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2004年07月
掲載事項(記事)一覧


2004年07月31日

九州大教職員組合、声明「改めて任期制の廃止を求める」

九州大学教職員組合ホームページ
 ∟●「改めて任期制の廃止を求める」(九大教職組執行委員会声明、2004.7.20付)(7月28日掲載)より転載

改めて任期制の廃止を求める

九州大学教職員組合執行委員会 2004年7月20日

任期制は危険な制度です

九州大学では法人化直前に、工学研究院、農学研究院、医系研究院等に全職種全教員任期制が導入されました。導入の際には各部局において研究院長等から「ほとんどの教員は再任されるから心配しなくてよい」という説明が行われ、同意書がかき集められました。しかし、このような口約束で安心するわけにはいきません。任期制とは期限を定めて(たとえば5年間で)自動的に職員を失職させる制度なのです。任期制においてはその趣旨から言って基本的に再任は前提とされていません。仮に再任された場合でも、いったん失職したのち新規採用という扱いになります。失職によって開いたポストに新規採用する手続きが必要になるのです。
 新規採用は採用者が任意に行う事ができ、いかに業績や能力のある人でも採用されるとは限りません。一般には、任期付の職に就業する職員が再任をめざしてどんなに業績をあげても、法人がその職員を失職させたければ自由に失職させることが可能なのです。京都大学再任拒否事件の地裁判決にみるように、再任を拒否された側が任期中の業績に基づいて法的な救済措置を求めるのはきわめて困難なのです。
 九州大学はこのように危険な任期制を必要な議論もつくさず安易に導入し、さらに導入部局の拡大をはかろうとしています。任期制の安易な拡大をやめ、導入した任期制を廃止することも視野に入れた再検討を開始する事が今必要とされています。

「ほとんどが再任」の保証はない

 九州大学で導入した任期制では再任が可能だとされています。任期制導入部局における導入時の説明をそのまま信じて、「よほどのことがない限り再任される」と考える教員も多いかもしれません。しかし「再任」と「任期制」いうのはそもそもそぐわないもので、その結びつきは非常にもろいのです。
 任期制を導入した九州大学の各部局研究院長は口頭でrほとんどの教官が再任される」ことを約束しました。しかし将来的にそれが守られる保証はありません。公的文書しても残っていません。たとえそのような文書があったとしても、「ほとんどの場合に再任される任期制」などというものは社会的に説得力がなく、批判されれば維持することは困難です。
 九州大学で導入された任期制はきわめてずさんなものです。実際、任期制が導入された部局のなかにはいまだに具体的な再任基準を設けていないところもあります。また再任基準を決めたところでも、その基準はきわめて抽象的で、恣意的な審査が行われる余地が十分あります。
 任期制の導入は、教員の雇用条件を著しく不安定化しました。職員の雇用条件を改善し、安心して働ける職場を目指すため、何のメリットもない任期制の廃止を真剣に検討すべきです。また当面、任期付ポジションから任期のつかないポジションヘの移行を可能にするような制度を検討するべきです。さらに、再任審査が公平に行われるように客観的な再任基準を明らかにし、公正な審査機関と不服申し立て機関を設置することが必要です。

全部局全職種への任期制適用は違法

 全職種への任期制導入は任期制の趣旨に反します。任期制法では任期制の適用範囲を先端的、境界的な研究分野に制限しています。これは大学教育・研究の中枢を担う職全般に不安定雇用が適用される弊害をみこしたものだと言えます。したがって九州大学医系研究院、工学研究院、農学研究院等において導入された全部局全職種任期制は違法です。「九州大学における教育研究はすべて先端的学際的総合的だから」(将来計画委員会資料)という説明は外部では通用しないものです。法律的な問題以前に、全部局全職種の教員職を任期職という不安定雇用に変えようという九州大学の方針は、継続的で安定した研究教育の体制を自ら放棄する無責任なものと言えるでしよう。

導入の外圧に抗しきれないというけれど

 九州大学における任期制導入の際の決まり文句は「任期制を求める社会的な要請(外圧)がある」でした。しかしそのような要請の具体的な内容や、その是非について議論した形跡はありません。外圧があるから議論もせずに導入するという態度は理解しがたいものです。それとも外圧をタテに任期制の導入を正当化しようとしたのでしょうか。「任期制を導入しないと運営交付金を減らされる恐れがある」などという声もよく聞きます。しかし、これこそ任期制法の国会付帯決議が「いやしくも大学に対して、任期制の導入を当該大学の教育研究支援の条件とする等の誘導や干渉はいっさい行わないこと」と戒めていることであり、そのような圧力が実際にあったとしたら大問題です。
 一方、九州大学では任期制導入に対するあからさまな内圧があります。任期制を導入していない部局に対して1%の予算削減をしているのです。組合の抗議に対する九州大学当局の回答は「学内での判断だから国会付帯決議とは無関係」というものでした。しかしこれは国会付帯決議がどのような理由で何を目的にしてなされたものかを考えれば、一般には通用しません。明らかな付帯決議違反です。

任期制と業績審査とは別

 九州大学の全教官任期制導入の目的は、再任時の業績審査で成績の悪い教官を切ることであると説明されてきました。しかし業績審査は業績審査で、任期制とは別にやれることで、実際、任期制を導入していない部局でも厳しい業績審査が行われている事はご存知のとおりです。その是非はともかく、就職、昇格、外部資金獲得などにおいて、研究者の世界では業績評価にもとづく競争原理はすでに縦横無尽に作動しており、このうえさらに任期制導入をして競争をあおる必要性があるかというと大いに疑問です。むしろ、職員の業績水準を上げるためには、短期不安定雇用によって職員が研究や教育に集中できない環境を作るよりも、業績を挙げた職員に報償を与えるなど他の方法を考えるべきです。

