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2004年08月
掲載事項(記事)一覧


2004年08月26日

長崎県公立大学法人設立準備委員会、第2回委員会 中期目標と全員対象の5年任期制

長崎県における公立大学法人設立準備委員会
 ∟●長崎県公立大学法人設立準備委員会、第2回委員会(平成16年7月29日)
  ∟●配付資料3(PDF)
  ∟●別添2(PDF)

長崎県における公立大学法人の中期目標(素案)のポイント

(中略)

V 教育及び研究並びに組織及び運営の状況に係る情報の提供に関する目標

・教育研究の活性化と教員の資質向上の観点に立った教員評価の実施、運用体制の整備及び全般的な評価結果の公表。

※教員評価については、平成17年4月から実施。
評価結果の反映は、段階的に行う。
①平成17年度の評価結果から教育研究費の配分に反映
②平成20年度の評価結果から教育研究費の配分に加え、給与、昇任、再任の可否に反映。
(平成17年度~平成19年度に制度の検証)

別添2

長崎県における公立大学法人の教員の任期制について

項目・制度(案)
①導入の目的 多様な知識又は経験を有する教員相互の学問交流が行われる状況を創出し、多様な人材の受け入れを図ることによって教育研究の活性化を促す。
②導入の時期 平成17年4月1日
③対象となる教員 全教員[適用者]・平成17年4月1日以降の新規採用教員・承継教員で任期制への移行に同意する教員
④対象となる教育研究組織 大学に置くすべての教育研究組織(全学部、全学科、全附置機関)
⑤対象となる職位 すべての職位(教授、助教授、講師及び助手)
⑥任期 5年※ただし、特段の事情がある場合を除き、現行制度における定年年齢(教授、助教授及び講師については65歳、助手については60歳)を超えて任期を定めることはできない。
⑦再任の可否・再任回数
・教授再任可(回数制限なし)
・助教授・講師・助手再任可(1回まで)→同一職位に最大10年間
⑧任期途中の昇任 任期途中の昇任も可能※任期途中で昇任した場合、昇任前の職位としての残任期間にかかわらず、昇任後の職位としての任期が新たに始まるものとする。
⑨再任の可否の判断
 <時期>任期最終年度の4~5月頃までに判断
 <基準>勤務実績が著しく不良である場合、又は教員としての適格性を著しく欠く場合を除き再任する。」とし、具体的には別途構築する教員評価制度の評価結果を用いて判断する。※教員評価結果の反映については、平成20年度の評価結果から反映させる。
⑩再任評価結果に対する異議申立 異議申立の制度を構築
⑪給与 当面、現行制度による。
⑫その他 
・任期制適用者には、教育・研究休暇(休職)制度を導入する。
・任期満了による退職の場合、任期制適用者は退職手当受給率において優遇となる。


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2004年08月25日

北九州市立大法人設立準備委員会、全教員任期制を検討 「本当に生まれ変わるかどうかの一番シンボリックなポイント」

北九州市立大学法人設立準備委員会
 ∟●第5回北九州市立大学法人設立準備委員会議事録 会議要旨(2004年7月26日)

1一(2)任期制(案)

