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1997年03月
掲載事項(記事)一覧


1997年03月28日

岩手大学教職員組合、大学教員の任期制法制化に反対する声明

大学教員の任期制法制化に反対する声明

1997年 3月28日

岩手大学教職員組合常任委員会

 大学審議会は昨年10月29日に「大学教員の任期制について」を政府に答申しました。政府は現在この答申を受けて、今期通常国会において特別立法をもって大学教員への任期制の導入を強行しようとしています。事態は予断を許さない状況となっています。

 答申は、任期制導入のねらいがあたかも「教育研究の活性化」や「若手教員の育成」にあるかのような言辞を弄していますが、その真のねらいは、大学における学問研究の自由を奪い、併せて大学の自治を奪い取り、国民のための大学から財界に奉仕する大学へと転換させることにあります。産官学共同ならぬ産官学一体化路線とでも言うべきものです。そのためにこそ特別立法措置を講じ、これまで公務員や教育公務員特例法あるいは労働基準法や学校教育法などによって築き上げられ、また、守られてきた教職員の身分保障と労働者の保護規定を否定し、大学教員の雇用に「規制緩和」を導入するということなのです。しかも、このねらいは大学教員に止まるものではなく、公務員一般ひいては労働者全体に押し広げられる危険性があり、従来の日本型雇用を解体し、いつでも解雇可能な労働市場を形成しようとするものに他ならないのです。

 そうしたねらいが隠されているからこそ、昨年9月に「審議の概要」が発表されて以来、国立大学協会をはじめ大学関係諸団体の意見は、明確に反対を表明したものや任期制の危険性を指摘し、導入に慎重さを求めたものがほとんどを占めているのです。例えば、国大協は任期制導入の問題点として、長期的な教育研究計画が困難になること、学問研究の自由が脅かされる危険性があること、業績主義に陥りやすいこと、再任を認めない場合失職するしかないことなどを挙げているのです。

 政府はこうした大学関係者の意見に耳を傾ける事なく、秘密裏に任期制の法制化を準備しようとしており、そのことは文部省が今もって法案の内容を一切明らかにしていないことにも現れています。

 私たちは、大学教員の「生活権」を奪い、大学における学問研究の自由を奪い、そして大学自治の崩壊を招きかねない「任期制法制化」を断固として認めるわけにはいきません。またこうした動きが、全労働者へと拡大される危険性を座視する訳にもいきません。特に、大学教員の権利や身分を不安定にすることによって、そうなりたくなければ競争しろとでも言うべき脅迫まがいの任期制は、私たちの研究教育の基盤とも言うべき人間性を冒涜するものであり、まさしく歴史を逆行させる行為であると言わなければなりません。

 岩手大学教職員組合常任委員会は、大学教員の任期制の法制化が大学教員や大学の有り様に、さらには日本の労働者全体や日本の将来にとって、極めて重大な危機をもたらすものであることを広く国民に訴えるとともに、「大学教員任期制の法制化」の反対運動を引き続き進めていくことをここに表明致します。


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1997年03月13日

北海道教育大学 学長宛「要請書」

要請書

 私ども北海道教育大学の教員は、この度、大学教員への任期制の導入とその法制化に反対する声明を発表致しました。
 声明は5分校から2~3名、計14名が呼びかけ人となって賛同署名を募ってきたものです。2月中旬から約3週間という短期間でしたが、3月10日現在で235名の教員の賛同が得られました(北海道教育大学の全教員の6割)。
 賛同署名は今後も継続する予定ですが、関係法案の閣議決定と国会上程が間近と伝えられる緊迫した状況にあることから、取り急ぎ第一次集約分として3月10日付けで取りまとめて発表したものです。
 声明は、大学における研究教育の「活性化」につながるどころか、むしろ、研究教育の発展を阻害するものであると言わざるを得ない大学教員への任期制導入に反対し、その法制化に係わる関連法案の国会への上程を取り止めるよう強く求めております。
 貴職におかれては、私どもの意向を十分に踏まえ、問題に対処されるよう要請致します。

1997年3月13日
「大学教員への任期制導入と法制化に反対する声明」賛同者一同

Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年03月13日 11:57 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年03月11日

