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1997年04月
掲載事項(記事)一覧


1997年04月30日

「大学の教員等の任期に関する法律案」の閣議決定・国会提出に抗議し、廃案を求める

(出所)都大教ホームページより

「大学の教員等の任期に関する法律案」の閣議決定・国会提出に抗議し、廃案を求める

 政府は4月8日、大学教員に任期制を適用するための法律案を、閣議での決定を経て、ただちに国会へ上程しました。任期制の導入を求めた昨年10月の大学審議会答申以降、大学における研究・教育の発展の視点から、また、憲法・教育基本法および現行の労働・公務員法制に抵触する可能性など、幾多の根本的な問題点が指摘され、性急な法制化に反対する声が広がってきていました。私たちも加わって、去る3月3日、県内4大学、14名の呼びかけ人の提起に370名余の賛同を得て「大学教員の任期制の法制化に反対する鹿児島県大学人の声明」を発表し、教員の身分を原則的に「期限付き雇用」という形態に変える今回の施策に懸念を表明したところです。
 答申に至る過程でも、国立大学協会、私立大学団体連合会、さらに大学基準協会などから、学問研究の自由を尊重するという視点の欠落や、教員の身分保障が不安定なものになった場合の人材難、さらに長期的な視野を必要とする学術文化の発展への支障といった懸念や批判が相次ぎ、慎重な審議を要望する声が広がっていました。こうした各方面からの疑問や主張を全く顧みずに法制化が強行されようとしていることについて、私たちは政府の姿勢をきびしく批判せざるを得ません。
 今回提出された法案では、任期制が該当するものを、(1)先端的、学際的または総合的な教育研究が行われる組織などにおいて、多様な人材が求められる場合、(2)自ら研究目標を定めて研究を行う助手、(3)特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う場合の3種類に限定しています(第4条)。しかし、後の二者にくらべて第1号の規定は例示された特性が抽象的で、解釈もまたかなり恣意的になし得る余地をもったものになっています。大学審答申の特徴だった、すべての大学教員を対象に、一定の期間、すなわち任期満了のたびに再任するか否かを審査しようという考え方が、このたびの法案に色濃く反映したことが指摘できるでしょう。
 このような制度のもとでは、継続性と計画性を必要とする、学生の個性に応じた教育や、将来を担う若手研究者の成長はもとより、中長期的視野にもとづく独創的で萌芽的な研究もまた困難になることは、火をみるよりも明らかです。雇用期限や審査をたえず意識させられることによって、研究テーマの設定や研究計画の構築、ひいては研究の質的な水準などにまで影響が及ぶことは必至です。任期満了時の審査に関して、「公正な基準やプロセス」についての議論を欠いたままでは、かえって一面的で恣意的な業績評価がまかり通る可能性も大きく、教育・研究を活性化させるどころか、真理追究の場としての大学を荒廃させるきっかけともなりかねないのではないでしょうか。
 大学教員の身分保障の根拠のひとつは憲法23条の「学問の自由」にあり、教育基本法や教育公務員特例法によって、教員の適正な待遇の必要をうたっているのは、職責の遂行と学問・研究の自由、そして大学の自治が不可分の関係にある重要なものと考えられてきたからでもあります。さらに、近々ユネスコでは「高等教育教職員の地位に関する勧告」が採択される予定で、そこでは、学問の自由と「在職権」など雇用の継続性の関係の重要性がとくにうたわれると言われています。まさにこの時期の政府・文部省による法制化の強行は、こうした国際的な動向にも逆行する、見識を欠いた不当なものと言うべきでしょう。
 私たちは以上の懸念や疑問から、任期制導入を急ぐ政府の姿勢および今回の法案を断じて容認することはできません。政府に対しては同法案の撤回を求めるとともに、国会においては、十分に審議の上、問題点を広く国民の前に明らかにした上で明確に廃案とするよう強く求めるものです。

1997年4月30日

鹿児島大学教職員組合
日本科学者会議鹿児島支部

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1997年04月26日

宮崎県内大学・高専交流会での任期制反対アピール

(出所)都大教ホームページより

宮崎県内大学・高専交流会での任期制反対アピール

 4月26日,日本科学者会議宮崎支部・宮崎大学教職員組合・宮崎産業経営大学教職員組合・都城高専教職員組合の主催で,宮崎県内大学・高専交流会「大学の民主化と任期制について考える会」が開かれ,下記のアピールが採択されました.宮崎県内で私立大学も含めてこのような交流会がもたれたのは初めてのことです.集会の模様は翌日付の朝日新聞地方版でも好意的に紹介されました.
なお,宮崎大学では,任期制反対の署名数(全大教が取り扱い団体のもの)が,全学部(農・教育・工の3学部)で教員の半数を越え,大学全体では70%に達しています.