(組織運営分科会長から、追加資料「組織運営分科会での議論任期制について」の説明)
○大学が積極的に導入をしようとする限り、任期法の文言については、前向きにどのようにでも解釈できるものと言えないか。任期法制定当初は慎重論もあったが、それから時間も経過し、任期制導入の大学も増えている。北九大の場合、大学のビジョンが固まれば、十分これに該当するものとして導入できると思う。
○教員の雇用形態として選択肢が広がる制度と理解してよいのか。例えば、地域性の面から、北九大で導入した場合、優秀な教員が集まりやすくなれば良いし、逆に他大学へ流出してしまう恐れがあっては困るし、そのあたりをどのように考えるのか。
○教員の流動化は、インセンティブと大きく絡んでくるものと考えている。北九大に、任期制を上回るインセンティブが十分あるかどうかに係ってくるものと思う。
○例えば、任期中に成果を上げることができなかった場合、途中で雇用関係を打ち切ることになるのか。
○任期が5年の場合、再任審査のための評価は、5年後に急に実施する訳ではなく、それまでの過程においても評価制度をうまく活用し、教員をエンカレッジしていきながら全員が良い評価となる
ことを目指して運用されるものと考えている。
○任期制には、教員評価システムとの連動が当然前提にあって、評価が良いのに再任しないことは決してない。現実に、任期到来によって全教員が入れ替わることは考えられないことであるし、また、立派な教員ばかりであれば、全員、再任される。
○任期制を導入する場合、雇用が短期的になることから処遇を良くしていくことは考えているのか。
○その点では、サバティカル制を取り入れることが処遇として魅力的であると思う。
【委員長】今までのような雇用形態を望む人には、サバティカルは適用されない。そういう点も踏まえて、任期制について先生方にしっかりと考えていただきたい。全体の方向性として、前向きな制度として導入しようとの考え方を持っている。サバティカルは、5年に1回の割合で行っていくのか。
○10%の原資があれば、5年に1回・半年間、全教員に行き渡るものと想定しているが、どういった形で実現できるかは、これからの検討課題である。
【委員長】その場合、財政的な配慮をしてもらう必要があると思うがどうだろうか。
○評価など、新たな取組のために、予算も必要になるものと考えられるが、一つ一つの案件について、財政事情を理由に良い悪いを現段階で言うことはできない。ただし、トータルの議論の中で、法人化後の大学の予算を決めていくため、自ずと出来るものと出来ないものもあるとの意見がある。
○北九大の場合、他大学が導入しているからという理由からではなく、法の趣旨を踏まえ、文系を含めた大学の活性化になるという見通しをしっかりと立てた上で導入していけば良いのではないだろうか。また、再任回数に制限を設けることについては、助教授以下の場合、任期の過程で昇任していくことによりクリアされることが想定されるが、教授の場合は昇任がなく、任期と共に期間満了となってしまうので、慎重に議論していく必要はないか。
○テニュアの観点から見ても、教授への任期制導入に問題があるのか。
○テニュア型ということであれば、解決できる問題かもしれない。
○平成17年4月に一斉導入の方向で検討を進めているが、無理かもしれない。
○北九大の大学改革は、先生方の意識改革なくしてできないものである。先生方に一番身近で、かなり前向きに取組める制度が意識の改革に役立つとの思いから、この際、任期制は導入すべきだと思うし、教授の再任回数は別に考えるとして、全教員を対象にしなければ、大学全体に引き締まった機運を醸成できないのではなかろうか。先程の分科会報告の中で、ソフトランディングの意見もあったが、学部毎に吟味をしっかり行いながら、最終的には、全学に導入していくべきであろう。
○「在り方検討委員会」において、平成17年からの導入がガイドラインとして示されているのは、要するに、法人化して、北九大が本当に生まれ変わるかどうかの一番シンボリックなポイントが任期制だからである。他の法人化を目指している公立大学でも、新たな大学としてどうやって個性を発揮するのかのビジョンを持って取組んでいると聞いている。北九大は、アジアに関係した、これからの時代を先取りできる位置にある大学であり、様々な課題があっても、任期制や評価制度を実施し、新しい大学として生まれ変わるべきである。その意味でも、是非、来年度からの任期制導入を検討いただきたい。
○できれば、平成17年4月には、理想型は無理でも、導入すれば、北九大の改革を大きくアピールするニュースにもなると思う。
○世の中は大きく転換しており、大学もその中に存在している。卒業生として、大学が変革を拒むようではその将来はない気がする。任期制は、教授は別というのではなく、全教員平等に導入する制度とする方が良いと思う。時代背景をもう少し先生方も理解いただいて、大学が発展するような姿を求めるべきではないか。
○前向きな面を運用制度に取り込んで行う任期制は、組織の緊張感を生み、活性化に繋がるものと思われる。導入対象は、全教員一律とし、教授については、最初は再任審査を一度受け、例外的なテニュア型制は、その後に導入することでも良いのではないか。
○分科会でも、一度は教授もチェックがあった方が良いとの意見があった。テニュアとして、組織のコアとなっていく人材の育成のためにもその方が良い。また、是非来ていただきたい優れた教授がいれば、そのための特別待遇の制度も考えるなど、多様な制度によって、今後の流動化が良い方向に動いていくことが望ましいとの意見もあった。
【委員長】今まで出された意見を総合して考えれば、任期制を導入することで進めたいがよろしいか。【委員全員】(異議なし)
【委員長】組織運営分科会で、制度の細部についての検討を進めてもらいたい。


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北見工業大、学生による授業評価と表彰制度 全教員任期制にも反映

学生が選ぶ優秀な教員に7人 北見工大が受賞者発表

東京読売新聞(8/24)

 ◆工夫凝らした教員・グループ3件

 北見工大(常本秀幸学長)は二十三日、学生による授業評価で優秀な教員に贈られる「ベストティーチング賞」と、授業形態や教材などの工夫で、教育改善に効果があった教員やグループに贈られる「エクセレントプログラム賞」の受賞者を発表した。
 同大は二〇〇一年度から、優秀な教員に対し、教育優秀者賞を設けていたが、大学法人化に伴い、ベストティーチング賞に名称を変更、エクセレントプログラム賞は新設された。
 ベストティーチング賞は教員約百二十人を対象にし、学生約千七百人にアンケートを実施。教員の熱意や意欲、黒板の見やすさ、声の聞きやすさなど十二項目について、五段階で評価し、計七人が受賞した。結果は、全教員に実施している任期制にも反映させ、評価が一定以下の場合、改善勧告をするという。
 エクセレントプログラム賞は三件。学内構内情報通信網(LAN)を使い、個人パソコンから授業の復習ができる「e―Learning」の構築や、もの作り教育創造支援などが受賞した。

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2004年08月14日

東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団、「勤務条件交渉についての弁護団意見」

「勤務条件交渉についての弁護団意見」(2004年 7月28日)より

勤務条件交渉についての弁護団意見

2004年 7月28日
東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団
弁護士 尾林 芳匡
弁護士 松尾 文彦
弁護士 江森 民夫


 1 「任期制」について
 2 定款および規則の提案
 3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
 4 「昇任基準」と「任期制」との連動
  (1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
  (2)当局自身の資料によって連動は明らか
  (3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
 5 「旧制度」は不利益変更
  (1)不利益変更は明白
  (2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
------------------------------------------
 都立大学・都立短期大学職員組合は、都立4大学の公立大学法人「首都大学東京」への統合・移行について、教職員の雇用と勤務条件を擁護する立場から東京都当局と交渉を開始しており、その中で当局から書面による回答も出されている。今般当弁護団で当局の回答について検討した結果について、次の意見を述べる。