任期制で教員の流動性はあがらない

 任期制の導入のもうひとつの目的は研究ポストの流動性を高めることだといいます。しかし、「ほとんどが再任」だとすると流動性に対する効果がないのは明らかです。かといって、九州大学に再任不可の任期制を導入したところで、他大学・研究機関との間の「双方向の」流動性が増加することは期待できません。九州大学のポストが任期付という不安定職になることで、優秀な研究者の九州大学への流入が減り、九州大学からの流出が増えるだけです。流動性を高めるには異動の際の研究機材移転の補助、研究室立ち上げの補助などの方がよっぼど効果があるという指摘があります。このような九州大学のなかでも対応できる流動性を高めるための即効性のある措置の導入こそが必要なのではないでしょうか。

任期制の導入で九州大学の魅力はガタ落ち

 任期制を導入した部局では、ポストの魅力が薄れるため、任期制を導入していない大学や研究機関との研究者獲得競争できわめて不利な立場に立つことが予想されます。雇用の不安定性を高い賃金で補うなど、大学法人として経営戦略を考えるなら任期制導入と同時に当然考慮しなければならない制度も検討されていません。任期制の導入は九州大学や部局のポストの魅力を削ぎ、九州大学の衰退をもたらします。九州大学という大きな大学に大規模な任期制を導入することの影響はそれだけにはとどまりません。任期制という不安定雇用が広範囲の大学に広がれば、研究職そのものの魅力の減少にもつながります。それによって若者の研究者離れが起これば、日本のアカデミズムは長期にわたって回復の困難な打撃を被ることになります。

任期制とキャンパス移転の危険な関係

 いくら考えても何も利点が見当たらない九州大学の任期制導入。導入推進派の本当の狙いはどこにあったのでしょうか?それが目的だったどうかはともかく、ひとつ考えられる重大な懸念があります。大規模な部局再編とリストラのために任期制が使われる危険性です。
 独立行政法人化にキャンパス移転の資金不足が加わり、これから九州大学の経営は非常に厳しくなることが予想されます。部局の再編の動きも出てくる可能性があります。そのとき任期制を導入した部局では「採算性が低い」と判断された部門を丸ごとカットすることも可能になってしまいます。大量解雇をしなくても、全員の再任を許さないという「正当な手続き」を行うだけで、ひとつの部局をまるまる消滅させるなどという乱暴な再編策も、任期制があれば不可能ではなくなります。

任期制を導入してしまった部局…次の一手は?

 ずばり任期制を止める事です。徳島大学では、いったん導入した教官全員への任期制の矛盾に気づき、独立行政法人化に際してこれを廃止して業績審査制に切り換えました。九州大学の任期制導入の趣旨説明は、任期制よりも業績審査制に近い考え方だったのですから、任期制を廃止して困る事は何もありません。
 「ほとんどの人が再任される」などという何の保証もない虚偽の説明を受けて同意書を提出してしまった人は、その事実を証明できれば、同意書の撤回を求めることができます。当局が撤回に応じなければ契約無効の訴えを起こすこともできます。
 明示的で客観的な評価にもとづく再任審査基準を定め、公表すること、再任審査への不服申し立て手続きや機関を設置する事も重要です。これは研究者の雇用条件を不安定化させる任期制を導入した部局が被雇用者に対して払うべき最低限の責任と言えるでしょう。また、任期つき職から任期のつかない職への移行について検討すべきです。任期が切れて失業する職員に対して就職支援等の最大限の援助を行う事が求められます。

任期制に対する組合の要求項目

●任期制法の趣旨に反する全部局全職種への任期制導入をこれ以上行わないこと。
●すでに医系研究院、農学研究院、工学研究院、応用力学研究所等に導入されている任期制の必要性と妥当性について、法人化後の事情や法的な面も考慮し、その廃止も含めた再検討を開始すること。
●任期制法の付帯決議に反する任期制非導入部局への予算削減措置を直ちにやめること。
●教員が任期つきのポジションから任期のないポジションに移行する手続きを整備すること。
●教員の選考、再任の審査については、関連分野の審査員の意向を最大限に尊重すること。再任における不服申し立ての手続きと機関を設け、公正な審査ができるような体制を整えること。
●任期つきのポジションにいる教員について、病気、出産などによってやむを得ず教育、研究の場を離れざるをえない場合に不利が生じないように、制度上の配慮を行うこと。


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2004年07月30日

札幌市立大の5年任期制、まさに全教員もれなく適用する任期制です!(続報)

 7月29日付本サイト記事「札幌市立大、人事・給与制度 全教員5年の任期制」について,横浜市立大の永岑先生がHPで下記のようなコメントを掲載されておられます。任期制の法律とその運用の趣旨に照らしてもっともな主張です。
 私は,「札幌市立大学ホームページ」にある情報と新聞情報しか持ち合わせていなかったため,本日「札幌市企画調整局大学設置準備室」に電話をかけ,「当該任期制が文字通り教員全員に適用する任期制なのか,あるいは特定の教員のみに適用する任期制なのか」を担当職員に聞きました。その結果,当該任期制は,昨日のサイト記事見出しに書いたように,文字通り「全教員」であることがわかりました。
 札幌市立大は,札幌市立高専と札幌市立高等看護学院の教員が母体になり,さらに新規に外部から教員を採用して設立されます。設置準備委員会で決定した当該任期制は,高専・高看から移動する教員も,また新規採用の教員も「分け隔てることなく」全員が5年の任期制に適用されるということです。そして,「大学の教員等の任期に関する法律」との関係で言えば,当該任期制は,同法第4条の「一 先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき」に適用させて運用するとのことでした。
 北海道内では,すでに北見工業大学も全教員任期制を決めていますが,法律との関係で言えば,同様の取り扱いであろうと思われます。同法第4条1が全教員適用の任期制を認めるものであるか否かは,永岑先生が述べるように,大いに問題があるところです。その意味で,下記の永岑先生の指摘は非常に重要な指摘であると同時に,この点,これまでも懸念されてきた問題であろうと思います。ただし,設置準備委員会内部でも,また高専・高看の教員サイドのところでも問題点を指摘されてこなかったことが,こうした解釈と結果を許すことにつながっているものと推測されます(ホームページ管理人)。