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大学教員任期制に断固反対する

 政府は4月8日に「大学の教員等の任期制に関する法律案」を聞議決定し、国会に上程しました。「大学教員の任期制」については、これまでにも大学関係諸団体が反対表明し、また「任期制」の危険性を指摘しているにも拘わらず、咋年のl0月29日に出された大学審議会答申以降、十分な論議もされないまま文部省が今国会への法案提出作業を進めてきたものである。われわれは、この法案がわが国の大学における教育・研究の質と機能を著しく低下させると考え、以下の理由により反対の意志を強く表明する。
 l.教員に任期を付けることにより、業績の作り易い短期間の研究に陥り、長期の時間を必要とする基礎的研究が衰退することになり、特に若手研究者の育成に支障をきたす。
 2.教員の業績評価が研究業績に限られる現状では、学生の教育が軽視され易く、教育機関である大学の本来の機能を低下させる。
 3.教員の任用に際し、大学管理機関の意向が強く反映され、人事が歪められるおそれがあり、学問の自由・大学の自治の形骸化が一層進められる。
 4.教員の身分や生活が不安定になることが容易に想像され、地方の大学では特に教員の確保が困難になる。
 5.任期制導入は、大学教員のみにかかわる問題ではなく、財界が日本の勤労者の終身雇用体系を有期雇用体系に変えていこうとする道への突破口となる。

l997年4月26日
宮崎県内大学・高専交流会
-大学の民主化と任期制について考える会-

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1997年04月25日

富山県大学等教員有志、大学教員等の任期制「法制化」に反対する

(出所)都大教ホームページより

大学教員等の任期制「法制化」に反対する

富山県大学等教員有志アピール

昨年10月29日、大学審議会は、「教員の流動性の向上による教育研究の活性化」をはかるためとして、「大学教員の任期制」導入のための法制の整備を答申しました。「十年一日の講義ノートで論文も書かない教授が住む『愚者の楽園』」(96年9月27日付朝日新聞社説)というのが日本の大学の一般的な姿であるとは思いませんが、現在の大学が、様々な問題に対して十分な自浄能力がなかったり、「ぬるま湯的」であることは否定できません。その意味で、「自己改革を怠り、外部から任期制という劇薬を処方される事態を招いた大学人は、不明を恥じるべきではないか。」(同社説)という指摘は真摯に受け止めなければならないと思います。しかし、いま準備されている任期制の「法制化」は、大学における教育研究の活性化に資するというよりは、むしろより多くの弊害をもたらすものであるとわれわれは考えます。

大学教員の解雇合法化につながる

文部省は、現在開会中の通常国会に、大学教員等への任期制の導入を可能にする法案を提出しようとしています。現行法制下では、大学教員に任期制を導入しようとすると、(1)国立大学教員に任期をつけて雇用することを禁じている国家公務員法・人事院規則、(2)1年以上の期間を定めた労働契約を禁じている労働基準法第14条(私立大学教員の場合)の2つに抵触するためで、おそらく特別立法という方法でその法整備をはかるものと考えられます。これによって、任期が切れた時点で大学教員を合法的に解雇することが可能になります。これは、戦前の反省に立ち、学問の自由と大学自治を守る上での重要な柱として戦後確立された、大学教員の身分保障を制度的に崩壊させるものです。すべての職階を対象にする任期制は世界に例がない
 大学審議会答申は、任期制の対象教員について、「制度上は、教授から助手まですべての職を対象にし得る」としています。すべての職階を対象とするような任期制は世界に例がなく、労働者・生活者としての大学教員の身分は極めて不安定なものになります。

任期満了と同時に退職が原則に
任期制が導入されても、「一定の研究業績等の基準を達成していれば再任される」という理解が一般にはなされているようですが、大学審議会答申は、任期切れ後の再任について、「再任とは再びその職に採用するということであることから、通常の採用手続きに基づき、選考を行うことになる」と述べています。これは、任期切れと同時に退職が原則で、教授から助手までのすべての職を対象に、任期切れ毎に、一般公募して、そのポストの選考を一からやるということです。それまでその職に就いていたからといって優先されるわけではないのです。

大学教員のリストラの手段にされる
任期切れと同時にそのポストが改組等でなくなってしまった場合は、同じポストに再任されることはなくなります。これを悪用すれば、大学教員のリストラを合法的にやることができます。18歳人口が減少し、大学が生き残り競争に突入している現在、任期制が「法制化」されれば、私立大学を中心に、大学教員の大規模なリストラの嵐が吹き荒れることは必至です。国立大学の民営化の動きも出てきている中、国立大学教員のリストラもないとはいえません。

大学の教育研究は疲弊する
任期制による大学教員の身分の不安定化は大学の教育研究に何をもたらすでしょうか。
(1)優秀な人材が大学に集まらなくなる
分かりやすく言えば、大学教員は、住宅ローンも組めないような不安定な職業になるわけですから、優秀な人材が大学に集まらなくなり、大学の教育研究を人材面から掘り崩すことになります。
(2)地道で息の長い研究ができなくなる
文科系など、分野によっては研究の質を評価する基準が必ずしも確立されていない現状の下では、もっぱら業績の量を追求する悪しき業績主義がはびこることが危惧されます。また、任期中に形になる研究業績をあげることが求められるため、大学でなければできないような、地道で息の長い研究ができなくなり、長期的にはわが国の研究に退潮傾向をもたらすことになるでしょう。
(3)教育がないがしろにされる
教育活動の評価は研究業績以上に評価が困難であり、また、その成果は外からは見えにくいものです。したがって、学生教育に注ぐ労力は最低限に押さえて、あとはすべて研究業績づくりに励むという研究偏重・教育軽視の風潮が広がることが危惧されます。一つの大学に腰を据えて、熱心に学生教育に当たるような教員はいなくなるのではないでしょうか。大学院の博士課程などでは、5年間の在学中の途中で指導教官が他大学へ移動することなども頻発することになり、継続的な学生指導などできなくなります。

