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2002年12月
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2002年12月26日

九州大学全部局・全教員への任期制一律導入反対の申し入れ

(出所)九大教職員組合「九州大学全部局・全教員への任期制一律導入反対の申し入れ」

2002年12月26日

九州大学学長 梶山 千里 殿
九州大学教職員組合 執行委員長 中江 洋

九州大学全部局・全教員への任期制一律導入反対の申し入れ

 九州大学では現在,農学研究院および工学研究院にて「全教員への任期制導入」が決定されようとしており,同時に全学将来計画委員会から各部局に対して,平成16年度からの独立行政法人化移行後における「全部局・全教員への任期制一律導入」についての意見聴取が行われています。
九州大学教職員組合では,従前より,高等研究教育機関における任期制は,学問の教育・研究の趣旨にそぐわないとの理由から反対してきましたが,今回の動きは,以下の理由から,従前とは比較にならないほど憂慮すべき事態であると認識します。

 1.将来計画委員会内で検討されている「全部局・全教員一律導入」は,期限のない雇用を前提に任用されている教員に対して,個々の部局や教員の意志とは関係なく大学の意志として任期制への移行を強いるものであります。これは平成9年に種々の議論の末制定された任期制法のそもそもの趣旨に反する逸脱行為であり、違法であります。また、労働基準法からみても労働条件の不利益な変更であり、就業規則作成の際、労働基準監督署がこれを認めないことさえ十分に予想されます。このような問題について,将来計画委員会文書自体が「根元的議論を行う必要」という意見の存在を想定しながら,それを退けて早急に検討しようとするのは,あまりにも乱暴と言わざるをえません。
現在導入が進められている「全部局・全教員一律導入」が現実のものとなれば、教員のリストラ
や教育・研究諸分野のスクラップ・アンド・ビルドに利用される危険性があります。そうだとすればこれは単に個別の教員の地位に関わる問題ではなく,教員が担当している専門領域,さらには,九州大学の今後の研究教育体制全般に関わる大問題であります。

したがって九州大学教職員組合では,現在進められている「全部局・全教員への任期制導入」の検討
を即刻中止することを求め,以下のことを申し入れます。

 一.任期制導入は労働者の権利という観点から教員の身分と労働条件の重大な変更を意味するので,労働組合との協議・検討を要する事項であることを認めること。
 二.任期制導入は,九州大学の教育・研究体制にかかわる将来計画と不可分に関連していることから,「任期制の根元的議論を行う」ことがあまりにも当然な最低の前提であることを認識し,そのような議論を文字通りに全大学構成員が行う十分な時間的余裕とプロセスを保障すること。
 三.労働組合との協議・検討や全学的な根元的議論がまったくなされていないままに,想定されている法人化後の「九州大学の教員人事の基本方針」や現在検討中と思われる「中期目標・中期計画」に,このような「全部局・全教員への任期制導入」など決して盛り込まないこと。


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2002年12月03日

九州大学における任期制導入についての諸問題

(出所)九大教職員組合「九州大学における任期制導入についての諸問題」(2002.12.3 書記局会議)

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九州大学における任期制導入についての諸問題(2002.12.3 書記局会議)

 九州大学では、平成16年度からの独法化をにらんで、教員の任期制導入の動きが進んでいます。ここでは、部局や集会での議論にお役立ていただくため、書記局による現状と問題点を分析を提供します。
 平成6年の法律制定、同13年の九大規則の制定以後、九大では任期制導入の法制的整備は進み、一部の部局ではすでに導入されています。九大規則のポイントは、任期制の対象その他の詳細は、各部局の判断と決定に委ねられていることです。
 今回、農学および工学研究院において、全教員、全職種一括導入が決定され、各教員からは「同意書」をとりつけることになりました。導入の趣旨については、「大学執行部からの上からの導入の前に、現場に有利な独自規則を部局でつくる」という説明が行われ、「事実上ほとんどすべての教員が再任可となるであろう」とも非公式の場では回答されています。また、九大執行部からは、独法化以後において「全教員、全職種」への任期制を導入することを前提に、現在各部局の意見聴取が行われています。
 以下、現在九大で進められている任期制導入の問題点を分析します。なお、関係の資料は組合で収集・公開していますので、書記局あるいは支部役員へお問い合わせ下さい。
 最後に、現在書記局で議論している今後の闘争方針についても、参考までに添付しました。ご意見をお寄せ下さい。 組合では、今後も、九大や全国の情報を収集・分析していきます。
0。全般的状況
ー1:法制化 ー平成9年6月13日法律第82号 ー平成13年4月1日「九州大学教員の任期に関する規則」ー任期制は、労働協約問題ではなく管理運営問題との解釈
ー2:現行の九大規則のポイント ー研究組織および職等は個別に定める~実質的に部局が決定ー任期を定めて任用する場合に、所定の書式による同意が必要 ー規則については、広く公表し、必要な事項は評議会の議を経て総長が定める
ー3:導入状況 ー生体防御医学研究所付属感染防御研究センター、応用力学研究所、機能物質科学研究所で導入済みー農学研究院、工学研究院に全教員へ一括導入予定: ー独法化後、全部局において導入を検討するようにとの大学執行部からの指示ーまとめ:制度化の形式的側面 ー法制的整備はすでに済んでいる ー各部局の決定として導入ー工学・農学研究院提案の奇妙な性格と、今後の各部局の動向