愛知教育大学教員、大学教員の「任期制」法制化に反対し、教育・研究条件の充実を求めるアピール

(出所)都大教ホームページより

大学教員の「任期制」法制化に反対し、
教育・研究条件の充実を求める愛知教育大学教員アピール

1997年3月11日

 大学審議会は昨年10月、大学教員への任期制導入を柱とする「大学教員の任期制について」を答申し、これを受けて文部省は「任期制」実施のための法制面の整備を含む特別立法を、現在開会中の国会に提出する状況にある。大学審議会の答申では、導入の理由として、教育・研究の「活性化」を図り、教員の「流動性」を高めることをあげている。
 しかし、教育・研究を前進させるためには、大学教員からの要求が強いサバティカル制度や大学間の教員交流制度の導入などが必要であり、何よりも、教職員の増員と施設設備の充実および恒常的研究費及び研究旅費の増額と、大学におけるよりよい教育システムを構築するための機構改革やカリキュラム改革に関する自主的努力を尊重することこそが、大学の教育・研究を真に発展させる最善の道であることを強く訴えるものである。

 この20年間、愛知教育大学における教員一人当たりの研究費は、ほとんど横ばいの状況であり、経常的経費を差し引くと実際に研究に使える費用はきわめて乏しく、研究交流のための旅費にいたっては学会出席一回分に過ぎない。そして、各教員は90分の授業を平均で一週あたり6回も行っており、その合間をぬってわずかな研究時間を確保している有り様である。また、8次にわたる定員削減によって、事務系職員は約25%も削減され、労働は多様化・過密化し、大学をとりまく教育研究支援体制が急激に悪化しつつある。
 「任期制」の導入は、こうした劣悪な状況を放置したままで、大学教員の間に短絡的に競争原理を持ち込み、いたずらに論文数や著作数を競わせる「業績主義」を煽るものでしかない。また「任期制」は、数年間の研究成果の評価によって運用されるため、長期に継続してはじめて成果があがるような研究を切り捨てるものである。「任期制」法制化は、「学問・研究の自由」「大学の自治」を形骸化させ、大学教員の教育活動への取り組みを弱体化させるものである。この結果、「学術の中心として、広く知識を授ける」大学の機能が著しく損なわれることになり、「任期制」法制化は到底容認できない。
 「再任」の手続きは「採用」の手続きと同等と「答申」で明記していることからも、実質的には「任期制」が「期限付き雇用」後の「再任不可=解雇」につながるものである。職業としての教員の身分が不安定になり、長期的生活設計が出来なくなるなど市民的生活の基盤すらも奪うものである。本「任期制」が、小・中・高などの教員や公務員、ひいては民間企業への数年間の「期限付き雇用」導入の露払いの役割を担っていることも決して看過出来ないことである。
 私たちは、愛知教育大学の教員として、以上の理由から大学教員への「任期制」の導入とその法制化に強く反対するとともに、その危険な内容を広く学内外にアピールするものである。

賛同署名者数全教員301名中220名(1997年3月11日現在)
内氏名公表可とする者175名(50音順)

