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2005年05月
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2005年05月25日

宮崎大学、任期制打ち出す

埼玉大学ウオッチより転載

宮崎大学、任期制打ち出す

宮崎大学が全教員を射程に入れた任期制導入の方針を打ち出し、大学業界の話題になっている(こちら)。住吉昭信同大学長は春の新学期にあたって「法人化後一年を経過して」と題したメッセージを同大学ホームページに掲載し、その中で「教員の流動性を高め、教育研究の活性化を図り、宮崎大学に求められる教育研究組織を維持・発展させる為に……今後採用するすべての教員に任期制を適用したいと思っています。現在勤務している人にも、任期制に賛同して頂き、任期制を受諾した人には、何らかの優遇措置を講じる必要があると思っております」と任期制の導入の方針を表明した。

住吉氏は以前、宮崎大学長就任挨拶の中で「ある教授が去って大学が大打撃を受けた例を知らない。しかしある教授が居ることで大学が大打撃を受けた例は枚挙に暇がない」と書いたことがある(こちら)。また同氏は同じ挨拶で、江田島海軍兵学校の五省「一つ、至誠に悖(もと)るなかりしか。一つ、言行に恥(は)づるなかりしか 。一つ、気力に缺(か)くるなかりしか 。一つ、努力に憾(うら)みなかりしか。一つ、不精に亘(わた)るなかりしか 」が座右の銘であると公言した九州の大学業界の荒武者的経営者。

これは横浜市立大学に続く、大学の教員全員を任期付きの“契約社員化”する動きだ。大学の人件費を節減しようという合理化計画である。それを労働問題にしにくくするために、おまじないとして「任期制による教育研究の活性化」という呪文を唱えている。背景には、米国の大学では任期制が採用されている、あちらの大学が優れているのはそのためだ、という俗信がある。

アメリカの大学で長らく働いた上智大学の福井直樹氏は、横浜市立大学の集会で、「任期制はアメリカの大学システムの主流ではない」と語っている(こちら)。これはそのとおりで、文部科学省の資料によると、米国の4年制大学では教授の96.2%、准教授の83.6%がテニュアを取得しており、米国では定年制は連邦法で禁止されているので、文字通りの終身在職権を持っている。助教授・専任講師職ではテニュアをもっている人はわずかだが、通常7年ほどかけて一定の業績をあげるとテニュアを取得できる。米国では大学教員の62.3%がテニュアを持っている。イギリスでも国立大学の全教員の約6割がテニュアを持っている。フランスでは国立大学の教員は国家公務員であり定年まで身分が保障されている。ドイツでは州立大学の教員(教授、助教授、講師)は州の公務員として、定年まで身分が保障されている。(こちら

上記の話は文部科学省のお役人、国立大学法人内の高級官僚などみんな熟知のことだ。しかし、彼らはこのことをおくびにも出さず、独仏英米と比較して低い高等教育への財政負担をいっそう削減するために、大学教員非テニュア化を推し進めようとしている。日本の国立大学教員は1年ほど前から非公務員化された。そのことで、教員が公務員であるフランスやドイツの大学を上回るような大学活性化が望めそうな兆しがこの1年間にあったか? 

教員を期限雇用にすれば大学は活性化するのか? 大学教員の平均的人生行路は、①ポスト・ドクトラルの修行を終え、どこでもいいから、とにかく大学と名のつくところに職を得て、とりあえず落ち着く②その後、必死の覚悟で30代を研究に費やし、より格式の高い国立大学(よくある例は出身校の東京大学)への転出をねらう③さいわい格式の高い大学へ移ることができたら、こんどは仲間内での政治的影響力をやしなう④その影響力を利用して老後の保障先として格下の大学に移る(最近の東京大学はこれがなかなかできないので、流動化の逆である定年延長を試みている)。つまり、中年層以降はいざしらず、米国でテニュアの教授職を目指している世代と同じ世代の日本の若手教員も、栄光と安楽な老後を夢見て日々精進していることに変わりはないのだ。

宮崎大学がもし全教員任期制をしくことになれば、たしかに人事は流動化するだろう。しかし日本の大学の過半数が全教員任期付きにならない限り、流動化の中身は①任期つきの若手は宮崎大学の将来などに何の関心ももたず、業績をあげて、どこでもいいから終身雇用を保障してくれる大学へ移る機会を狙う②ちょっと名の知れたベテラン教員は別の大学から終身雇用をえさに引きぬかれる③どこにも行けない者だけが任期つき教員として残る、ということになろう。「宮崎大学とは、一刻も早く宮崎大学の教員でなくなりたいと願う人々の集う」業界の草刈場と化し、最期に「ある教授たちが居残ることで大打撃を受ける大学の典型」となって死滅するだろう。

労組を強化し万一に備えよう
埼玉大学では2005年度からこれまで「外国人教師」と指定されていた教員が5年任期の教員になった。地方国立大学は大体似たような財政事情なので、埼玉大学でも任期つき教員枠の拡大提案がなされる可能性は否定できない。裁量労働制の次は任期制か? いずれにせよ労組を強化し、抵抗力を強めておかないと、すべてにわたって泣き寝入りという悲惨な事態を招きかねない。

(花崎泰雄 2005.5.23)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月25日 12:37 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2005年05月11日

京都大学任期制再任拒否をめぐる訴訟(井上事件控訴審)、出月康夫氏の「陳述書」

「京大再生研教授再任拒否をめぐる訴訟」ホームページ
 ∟●出月康夫氏陳述書(行コ53:041224) (PDF)