 1 「任期制」について
 組合が、「任期制」は教育研究に責任を持つ組織において十分な検討を行い慎重かつ限定的に導入すべきことを求めているのに対し、要旨次のように回答している。
 ①大学教員任期法および労働基準法が有期契約を可能としている。
 ②「研究員」については、通算8年、「准教授」については10年の範囲で、教授については年数を限らず、通常の勤務成績・業績を上げていれば、再任できる制度とする。
 ③評価については、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していく。
 しかしこれらの回答は誠実さを欠くものである。
(1)組合が指摘しているのは任期制を導入することが大学の研究・教育に責任を持ってこれを発展させる上で合理性が認められないのではないかという点であり、労働者が合意するときに法律上可能であるか否かではない。当局の回答は、大学において任期制を導入することの合理性を、何ら具体的には説明しようとしていないものである。当局は、任期制を導入することでどのように大学の研究・教育の質が向上するのかについて、具体的に説明すべきである。もしこれをしないとするならば、任期制が、研究・教育にとって何ら合理的なものではなく、単に教員の地位を不安定にしその権利を弱めるためのものであると自ら認めるに等しいものである。
 任期制を労働者および労働組合が合意していないのに一方的に導入することが許されないのは当然である。そして、任期制に同意しなければ昇給・昇任ができない制度にもまったく合理性がないことは明らかである。
(2)当局は導入しようとしている任期制は通常の勤務成績・業績を上げていれば再任されるものであるとくり返し述べる。しかしこのような制度であれば、それはもはや任期制とは言えず、期限の定めのない契約としつつ、勤務成績・業績が著しく不良な場合に解雇すれば足りるのである。当局が任期制に固執しつつ、このような抽象的な説明を繰り返すのは、任期制への同意を促し、任期制によって教員の身分保障を著しく弱める意図に他ならない。
(3)当局は、教員の評価について、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していくと説明している。しかし評価をそのように行うためには、その前提となる学部の組織や教学過程についても、「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しなければならないはずである。2003年8月以降、当局が現行4大学の教職員との誠実な協議の中で4大学の統合を検討することを拒否することを言明しているもとで、移行後の教員評価についてのみ「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で行うと唱えても、何ら説得力がない。当局は、教員の評価について「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しようとするならば、現時点の現行4大学教員に対する頑迷な態度をただちに改め、統合後の大学に関するあらゆる問題について、現行4大学の教員との間で開かれた誠実な協議を行うよう、その態度を改めるべきである。

 2 定款および規則の提案
 組合は、「任期制」の導入について、定款およびそれに基づいた規則の案を示して協議すべきことを要求しているが、これに対し当局は、大学教員任期法で要求される規則、労働基準法で要求される就業規則は平成17年4月の設立前に新大学設立本部―経営準備室で案を策定して提示するが「今後詰めていく」内容があり、就業規則(案)を提示していないのは当然だと回答している。
 しかし、この回答も組合の要求を歪曲したものである。当局は、任期制を標榜しながら「通常の勤務成績・業績を上げていれば再任される」と宣伝し、現行4大学における教職員の生涯賃金よりも明らかに低下する賃金制度を提案しながら「不利益変更にあたらない」と主張している。これに対し組合は、規則の案が示されれば、その文面の客観的な解釈についての交渉ができるし、現行4大学の処遇と比較してどれだけ不利益になるかを算出することもできることから、規則の案を示しそれに基づいて交渉を行うことを要求してきたものである。
 当局は、このように交渉の前提として規則の案を提示することを求める組合の要求に対して、交渉の途中である以上規則の案の提示を求めることはおかしいと主張しているのであり、組合の主張の歪曲の上に立つ道理のない回答であることは明白である。
 また、定款および規則の提案が設立直前であれば、組合において十分な検討も十分な意見表明も困難である。当局は速やかに規定の案を策定し、教職員の賃金がどのように変化するかの具体的な試算も組合に示し、誠実な交渉を行うべきである。

 3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
 組合は、当局から現在提示されている「新制度=任期制・年俸制」は、明らかな不利益変更にあたると主張しているのに対し、当局は、要旨次のように回答している。①「新制度」は通常の職務を行い通常の業績を上げていれば下がらないから不利益変更に当たらない。②評価制度を前提とした「任期制」で各教員の業績が適正に評価されるから教員にとって不利益変更とはならない。
 しかしこれらの回答も正当なものではない。
(1)当局の提示によると、「新制度」でも、とくに若い教員にとっては、現在正当に期待できる賃金が大幅に減少する。「通常の業績」をあげていても助手(研究員)は8年、助教授・講師(准教授)は10年しかその給与が期待できない。したがって生涯賃金が大きく減少することは疑いない。
(2)当局の主張するような適正な評価が行われる保障も乏しい。民間企業における「成果主義」賃金も、評価が不公正であることや総額賃金が抑制されること、あるいは評価者との人間関係などによって評価が左右され真に組織としての業績につながらない等の弊害が指摘され、見直しが始まっている例も多い。
 また、大学における学問研究や教育は、営利企業のように収益によって評価することができるものではないから、その適正な評価は、営利企業におけるよりもさらに困難である。
 したがって、評価制度を根拠にして不利益変更にはあたらないとする当局の回答は、まったく理由にはならないものである。

