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2005年01月05日

横浜市立大の全教員任期制、「恐るべき法解釈」 「一般民間企業で全社員を有期契約にしている事例はあるのか」

大学改革日誌(永岑三千輝教授)
 ∟●最新日誌(2005年1月4日)

 「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務条件(教員)」(2004年12月28日付文書)で、一番の問題は、やはり「任期制」「年俸制」を深く検討しないままに、行政当局の圧力で法的整合性に問題があるにもかかわらず、導入しようとしていることであろう。「任期」の項目のもと、「1.有期雇用契約 「大学の教員等の任期に関する法律」の精神に則って、労働基準法に基づき、原則として全教員を対象として期間の定めのある雇用契約を締結する」と。私はこの規程の根本において法律的に問題があるのではないかと感じる。

 「大学の教員等の任期に関する法律」(「全国国公私立大学事件情報HP・大学教員任期制ウェブログにリンク」)はその精神(目的)として、「第一条  この法律は、大学等において多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定めることにより、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的とする」とある。「できる場合その他」を限定して規定しようとするものであり、全教員を任期制にすることを予定したものではない。大学開設の科目等で何が任期制科目としてふさわしいか検討し(教授会・評議会、研究教育評議会など大学の自治の観点からしかるべき機関で)、限定的にその趣旨にしたがって導入しうるというものである。

 文章を素直に読めばわかるように、また国立大学法人や学校教育法に基づくほとんどの私立大学のほとんどの教員のばあいにおいても、また本学のこれまでの条件においても、基本は任期のない基幹的な教員集団(定年までのテニュア付き教員集団)で大学の教育研究を担う。ただそれだけでは、「多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況」を作り出せない問題点があり、「教育研究の活性化」のためには、相互交流を活発化する必要性を認めて、限定的に任期制の教員を導入するとしている。全教員を任期制にするというのは、立法の趣旨、大学の研究教育の恒常的安定性から言って、詭弁であろう。「大学教員任期法」の諸規定が、学校教育法等に依拠した評議会(教授会)での任期制導入の審議を前提にしていることも、重要である。

 本学の「任期制」導入を掲げた「あり方懇」答申の当時、そしてそれを受けた「大学像」策定の当時、「大学教員等の任期に関する法律」しかなく、明らかにそれを前提にした限定的な任期制であるのが筋であった。ところが、その後大学教員に関わらない一般の労働基準法に「任期制」を広く導入することを可能にする改正が行われると、大学教員という特定の職業の枠(「大学教員任期法」の諸規定を見れば大学の自治を尊重した種種の制約条件がある)を無視して「全教員」を対象にできるからと「労働基準法」に基づく任期制を導入しようとしているのである。これは法理にかなったやり方だろうか?

 本学の教員は、大学教員としての固有の使命や仕事の内容をもったものとしてではなく、一般の企業と同じ職業のものとして扱われ、しかも、一般民間企業でも全職員(全社員)を「有期契約」などにしている事例はないにもかかわらず、全教員を「有期契約」に投げ込もうとしているのである。恐るべき法解釈ではないだろうか?

 基幹部分を安定した教職員でしっかりカバーしていない大学(企業)などあるのだろうか?

 これが、研究教育の活性化に貢献するのか?

 教員の仕事の評価を定期的にきちんと行うこと、それを給料等にしかるべき合理性をもって反映することはありうるが、任期を定めて首切りを可能にする(しかもその評価は大学の自治的システムとは別に行政が任命した管理職によって行える)こととは別であろう。 

 目的・精神においてもその適用においても、重大な問題(私の解釈では法律違反)をはらんでいると考える。労働基準監督所でこれが通用するのか?

 本学で導入されようとしている上記条項は、もし何も問題ないのだとすれば,今後の日本の大学、社会にとっても重大な(深刻な)意味を持つものではなかろうか?

 法律とは、いろいろな意味で力(権力)をもったものが、自由に解釈し、自由に適用できるものなのだろうか?法律体系(諸法律の関連)は考えないでいいのか。憲法において「大学の自治」が保障されている意味は、一体何なのか? 本学には法律家はいないのか?

 年頭にあたって、この根本問題を改めて考えさせられる。

 11日には教員組合の集会が予定されている。そこでの意見交換に期待し、しっかり勉強したい。


投稿者 jinkenyogo : 2005年01月05日 01:06

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