青嶋敏(民法学)阿形健司(教育社会学)浅野和生(西洋美術史)
荒井保治(独文学)有田節子(日本語学)安藤重和(日本古典文学)
池田義昭(解析学)石川宗雄(物理化学)石黒宣俊(中国近代思想)
石戸谷公直(位相幾何学)石原伸哉(公衆衛生学)石丸博(政治社会学)
磯部洋司(美術科教育)市橋正一(園芸学)伊東良郎(細胞学)
稲毛正彦(無機化学)今井正之助(日本古典文学)岩井勇児(教育心理学)
岩崎公弥(歴史地理学)岩松鷹司(発生生物学)植村英明(確率論)
魚住忠久(社会科教育)牛田憲行(素粒子物理学)有働裕(国語科教育)
宇納一公(彫刻)梅澤由紀子(音楽教育学)梅下隆芳(経済政策論)
浦田敏夫(解析学)浦野隼臣(地球化学)遠藤透(鋳金制作)
大沢秀介(英米哲学)太田弘一(園芸栽培学)太田稔(数学基礎論)
大西研治(機械工学)大西友信(民族音楽学)大村恵(社会教育学)
大和田道雄(大気環境学)岡出美則(体育科教育)小笠原節夫(人口地理学)
岡本勝(日本近世文学)小川秀夫(情報工学)尾崎俊介(米文学)
折出健二(生活指導学)甲斐健人(体育社会学)春日規克(運動生理学)
加藤祥子(被服構成学)加藤正義(機械工学)金森正臣(動物生態学)
金光三男(代数学)川口杲(デザイン学)北野英己(遺伝育種学)
木村博昭(中国書道史)清田雄治(憲法学)日下部信幸(被服学)
久野陽一(英文学)栗原一身(器楽)黒川建一(保育内容論)
劔持淑(英米文学)小泉直(英語学)小竹聡(憲法学)
児玉康一(素粒子物理学)小寺平治(数学基礎論)小西英之(物理化学)
子安潤(教育方法学)近藤潤三(独政治史)斉藤秀平(社会教育学)
斎藤眞(臨床心理学)坂田利弘(公衆衛生学)佐古井貞行(消費社会学)
佐々木守寿(応用数学)佐藤彰(建築史学)佐藤勝利(臨床心理学)
佐藤豊(中国哲学)佐藤洋一(物性物理学)佐野竹彦(知能心理学)
澤武文(天文学)澤正実(発生学)澤田徹郎(社会学)
寺中久男(物性論)渋谷克美(西洋哲学史)清水秀己(電気工学)
清水秀美(教育心理学)新行紀一(日本中世史)新山王政和(音楽科教育)
菅沼教生(植物生理学)杉浦孜(地球化学)鈴木剛(教育哲学)
鈴木英樹(運動生理学)鈴木眞雄(教育心理学)鈴木将史(確率論)
住友陽文(日本現代史)芹澤俊介(植物分類学)鷹巣純(美術史)
高橋丈司(教育心理学)高橋裕子(保健教育)田口尚之(中古文学)
竹内謙彰(発達心理学)竹内登規夫(職業指導)田平誠(気象学)
辻村真貴(水門学)土屋武志(社会科教育)筒井清次郎(体育心理学)
塘耕次(中国哲学)坪井由実(教育行政学)寺本潔(地理教育)
遠西昭壽(理科教育)鴇田信男(西洋音楽史)道木一弘(英文学)
永井輝雄(教育制度学)中川洋子(声楽)中島清彦(錯体化学)
中田敏夫(社会言語学)中田直宏(作曲)中津楢男(情報工学)
中野靖彦(教育心理学)中村喜美子(家庭看護学)中村正廣(米文学)
永冶日出雄(比較文化論)仲山進作(美術鋳造)長井茂明(被服材料学)
長沼健(分析化学)西宮秀紀(日本古代史)西村敬子(食物学)
丹羽晧夫(美術教育)沼田隆(宗教学)野沢博行(銅版画)
野地恒有(日本民族学)野田満智子(生活科学教育)野田三喜男(応用物性)
橋本到(統計力学)橋本尚美(家庭科教育)羽渕脩躬(生化学)
林剛一(声楽)林誠(代数学)早瀬和利(栄養学)
原口芳明(臨床心理学)樋口一成(工芸教育)久田晴則(英文学)
平田賢一(教育情報学)福田雅一(分子生物学)藤井浩之(教育方法学)
藤江充(美術教育)藤本博(国際政治学)舩尾日出志(社会科教育)
堀内久美子(養護教諭論)前田勉(日本思想史)松下淑(特殊教育学)
松田猛(金属物理学)松田正久(素粒子論)三浦浩治(表面物理学)
見崎恵子(西洋経済史)水谷俊二(声楽)南守夫(独現代文学)
南曜子(音楽教育)三宅明(岩石学)三宅正彦(日本思想史)
村岡眞澄(体育学)目黒克彦(中国近代史)森重義彰(ロシア教育史)
森山昭雄(自然地理学)矢崎太一(低温物理学)安武知子(理論言語学)
安本太一(計算機科学)山口匡(教育哲学)山下茂(独文学)
山田綾(家庭科教育)山中哲夫(仏文学)山根真理(家族社会学)
横山信幸(国語教育)吉岡恒生(教育心理学)吉田正信(日本近代文学)
渡邊和靖(日本思想史)渡邊籐逸(確率論)渡邊雅弘(政治思想史)
SuzanCollins(英語学)

Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年03月11日 14:14 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年03月10日

京都大教官有志、大学教員任期制法制化に反対する緊急声明

(出所)都大教ホームページより

大学教員任期制法制化に反対する緊急声明

 大学審議会は1996年10月29日「大学における教育研究の活性化」を理由として、「大学教員の任期制」導入のための法改正を提言する答申を文部大臣に提出しました。政府はこれに基づいて現在開かれている通常国会に任期制法案を提出する見通しになっています。これは「問題点を指摘するもの」として慎重な対応をもとめた国大協意見(95年11月)や全大教、私大教連の反対声明等をほとんど無視しての強行です。また井村京大総長が大学審議会の当該部会である組織運営部会の構成員であるにもかかわらず今日まで京大学内ではほとんど議論がなされず、最終答申が決まった現段階でそのたんなる追認を求めるかのような総長の姿勢も大学運営の上で大きな疑問を感じざるを得ません。こうした大学人の十分な討議とはほど遠い状況の中での強行です。個々の教官には十分その内容が周知されているとは言い難いのではないでしょうか。そんな中でこれからの大学とその構成員に決定的な影響を与える法案が上程されようとしているのです。
 わたくしたちは、次の諸点でこの法改正を大きな問題ありと考えています。
1)各大学・一部局による「任期制の選択的導入」は現行法制でもできるし、また現に行われている(「紳士協定としての任期制」)。これによつて人事交流の目的は十分達せられるのに、答申は、しゃにむに法改正に突き進んでいる点。
2)公正な審査体制がなければ多くの紛争を引き起こし、また学問の自由を危険にさらすなど制度的な欠陥のおそれが大きいにもかかわらず、答申はその点の十分な検討ないこ法改正に突き進んでいる点。
3)「任期制導入」一をする大学への特別予算など財政誘導を明言している点。これは自主的な導入に反します。
4)「自主的選択的導入」をうたいながら「導入」決定の権限を学長に与えようとしている点。各部局・各分野による事情を無視し、対応を強制するおそれが十分あります。
5)この法改正が国家公務員法・人事院規則の一般規定を変えるものであり、また労働基準法の全面改悪の動きと運動して出されてきているため、極めて解雇されやすい雇用制度である「期限付き雇用」を社会全体に広めるおそれが大きい点。

 以上のようにこの問題は大学教官ばかりか全公務員、民間企業労働者など社会全般に大きな影響を与える問題なのです。それにもかかわらずそうした影響についても全く考慮することないこ大学教員だけの問題という外観で法改正が強行されることにも大きな危惧を感じます。
 わたくしたち京都大学教官有志は、こうした諸問題をもった今回の法改正の強行に断固反対の意思を表明します。大学の教育研究の活性化は、基本的な教育研究基盤の充実と、自由と責任の自覚、社会に開かれた大学の役割を日常的に実現していくことによってもたらされるのであり、よりよい大学づくりのために大学入自身の討議を一層高めて行かなくてはなりません。

 そこでわたくしたちは連名により声明します。
〇わたくしたちは、大学の教育研究の活性化をもたらさず、多くの弊害につながる大学教員任期制法制化に反対する。
〇わたくしたちは、教育研究の活性化と社会により開かれた大学づくりのための大学人員身の運動を進めていくことを決意表明する。