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2004年7月29日)

 「全国国公私立大学の事件情報」(本日付)によれば、高等専門学校と高等看護学校から新たに新設される札幌市立大学において、「5年の任期制」が導入されるという。新設だということ、高専・高看から大学への格上げだという二つの基本的な制度上の違いから、行政当局主導の「5年任期制」が打ち出されたようである。

 しかし、すくなくとも、「全員」という文句は、市当局が発表している「基本的枠組」の文書にはない。

 全階層(すなわち、助手から教授にいたるまで)において、任期制が導入されるということ、そしてどの場合も5年だということは明確になっている。それが、教員全員に適用されるものであるかどうかは、明文的な規定とはなっていないように思われるがどうであろうか。

 商学部教授会などが任期制導入に反対した決議において明確にしたように、大学教員への任期制導入を「任期法」にもとづいて行おうとする場合、立法の趣旨からして、問答無用のはじめからの全員ではありえない。任期法の前文とそれにもとづく限定的な条項に従い、合法的に任期が付されるのはいくつかの特例的な条件に基づくものである。そうした条件が、札幌市の「基本的枠組」には提示されていない。法のどの条項なのかが明らかでない。法のどの条項で、どのようなポストに適用されるのかは明らかになっていないと思われる。検討抜き問答無用の全員任期、というのは任期法の想定外であろう。法の審議段階における文部省高官の答弁も、一つ一つのポストについて任期を付することが妥当かどうか検討し、その結果として任期を導入することが可能となる場合もありうるという抽象的一般的な可能性だけをのべていたが、法文の限定からすれば、そうした検討を踏まえても全員というのはあまりにも極端で、詭弁に近いものであることはいうまでもない。

 商学部教授会などが任期制導入に反対した決議において明確にしたように、大学教員への任期制導入を「任期法」にもとづいて行おうとする場合、立法の趣旨からして、問答無用のはじめからの全員ではありえない。任期法の前文とそれにもとづく限定的な条項に従い、合法的に任期が付されるのはいくつかの特例的な条件に基づくものである。そうした条件が、札幌市の「基本的枠組」には提示されていない。法のどの条項なのかが明らかでない。法のどの条項で、どのようなポストに適用されるのかは明らかになっていないと思われる。検討抜き問答無用の全員任期、というのは任期法の想定外であろう。法の審議段階における文部省高官の答弁も、一つ一つのポストについて任期を付することが妥当かどうか検討し、その結果として任期を導入することが可能となる場合もありうるという抽象的一般的な可能性だけをのべていたが、法文の限定からすれば、そうした検討を踏まえても全員というのはあまりにも極端で、詭弁に近いものであることはいうまでもない。

 本学に関しては、市当局(大学改革推進本部)は、そうした「任期法」の立法の趣旨などから、「全員任期制」の違法論や反対が強いため(「中間案」説明会の意味合いに関する教員組合見解(04-06-21):「教育・研究評価検討プロジェクト部会(中間案)」に対する教員組合委員長の見解04-06-18)、また大学の研究教育の中核的部分の安定的確保というもっともな理由から、さらには国立大学やアメリカの大学などに関する制度調査も踏まえて(と思われるが)、先ごろの「中間案」においてテニュア制度(定年までの終身在職権)を明確に打ち出した。この点は、当然のこととはいえ、中間案に携わった人びとの英断であり、その柔軟性には敬意を表している。

 しかし、中間案作成者たちは、他方で、任期制の導入という「あり方懇」、「大学像」の文言を完全に捨て去ることはできず、そこで10月末の「大学像」のときには制定されていなかった労働基準法改正(今年一月)条項に基づいて何とか「全員」に適用しようとしているのである。これが果たして適用可能なのかに関しては、これまた大問題であるが、ともあれ、以上のような経過から考えても、「任期法」と任期制の「全員」への杓子定規な適用とは、合致しないものであろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月30日 02:15 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年07月29日

札幌市立大、人事・給与制度 全教員5年の任期制

「(仮称) 札幌市立大学のホームページ」
 ∟●「(仮称)札幌市立大学基本計画」(平成16年7月27日)  
 ∟●第5回設置準備委員会配布資料 制度専門部会報告「(仮称)札幌市立大学教員の人事・給与制度(基本的枠組)」

(仮称)札幌市立大学教員の人事・給与制度(基本的枠組)

1 任期制
多様な知識・経験を有する人材の確保を図るとともに,教員の研究および教育能力の向上を図るために「大学の教員等の任期に関する法律」に基づき,任期制を導入する。

職位    任期年数  再任方法    再任後の任期年数  再任回数
教授    5年  総合的教員評価による  5年     制限なし
助教授   5年  総合的教員評価による  5年     制限なし
講師    5年  総合的教員評価による  5年     2回(最長15年)
助手    5年  総合的教員評価による  5年     1回(最長10年)
助手    5年  総合的教員評価による  5年     2回(最長15年)

