下で、「怨念を残さない意欲を高める評価、教育研究の活性化を図る評価」がどれほど可能か、きわめて疑問です。)

(2) 任期制は、その期間の雇用を保証しているだけであり、たとえ業績が充分であっても、人件費の大幅削減を求められている状況の下では、「雇い止め」の可能性が充分ありうること。(「普通にやっていれば」などと言われて、安心していられる状況ではないのです。)

(3) 万が一、不当な理由で「雇い止め」の通告を受けたとしても、任期制に同意する署名をしてしまうと、それが裁判では不利に作用することが、すでに他の裁判で実証されていること。


 現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大学だけの闘いではありません。
 われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大させる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります。
 われわれは、労働者としての法に保障された権利に基づき、横浜市立大学人事当局の不当な攻撃に屈することなく正々堂々と闘っていきます。

(文責 教員組合委員長 上杉 忍)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月07日 00:54 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2006年02月06日

横浜市立大、准教授から教授への昇格・昇任 任期制同意者に限定か

大学改革日誌(永岑三千輝氏)
 ∟●最新日誌(2月3日)

 昨日の夕方、教員組合定期総会があった。出席者・委任状を含めると組合員の9割くらいが定期総会の議題に関心を持ちまた、総会の結論に賛成したことになる。任期制・年俸制問題、研究教育条件の問題など、難問が山積しており、多くの教員が切実な関心を持ち、組合に期待していることが伺われる。まさにその教員組合の存在意義・力量に直接関わるような回答が、当局側からあったようである。

 正式の内容はいずれ組合ニュースなどで知らされるだろう。しかし私の理解したかぎりでは、「准教授から教授への昇格・昇任者には任期制を承認させる(任期制同意者のみを昇任させる)」との回答だったようである。これは繰り返し教員組合が、「やらないように」と求めてきたことであったことは、ウィークリーなどから明らかだが、その根幹的な要求を拒否した内容のようである。

 私の考えでは、これは、大学教員任期法が規定した限定的な研究教育活性化のための任期制ではなく、昇格者全体に任期制を昇任と引き換えに強制しようとするもので、大学教員に対する任期制の不当な適用であろう。組合執行部は顧問弁護士とも相談しながら、法的措置も含めて本格的に検討を開始するということで、今回の団体交渉における当局側答弁によって、まさに教員組合の存在意義と力量、全大教など全国教員組織の力量とが問われる事態となったように感じられる。

 法律に基づいた大学教員の任期制のきちんとした制度設計がないままに、制度の承認だけを迫る(「承諾しなければ昇任なし」というのは最大の強制である)、内容の分からない不透明な制度に同意しなければ昇任させないというのは、これは不当なことではないか? 重大な不利益措置、不当労働行為ではないか?

 これは一般的な公序良俗にさえも反し、憲法の諸規定に反することではないか?

 昇任者・昇格者という弱い立場の人間(大学教員全体から言えば、当面の事例に即しては少数者マイノリティ)を差別し、各個撃破しようとするものではないか?しかるべき研究教育業績を上げ、しかるべき大学運営に貢献した実績が客観的基準で示されれば昇任する、というのがこれまでの本学、そして全国の大学の教員の昇任のあり方だったからである。この根本を転覆しようとするものであろう。

 それは不利益措置でなくてなんであろうか?

 こんなことが通用するのか?労働基準局はどう反応するのか?

 任期制導入の本来の趣旨、任期制適用の精神である大学の研究教育の活性化とどのように結び付くのか、経営側の説明責任が問われる。

 「上から」任命された学部長の下では、「権限なし」、「審議権なし」などと教授会は開催されないとしても、代議員会は憲法や学校教育法で規定された教授会の権限を行使するために、きちんと議論すべきではないか?

 他方また、昨日の時点では、昇格基準に関しては明文規定(公明・公開の規定)が示されないままに、候補者をコース長が選ぶ、という。いつの時点で基準が公開されるのか、その基準の適用をコース長だけが行うとすればどのような問題が発生するのか、大変な問題になりそうである。

 その他、総会では、数理科学科廃止に伴い数理科学科の教員の配属問題が宙ぶらりん状態になっているようである。形式上は、4名が基盤科学コース、4名が環境生命コースに割り当てられているようだが、それは本人たちの同意・合意なしのようである。そうした事態が発生したこととの関連で、改革の目玉とされた研究院・学府構想の崩壊(文部科学省で拒否されたこと)がある。研究院は一応教員全員が所属するものとして、位置づけられているが、その実権・実務処理分野がほとんど皆無なので、名ばかりの研究院所属、となっている。その活性化・機能強化も、改革理念を大切にするなら検討すべき(学則改正など)だが、それは問題提起に留まるか、端緒についたばかりというところだろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2006年02月06日 00:42 | コメント (0) | トラックバック (0)
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