 4 「昇任基準」と「任期制」との連動
 組合は、「昇任基準」と「任期制」とを連動させるべきではないことを主張し、これに対し当局は要旨次のように回答している。①助手の昇任審査は、助手再配置の誘因ではない。②昇任審査等の新制度は、新法人の「政策選択の問題である」とする。
(1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
 当局は、助手の昇任審査と再配置との関係についてのみ回答しているが、組合の要求の核心は、昇任問題を「再配置」、「任期制・年俸制」など都が構想する新大学のあり方への同意を強制する道具として利用してはならないという点にある。このような利用が行われれば、本来、新大学における勤務条件は、現行大学の教職員との協議をもとに決定されるべきであるにもかかわらず、現行大学の教職員の自由な意見が抑圧され、都の意向が押しつけられることになるからである。
 このような性格の問題であるにも関わらず、その一部にだけ申し訳程度に回答する都には、組合の要求に誠実に答えようとする姿勢が欠けている。
(2)当局自身の資料によって連動は明らか
 この間当局自身が明らかにしてきた材料に即して考えれば、昇任問題が、「再配置」、「任期制・年俸制」に連動させられていることは明らかである。
 当局の「新大学の教員の任用制度」によれば、助手の昇任及びいわゆる「旧制度」(終身雇用。昇給・昇任なし。)と「新制度」(昇給・昇任あり。任期制・年俸制。)の選択問題は、次のようになる。
 すなわち、昇任しようと思えば、「新制度」を選択しなければならないのはもちろん、その前段では「昇任審査」を受けなければならない。そして、「昇任審査」を受けるためには、新大学を担当していなければならず、そのためには、「意思確認書」を提出していなければならないのである。
 他方、都が構想する再配置は、その内容について、「もっぱら『経営的観点』と機械的な平準化論に基づいており、助手の教育研究、とくに新大学における学生や院生の教育上の職務を考慮したものではないことを当局自身が認めています。」(組合の2004年6月14日付「助手再配置問題に関する緊急要求」)などと厳しい批判が寄せられているものである。
 そして、当局の「新大学における研究員(助手)の任用制度について」が「現在、理工系の助手については、大学間、学部・学科間でアンバランスがあることから、新大学の設置に当たっては、その再配置を行う。」、「助手の再配置を適切に行うため、一定の要件を満たす者については、新大学において『准教授B(仮称)』という呼称を使用することを認める。」とのべていることから明らかなように、助手が新大学を担当することが前提である。これに関連して、管理本部は、組合との交渉の中で、「意思確認書を出さないで助手のまま残る人は、再配置しません。旧大学担当ですから。」とも述べている。
 以上のことから明らかなことは、助手が昇任しようと思えば、新大学を担当せねばならず、かつ、「任期性・年俸制」の「新制度」を選択しなければならないのである。この点に関しては、昇任審査に合格しても、「新制度」を選択しなければ、昇任できないとの説明を組合に行っている。また、当局が示した「准教授B」に「昇任(学校教育法上は助手であるから、厳密な意味で昇任とは言えない)」する「一定の要件」では、「いずれかを満たす助手」の二つの要件のうちの一つとして、内容上問題が指摘されている再配置を受け入れることが掲げられている(一定の要件2‐再配置になる助手で、過去3年間において、研究実績があるもの)。
 これは、まさに、「昇任審査」を「再配置」の誘因とし、「任期制・年俸制」と連動させることにほかならない。
(3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
 このような制度は、都の回答のように「政策選択」の名で合理化できるものではない。
 組合弁護団意見書その2「東京都の『新大学』における任期制の導入に関する弁護団の意見書」(2004年)2月9日付)は、新大学設置の根拠法である地方独立行政法人法によれば、移行型独立行政法人である新大学においては、現教職員の身分は当然包括的に新大学に移行するのであって、身分移行にあたって教員の身分保障を否定したり、勤務条件を一方的に切り下げることは許されないこと、さらに「大学の教員の任期に関する法律」(任期制法)や労働基準法等に照らしても任期制等の一方的押しつけが許されないことを詳細に明らかにした。
 また、地方独立行政法人法成立の際の参院附帯決議は「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」と述べている。
 すなわち、新大学における勤務条件を都が一方的に設定し、「昇任審査」を誘因にして、現在の助手の意思を押さえつけて、その勤務条件を押しつけるということは諸法に照らして違法なのであって、「政策選択」だとして合理化できるものではないのである。

 5 「旧制度」は不利益変更
 組合は、当局の提案する「旧制度」は不利益変更であると主張し、①教育研究部門(教学部門)の下での公正で透明な評価に基づく昇任機会を定める、②経営部門が少なくとも中期計画期間の職位、在職年数による給与基準を公表する、③住宅手当、扶養手当等は労働者として当然の権利であり、それらの支給を保証する、という3点を提案して根本的な改善を求めた。
 これに対し当局は次の通り回答している。①「旧制度」、「新制度」の制度全体で不利益変更に当たらない、②昇任機会は、教員が参加する人事委員会によって、公正で透明な評価に基づき、昇任の機会が担保される。しかし、昇任する場合は、「新制度」を選択する必要がある。③旧制度の給与水準は、諸手当を含め、現行と同様の基準を就業規則に定め公表すると回答した。
 このうち給与水準の公表(③)は当然のことであり、問題はその時期と内容であるが、他の①と②には、以下のような問題がある。
(1)不利益変更は明白
 「旧制度」、「新制度」の全体で不利益変更に当たらないとの回答は、まったくの誤りである。
 まず、「旧制度」についてみれば、従来、地方公務員の場合には「昇給」や「昇格」の権利が法的に保障されてきた。
 東京都の条例では文言上は、「良好な成績」をおさめている場合に定期昇給の機会があると規定されているが、運用上は原則として定期昇給の機会があった。また昇格の機会は当然保障され、昇格できない身分の教員などは存在しなかったのである。
 このような身分を有していた教員を、昇給・昇任なしの身分にすることは労働条件の不利益変更に他ならない。
 他方、「新制度」を選択すれば、昇給・昇格の機会はあるが、任期制によって、定期的に首切りの危険にさらされることになる。従来の終身雇用からの不利益変更であることは明らかである。
 したがって、「旧制度」、「新制度」いずれをとっても、不利益変更なのであるから、これら制度全体も不利益変更である。
 仮に、新旧制度の選択ができるとの主張がありうるとしても、一人ひとりの教員は、従来、終身雇用で昇格・昇給の機会があった立場から、これらのいずれかを放棄しなければならない立場を強制されるのであるから、選択の余地をもって、勤務条件の不利益変更を否定することはできない。
(2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
 当局は、昇任の機会について公正・透明が担保されるという。
 しかし、当局の構想は、あくまで、「新制度」を選択しなければ昇任の機会がないということが前提なのである。なぜ、「旧制度」選択者には昇任の機会が与えられず、「新制度」選択者のみにこれが与えられるのかがもっとも不公正・不透明な点なのであって、これを不問に付して、教員が参加する人事委員会云々を持ち出してみても、何らの解決になるものではない。
 しかも、従来、大学教員の昇任を含む人事等の重要事項は、教授会によって決定されてきた。これによって、学問の自由と大学自治が保障されるからである。
 衆議院、参議院でも任期制法の決議にあたり「学問の自由および大学の自治尊重を担保としている教員の身分保障の精神が損なわれないよう十分配慮する」との付帯決議がなされている。
 昇任を教学部門で決定すべきであるとの組合の要求は、このような意味を持つものであり、単なる手続問題に解消できるものではないのである。
 当局の回答は、あくまで教員が「参加」する人事委員会による昇任決定であり、学問の自由と大学自治を保障する見地は全く欠落しているのである。
 
