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2000年12月
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2000年12月23日

第3回大学学長アンケート本社調査(上)6割が「教員評価に課題」(教育)

日本経済新聞(2000/12/23)

 日本経済新聞社は日経リサーチに委託して、全国の大学学長・総長六百五十人を対象に「第三回大学学長・総長アンケート」を行い、四百九十六人(七六・三%)から回答を得た。教員の業績評価が適正に行われていないと考えている学長が六割近くにも上る実態が明らかになった。また、教育改革国民会議が打ち出した「学部三年で大学院重視」の改革案には四割が賛成した一方、反対やどちらともいえないと言う学長も多く、評価が定まらなかった。
 大学の教員の業績評価が適正になされていないとの指摘に対する意見を聞いた。各学長は自分の大学について、「文系、理系を問わずその傾向が強い」(三五・九%)、「文系学部でその傾向が強い」(一八・八%)、「理系の学部でその傾向が強い」(二・六%)と考えている。三回答を合計すると、「適正に行われていない」という学長は五七・三%に達する。これに対し、「適正に行われている」は三六・三%に過ぎず、教員の業績評価が大学にとって大きな課題になっていることが浮き彫りになった。
 「適正に行われていない」という比率は、公立で四六・四%なのに対し、国立で五四・九%、私立で五九・五%。学生数が五千―一万人規模の大学で七一・三%、一万人以上で六八・九%、明治創立の大学で六四・八%、大正創立で七二・七%と、規模が大きく歴史の古い大学の学長に、適正評価がされていないと考えている人が多いという傾向が出た。
 理系の単科大では四六・〇%なのに、文系単科大では六四・二%に上り、理系よりも文系の方がより深刻な状況をうかがわせた。
 教員の業績評価に必要な手法を尋ねたところ、「学生による授業評価を加味した教員評価の実施」が三三・一%で最も多く、以下、「学内評価だけでなく外部の専門機関に評価を委託」(二七・二%)、「研究より教育を重視した業績評価の実施」(二二・六%)、「教員の任期制を拡大」(九・一%)、「教育より研究を重視した業績評価の実施」(二・二%)と続く。
 「専門機関に委託」は公立(三九・三%)が、国立(二八・〇%)、私立(二五・一%)に比べて多く、「教育重視の評価」は私立(二五・七%)が、国立(一九・五%)、公立(七・一%)より多い。「任期制」は国立が一一・〇%で公立は八・九%、私立は八・七%だった。
 「任期制」については学生数一万人以上の大学(一五・六%)、大正創立の大学(二二・七%)、医・歯系単科大(一四・八%)の学長に支持が多かった。
 教育改革国民会議は中間報告で、「大学の学部では、教養教育と専門基礎を中心に行い、大学院へは学部の三年修了から進学することを一般的なものとする」ことを提言、最終報告にも盛り込まれた。高等教育を一層の大学院重視に切り替えるこの提言について、学長の意見を聞いたところ、賛成が三九・三%、反対が二〇・〇%、どちらともいえない三八・七%、無回答二・〇%という結果が出た。
 賛成の内訳を詳しく見ると、国立四二・七%、公立三九・三%、私立三八・五%で、国公私による特に大きな差はない。反対については国立二二・〇%、公立二六・八%、私立一八・四%で、私立に少なく公立に多い。
 賛成する理由で圧倒的に多いのは、「より高い専門性と教養を持った人間を育てるには学部教育だけではもはや不十分」(八七・七%)。以下、「諸外国では、博士号や修士号を持つ専門家が活躍するのがあたりまえ」(五・六%)、「大学院拡充は大学の生き残りにつながる」(一・五%)、「学生のニーズが高い」(〇・五%)、「社会のニーズが高い」(〇・五%)と続く。学部教育だけでは不十分という意識が極めて強い半面で、学生や社会のニーズの高まりをあげた学長はほとんどいなかった。
 一方、反対の理由では、「大学教育は学部教育が中心であるべき」が六一・六%と最も多く、学部教育軽視にもつながりかねない提言への抵抗感が強い。どちらともいえないと答えた学長は、「学部の性格によって事情が異なる」(四八・四%)、「個々の大学の選択に任せるべき」(三四・九%)が圧倒的理由だった。
 国民会議は大学院拡充の方策として、「プロフェッショナルスクール(高度専門職業人教育型大学院)と、研究者養成のための大学院(研究者養成型大学院)の設置」を打ち出した。各大学の対応を聞いたところ、「プロフェッショナルスクール、研究者養成型大学院ともに持つ大学を目指す」が四四・二%、「プロフェッショナルスクールを持つ大学を目指す」(三三・一%)、「研究者養成型大学院を持つ大学を目指す」(四・四%)、「学部教育特化の大学を目指す」(一四・一%)という回答だった。
 「ともに持つ大学」を目指すのは、国立が六三・四%、公立五五・四%、私立三八・〇%。「プロフェッショナルスクール」を目指すのはそれぞれ二八・〇%、二三・二%、三五・八%、「研究者養成型」は同三・七%、一〇・七%、三・六%。「学部教育特化」は同二・四%、八・九%、一七・六%だった。
 国立では両タイプを兼ね備えた大学院志向が強いのに対し、公立は「研究者養成型」、私立では「プロフェッショナルスクール」を目指す傾向が強い。また、私立では六人に一人が「学部教育特化」を挙げているのも特徴だ。学部教育特化を目指す学長は、昭和四十年代以降創立の大学に多い。
 一定の割合の受験生を暫定的に入学させ、一年間の成果によって改めて合否を判定する暫定入学制度については、「点数主義の入試から脱皮できる」(四・六%)、「受験生の適性が見られる」(二八・〇%)、「大学に合わないときは他に移れる」(六・五%)、「学習のインセンティブを与えられる」(七・九%)との理由で賛成という学長が四七・〇%に上り、比較的好意的に受け止められている。
 一方で、「大学としてメリットを感じられない」(一三・三%)、「受験生にメリットが感じられない」(五・二%)、「受験生確保に苦労している中で現実味がない」(一一・五%)との理由で反対という学長が三〇・〇%、「どちらともいえない」が二〇・〇%いた。
 賛成は公立が五五・四%と最も多く、反対は私立が三三・二%で最も多い。


Posted by 管理者 : 掲載日時 2000年12月23日 18:18 | コメント (0) | トラックバック (0)
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