1。任期制の適用:全部局全教員一括導入と、本来の趣旨との齟齬
ー1:全部局、全教員 ー本来の趣旨は、特定の「先端的」研究職のみが念頭にあったのではないかー教員のすべてが「主体的に研究を行う教員」ではないという現実 ー全国レヴェルの教員流動化という理念と、夢物語という現実の齟齬
ー2:高度な研究・教育との齟齬 ー高度な研究・専門教育は長期的展望を含み、短期の任期になじまないー高度な専門教育では、特定教員の専攻領域が院生に重みを持つという現実 ー研究・教育評価はすでに種々試みられ、改善が進行中
ー3:再任問題:農学・工学研究院提案について ー「全教員対象で、100%に近い再任」?:再任が前提とされる任期制は形容矛盾ー「再任」とは何か?:期間満了により退職の上、再雇用? ー現時点での趣旨と、将来における運用

2。手続き、審査基準
ー1:手続き:農学・工学研究院提案を念頭に ー現在の状況での同意書の提出は自由意志か、拒否することはできるのかー現時点での処置と、独法化の時点での処置との関係:実質的継承関係? ー独法化後の任期制規則はどのようなものなのか
ー2:審査、および審査基準 ー審査の対象枠組み(専攻領域、身分・地位、主要な業務、ほか)ー審査項目(論文数、授業負担、ほか)・基準(項目の達成度) ー審査委員会の構成および審議経過の公正、透明性
ー3:最終的な身分の変更 ー決定の責任主体(教授会、評議会、学長、理事会、ほか)ー公正な第三者機関によるチェック機能(異議申し立て・仲裁) ー身分の消失か、あるいは身分・地位・職種・職場等の変更はあるのか

3。なぜ今九大に導入か:政治的側面

ー1:大学改革 ー組織再編・リストラ:学問の生き残り競争? ー財政問題。財政難。独法化、キャンパス移転。業務のアウト・ソーシング
ー2:大学活性化と研究者流動化:「流動化による活性化」への疑問 ー研究・教育者市場の流動化が全国レヴェルで本当に展開するのかー「有能な」人材が九大に集まるのか。九大への愛着の減退と、人材の流出 ー教員の「使い捨て」による、意欲・活力の低下
ー3:「前へ逃げる」失速な自己改革?:農学・工学研究院提案を念頭に ー先駆けて任期制を導入することが、事後の有利な規則制定・運用を保証するのかー部局責任体制の事実上の崩壊と、大学運営チェック機能の弱体化

4。労働環境問題

ー1:身分・地位:全国的課題 ー退職金、雇用保険等の条件未整備問題:「公務員に失業はない」という前提ー従前の公務員身分・地位からの重大な変更。契約違反
ー2:評価への不信 ー学内民主主義への不信:評価(勤務評定)の恣意性、職場環境の封建的性格残存ー現在の趣旨・約束と、将来の変更への不安
ー3:労働条件 ー任期制によるメリットの具体案なし:より高額の給与補填などの提案がないー全教員による「主体的な」研究を可能とする研究・教育条件の未整備=最低限「小講座」の廃止と、研究費その他の平等な分配の確保

闘争方針案

1。任期制の理念と現実の実施

ー1:適用対象 ー先端的領域、「主体的に研究を行う」職種への限定 ー大学構成員の実態に即した、種々の雇用形態共存の認識
ー2:手続きに厳格な枠をはめる ー審査(審査基準・審査過程・身分の変更)ー同意書(現状の地位の重大な変更という認識のもとでの、自発的な同意)
ー3:法制度処置の透明化、情報公開

2。大学運営全般のチェック・改善・対案提示

ー1:将来計画との関係 ー研究・教育組織の再編計画の民主的策定の環境づくりー公正な財政運営のチェック
ー2:よりよき人事制度の創造・維持への積極的関与 ー独法化後のあらたな教職員制度(リクルート、職種、昇任、ほか)ー複雑多様な職種の共存を前提とした人事制度(基盤部門と流動部門、ほか)
ー3:評価を念頭に置いた上での、研究・教育・労働条件改善運動

3。全般的状況改善と組合によるイニシアティヴ発揮、およびその前提

ー1:あらたな身分を前提とした、労働条件の整備 ー学内的には、労働協約や個別の労働条件整備のイニシアティヴをとるー学外的には、あらたな状況に適応する特別処置の制度化を広範な連携で要求
ー2:個別の問題への対応 ー個別法律相談ほかのサーヴィス ー個別事例の掘り起こしと、個別の対応要求
ー3:情報基盤としての組合の能力強化 ー全国的動向の情報収集・分析能力の向上、そして俊敏な公開ー大学内の様々な情報収集・分析能力の向上、そして俊敏な公開 ー特殊な法制的諸問題等への機敏な対応を可能とする態勢づくり


Posted by 管理者 : 掲載日時 2002年12月03日 14:37 | コメント (0) | トラックバック (0)
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