2 定年制
新陳代謝を計画的に行い組織の活力を確保し,士気の沈滞を防止することができるなどの理由から,定年制を導入する。
なお,継続雇用制度等の導入について,別途,検討を進める。定年年齢は,65歳とする。
開学時の定年の特例として,開学後4年以内に定年を迎える者には,5年問の定年の特例期問を設ける。

3 給与
「地方独立行政法人法」の規定に基づき,給与は,教職員の勤務成績,法人の業務実績を考慮し,社会一般の情勢に適合しなければならない。公平性・信頼性・客観性・納得性を確保した業績評価を行い,その結果を反映し教員のインセンティブを高める給与制度とする。
・給与水準は,国公立大学教員に準ずるものとし,職務と業績等に関する評価により支給額を増減する給与制度とする。

4 研究費
研究活動の活性化を図るために,定額研究費に加えて,研究に対するインセンティブを高める特別配分研究費を導入する。


 札幌市立大の母体となる高専と高看の教員は,新設大学への移行の際,必ずしも全員が採用されるわけではなさそうである。したがって,実質上のリストラ問題が発生することも可能性としてある。この問題を論じた新聞記事を以下に掲載する。

札幌市立大教員採用 「修士以上」で公募 設置準備委が基準示す

北海道新聞(7/24)

 札幌市が二○○六年四月の開学を目指す札幌市立大学(仮称)の第五回設置準備委(委員長・内田和男北大大学院教授)が二十三日、中央区の京王プラザホテル札幌で開かれ、席上、教員の採用基準が示された。募集は公募で行い、教授、助教授、講師は「修士以上」が原則、給与は業績評価により増減させることなどが了承された。
 募集人員はデザイン学部四十八人、看護学部三十八人の計八十六人。十月をめどに公募を開始し、市立高専と市立高等看護学院の教員についてはこれに先立ち選考を行う。
 選考基準に当てはめると、大学教員になれない高専と高看の教員が少なからずいると見られている。これについて、新学長への就任が決まっている特別委員の川崎和夫・名古屋市立大大学院教授は「教員としての力がないとの意味ではないが、文部科学省の審査を控えている以上、(審査に通る)合理的な教員選考をすることになる」と述べた。
 また、デザイン学部は百二十四単位、看護学部は百二十八単位とするカリキュラム案も示されたが、委員から「デザインと看護の具体的な横の連携が見えにくい」などの意見が出され、専門部会でさらに審議することが確認された。
 次回は十一月に行われる予定。

<追う迫る>06年開学の札幌市立大学 教員採用で認識に差 高専教員「優先的に身分移行」/準備委「学位や資質を審査」

北海道新聞(7/14)

 札幌市が二○○六年四月の開学を目指す市立大学(仮称)の教員採用をめぐり、設置準備委と大学の母体の一つとなる札幌市立高専の教員との間で、認識の差が露呈してきている。教員数はデザイン系と看護系の二学部合わせて八十-九十人規模。インダストリアルデザイン学科のみの高専の教員らは「基本的に大学に行けるものと考えている」と楽観視するが、設置準備委は「それなりのレベルが求められる」と話す。十月にも教員選考が始まる予定だが、先行きは不透明だ。(池田静哉)
 「(高専の教員を)できるだけ新大学の教員にする、というのが市の公式見解。当然そうなると信じてますよ」
 自分が新大学に迎えられるかについて、高専のある教員はこう話す。高専には三十五人の教員がいるが、その多くが採用されると楽観視しているという。高専は将来、大学になることを想定して設立され、教員もまた大学の教員になることを前提に迎えられた経緯があるからだ。
 また、高専教員の立場は市職員。公務員法上、恣意(しい)的な解雇はできない。かといって市の一般事務職への配置も難しく、「大学以外、選択肢は残されていない」(教員の一人)というわけだ。
 ただ、準備委の見解は厳しい。
 大学を開設するためには、文部科学省による教員の資格審査があり、博士号などの学位の有無や、過去の論文などの研究実績、教育者としての資質などが調べられる。
 市は来年の四月にも文科省に大学の開設認可を申請する予定だが、大学の三割、短大の六割が定員割れという現状があり、新しい大学を設立する場合、審査は厳しくなる傾向があるという。
 一方、高専教員三十五人中、博士号を持つのは十人。新大学のカリキュラムは九月にも概要が固まるが、現教員の持つ博士号がカリキュラムに必要とされる分野なのかどうかも不透明だ。
 もう一つの母体となる市立高等看護学院については、新大学への移行を前提に設立されておらず、教育体制も高看と大学とでは根本的に変わるため、高専とは事情は異なるとみられる。
 札幌市の大学設置準備室の橋本道政室長は「魅力ある大学を作るには教員の質が勝負。市民論議の経過から見ても、今いる教員をまず優先、という話にはなりにくい」と話す。
 設置準備委もこうした意見を反映しなければならず、今後の動向が注目される。



[関連ニュース]
教員を今秋に一般から公募 札幌市立大(毎日新聞北海道版7/24)

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月29日 01:57 | コメント (0) | トラックバック (0)
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大学教員の任期制、「短い年限で実績を過大に評価するのは問題が大きい」

持論時論<斉藤秀幸(地方公務員)=36歳・名取市>/国公立大の独法化

河北新報(2004/07/29)