以 上

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2004年08月12日

東京医科歯科大学、任期制報道

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2004年8月11日)

 「全国国公私立大学の事件情報」によれば、集団ヒステリーのような任期制導入の風潮が広がりつつあるようである。本学の「大学像」とその新聞報道、首都大学東京を巡る報道などがその流れに棹差したことはまちがいないだろう。

 東京医科歯科大学は、いったいどのようなポストに任期制を導入したのか? 報じられるような任期制がどの範囲、どの規模で導入されるかが問題であろう。任期法に従う特定の限定的ポストの創設とそれへの任期制導入だとすれば、5年で25-30パーセントの首切りを合法化することもあるうることだろう。だが、その場合でも、科学研究の活性化にどのような意味でつながるのか、そのことは説得的に説明されておらず、検討されていないように見える。それでも、該当するポストの90%の人がそれに同意したという。すでに、逆らえない雰囲気と背後事情(同意しない場合のさまざまの不利益措置など)が形成されているということだろう。

 はじめから首切りの割合が決まっていれば、すなわち継続ポストのパイが決まっているのならば、内部で成果・業績の取り合い・奪い合いとなり、同僚の足のひっぱりあいとなり、悲惨な医療事故などが続発するのではないか、と危惧される。暗い予感が現実とならなければいいが。

 東京医科歯科大における任期制ポストの導入範囲とも関係するが、アメリカのような競争原理の激しい国でさえ教授90%以上、準教授80%以上がテニュアを取得しているという現実の意味は、強調してもし過ぎないであろう。目先の利害にとらわれることなく、また科学の論理以外のことで右顧左眄することなく、科学の論理にしたがって仲間・同僚と励ましあい刺激しあい、仲間・同僚の業績や向上が素直に喜べるようなシステムでなければ、豊かな発展はないのではないか。

 任期制ポストではかならず25%から30%の仲間が蹴落とされることになれば、本当に友好的で科学的な研究を集団的に進めることは、できるのか? 仲間を向上させ、同僚の業績を喜ぶ雰囲気となるだろうか。

 成果主義システムが失敗した富士通の事例がすでに広く知られるようになっているが、成果・業績の奪い合いとなるようなシステムは、現代の分業に基づく協業の科学研究体制を崩壊させるものではないか。そうした民間企業における「成果主義」人事制度の到達点すら、なにも考慮されていないかのようである。

 教育公務員特例法その他での身分保障なくしては、自由な学問研究はありえかったのではないか。同僚をけしかけあわせ、一定割合の首切りを必然化する中で行われる研究とは、どのようなものであろうか?

 少なくとも文科系の諸学問のように、業績の評価が一筋縄ではいかない科学の分野においては、このようなむちゃくちゃな任期制導入は、大学教員の奴隷化、精神的退廃を決定づけるだろう。「世界との競争」どころか、各大学で評価の権限を握るものたちへの、その他の一般教員の隷属化が進行することになろう。

 おなじ「全国国公立大学の事件情報」によれば、大阪府立大学でも、設置者サイド(設置者というのは地方公共団体であり大阪府であって、当面はその行政当局が打ち出している案であろう)から「人事委員会制度」が打ち出され、教授会の人事権を剥奪する方向で検討が進んでいるようである。人事権を獲得した人事委員会がどのような組織原理で運営されるか、研究教育を担う教員(単なる一部教員ではなくて、教授会)の判断を無視することが可能な制度であれば、学問の自由は壊滅し、大学の退廃は必死であろう。

 人事委員会に関与する学長や学部長など部局長が、構成メンバーの選挙ではなく「上から」「外から」の任命となってしまえば、単なる行政組織と同じであり、科学の論理・学問芸術の論理は排除され、従属化させられ、上意下達の組織原理となるのは目に見えている。そして、上意下達の原理こそは、自由な科学的研究の論理とは対立する原理である。独立行政法人化(国立大学法人化や公立大学法人化)は、このままいけば、大学解体・大学破壊のための手段ということになろう。その弊害に気づいたころには、日本の研究は創造性のない沈滞したものになりさがってしまうのではなかろうか。戦後50年以上の日本の大学の研究成果を、それほどに破壊して一定鋳物だろうか? 戦後50年以上の日本の大学の業績は、そんなにもひどいものだったのだろうか? むしろ、世界最先端を行くものではないのか。世界のトップクラスに到達したからこそ、そこからさらに日本の学術研究を前進させるためには、自由や創造性をはぐくむ制度設計が必要ではないのか? 任期制による首切りで脅かし人々の精神を縛るよりも、公正・透明なポジティヴな能力評価システムをこそ構築していくべきだろう。