 東京大学名誉教授、日本臨床外科学会会長であり,平成14年京都大学再生医科学研究所(再生研)の教授である井上一知氏の再任審査に関する外部評価委員を務めた出月康夫氏の「陳述書」(2004年12月24日)が公開されました。
 この陳述書には,出月氏ら外部評価委員会が井上教授の再任について会議では全員一致で賛成し可とした審査経過,また「再任審査結果報告書」の作成段階(作成は議長に一任した)において,特に第2次ドラフト,第3次ドラフト過程において,京大再生研の山岡前所長の意見が入ってきたこと,さらに後日,山岡所長が「井上教授に再任申請を自主的に取下げるよう説得してほしい」と出月氏に依頼してきた事実経過などが語られています。
 最後に出月氏は,「所感」として,今回の再任拒否は「外部評価委員会での評価が全く無視されたもの」であり,「再生研協議員会は、外部評価を覆す結論を出しながら、その後、私達外部評価委員に対し、その理由に関する説明・報告も一切なく、それこそ外部評価を蔑ろにしている態度」をとった,また今回の事件は「大学教員任期制の導入の際に危惧されていた再任手続の恣意的濫用の問題が顕著に表れた典型例」であり,「再任審査が正しく行われるように設けられたはずの外部評価というシステムが踏みにじられたことは、社会的にも、今後の日本の任期制の将来にとっても、看過できない極めて大きな問題だ」と陳述しています。

 なお,前回リンク紹介した桃福さんのHPには,4月27日大阪高裁での証人尋問において「前所長は出月教授(東大名誉教授)への働きかけを認めました」とあります。実際,前所長は出月氏の「陳述書」の内容を認めたようです。

出月康夫氏の「陳述書」
http://ac-net.org/poll/2/shiryou/041224-chinjutsu.pdf

[今後の裁判の日程]
5月18日(水)(14時30分)大阪高裁第11民事部
6月22日(水)(10時30分)大阪高裁第9民事部

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月11日 10:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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福井県立大学、基本方針と県民パブリックコメントの結果

福井県立大学基本方針(平成17年3月)
福井県立大学改革推進会議委員名簿
県民パブリックコメントの募集の結果から一部抜粋

~県立大学改革基本方針(原案)~に関する
県民パブリックコメントの募集の結果

平成17年3月23日
福井県総務部文書学事課

 県立大学改革基本方針(原案)について県民の皆様から御意見を募集したところ、多くの貴重な御意見をいただきました。
御意見を寄せていただいた皆様に御礼申し上げます。
 いただいた御意見は、県立大学改革基本方針の策定に当たり、参考といたしました。
 なお、公表に当たり、取りまとめの都合上御意見を案件ごとに適宜集約いたしました。

…(略)…

⑩教員評価制度

・大学教員の評価は多様な評価軸を設ける必要があり、最終の評価システムは理事会と教員が合意できるものでなければならない。100%達成できると本人が納得できる最低限の達成目標を評価機構との合意で設定し、その達成度を基礎評価とする。それ以上のプラスαはボーナスとして別体系で評価するシステムが適切である。
・今までのようなぬるま湯的状況は問題外で、研究成果に対する真摯な評価システムが必要である。研究成果を広く県民に知ってもらう努力も必要である。
・評価結果から直接的に人事、給与、研究費に配分することは、しばらく検討したほうがいい。

【県の考え方】
大学の教員組織を活性化し、より多くの教育研究活動の成果を生み出していくためには、多面的な観点からのバランスの取れた評価制度の導入が必要であると考えています。
また、その評価制度が十分に機能するためには、実際の教育研究等の活動に携わる大学の教職員が納得できる制度であることが重要であり、このため、大学自らが具体的な仕組みを検討することとしています。
なお、評価結果を人事、給与や教育研究費への配分に反映することについては、評価実績の蓄積が前提であると考えています。

⑪教員の採用

・資質のある中堅の教職員の充実の方策について検討してほしい。優秀な看板教員を一人でも多く、また、福井県に根を下ろし教育と研究をしてくれる人を増やしてほしい。
・教育・研究・地域貢献等の業績を高めるためなら、任期制ではその成果は出ない。教員の中に成果が上がらない人がいるなら、なぜそうなのか原因を分析してほしい。個人的に学長や学部長が面談してスーパーバイズする方法をとらなければ改善されない。
・任期制の導入は、大学の衰退を招く。任期後に他大学に移る教員は、福井県立大学の発展を考える視点が薄くなる。

【県の考え方】
教員の採用に関する基本方針を策定するとともに、優秀な教員を採用するために研究、教育、地域貢献など幅広い実績を条件として採用する仕組みを具体的に検討していきます。
なお、任期制の適用範囲の拡大については、教員評価制度の構築が前提となりますが、教育研究活動の活性化に資するメリットがある反面、大学への帰属意識の低下などデメリットも考えられるため、慎重に検討していく必要があると考えています。

⑫報酬、給与制度

・年俸制は評価により人権費が変動し、予算・収支計画も立てられない。複数の学部・学科にまたがって公平な評価ができるか問題である。

【県の考え方】
年俸制については、適正な人事評価制度の構築が前提となりますが、対象範囲や反映方法、程度など様々な課題があり、慎重に検討していく必要があると考えています。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2005年05月11日 10:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
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