真に教育研究を活性化するためには
教育研究を活性化するためには、国立大学でいえば、低く押さえられてきている基礎的研究費や、国内学会に1回参加できるかどうかの研究旅費の増額、諸外国と比べて極端に少ない研究補助員の配置の改善等、物的、人的条件の改善が必要なことはいうまでもありません。しかし、最後は、われわれ大学教員の努力如何にかかっているといわなければなりません。そして、大学全体としての教育研究の活性化は、学生教育のあり方や改善方策、研究業績の公正公平な評価方法、採用人事・昇任人事における選考のあり方などに関して、われわれ大学教員が不断に自己点検を行い、改善の努力を積み重ねていくなかでしか実現できないのではないでしょうか。教育研究の活性化とは、本来、各大学におけるこのような自律的自発的営為の中でこそ遂行されるべきものであると考えます。大学教員の身分を極めて不安定なものとする任期制「法制化」は、学内行政への無関心や教育軽視の風潮を助長するものでこそあれ、教育研究の活性化に資するものだとは思われません。われわれは、以上の立場から、大学の学問、研究、教育の発展を阻害する大学教員の任期制「法制化」に強く反対するものです。

1997年4月25日
呼びかけ人
富山大学
人文学部
梅村智恵子(教授)中純夫(助教授)中河伸俊(教授)中本昌年(教授)永井龍男(助教授)丹羽弘一(講師)矢澤英一(教授)若尾政希(助教授)
教育学部
淡川典子(助教授)榎沢良彦(助教授)椚座圭太郎(助教授)内藤亮一(助教授)広瀬信(助教授)室橋春光(教授)山根拓(講師)横畑泰志(助教授)渡辺信(助教授)
経済学部
飯田剛史(教授)小倉利丸(教授)角森正雄(助教授)小松和生(教授)坂口正志(助教授)篠原巌(助教授)竹川愼吾(教授)堂谷昌孝(助教授)星野富一(教授)
理学部
川崎一朗(教授)小林武彦(教授)近堂和郎(助教授)鈴木邦雄(教授)竹内章(助教授)浜本伸治(教員)安田祐介(教授)山田恭司(教授)
富山工業高等専門学校
岩井正雄(教授・教職員組合委員長)田島俊彦(教授)
以上36名
賛同者
富山大学、富山県立大学、富山国際大学、富山女子短期大学、富山工業高等専門学校教員339名(含呼びかけ人)。内、富山大学、富山工業高等専門学校については、過半数の教員の賛同を得た。大学教員への任期制の導入は、大学教員の身分を不安定にするとともに、大学の教育研究に重大な悪影響を及ぼすことが懸念されます。われわれは、大学教員の間での合意形成をまったく行わないままに、現在国会に上程されている「大学教員等の任期に関する法律案」を強行成立させることに強く反対します。
事務局930富山市五福3190/富山大学教育学部/広瀬信/TEL・FAX45-6366


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大学教員の「任期制」法制化に反対する三重大学教員アピール

(出所)都大教ホームページより

大学教員の「任期制」法制化に反対する三重大学教員アピール

 政府はこの4月8日、大学教員に任期制を導入するための法案を国会に提出しました。
この法案は、大学教員に数年の任期をつけて雇用する制度を可能にしたものです。任期を定められて任用(採用・昇任・配置換えなどを含む)された教員は、期限が来たらいったん退職となり、あらためて公募等による「採用審査」に合格しなければ再任されないことになります。任期付き教員が採用されるポストは、きわめて恣意的に決められる可能性があり、実質的にはすべての教員にひろげていくことができるものです。たとえば現在の教員が昇任したり他部局へ配置換えになったりする際にも適用されることが十分起こりえるものになっています。大学教員の驚くべき「解雇法案」といえるでしょう。
 大学が研究教育を活性化させ、社会的な責任を果たしていくことは私たちの願いです。その意味で、現在大学の研究教育活動は問題を多く抱えているといえます。大学の研究教育活動を活性化させたいという善意の素朴な「任期制賛成論」も配慮されなければならないのも事実です。しかし、法案やそのもととなった大学審議会の答申がいうような、問題の根本が「人事の停滞」にあり、したがって人事の流動性を高めなければならず、そのために任期制を導入するという論理にはにわかにはうなずけません。私たちは任期制の導入が、次に述べるいくつかの点から、大学に大きな弊害をもたらし、問題の解決をかえって遅らせるものと懸念し、強く反対を訴え、法案の撤回を求めるものです。