目先の業績評価に疑問

 4月に全国の国立大学が、独立行政法人に移行しました。公立大学も、多くが数年以内に移行するようです。この独立行政法人化(以下、独法化)の是非については、さまざまな考え方があるでしょう。しかし個人的には、問題の大きい制度ではないかと考えます。
 確かに、独法化によって研究費が増える分野はあると思います。逆に研究費が削られ、存続が難しくなってくる分野も出てくるでしょう。多くの識者が指摘しているように、学問全体の健全な発展を図るためには、独法化はあまりにも拙速だったのではないか、と思います。
 独法化に伴って、教員任期制が導入されます。これにも、大きな問題があります。5年から10年程度ごとに教員の研究業績を評価して、その教員を再任するかどうか判断しようというもので、一見すると非常に理にかなった制度のように見えます。ただ研究活動は、言うならば未知の分野への挑戦ですから、ハプニングや行き詰まりもあると思います。新発見や新たな理論を構築したとしても、学会などで認められるまでには、多くの困難が伴うことも予想されます。
 このような困難の克服に、5年から10年掛かってしまう、ということもあり得ます。その困難の性格や程度は、研究テーマによって、さまざまだからです。研究活動のこのような側面を軽視して、短い年限での実績を過大に評価するのは、問題が大きいと考えます。
 教員任期制がもたらす弊害として、教員の中には困難が少なく、業績の上がりやすい研究テーマに変更する者も出てくるのではないか、ということが考えられます。これは長期的に見ると、日本の大学のポテンシャル低下につながると思います。
 次に考えられるのは、大学の教員もいわば生身の人間、不運にして家族の介護の問題や自らの健康問題などで、数年間は研究業績が十分に上がらない場合もあり得るということです。しかし、こうした問題が解決した後で、優れた研究業績を上げた人も少なくないと思います。
 優れた研究業績とは一体どのようなものであるのか、あるいは優れた大学の教員像とはいかなるものであるのか、ということは大変難しいテーマです。
 ガリレオやメンデルが評価されたのは死後です。ノーベル賞を受賞した田中耕一氏の研究成果が、予想外のミスから生まれたものであることを考えると、教員任期制には、いささか弾力性のなさを感じます。研究費の合理的な配分や教員の待遇の格差については、独法化や教員任期制にまで踏み込まなくても、十分可能ではないかと考えます。(投稿)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月29日 01:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年07月28日

東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団、「勤務条件交渉についての弁護団意見」

「勤務条件交渉についての弁護団意見」(2004年 7月28日)より

勤務条件交渉についての弁護団意見

2004年 7月28日
東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団
弁護士 尾林 芳匡 
弁護士 松尾 文彦
弁護士 江森 民夫

1 「任期制」について
2 定款および規則の提案
3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
4 「昇任基準」と「任期制」との連動
 (1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
 (2)当局自身の資料によって連動は明らか
 (3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
5 「旧制度」は不利益変更
 (1)不利益変更は明白
 (2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
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 都立大学・都立短期大学職員組合は、都立4大学の公立大学法人「首都大学東京」への統合・移行について、教職員の雇用と勤務条件を擁護する立場から東京都当局と交渉を開始しており、その中で当局から書面による回答も出されている。今般当弁護団で当局の回答について検討した結果について、次の意見を述べる。

 1 「任期制」について
 組合が、「任期制」は教育研究に責任を持つ組織において十分な検討を行い慎重かつ限定的に導入すべきことを求めているのに対し、要旨次のように回答している。
 ①大学教員任期法および労働基準法が有期契約を可能としている。
 ②「研究員」については、通算8年、「准教授」については10年の範囲で、教授については年数を限らず、通常の勤務成績・業績を上げていれば、再任できる制度とする。
 ③評価については、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していく。

しかしこれらの回答は誠実さを欠くものである。
(1)組合が指摘しているのは任期制を導入することが大学の研究・教育に責任を持ってこれを発展させる上で合理性が認められないのではないかという点であり、労働者が合意するときに法律上可能であるか否かではない。当局の回答は、大学において任期制を導入することの合理性を、何ら具体的には説明しようとしていないものである。当局は、任期制を導入することでどのように大学の研究・教育の質が向上するのかについて、具体的に説明すべきである。もしこれをしないとするならば、任期制が、研究・教育にとって何ら合理的なものではなく、単に教員の地位を不安定にしその権利を弱めるためのものであると自ら認めるに等しいものである。
 任期制を労働者および労働組合が合意していないのに一方的に導入することが許されないのは当然である。そして、任期制に同意しなければ昇給・昇任ができない制度にもまったく合理性がないことは明らかである。
(2)当局は導入しようとしている任期制は通常の勤務成績・業績を上げていれば再任されるものであるとくり返し述べる。しかしこのような制度であれば、それはもはや任期制とは言えず、期限の定めのない契約としつつ、勤務成績・業績が著しく不良な場合に解雇すれば足りるのである。当局が任期制に固執しつつ、このような抽象的な説明を繰り返すのは、任期制への同意を促し、任期制によって教員の身分保障を著しく弱める意図に他ならない。
(3)当局は、教員の評価について、各専門分野の特性に配慮した評価基準を策定し、教員が参加する人事委員会と教員選考委員会において実際の評価を行い再任等を決定していくと説明している。しかし評価をそのように行うためには、その前提となる学部の組織や教学過程についても、「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しなければならないはずである。2003年8月以降、当局が現行4大学の教職員との誠実な協議の中で4大学の統合を検討することを拒否することを言明しているもとで、移行後の教員評価についてのみ「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で行うと唱えても、何ら説得力がない。当局は、教員の評価について「各専門分野の特性に配慮」し、「教員が参加」した体制で検討しようとするならば、現時点の現行4大学教員に対する頑迷な態度をただちに改め、統合後の大学に関するあらゆる問題について、現行4大学の教員との間で開かれた誠実な協議を行うよう、その態度を改めるべきである。