呼びかけ人=齋藤衛(理学部教授)・西牟田祐二(経済学部助教授)・森田明弘(理学部助手)
賛同者氏名
 ●総合人間学部 木村崇 高橋眞 田中真介 林哲介 松木敏彦 松島征 
湯山哲守 渡邊雅之
 ●大学院文学研究科・文学部 池田秀三 上原真人 清水御代明 高橋克壽
 高橋慶治 長谷正嘗 服部良久
 ●大学院法学研究科・法学部 岡村周一
 ●経済学部 今久保幸生 大西広 岡田知弘 近藤文男 樫由忠衛 佐藤進
 下谷政弘 中居文治 中野一新 西牟田祐二 堀和生 若林靖氷 渡邊尚
 ●大学院理学研究科・理学部 有賀哲也 井川淳志、尾池和夫 太田耕司 
大見哲巨 加藤重樹 神谷英利 木寺詔紀 木村佳文 小林芳正 根田昌典 
坂本宏 佐々木豊 斎藤衛 須藤靖明 高木紀明 瀧本清彦 竹本修三 筒井
智樹 富田克敏 西田利貞 西村敬一 平由龍幸 藤澤久雄 藤村陽 船越康
宏 逸見康夫 森哲 森田明弘 山田良透 吉村一良 吉村洋介
 ●大学院医学研究科・医学部 川西美智子 山本淑子 山本啓一
 ●医学部付属病院 酒井正彦
 ●大学院工学研究科・工学部 石川本雄 梅田吉邦 小笠原一禎 神田陽一
 秦和夫 中村貴志 松尾哲司 山本悟
 ●農学部 香川泰伸 北川政幸 高藤晃雄 野田公夫
 ●大学院人間・環境学研究科 松井正文
 ●化学研究所 鞠谷信三 高橋敞 柿木茂 綱島良祐
 ●人文科学研究所 高田京比子
 ●エネルギー理工学研究所 上田靜政
 ●防災研究所 上野鉄男 奥西一夫 許斐直 渋谷拓郎 堀口光章
 ●ウイルス研究所 竹田和正
 ●経済研究所 上原一慶
 ●数理解析研究所 玉川安騎男
 ●原子炉実験所 赤星光彦,岩本智之 海老沢徹 川本圭造 小出裕章 小林圭二
 代谷誠治 高田實弥 長谷博友 松山奉史 水間満郎
 ほか賛同者合わせて全132名(第1次集約分) *引き続き賛同者募集中。
                      京都大学教官有志
                      1997年3月10日
 お問い合わせ・連絡先: 京都大学職員組合 (753-7615)


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年03月10日 14:25 | コメント (0) | トラックバック (0)
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北海道教育大学教員有志、大学教員への任期制導入と法制化に反対する声明

大学教員への任期制導入と法制化に反対する声明

 政府・文部省は、大学審議会がさる1996年10月29日に総会において決定した「大学教員の任期制について」の答申を受けて、現在開会中の通常国会に任期制導入に係わる関連法案を提出する予定であるといわれています。
 1995年9月に大学審議会の組織運営部会が「大学教員の任期制について(審議の概要)」を発表して以来、国立大学協会をはじめ大学関係諸団体が意見を表明してきていますが、任期制導入に全面的に賛成する意見はほとんどみられず、その多くは、長期的な視野に立った研究教育計画を阻害する、アカデミック・フリーダムを脅かす、大学間に新たな序列化を生むなど、枚挙に暇のないほど危険性やマイナス面を指摘するもにでありました。
 「大学教員の任期制について」の答申も、これらの危険性や危惧を解消するものにはなっておりませんし、むしろ、否定的な側面が一層顕著になっています。その点は 、例えば、1月20日に大学審議会組織運営部会の特別委員も出席して開催された日本学術会議第2常置委員会主催の「大学改革と任期制」のシンポジュームでも、参加者のなかから任期制導入への疑問が多数表明されたことにも表れています。
 私ども北海道教育大学の教員は、大学間格差を拡大助長する文部・教育行政のなかにあって、とりわけ乏しい予算と定員のもとでの研究教育を強いられております。日頃の研究教育の営みを通して実感することは、大学における研究教育の「活性化」には、なによりも、十分な予算や定員の確保、研究教育にかかわる教員の身分と十分な賃金の保障、大学の自治の尊重こそが不可欠であるということです。
 任期制導入は、研究教育の「活性化」につながるどころか、むしろ、研究教育の発展を阻害するものであると言わざるを得ません。同時に、現行の労働基準法や国家公務員法、人事院規則などの実質改悪を伴う大学教員への任期制導入とその法制化が、単に「大学教員解雇法」となるにとどまらず、日本のすべての労働者に対する「解雇法」への糸口となることが憂慮されます。
 以上の諸点から、私ども北海道教育大学の教員は、大学教員への任期制導入に反対し、その法制化に係わる関連法案の国会への上程を取り止めるよう強く求めます。