1.大学の研究教育をほんとうに活性化させるためには、直接学生や地域の人々、国民の声を汲み上げながら、私たち自身の創意と熱意を集約していく大学のシステムを創り上げていく教員の努力がまず何よりも重要でしょう。これまでも私たちは共通教育や専門教育の改革、あるいは三重県や国連といった地域社会や学外機関との共同研究などにとりくんできました。こうした努力をいっそう多様にまた広範に進めていく意志をもっています。そしてそのためにこそ研究費や研究旅費、施設・設備、事務職員や技官といった研究支援体制など、予算と定員をそれにふさわしく充実させることが必要です。
2.任期制のもとでは、大学教員の身分と生活が不安定なものとなり、安心して研究教育に専念できなくなります。そのため継続的、系統的な教育研究の基盤が揺るがされ、長期的な活動のうえに成果が現れるような基礎的研究や独創的研究、あるいは地域に根ざした研究はむしろ衰退します。身分保障のない大学にはかえって有為な人材が集まりにくくなるでしょう。その結果、ほんとうに地域や国民に貢献しうる学問研究の発展が阻害されてしまいます。
3.「任期制」のもとでは、今以上に、業績の適正、公平な評価がなされず、若手が研究教育内容について自由な発想で発言していく雰囲気が抑えられ、短期間で論文の量を競うような「業績主義」が蔓延することが予想されます。そうなれば、系統的な学生教育に対する手抜きも生まれます。そのことは地域や国民の声を反映させる努力に水をかけることになります。それが国民にとって大きな損失となることは明らかでしょう。
4.「任期制の導入は大学の選択による」とされています。しかしこれまで私たちが経験してきた大学改革の経緯から考えても、また法案のもとになった大学審議会の答申が「導入する大学には財政的な措置をとる」ことをはっきりうたっていることからみても、いったん法制化されれば、実質的には導入を強制されることは間違いないでしょう。そうなれば、大学の研究教育活動にとって本質的に重要な「権力からの自立」が今以上に脅かされることになります。
5.この法律は、「1年以上の期限をつけて雇用する」ことを禁じた労働基準法の精神を崩すものであり、これが突破口となってすべての労働者の「任期つき雇用」に道を開くおそれがあります。
6.ユネスコが今秋に採択を予定している「高等教育教職員の地位に関する勧告案」には、「終身在職権は学問の自由を保障するために不可欠である」と謳われています。研究者を競争させて「課題」をこなさせようとするムチの発想ではなく、学問研究の自由を保障しつつその能力を最大限発揮させるにはどうするかが考えられなければならないでしょう。たとえば、若い助手時代には必ず一年以上の研究留学を保障するなどの施策の方が、「任期」をつけるよりもはるかに有効なはずです。今回の「任期制」の法制化は、そのような教員の地位確立と研究条件や待遇の改善をはかっていく世界的な趨勢に逆行します。

 以上のように、今回の「任期制」導入のための法制化は、私たち大学人にとっても、そして国民にとっても重大な問題をはらんでおり、認めることはできません。私たちはここに三重大学教員としての意志を発表し、大学関係者ならびに国民のみなさまのご理解をお願いするものです。

1997年4月25日

三重大学教員有志
第1次賛同者
麻野雅子(人文)阿閉義一(工)泉琉二(教育)伊藤隆司(教育)
岩城俊昭(生資)上垣渉(教育)上野達彦(人文)内田富儀(教育)
大野研(生資)河崎道夫(教育)川島正樹(人文)児玉克哉(人文)
佐久間美明(生資)櫻谷勝美(人文)佐藤廣和(教育)佐藤年明(教育)
佐野和博(工)島津秀典(人文)関口秀夫(生資)高山進(生資)
武田明正(生資)田中晶善(生資)田中啓勝(教育)丹保健一(教育)
鶴原清志(教育)手塚和男(教育)冨野孝生(教育)那須弘行(工)
中村哲夫(教育)新居淳二(教育)西川洋(人文)西村智朗(人文)
野崎哲哉(人文)野田明(人文)波場直之(工)東晋次(教育)
平石賢二(教育)平田元(人文)平野喜一郎(人文)廣瀬英一(人文)
藤田達生(教育)星野貞夫(生資)本田裕(教育)松永守(工)
森俊一(人文)森脇健夫(教育)山田康彦(教育)山根栄次(教育)
渡邉守(教育)渡邉保博(教育)(五十音順)


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年04月25日 10:37 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年04月18日

東工大職員組合、大学の教員等の任期に関する法律案の廃案を要求する声明

(出所)都大教ホームページより

大学の教員等の任期に関する法律案の廃案を要求する声明

1997.4.18
東京工業大学職員組合

大学教員任期制法案上程までの経過

 ここ数年、マスコミは大学教員に対して「黄色くなったノートを数十年間も授業で使っている」などとやゆする報道を繰り返し、「日本の大学教員は劣っている」との誤ったイメージを国民に広げました。こうした世論操作を背景に、文部省と大学審議会は、「大学の活性化」の課題の一つに任期制の導入をあげて検討を進めてきました。
 そして大学審議会は、一昨年9月、審議の「概要」を公表して意見を求めましたが、これには多くの大学教員や科学者、大学教職員組合、さらに国立大学協会、日本私立大学団体連合会、学術団体などが危惧を表明し、批判し、反対するなどの意見が出されました。しかし大学審議会は、これらを一切無視したまま昨年10月、「学生のニーズや社会の要請を踏まえた教育が行われていない、国際的な競争に耐え得る水準の研究成果が上がっていないなどの厳しい批判がある」との誤った認識のもとに、大学の活性化を図るためには任期制の導入が必要との答申を文部大臣に提出しました。
 その後法案作成に入った文部省は、反対運動が国民的に広がることを恐れて法案の内容を国会議員にも公開せずに隠し続けてきましたが、4月8日に法案を閣議決定し、国会に上程しました。ところが閣議前に国会議員に配布された法案と閣議後の法案では、法案の骨格である第1条の目的条項の内容が変更されており、文部省は、法案の修正を議員に配布した後に行うと云う醜態を演じ、法案の拙速さ、ずさんさを露呈しました。