 「大学評価」は、どのような研究教育システム、どのような人事評価システム、どのような大学運営システムかということと関連させて、検討されなければならないだろう。

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東京医科歯科大は「教授と助教授は五年」といった教員任期制の導入に踏み切った。
 本人の同意が前提だが、全体の九割が応じた。評価は厳しく、任期満了で対象者の二五~三〇%は更新されず地位を失う。もう悠然と構えてはいられない。鈴木章夫学長は「大学を活性化し、世界に伍(ご)すにはこのくらいしないと」と言い切る。

全入時代、教員に任期制 学校経営に民間流!

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新潟大職員組合、教員の「任期制の導入」をインセンティブ経費(総額5千万円)の評価項目とすることは不見識である

新潟大職員組合ホームページ
 ∟●新大職組新聞「速報版No.54」(2004年7月26日)

教員の「任期制の導入」をインセンティブ経費(総額5千万円)の評価項目とすることは不見識である

 本年度「学長裁量経費」のうち、5000万円が「インセンティブ経費」にあてられています。各部局での実質的研究教育費が減らされている中、この経費も各部局の研究・教青等の充実に資するよう公正・適切に配分されることが求められます。
 本年度の5000万円は表のように、「教育」に1500万円、「研究」に3000万円、「管理運営」に500万円となっています。このうち、特に問題なのは「管理運営」において、教員の任期制制度導入や、任期制在職者割合を評価項目に加えていることです。そもそも「任期制」は「大学の教員等の任期に関する法律」にもとづいて、限定的に遭用されるものであって、部局の性格などによってもその適用性が異なるものです。まして任期制教員の割合が高いからといって経費配分においていたずらに評価されるぺきものではありません。むレろ雇用の安定性や研究・教育の継続性から考えて、全員が任期制教員である方が心配です。さらに今回の配分では入試などと直接関係のない社会連携推進機構(8万8千円,総額のO.18%)、学術情報基盤機構(2万3千円、同O.06%)教育学生支援センター群(9万3干円,同0.19%)、研究支援センター群(6万2千円,同0.12%)と極めて低額の配分で、とても公正な配分方式とはいえません。ちなみに総額の5000万円を仮に教員当たりに換算すると1人当たり約4万円となります。また部局に配分されたインセンティブ経費が有効に使用されるよう,議論をつくすことも重要であると考えます。


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2004年08月11日

全入時代、教員に任期制 学校経営に民間流!

第1部2007年ショック走る(1)「全入」の重圧、変革迫る(大学激動)

日本経済新聞(2004/08/03)

 七月二十三日に開いた文部科学相の諮問機関、中央教育審議会の大学分科会。二時間の議論を締めくくった南雲光男・元連合副会長の発言に、会場は静まり返った。「大丈夫だと思っていた大学がつぶれる。学生が路頭に迷う。『大学崩壊』のシナリオが三年後は現実になる」

予想2年早まる
 少子化と専門学校人気で大学・短大の志願者数は減り続け、当初予想より二年早く、二〇〇七年度に全員が入学できる時代が来る――その試算が初めて示されたのだ。五年あったはずの“猶予期間”が三年に縮まったショックは大きかった。ある私大学長は急きょ資料を教授全員に配り「夏休み中も対策を練り直せ」と迫った。
 「全入」はあくまで数字上の計算。新設校や短大はすでに苦しい。私立大は昨年度二八%が、短大は四五%が定員割れ。そして国立も例外ではなくなりつつある。
 筑波大の工学基礎学類は今春入試で、後期日程の応募三十一人に二十人しか受験せず、全員合格に。群馬大の応用化学科・材料工学科の後期も募集二十人に受験者二十九人。全員を合格にした。「東京の私立大がライバル。しっかり高校に営業活動しないと生き残れない」。本間重雄工学部長は危機感を募らす。
 東京水産大と東京商船大が統合した東京海洋大は、海洋電子機械工学科で十二人の定員割れが発生、四月に二次募集に追い込まれた。専門性の強い大学とはいえ、東京の国立大で起きた事態に、ある国立大学長は「油断するとああなる。他人事ではない」と漏らす。

 「全入時代」に突入する三年後。大学にもう一つの試練が待ち構える。
 「新司法試験の内容がいまだ分からず、学生はひどいプレッシャーで一種のパニック状態にある」。今春、全国で一斉に開校した法科大学院の一つ、島根大の山口龍之教授は指摘する。新司法試験は〇六年度に始まるが、これは法科大学院を二年間で卒業する法学部OBらが対象。第二の人生をかける元社会人も多い法学未修者は卒業まで三年かかるため、〇七年度こそ各校の「教育力」が試される天王山だ。その結果が翌年からの学生集めに影響し、その法科大学院が生き残れるかを左右する。