以上

1997年3月10日
北海道教育大学教員有志 235名

Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年03月10日 11:56 | コメント (0) | トラックバック (0)
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1997年03月06日

東北大学職員組合、声明「大学教員の任期制の法制化に反対する」

声明「大学教員の任期制の法制化に反対する」

1997.3.6 東北大学職員組合

 大学審議会組織運営部会は昨年9月同審議会に対して「大学教員の任期制について」と題する報告(以下単に報告として引用)を行いました。報告は各大学に通知されると共にマスコミなどにも取り上げられ、学内外で広く論議されつつあります。大学教員の任期制の法制化は、大学のあり方の根幹に触れる問題であり、本組合でも重大な関心を持たざるを得ません。

 報告の大要は以下のようなものです。
1、日本の大学は一般的に、a) 大学間あるいは大学と他機関との間の人事交流に乏しい、b) 自校出身者の比率が高い、c) 年功序列的人事が行われている、などの傾向がある。
2、人事の流動性が低いことは教育・研究の停滞を招くと共に、社会経済の変化に即応した大学の組織改編を妨げる要因となっている。
3、複数の教育・研究機関を経験することが若手教育・研究者のその後のキャリア形成にとって重要である。
4、人事の流動性を高めることにより大学の教育・研究活動を活性化するためには、任期制が効果的である。
5、任期制の具体的在り方として、a) 教授を含む全教員が対象となるが、特に若手教育・研究者に導入することが重要であり、b) 導入は各大学毎に行い、決定は評議会の議に基づいて学長などが行い、c) 研究業績の審査には外部の評価を参考にすると共に、教育業績についても考慮すべきであり、d) 任期制に積極的な大学に対しては財政的支援を行うことが望ましい。
 報告には多くの重大な問題が含まれています。この報告に対する本組合の見解を以下に表明致します。(以下の文中に(註)として出てくる数字は後註の番号です。)
1、報告は日本の大学が閉鎖的で停滞しているとの認識に基づいていますが、これは極めて杜撰な議論です。大学はその設置形態(国、公、私立、総合、単科等の区別)、規模、歴史などの点で極めて多様であるのみならず、専門分野(学部・学科の違い)においても多様です。このような対象を一律に規定することは殆ど無意味であり、詳細なデータに裏付けられた綿密な議論が必要です(註1)。
2、報告では大学の活性化のための最も有効な方策として任期制を考えています。しかしながら、大学における教育・研究の質を低下させている原因としては、財政的貧困、支援態勢(技官・事務官の定員)の不備、権威主義的組織運営などの方がより重要であることは夙に知られています。特に、教員の多忙化による教育の質的低下
が現在極めて深刻になってきていることに全く触れられていないことは大変遺憾です。
3、人事の停滞の原因として大学教員の終身雇用制を挙げていますが、これが主因であるかどうかについては大きな疑問があります。大学間あるいは大学と他機関(国立研究所、民間研究所)との間の人事交流を妨げている要因としては、他にも終身雇用制を前提とした給与体系(退職金や年金の体系を含む)、公務員と民間との間の給与体系の違い、世界に例を見ない程の住宅環境の貧困、高校生の転校に対する障壁、大学間の研究条件の格差、などがあります(註2)。
4、任期制の法制化には、日本社会における雇用形態・給与体系との整合性が密接に関わっています。従って、この制度の安易な導入は、その対象者の生活を危機に陥れることになり、ひいては若い優秀な人材を確保することを困難ならしめる虞れがあります。
5、良く知られておりますように、真理を探求をすること及びそれを学生に教授することにより継承・発展させることが大学の本来の使命です。勿論、現代の社会においては、高度な職業人の養成、研究成果の社会への還元、社会の諸問題(経済、文化、教育、科学等)に対する批評と提言、産業や地域社会に対する貢献等も大学に課せられた使命となっております。
  学問(すなわち真理の探求)における価値判断の基準は、その性格上、法律、習慣、権威主義、多数決などにおけるそれとは著しく異なります。すなわち、ある学問的成果(発見、学説、理論等)の価値を決めるのは、それが正しいかどうか、あるいは正しい場合には当該学問分野でその結果がどれだけのインパクトを持つかによ