文部省・大学審議会の大学教員に対する現状認識は誤っている

 大学教育に関しては、大学教員は多くの時間を割いて精力的な改革を進め、地道で着実な成果を上げてきています。さらに研究に関しては、カーネギー財団が行った大学の国際比較調査によれば、日本の大学教員は給与では11位、施設設備では12,13位にもかかわらず、研究業績では、学術論文、学会発表、講演会、学術書について多くの専門分野で1,2位であることが示されています。こうした事実を文部省・大学審議会が知らないはずもなく、大学教員がいわれなき「厳しい批判」に曝される理由などないのです。
 最高裁で合憲判断が示されている1年以上の有期限雇用を禁止した労働基準法を否定する法案であり、大学教員の身分保障を奪う「大学教員解雇法案」であるこうした答申をもとに上程された法案の第1条の目的では、「教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究活動の活性化にとって重要である…」としていますが、上述の通り、活性化を必要とする前提が誤っています。
 法案の第1条の後段では、「教員等の任期について必要な事項を定めることにより、…教育研究の進展に寄与することを目的とする。」とし、第2条4項には、「期間の満了により退職することとなる」としており、これは「大学教員解雇法案」と云えるものであり、最高裁で合憲判断が示されている1年以上の有期限雇用を禁止している労働基準法と真っ向から矛盾します。こうした手荒な手段を用いなくとも、教育の改革は進みつつあり、研究も不十分な施設・設備の下でも世界のトップレベルの成果を上げているのです。

憲法に保障された学問・思想の自由が脅かされ、教育公務員特例法に保障された大学の自治はさらに形骸化が進む

 学校教育法第五十二条には「大学は、学術の中心として、…深く学芸を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力を展開させることを目的とする。」とあります。この目的の実現には、学問・思想の自由の権利を行使するとともに、大学の自治の担い手である教員の身分保障が不可欠です。任期制により教員の身分が脅かされれば、自由な学問も、その保障となる大学の自治も揺らぐことになります。

任期制法案は、大学だけでなく国民・国家にも「百害あって一利なし」

 任期付教員は短期に研究成果が要求されるため授業に充分な時間を割けず、教育の軽視が必然的に進み、ひいては独創性、創造性を持った有益な人材の育成を困難にします。任期制は、若手の優秀な人材確保を困難にし、過度の競争的環境による「悪しき業績主義」をはびこらせ、企業の商品開発型や技術開発型の無難な研究が一般化し、学理を究め事象の本質をしっかりと捉える独創性、創造性を持った研究者の養成を大変に困難にすることなど多くの弊害が生ずる危険があります。これでは財界が期待する「日本のビル・ゲイツの出現」も「新産業の創出」も望めなくなるでしょう。

乱暴な任期制法案の成立をなぜ急ぐのか?財界に開かれた大学づくりが狙い

 世界経済のグローバル化が進む下で、メガ・コンペティションに立ち向う財界は危機感を募らせ、その勝利に向けて、未踏領域の科学技術開発力を高めて高度情報化技術の開発や、新産業を創出することに求めています。そこに大学や国立研究機関の人材を総動員するために、科学技術基本法に基づく政府の科学技術基本計画(2000年までに17兆円の国家予算を投入)を呼び水に、大学教員・研究公務員への任期制導入を圧力に、産官学の技術者・研究者・教員の人材交流を急速に進めようとしているのです。

任期制法案は、助手だけでなく教授・助教授、全ての教員に任期の導入が可能

 法案の第3条で「任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは教員の任期を定めなければならない」として、任期制の導入は大学で決められるとしていますが、この間の文部省の財政誘導による強引な行政指導を見るとき、自主的判断はまず不可能でしょう。さらに第4条では、教員を採用する場合、以下の3つの職に該当する場合は任期を定めることができるとしています。
1先端的、学際的、総合的な教育研究や、教育研究の分野、方法の特性から、多様な人材の確保が特に求められる職に就けるとき。
2助手の職で自分で計画して研究を行う職務に就けるとき。
3特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。
 任期制は、この3つ職に限定して適用するように読めますが、職の定義は抽象的で、すべての教員ポストに適用できる内容と読み取れます。

任期制法案は労働基準法の全面改悪への露払い

 現在、労働大臣の諮問機関では、財界の強い要望(「新時代の『日本的経営』」で打ち出している雇用形態の流動化)を背景に「労働法制の規制緩和」と称して、労働基準法の全面改悪が検討されており、その1つに有期限雇用の自由化が挙げられています。大学教員への任期制導入法案は、全労働者の権利の剥奪への露払い法案であり、抵抗の弱いところから突破してそれをてこに全面改悪することは許せません。