 2 定款および規則の提案
 組合は、「任期制」の導入について、定款およびそれに基づいた規則の案を示して協議すべきことを要求しているが、これに対し当局は、大学教員任期法で要求される規則、労働基準法で要求される就業規則は平成17年4月の設立前に新大学設立本部―経営準備室で案を策定して提示するが「今後詰めていく」内容があり、就業規則(案)を提示していないのは当然だと回答している。
 しかし、この回答も組合の要求を歪曲したものである。当局は、任期制を標榜しながら「通常の勤務成績・業績を上げていれば再任される」と宣伝し、現行4大学における教職員の生涯賃金よりも明らかに低下する賃金制度を提案しながら「不利益変更にあたらない」と主張している。これに対し組合は、規則の案が示されれば、その文面の客観的な解釈についての交渉ができるし、現行4大学の処遇と比較してどれだけ不利益になるかを算出することもできることから、規則の案を示しそれに基づいて交渉を行うことを要求してきたものである。
 当局は、このように交渉の前提として規則の案を提示することを求める組合の要求に対して、交渉の途中である以上規則の案の提示を求めることはおかしいと主張しているのであり、組合の主張の歪曲の上に立つ道理のない回答であることは明白である。
 また、定款および規則の提案が設立直前であれば、組合において十分な検討も十分な意見表明も困難である。当局は速やかに規定の案を策定し、教職員の賃金がどのように変化するかの具体的な試算も組合に示し、誠実な交渉を行うべきである。

 3 当局の提示する勤務条件は不利益変更
 組合は、当局から現在提示されている「新制度=任期制・年俸制」は、明らかな不利益変更にあたると主張しているのに対し、当局は、要旨次のように回答している。①「新制度」は通常の職務を行い通常の業績を上げていれば下がらないから不利益変更に当たらない。②評価制度を前提とした「任期制」で各教員の業績が適正に評価されるから教員にとって不利益変更とはならない。
 しかしこれらの回答も正当なものではない。
(1)当局の提示によると、「新制度」でも、とくに若い教員にとっては、現在正当に期待できる賃金が大幅に減少する。「通常の業績」をあげていても助手(研究員)は8年、助教授・講師(准教授)は10年しかその給与が期待できない。したがって生涯賃金が大きく減少することは疑いない。
(2)当局の主張するような適正な評価が行われる保障も乏しい。民間企業における「成果主義」賃金も、評価が不公正であることや総額賃金が抑制されること、あるいは評価者との人間関係などによって評価が左右され真に組織としての業績につながらない等の弊害が指摘され、見直しが始まっている例も多い。
 また、大学における学問研究や教育は、営利企業のように収益によって評価することができるものではないから、その適正な評価は、営利企業におけるよりもさらに困難である。
 したがって、評価制度を根拠にして不利益変更にはあたらないとする当局の回答は、まったく理由にはならないものである。

 4 「昇任基準」と「任期制」との連動
 組合は、「昇任基準」と「任期制」とを連動させるべきではないことを主張し、これに対し当局は要旨次のように回答している。①助手の昇任審査は、助手再配置の誘因ではない。②昇任審査等の新制度は、新法人の「政策選択の問題である」とする。
(1)誠実に答える姿勢を欠いた回答
 当局は、助手の昇任審査と再配置との関係についてのみ回答しているが、組合の要求の核心は、昇任問題を「再配置」、「任期制・年俸制」など都が構想する新大学のあり方への同意を強制する道具として利用してはならないという点にある。このような利用が行われれば、本来、新大学における勤務条件は、現行大学の教職員との協議をもとに決定されるべきであるにもかかわらず、現行大学の教職員の自由な意見が抑圧され、都の意向が押しつけられることになるからである。
 このような性格の問題であるにも関わらず、その一部にだけ申し訳程度に回答する都には、組合の要求に誠実に答えようとする姿勢が欠けている。
(2)当局自身の資料によって連動は明らか
 この間当局自身が明らかにしてきた材料に即して考えれば、昇任問題が、「再配置」、「任期制・年俸制」に連動させられていることは明らかである。
 当局の「新大学の教員の任用制度」によれば、助手の昇任及びいわゆる「旧制度」(終身雇用。昇給・昇任なし。)と「新制度」(昇給・昇任あり。任期制・年俸制。)の選択問題は、次のようになる。
 すなわち、昇任しようと思えば、「新制度」を選択しなければならないのはもちろん、その前段では「昇任審査」を受けなければならない。そして、「昇任審査」を受けるためには、新大学を担当していなければならず、そのためには、「意思確認書」を提出していなければならないのである。
 他方、都が構想する再配置は、その内容について、「もっぱら『経営的観点』と機械的な平準化論に基づいており、助手の教育研究、とくに新大学における学生や院生の教育上の職務を考慮したものではないことを当局自身が認めています。」(組合の2004年6月14日付「助手再配置問題に関する緊急要求」)などと厳しい批判が寄せられているものである。
 そして、当局の「新大学における研究員(助手)の任用制度について」が「現在、理工系の助手については、大学間、学部・学科間でアンバランスがあることから、新大学の設置に当たっては、その再配置を行う。」、「助手の再配置を適切に行うため、一定の要件を満たす者については、新大学において『准教授B(仮称)』という呼称を使用することを認める。」とのべていることから明らかなように、助手が新大学を担当することが前提である。これに関連して、管理本部は、組合との交渉の中で、「意思確認書を出さないで助手のまま残る人は、再配置しません。旧大学担当ですから。」とも述べている。
 以上のことから明らかなことは、助手が昇任しようと思えば、新大学を担当せねばならず、かつ、「任期性・年俸制」の「新制度」を選択しなければならないのである。この点に関しては、昇任審査に合格しても、「新制度」を選択しなければ、昇任できないとの説明を組合に行っている。また、当局が示した「准教授B」に「昇任(学校教育法上は助手であるから、厳密な意味で昇任とは言えない)」する「一定の要件」では、「いずれかを満たす助手」の二つの要件のうちの一つとして、内容上問題が指摘されている再配置を受け入れることが掲げられている(一定の要件2‐再配置になる助手で、過去3年間において、研究実績があるもの)。
 これは、まさに、「昇任審査」を「再配置」の誘因とし、「任期制・年俸制」と連動させることにほかならない。
(3)「政策選択」の名による合理化は許されない。
 このような制度は、都の回答のように「政策選択」の名で合理化できるものではない。
 組合弁護団意見書その2「東京都の『新大学』における任期制の導入に関する弁護団の意見書」(2004年)2月9日付)は、新大学設置の根拠法である地方独立行政法人法によれば、移行型独立行政法人である新大学においては、現教職員の身分は当然包括的に新大学に移行するのであって、身分移行にあたって教員の身分保障を否定したり、勤務条件を一方的に切り下げることは許されないこと、さらに「大学の教員の任期に関する法律」(任期制法)や労働基準法等に照らしても任期制等の一方的押しつけが許されないことを詳細に明らかにした。
 また、地方独立行政法人法成立の際の参院附帯決議は「地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」と述べている。
 すなわち、新大学における勤務条件を都が一方的に設定し、「昇任審査」を誘因にして、現在の助手の意思を押さえつけて、その勤務条件を押しつけるということは諸法に照らして違法なのであって、「政策選択」だとして合理化できるものではないのである。