教員に任期制
 自助努力に期待して今春、国立大が法人化されてから四カ月。第三者機関による大学評価の発表も間もなく始まり、象牙の塔にこもってはいられない環境は整った。大学は優秀な教員の確保や研究の質向上に懸命だ。
 東京医科歯科大は「教授と助教授は五年」といった教員任期制の導入に踏み切った。
 本人の同意が前提だが、全体の九割が応じた。評価は厳しく、任期満了で対象者の二五~三〇%は更新されず地位を失う。もう悠然と構えてはいられない。鈴木章夫学長は「大学を活性化し、世界に伍(ご)すにはこのくらいしないと」と言い切る。 ただ、民間的な手法がどこまで大学になじむかは手探りが続く。
 「教授らに能力給を導入してはどうか」。三重大の経営協議会で学外委員を務める元ジャスコ副社長の谷口優氏は次々と改革案を提案した。だが大学側の答えは「検討させていただく」どまり。

民間流浸透せず
 「企業の論理を一〇〇%導入すると支障も出る」と慎重な豊田長康学長に、谷口氏は「国立大に観念的な危機感はあるが、行動レベルまで達していない」と手厳しい。
 大学の敷地内に留学生や学生向けのマンションを建てて半分を一般に賃貸、その家賃で建設費を賄う――国立大としては異例の構想を温める東京農工大は、法人化の旗振り役、文科省に待ったをかけられた。「こんな営利事業を認めたら何でもありになってしまう」「地の利の悪い地方国立大が不利になる」
 宮田清蔵学長は憤まんやるかたない。「文科省は『創意工夫を凝らす個性ある大学づくり』を求めながら、法人化後も裁量をなかなか認めようとはしない」

 四月の国立大法人化と法科大学院の誕生は、淘汰(とうた)の時代へのスタートラインにすぎなかった。「大学全入時代」まであと三年。そのころには勝ち負けがはっきりする。生き残りにあえぐ大学の姿を追う。


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2004年08月03日

大学教員の任期制、螺旋的悪循環の連鎖-横浜市大 永岑三千輝氏最新日誌

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌 2004年8月2日(2)

 「全国国公私立大学の事件情報」(8月2日)によれば、長崎県立の二つの大学においても、全員任期制が検討されているという(新首都圏ネットワークにも関連記事あり)。恐るべきムード的な事態[1]が全国化しつつあるといわなければならない。こうしてみると、多くの国立大学で熟慮しないままでたくさん部局に導入された任期制(どれだけの人がそのポストに移っているかはわからないが)が、東京都の「任期制」「年俸制」導入宣言に飛び火し、さらに本学に関する「ありかた懇」答申に伝染し、さらに悪いことに、センセーショナルに新聞報道された「大学像」において「全員任期制」の言葉が「はじめて」打ち出されるというふうに、この螺旋的悪循環の日本全国の大学と社会に与えたマイナスの影響ははかりしれないものがある。

 大学を活性化するための任期法は、いまやいたるところで悪用され、誤用されようとしている。国公立大学は、法人化を契機に、競って自分で自分の首を締め、優秀な教員をテニュアを付与した私学に追いやっている、優秀な教員を追い出すことに狂奔している、というべきではないか。法人化は、大学の独立性・自立性を高めるものから、逆に任期制による大学教員の奴隷化の推進手段になってはいないか?

 その行き着く先は、乱暴な私学経営の跋扈ということではないか。私学の経営がいかにひどいものであっても、経営陣は、任期制の不安定雇用におびえる教員を抱える国公私立大学との競争では、有利に経営できるということではないか。私学内部の多くの教員も、いずれ国公立以上の不安定雇用によって、ひどい状態に陥れられることになるのではないか。それは、わが国の大学の研究教育の自由で創造的な発展の筋道とは逆行するものであろう。「地獄への道は善意で敷き詰められている」。

 本学でも、内外からの幾多の批判を受けて、中間案においてテニュア制度(定年までの終身在職権)が明確に打ち出されたが(その不十分さ・不明確さに関しては教員組合の批判がある[2])、それがまだ最終的に確たるものとして提示されないために、本学の検討の到達点はいまだ全国では知られていないようである。常に模範とされ追随されるアメリカにおいて、テニュア制度が確立し、しかも、準教授で80%以上、教授では90%以上がテニュア取得(テニュア付与)であることの実態と意味は、周知のものとなっていないようであり、熟慮されてはいないようである。

 長崎県立の公立大学法人化の議論で、「各委員からは「優遇措置がなければ、任期制に移行する教員は数%ではないか」などの意見が出た」という。もっともな意見である。

 しかし、いったいいかなる優遇措置が、「首切り」を超えるほどの優遇措置だろうか? 任期制は、いずれにしろ、任期がくれば雇用は終了する、という制度であり、「首切り」合法化である。新たに採用される場合、新規採用と同じである。とすれば、そうした決定的な不利益・不安定雇用条件を超えるような魅力ある優遇制度とは何か?

 いくつかの国立大学で任期制が導入された場合、定年5年前での任期制ポスト(5年任期)への移行、ということがあるようである。これなら、すくなくとも実質的にはマイナス措置とはならないだろう。いやむしろプラスにすることが可能であろう。その場合に、任期制は名誉に値するものとして(最先端の仕事をしている、総合的な仕事をしているなどの審査とその基準クリア)、ワンランク上の給与条件などを与えるものとすれば、任期制に選ばれた教員は、それだけプラス評価されたことになろう。これならば不利益ではないだろう。それならば、競争化・活性化にも、ある程度(審査が公明正大で、透明性をもち社会的説明責任を果たすものならば)、役立つことにもなろう。

 あるいは、定年数年前に割愛願いが出る(た)ような有名教授をひきとめておくために、定年を数年間延長するような任期制教員として採用する対抗措置をとる(引き抜き防止措置)なども考えられるであろう。これも、それだけの実績と社会的説明責任の力のあるものならば、プラスの効果をもつであろう[3]。