大学の活性化は、法律による強制でなく現場の人々のイニシアチブで

 本来、大学の活性化は、教育研究の現場にある人々のイニシアチブによって長期的展望をもって推進されるべきものであり、一片の法律によっては実現できず、ましてや、期限を切って解雇を強制できるこの法案では、かえって大きな混乱を招きます。政府・文部省がまず取り組むべきことは、研究条件を世界のトップクラスの水準に引き上げることであり、「大学教員解雇法案」などに精力を注ぎ込むことではないはずです。大学教員の身分を脅かし、教育研究の自由を奪い、大学の自治の形骸化を進め、労働法制全面改悪の露払いとなる「大学教員解雇法案」の廃案を強く要求いたします。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年04月18日 12:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年04月10日

富山大学教職員組合、声明「富山大学への教員任期制の導入に反対する」

富山大学への教員任期制の導入に反対する

富山大学教職員組合中央執行委員会
1997年4月10日

富山大学教職員組合中央執行委員会は、昨年12月の学長交渉における現学長の任期制に関する見解および、先頃閣議を通過したいわゆる「任期制法案」について、以下のような見解を中央執行委員会でまとめた。

96年12月の学長交渉における学長の見解に対する批判

はじめに
 昨年12月18日に行われた学長交渉において、小黒学長は、任期制導入について、「(大学審議会の)答申がでた以上、反対する、賛成するという問題ではない」と述べ、「国大協としては教員の流動性を高めるという大義名分には、逆らえない」という表現で、事実上任期制導入の流れには逆らえないとする立場を明らかにした。
 たしかに、任期制導入の動きは、大学審議会の答申として出され、さらに文部省は法制化のための具体的な作業をおこない、その法案が閣議を通過した現状をみたとき、任期制の法制化の危機が高まっていることは事実であろう。
 しかし、教員の教育、研究、生活の条件すべてにわたって根本的な変更を伴う任期制の導入を、大義名分には逆らえないとか、状況からいってその是非を議論している時ではないなどといってすますことはできない。任期制の導入が、文部省や大学審議会が主張するような、大学教員の研究・教育の向上をもたらすという見通しにどれほどの客観的な根拠があるのか、また、富山大学の現状からかかる任期制の導入が果たしてどれだけの意味があるのかについて、議論を重ねその是非も含めて判断する必要がある。
 大学審議会の答申でも法案でも、任期制導入は、大学全体に一律に行われるわけではなく、選択的任期制の導入という名目で各大学の実情に応じてその導入の意思決定は各大学に委ねられるとしている。その導入については、各大学の判断に委ねられるという内容になるはずであり、任期制の導入については、それを拒否することも受け入れることも、各大学の判断に任されている。とすれば、文部省の意向に唯々諾々として従うのではなく、富山大学として独自の意思決定をすることが可能であり、また、それがなによりも求められているのである。
 わたしたちは、昨年暮れの学長交渉における学長の判断をふまえて、現状において、また近い将来において、富山大学において、教員の任期制を導入する必要性はない、と考える。その理由を、学長交渉における学長発言への批判及びその他慎重に検討すべき課題に即して、述べる。

学長による現状評価について
(1)任期制導入が大学審の指摘する諸問題の解決策となる理由が示されていない大学審議会が指摘した大学の現状における問題点とは、教官の教育が学生のニーズ、社会のニーズに対応していない、国際的な競争に耐えうる研究水準が達成されていない、学生の知的好奇心を触発・持続させる充実した授業内容が少ない、伝統的な学問分野の枠組みにとらわれすぎた研究体制になっている、自由な競争的雰囲気の欠如、能力のある若手研究者の大学離れ、民間企業流出や海外流出が生じている、自校出身者比率が高く人材交流に乏しい、といった諸点である。わたしたちは、学長交渉において、上記の問題点を逐一とりあげて、富山大学の現状はどうなのかについて学長の判断を求めた。(富大職組ニュース38号参照)学長の評価では、部分的に妥当するとはしながらも、総じて緊急に改善しなければならない深刻な問題としての認識は示されなかった。また、任期制導入が富山大学が抱える現状の諸問題の解決に寄与するとする論理的な筋道も示されなかった。たとえば、任期制の導入が現状以上に学生や社会のニーズに対応できるものであり、学生の知的好奇心を触発する教育システムとなりうる理由は示されなかった。また、人事の流動化が現在以上に進展することによって、富山大学のような地方の国立大学において現在以上に優秀な人材が集まるという保証があるといえる理由についても、明確な発言はみられなかった。