 5 「旧制度」は不利益変更
 組合は、当局の提案する「旧制度」は不利益変更であると主張し、①教育研究部門(教学部門)の下での公正で透明な評価に基づく昇任機会を定める、②経営部門が少なくとも中期計画期間の職位、在職年数による給与基準を公表する、③住宅手当、扶養手当等は労働者として当然の権利であり、それらの支給を保証する、という3点を提案して根本的な改善を求めた。
 これに対し当局は次の通り回答している。①「旧制度」、「新制度」の制度全体で不利益変更に当たらない、②昇任機会は、教員が参加する人事委員会によって、公正で透明な評価に基づき、昇任の機会が担保される。しかし、昇任する場合は、「新制度」を選択する必要がある。③旧制度の給与水準は、諸手当を含め、現行と同様の基準を就業規則に定め公表すると回答した。このうち給与水準の公表(③)は当然のことであり、問題はその時期と内容であるが、他の①と②には、以下のような問題がある。
(1)不利益変更は明白
 「旧制度」、「新制度」の全体で不利益変更に当たらないとの回答は、まったくの誤りである。 まず、「旧制度」についてみれば、従来、地方公務員の場合には「昇給」や「昇格」の権利が法的に保障されてきた。
 東京都の条例では文言上は、「良好な成績」をおさめている場合に定期昇給の機会があると規定されているが、運用上は原則として定期昇給の機会があった。また昇格の機会は当然保障され、昇格できない身分の教員などは存在しなかったのである。 このような身分を有していた教員を、昇給・昇任なしの身分にすることは労働条件の不利益変更に他ならない。
 他方、「新制度」を選択すれば、昇給・昇格の機会はあるが、任期制によって、定期的に首切りの危険にさらされることになる。従来の終身雇用からの不利益変更であることは明らかである。
 したがって、「旧制度」、「新制度」いずれをとっても、不利益変更なのであるから、これら制度全体も不利益変更である。
 仮に、新旧制度の選択ができるとの主張がありうるとしても、一人ひとりの教員は、従来、終身雇用で昇格・昇給の機会があった立場から、これらのいずれかを放棄しなければならない立場を強制されるのであるから、選択の余地をもって、勤務条件の不利益変更を否定することはできない。
(2)昇任(人事)は教学部門で決すべき
 当局は、昇任の機会について公正・透明が担保されるという。
 しかし、当局の構想は、あくまで、「新制度」を選択しなければ昇任の機会がないということが前提なのである。なぜ、「旧制度」選択者には昇任の機会が与えられず、「新制度」選択者のみにこれが与えられるのかがもっとも不公正・不透明な点なのであって、これを不問に付して、教員が参加する人事委員会云々を持ち出してみても、何らの解決になるものではない。
 しかも、従来、大学教員の昇任を含む人事等の重要事項は、教授会によって決定されてきた。これによって、学問の自由と大学自治が保障されるからである。
 衆議院、参議院でも任期制法の決議にあたり「学問の自由および大学の自治尊重を担保としている教員の身分保障の精神が損なわれないよう十分配慮する」との付帯決議がなされている。
 昇任を教学部門で決定すべきであるとの組合の要求は、このような意味を持つものであり、単なる手続問題に解消できるものではないのである。
 当局の回答は、あくまで教員が「参加」する人事委員会による昇任決定であり、学問の自由と大学自治を保障する見地は全く欠落しているのである。
                                       
以 上

Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月28日 00:31 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年07月23日

任期制は大学教員の質を高めることにならない! 横浜市大、永岑三千輝氏

大学改革日誌(永岑三千輝教授)-最新日誌(2004年7月22日(3))

 「全国国公私立大学の事件情報」によれば、札幌市立大学も「任期制導入」と。来年4月開学の「札幌市立大基本計画案、やはり任期制導入 実績に応じた給与体系」と。「質を高めるため、採用期間に期限を設ける任期制を導入」と。教育公務員としての身分保障があり定年まで勤める教員では「質が低い」「質を高めることができない」という認識のようである。はたしてそうなのか? 任期をつけて首切りで脅かしつつ、しかも給与は実績で支払う、ということで、質のいい教員が集まり、その質のいい教員が任期を更新することになるのだろうか? 