 他方、「数年後」に任期終了とともに首切りが当然となっていても、当面なんとか就職できればいい、という無職の若手研究者の場合なら、「無職よりはいい」と、任期制でも応募することになろう。無職で苦労するよりは、任期制(数年後の問答無用の首切り)でもいいから助手ポストをたくさん増やしてほしい、という博士課程・オーバードクター・ポストドクターの若い人々は多いだろう。「余剰博士」はいまや大変な社会問題になりつつある。彼らも、もちろん、任期制でない安定したポストにも応募しつつ、「任期制ポスト」にも、余儀ない選択肢として応募するであろう。

 任期法によって「助手」ポストを任期制にすることは法律的に可能となった。これこそは、任期法制定のもっとも重要な背景(理由)なのではないか。それはそれとして(すなわち任期法による限定的なものとして)、積極的に活用すべきではないか。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年08月03日 01:42 | コメント (0) | トラックバック (0)
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山梨大学長吉田洋二氏、「教員の任期制 全員に適用するのは難しいと思う!」

吉田洋二さん(ウイークリーインタビュー 会う聞く記す)/山梨

朝日新聞(2004/07/27)

 国立大の法人化
 これからの大学、どう変化させていきますか

   *
 ――国立大学の法人化からまもなく4カ月。今後6年間の運営指針となる中期計画では外部資金や自己収入の増加に触れています。
 「国から配分される運営費交付金が、来年度から1%ずつ削減される。大学の規模は変わらず、予算は減る。削減分をどうするか考えていかないと。外部資金の調達方法としては、まず国の研究費。産学・産官学連携を進め、大学の知的資源により獲得する方法もある。授業料や受験料といった自己収入もあります」
 ――授業料の値上げは考えていますか。
 「今のところは考えていない。多くの学生に受験してもらい、学生が良いところに就職し、知名度を上げてもらう。継続して多くの学生にやってきてもらえるように、全国的に優秀な学生を集め、ブランド力を上げていくことが必要です。大都会と地方では格差があり、その地域格差を超えて大学が人を集めるには魅力を作っていかないといけない。授業料を上げるのは相当な理由がないと……」
 「学生生活の満足度を上げる、今はその努力の時だ。学生支援組織の立ち上げも考えている。教員も加わり、進路指導や大学への不満だけでなく、経済的や精神的なトラブルにも対応します」
 「教育の産学連携も進める。インターンシップなどで、社会がどう動いているか、現場では何が重要視されているか、知ることは学習意欲を増加させるし、職業選択の上でも必要です」
 ――教育の中身も変わっていきますか。
 「学生は『××になりたい』と思い入学して来ますが、考えが変わることもありうる。これまでは学部間移動はやりにくかったが、入学後の専攻変更が自由にできるようにしたい」
 「外国のように二つの専攻を持てるダブルメジャーや、主・副専攻も考えています。例えば医学部なら、がんや不妊の治療に進む人もいるでしょう。がん治療ができても、患者の精神的な問題についてはどうか。不妊治療についても、思いをめぐらせて取り組み、その治療で幸せになるかどうかを深く考えてもらわないといけない」
 ――中期計画では教員の任期制にも触れています。 
「あるプロジェクトに力を入れる場合などに任期制が適当ではないかと思う。だが全員に適用するのは難しいと思う。短期間では教育の成果は出ない。また教授の経験や知識が優れていて、大学として、いて欲しい場合は終身雇用でもいいのではないか」
 ――今後の大学像は。
 「一に教育、二に研究。教員には研究を一に上げる人もいるけど、これからは教育です。両方をバランス良くすることが必要です」(聞き手・平松ゆう子)
   *
 よしだ・ようじ 山梨大学長(71歳) 群馬県出身。群馬大医学部卒業。80年に旧山梨医科大教授、98年から同大学長。02年10月から統合した山梨大の学長。大学の統合、法人化と変動の時期にトップを務めた。学長の任期は今年9月まで。「レールは引けなくても、路盤工事はできたか」と振り返る。

山梨大学教員の任期に関する規則(平成12年4月1日)

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2004年08月02日

長崎県立大・県立長崎シーボルト大、全教員対象の5年任期制へ 設立準備委員会中期目標素案

長崎県/全教員に任期、評価制導入 法人設立準備委で素案 2県立大/ながさきWIDE

西日本新聞(2004/07/30)

 長崎県立大(佐世保市)と県立長崎シーボルト大(長与町)を運営する公立大学法人の設立準備委員会(委員長・木村道夫前県教育長)の会合が二十九日、長崎市内のホテルで開かれた。同委員会は、二大学の全教員を対象に、五年間の任期制や教員評価制度を導入することなどを盛り込んだ中期目標の素案に合意した。
 中期目標の期間は二〇〇五年度から六年間。素案では、〇五年度以降の新規採用教員と、現教員で任期制に同意する人に同制を適用する。助教授、講師、助手の場合、再任は一回まで。教員としての適格性を著しく欠いて再任されなかったり、十年間で昇任できない教員は、退職しなければならない。
 教員評価制度は、教育、研究や地域貢献度などの項目で判断するが、具体的な評価基準は本年度中に決定。来年度の評価結果から教育研究費の配分に反映させ、〇八年度からは任期制の再任や昇任、給与にも反映される。
 各委員からは「優遇措置がなければ、任期制に移行する教員は数%ではないか」などの意見が出た。素案を基に、今後設置される法人評価委員会の意見などを踏まえた最終案が県議会に提案される予定。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年08月02日 01:10 | コメント (0) | トラックバック (0)
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