(2)企業のリストラと同様、単なる財政支出削減策なのか
 しかし、学長は、企業のリストラを引き合いに出して、「国立の教官で何年も何もしていない人もいることは確かだ」と指摘した。これは、一般論として「国立の教官」を指しているのか、あるいは、富山大学の教官を念頭に置いているのか定かでなく、客観的な裏付けのある発言ではなく、学長の単なる主観的な感想であると理解している。
 企業のリストラは、コスト削減のために行われるものである。任期制導入もまた、文部省、大蔵省の財政支出削減策として行われるということなのであろうか。もしそうであるとすれば、大学審の答申ではこうした観点は全く示されておらず、非常に問題である。表向きは、大学審答申の理屈を掲げつつ、現実には財政支出削減策としての任期制の導入ということであれば、任期制導入を大学の研究・教育に意味あるものと評価する立場の教官、大学関係者をも裏切るものである。
 そもそも企業のリストラを大学の機構改革に当てはめることには大きな誤りがある。企業のようにコストを削減して利益を確保することが必要な組織のリストラは、「利潤」という基準があるが、国立大学のビヘイビアはそうした市場原理に支えられたものではない。研究・教育は、市場原理やそれに基づく競争原理によって評価しうるものではない。
 もし、企業のリストラを引き合いに出すというのであれば、わたしたちは、企業のリストラで優秀な労働者たちが職を奪われた多くの事例を想起せざるをえない。経営者の判断する優秀かどうかという基準はわたしたち働く者の立場に立つ労働組合が採用する基準にはなり得ないということを指摘しておきたいと思う。
 学長は、「国立の教官で何年も何もしていない人もいることは確かだ」と語っているが、何もしていない教員はいない。「何年も何もしていない人」という言い方は、多分「何年も研究業績を発表していない人」という意味であろう。しかし、こうした従来の教員への評価のあり方自体を大学審議会は批判していたのではなかったか。研究業績の数(質ではない)が少ない教員は、それだけをもって何もしていないとはいえない。教育活動の評価や、地域社会への寄与など多角的な視点での判断が必要なはずである。

いくつかの危惧すべき点
以上の他、学長交渉の席上学長から示された見解ではないが、大学審議会の答申に関して、以下の問題点を指摘しておきたい。
(1)教員評価は正しく行われるか
以上のように、任期制の状況に精通しているとおもわれる学長の場合ですら、教員の評価については、必ずしも正しい判断にたっているとは言えない。任期制が導入された場合、再任するか、任期切れで退職をすることになるか、という判断を常に行うことになる。特に、任期制のポストに採用されている教員が再任を希望しながら、人事組織では再任を拒否するといったケースが生ずることも大いに考えられる。こうした場合、いかにして公正な措置をとりうるか。少なくとも現状の人事制度ではこの点で問題がないとはいえない。
(2)財政支出削減策としての任期制導入でしかないのではないか
各部局等にたいして、現在定員削減の割り当てが行われているのと同じように、機械的に任期制ポストが導入されるおそれがある。これは、任期制による研究・教育効果についての適切な評価にもとづく導入とはいえず、人員削減や経費削減のための手段として任期制が利用されることになる。
(3)まず導入して、それから問題に対処するという危険性がある
教養部改組の場合、改組の決定が先行して、様々な問題が先送りにされたことで教養教育に大きな問題を残した。同様に、任期制導入でも、慎重な議論なしに、まず導入という大枠の方針を決定するといったやり方は、結果的に教員の犠牲を強いることになる。
(4)地方大学にとって、任期制導入はむしろデメリットになる
同じ地区に多くの大学が存在し、同一地域の他大学等へ転出する可能性のある大都市部とちがって、地方大学では、任期制を導入した場合、遠方への転居にともなって、研究・教育は完全に中断してしまう可能性がある。そのため、転出してしまえば、学生、院生への指導は中断し、学生への教育効果上は大きなマイナスとなる。また、研究成果をあげるのに長期の時間がかかるような研究は着手しにくくなり、地方大学における研究対象の選択の幅が大都市部の大学に比べて狭められることになる。

文部省による任期制法案について
大学審議会答申を踏まえて、4月8日に、文部省は任期制法案を閣議に提出し、了承された。この法案について、下記の点で問題があると考える。
法案の目的についての問題点
目的として、「大学等において多様な知識又は経験を有する者を教員等として確保すること」(第一条)とあるが、こうした多様で豊富な経験者の採用は任期制によってしか確保できない理由はどこにあるのか。こうした不安定な雇用でしかも給与等の条件も悪くなる任期制ポストで果たして「多様な知識又は経験を有する者」を確保することができるのであろうか。逆に、任期制は、優秀な人材の使い捨てにならないとも限らない。