 テニュア(終身在職権)がつけられた大学にチャンスがあればさっさと移るというのは普通ではないか。チャンスがない場合に、余儀なくいるだけではないか。質の高い教員を引き止めておくほどの実績に見合った給与(体系)とは一体いかなるものか? 実績と給与との相互関係は、公開されないとわからない。合理的なものかどうかもわからない。また、それが人を引き止めておくインセンティブになるかどうかもわからない。大学の研究教育にたずさわるものに対する考えが、なにか本質的なところで間違っているという気がする。

 大学教員が真理探究を第一の基準にして、研究教育を自由に推進することができるための制度的保障が、憲法や教育公務員特例法や学校教育法の精神を貫いていたことではないのか? 身分保障があるからこそ、自由に、さまざまな権威や利権(学問外的な諸利害)に対しても批判的なことが言えるのではないのか? 任期ごとの首切りを恐れたら、ほとんどの人は何も言えなくなるのではないか?

Cf. 大学教員の任期制を考える引用集(長野大学・石川剛志氏作成):「韓国からの特報」(韓国大法院判決・その解説、新設ルール等)

 大学教員の「質を高める」ためには、科学・学芸の論理に従った自由で民主主義的な競争的雰囲気(自由な研究、自由な意見表明、事実と論理を提示する自由な批判)こそが必要なのではないか。3年、4年、5年と言った短期間で首切りを可能とするようなことを武器にして、本当に「質が高まる」のか? そうでなくても、論文の本数などばかりが「客観性」の基準となって、3年とか5年程度でまとまるようなテーマだけを選ぶ風潮になってはいないか。 「質を高める」ためという目的と「任期制」という手段は対応しうまく合致しているか? 任期制導入の模範とされる自由競争の大国アメリカにおいて、助教授クラスで80%以上、教授クラスで90%以上がテニュアを獲得している(与えている、与えられている)というのは、何を意味するのか?

cf.アメリカの現状(教授90%以上、准教授80%以上、cf『文部科学省白書』、『諸外国の高等教育』をどう読むか、p4,7-9行)


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月23日 00:28 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年07月21日

札幌市立大基本計画案、やはり任期制導入 実績に応じた給与体系

札幌市立大学基本計画案-運営主体は公立大法人 議会委に市が報告 08年にも「大学院」

北海道新聞(7/21)

 札幌市は二○○六年四月開学を目指す札幌市立大学(仮称)の基本計画案を、二十日の市議会総務委員会に報告した。運営主体を公立大学法人としたほか、昨年九月の基本構想段階では設置自体を「検討する」としていた大学院の整備について、デザイン学部が○八年四月、看護学部が一○年四月を目指すとした。
 また、障害者を積極的に大学に受け入れる方針を明らかにし、受験の際には事前相談を受けた上で、点字や拡大文字による問題用紙の採用、障害を理由に解答に時間がかかる受験生については、別室試験も取り入れる考えを示した。
 入学定員はデザイン、看護両学部とも八十人だが、高専や短大、専修学校の卒業生を対象に三年次編入学枠を、デザイン学部に二十人、看護学部に十人設ける。
 また、仕事を持つ社会人が通学しやすいよう、都心部にある市の施設などを活用したサテライト施設を開学時から設置するほか、デザイン学部については二○一○年四月をめどに、「社会人夜間主コース」(定員二十人)の導入することも検討する方針を示した。
 十月にも全国から公募する教員は、質を高めるため、採用期間に期限を設ける任期制を導入。教員の実績に応じた給与体系も取り入れるとした。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月21日 02:21 | コメント (0) | トラックバック (0)
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2004年07月03日

任期5年、実績で再任 長野大が全教員対象に新制度

信濃毎日新聞(2004/7/03)

 長野大学(上田市)は本年度、全教員の任期を五年とする「任期制」を導入した。教員の資質や流動性を高め、教育研究を活性化、より優れた学生を輩出する狙いだ。学長、学部長らで構成する「評価委員会」が業績を評価し、基準を満たした教員は原則五年、再任する。四月一日以降の新規採用教員には、既に制度を適用。その前から在籍している教員には三年の猶予期間を経て二〇〇七年四月から適用する。

 今月中旬に検討小委員会を発足させ、今年中に業績評価の基準を決める予定だ。基準案によると、評価するのは(1)授業やゼミの教育実績(2)論文、著書など研究実績(3)大学運営への貢献(4)地域活動、社会貢献―の四分野。

 従来の業績評価では軽視されがちだった教育実績を重視、学生にとってよりよい教育を提供する教員が高い評価を受けるよう改めるという。

 教員が提出する書類や学生の授業評価に基づき、任期満了の一年前、過去四年分について評価し、教員に通知する。教員は評価結果に不満があれば異議申し立てができる。

 再任は、講師と助教授はそれぞれの職位で二期十年まで、教授は任満了時の審査で優秀と認められた場合は六十五歳の定年まで在任できる。

 全教員の任期制は珍しく、ある教授によると、検討過程では不安を感じる教員もいたという。身分が不安定になるほか、教育の場に任期制はなじまないのではといった懸念も背景にあるとみられるが、個性ある大学づくりを目指し、昨年から検討を続けた結果、今年二月の理事会で決定した。

 現在、学長を除く教員は四十九人。このうち任期制が既に適用されているのは助教授一人と講師三人。

 井出嘉憲学長は任期制を説明する書面で、「首切りの制度というイメージがあるかもしれないが、再任の機会もあり、教育の質を高める手段だ。公正に評価し、良質な人材の確保に努めたい」としている。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年07月03日 02:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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