« 2001年03月 | メイン | 2001年06月 »

2001年05月
掲載事項(記事)一覧


2001年05月18日

研究者の任期制-やる気引き出す評価法カギ(Technoonline)

日経産業新聞(2001/05/18)

 国立研究所からの移行で四月に発足した科学技術分野の独立行政法人が、在職期間を三年程度に限定した研究者を採用する任期制の導入を積極的に進めている。五年間の活動計画をまとめた中期計画に数値目標を掲げた法人もあり、例えば環境省系の国立環境研究所は「研究部門中の任期付き研究員の占める割合を一三%程度とする」と明示している。ただ任期制がこのまま拡大することに懸念がないわけではない。
 組織の運営面で独立行政法人の裁量は、国立研究所時代に比べてぐんと増した。これまでのように所管する中央官庁にいちいちお伺いを立てなくても事業を遂行できるようになった。
 しかし、職員の定数を守るという基本原則はある。独法化は行財政改革の一環であり、職員の増加は行革の理念に反するからだ。任期制の導入は、終身雇用を建前とする正規職員を増やせないので一時雇用でカバーするという側面もある。
 もちろん優秀な人材をどしどし採用することで研究レベルは向上し、組織の活性化には大いに貢献する。短期的に集中投資を受けて優れた成果をいち早く上げたい、と願う研究者にも任期制は向いていると言えるだろう。情報技術(IT)やバイオのように、国際的に生き馬の目を抜く激烈な競争が繰り広げられている分野では、とくにその傾向が強い。
 しかし、任期制は良いことばかりではない。自然界を相手にするような宇宙、地球科学、動植物、環境、土木などのいわゆる息の長い研究分野では、計画段階からまとまった成果が出るまで数年から十数年かかるのが普通だ。三年程度で「目に見える成果を出せ」と要求するのは難しい。この場合、任期制だと身分が不安定になることから、かえって研究者のやる気をそぐ恐れもある。
 任期制は独立行政法人化を控えた国公立大学でも相次いで導入されており、すでに世の流れになりつつある。ただし研究者の業績を公正に評価する手法はいまだ定まっていない。独立行政法人の経営陣には、一人ひとりの研究者のやる気を最大限に引き出す評価システムをつくる努力が求められるだろう。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2001年05月18日 18:11 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://labor.main.jp/blog/archives/2001/05/post_14.html

2001年05月15日

大学教授も業績主義、国公立大に任期制広がる、研究の質向上-理工系目立つ

日本経済新聞(2001/05/15)

 教官の在職期間を限定する任期制の導入に踏み切る国公立大学が相次いでいる。東北大学や九州大学などが一部の研究所の全教官ポストに任期制を採用するなど、組織的に取り入れる例が目立ってきた。定年まで在職するこれまでの制度では人事が硬直化したため、優秀な人材を集めやすい任期制によって研究や教育のレベルを高める狙いがある。大学の独立行政法人化ともからみ、大学教官にも本格的な競争・業績主義の時代が訪れそうだ。
 東北大学は金属材料研究所が四月から教授を含めて約百六十のすべての教官ポストに任期制を導入した。任期は教授、助教授、講師がそれぞれ十年、助手が七年。在任中の業績を評価したのち、再任も可能だが、教授を除き再任は一回のみで任期も短くなる。制度は教官が新しく任用される段階で適用され、今春赴任したり昇格したりした十五人の教官が任期付きとなった。
 井上明久所長は「研究レベルが高まるだけでなく、結果として優れた若手の人材を多く供給できるようになる」と期待する。
 九州大学でも生体防御医学研究所が四月、全部門に導入した。任期は教授十年、助教授六年、講師と助手が四年。大阪大学産業科学研究所は助手の約五十ポストを対象に任期七年の制度を取り入れた。このほか、東京大学工学系研究科など理工、医学系の学部・研究科を中心に任期制導入が増えている。
 国公立大学の教官を含む公務員は、公務員法で任期付採用が原則禁じられている。米国の大学などに比べて、研究者の流動性が低いことが研究活動の足を引っ張っているとの批判から、国公立大学教官の任期制を認める特例法が一九九七年八月に施行され、制度に風穴が開いた。
 文部科学省の調べでは、一部でも任期制を導入している国公立大学・共同利用機関とその適用者数は九八年十月に十七大学・機関、八十三人だったのが、二〇〇〇年十月には五十六大学・機関、六百七人に増加した。国公立大学は全国に百七十三大学あり、教官は約七万人いる。文科省は「最新のデータはないが、現状ではさらに任期制による教官数は増えている」と話している。
 任期制は業績評価を前提としているため、どれだけ公平な評価の仕組みを整えられるかが制度を定着させるポイントになる。東北大金属材料研究所の場合、研究、教育、学会など学外活動の三分野について、合計七十項目を毎年チェックする仕組みをつくった。

Posted by 管理者 : 掲載日時 2001年05月15日 18:13 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://labor.main.jp/blog/archives/2001/05/post_15.html