任期制を導入するポストについての条項の問題点
(1)任期を定めることができる要件を第四条で定めている。その第一項で、「先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき」とある。どのような学問であれ、「先端的」であることを目指すのは研究者として当然のことであるとすれば、すべての研究職に任期制が導入されるというこになる。また、最近の富山大学における学部改組、大学院設置等の中で、学際的な研究が重視されるケースが増えていることをふまえると、「学際的又は総合的な教育研究」への任期制導入条項は、新たな改組等にともなう任期制導入の根拠とされる危険性がある。
 同時に、「先端的、学際的又は総合的な教育研究」に取り組もうとする野心的な教員や、学部の専門教育分野の枠組に含まれない研究教育分野を担当する教員ほど任期制のターゲットとなり、不安定な身分を強いられるということになりかねない。
(2)同上第二項には、「助手の職で自ら目標を定めて研究を行うことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき」とある。あえて、助手というポストを指定する意味がどこにあるのか。法案の目的である「多様な知識又は経験を有する者を教員等として確保する」という趣旨と一体どのように整合するのか不明である。
(3)同上第三項には、「大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき」とある。任期内に終了する短期的なプロジェクトをどのように大学で決定し、どれだけの教官定員をかかるプロジェクトに振り向けるかといった現実の運営を念頭に置いた場合、従来の学部における研究教育システムの大幅な変更を強いることになる。本来、こうした短期的なプロジェクトを組んで研究者を招聘する場合に、教官定員を利用することには無理がある。むしろ客員研究員等に制度を充実させることが必要なのではなかろうか。
助教授以下のポストにいる現職にも導入される可能性がある
文部省による「法律案の概要」のよれば、任期制の導入は、「新たな任用(採用、転任、昇任等)を行う際に任期を定めることとする」と説明されている。とすると、現在助手、講師、助教授が昇任する場合、学部の改組等で他の講座等へ配置替えになる場合などの際に任期制が導入される恐れがあるということである。教授の場合も、そうした恐れがないとはいえないが、昇任はありえないので、その危険性はかなり低くなる。
 人事が教授のみを構成員とする人事教授会に委ねられている現状をふまえたとき、場合によっては、助教授以下の若手の構成員にとっては、今回の法案が成立した場合には非常に不利な立場に置かれる可能性がある。

まとめ
 以上のように、任期制については、大学審議会答申および文部省による法案ともに、多くの疑問点がある。法案にいたっては、審議会答申の内容とも食い違い、恣意的な運用が可能な曖昧な表現に終始しており、とうてい是認できる内容とはいえない。また、富山大学の現状を見た場合にも、任期制を導入しなければならない必然性は見当たらない。むしろ、任期制導入がもたらす研究教育上のデメリットの方が大きいと判断せざるを得ない。
 富山大学教職員組合中央執行委員会としては、大学審議会の答申、任期制法案に基づく任期制の導入は、教員の身分および研究、教育を著しく不安定にするものであると判断せざるを得ない。また、現学長との交渉でもこの点の危惧を払拭することのできる見解を得ることはできなかったと判断している。
 従って、富山大学教職員組合中央執行委員会は、現学長、次期学長候補、そして各学部の学部長にたいして、任期制法案の成立に反対し、また富山大学への導入を行うことのないよう要望するものである。
 大学教員に対する任期制導入の問題について、執行部としては以上の通り見解表明を行います。この見解内容に対してご意見、ご批判など有りましたら、ぜひ中執までお寄せ下さい。組合ニュースへの投稿も歓迎いたします。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年04月10日 12:53 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年04月08日

大学教員の任期制導入に反対する共同アピール

(出所)都大教ホームページより

大学教員の任期制導入に反対する共同アピール

愛媛大学教職員組合
愛媛大学文理学部等教職員組合
愛媛大学教育学部教職員組合
愛媛大学工学部教職員組合
愛媛大学農学部教職員組合
愛媛大学医学部教職員組合
松山大学教員組合
今治明徳短期大学教職員組合

1997年4月8日

 文部省大学審議会は、'96年10月、大学教員の任期制導入をうたった答申を文部省に提出した。これをうけて文部省は大学教員の任期制を導入する特別立法を本国会へ上程すべく準備を進めている。愛媛大学教職員組合・松山大学教員組合・今治明徳短大教職員組合は共同してこうした「任期制」導入の動きに強く反対を表明する。同時に、全大学構成員諸氏に対して任期制導入反対で連帯し、結集されることをアピールする。
 1.大学教員の任期制は、真に自由かつ民主的に研究を行う環境を破壊する危険性をはらんでいる。このことは、日本の高等教育・研究機関の創造的な発展を阻害するものであり、断じて認めるわけにはいかない。
 2.「選択的任期制」は、文部省の責任を放棄したまま各大学に「強制的任期制」導入を押しつけるものである。今日噴出している中央官僚の「無責任体質」によって「大学の自治を守り、研究環境を維持・改善し、大学人として生きる権利」を侵害させてはならない。
 3.大学教員の任期制は、単に一大学人だけの問題に止まらない。「任期制」は、大学職員の削減へ連動し、国家公務員の身分保障を侵害し、さらには、わが国の雇用形態の全面的変更を迫ることへとつながるであろう。「任期制」導入によって、労働者の継続的雇用という基本的権利を奪う突破口にさせてはならない。
 我々は、さらに、大学が文化を切り拓き、優れた人材育成を担う真に国際的な高等教育・研究機関として創造的に発展するために次のことを求めるものである。
1.大学人の「多忙化現象」を助長し、研究・教育活動を阻害するような「定員削減」を即刻見直し、事務系・技術系職員の定員増と待遇の改善、サバティカル制度など研究活動を充実させる諸制度を整備すること。
2.私学助成を増額し、私学における教育・研究体制を充実すること。
3.劣悪な・老朽化した研究・教育施設を早急に改善すること。
4.高等教育機関の教育面での充実を図るために諸施策を多面的に検討すること。
5.画一化した初等中等教育を改善し、大学入試制度の見直しを急ぐこと
6.序列化し、差別を助長している現在の大学システムをさらに改悪するような大学制度改革を行わないこと。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年04月08日 10:50 | コメント (0) | トラックバック (0)
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