ります。この判断基準の下では、学会の大ボスであろうと駆け出しの若手研究者であろうと全く平等です。この判断基準を厳密に解釈するならば、ある学問的成果の評価は歴史的にのみ定まると言わなければならなりません。事実、そのような事例は科学史上事欠かきません。実際問題として、研究費の配分や教員人事などにおいて研究者(教員)の評価が必要とされますが、その場合には当該学問分野の専門家集団による合議で行うことが次善の策となります。いずれにせよ、教育・研究者を評価することが矛盾をはらんだ作業であることを常に意識しなければなりません。
  以上のことから分かりますように、学問の価値判断には政治権力、宗教、その他いかなる外部勢力の関与も許されません。申すまでもなく、学問の自由(Academic freedom)は学問の本質的性格に根ざした概念として歴史的に形成されてきたものです。従って、学問の自由と法制化された任期制とを整合させることは極めて困難であると結論せざるを得ません。諸外国の例をみましても、日本の教授、助教授クラスに相当する教員ポストに任期制を設けている例は皆無です(註3)。
6、大学の諸機関(学部、学科、講座等)や学会における権威主義(いわゆるボス支配)が学問発展の大きな阻害要因であることは良く知られております(註4)。全教員ポストを任期制とすることが権威主義の打破につながるものと期待する向きが一部若手教員の中ありますが、この制度は権威主義を強化し、逆に若手教員を圧迫する手段として使われる可能性の方が大きいことに注意しなければなりません。
7、教員の教育研究活動を評価し、その評価に応じた待遇を与えることにより教員を励ますことは、その評価が適切である場合にのみ有効です。ところが前述のように、このような評価は言うは易く行うは難い種類の問題です。従って、「客観性」の美名の下に数量化(論文・著書数、海外渡航数、招待講演の回数、受賞回数、etc.)のみに基づいた評価がなされがちです。その場合、業績主義(註5)がはびこり、教育・研究の質の低下を促進することになることは必定です(註6)。
8、教育・研究に顕著な成果のあった大学・学部等を財政的に優遇することは必ずしも否定されるべきではありません。しかしながら、財政支援の目的が任期制導入を促進させるためであるとすれば本末転倒と言わざるを得ません。また、教育・研究の適切な業績評価が極めて困難であることを想起しなければなりません。
9、報告は若手の教育・研究者の人事交流の必要性に触れていますが、これについては異論はありません。しかしながら、大学における職階制としての助手について、任期制の立場のみから取り上げていることは問題です。大学における助手は、一部にポストドクター(註7)的なものも見られますが、その大多数は教育研究において大きな一翼を担っています。このような助手については講師として格付けし、その待遇を改善すべきであることは私たちが長らく主張してきたところです。
 以上のように、法制化に基づいて大学教員に任期制を導入することは大変危険なことであり、本職員組合はこれに対して強く反対するものです。大学内外の皆様におかれましては、私たちの真意をくみ取り法制化を中止させるべく共に運動されますよう希望します。
 前項の主張にも関わらず、現在の大学に様々な問題があることを私たちは否定するものではありません。本職員組合は、それらの問題の解決のために様々な運動を行ってきました。任期制との関連で大学の活性化が問題となっていますが、そのために現在必要と思われることを提言として以下に掲げます。これらの提言の一部は、これまでの組合運動の中で採り上げられてきた課題です。他方、現段階では試案であり、今後組合の内外で様々な観点から論議を深めるべきものもあります。
1、最近多少改善の動きが見られるとはいえ、長年続けられてきた校費の増加率抑制政策によりもたらされた教育・研究予算の逼迫状況は依然として深刻です。また、設備や建屋の貧困についても目立った改善はなされていません。さらに、長年続けられてきた定員削減政策によりもたらされた技官・事務官の不足は、危機的状況にあると言えます。これらの問題は一刻も早く改善されなければなりません。
2、大学の閉鎖性を改善し、人事交流を活発にするための方策としては次のようなものが考えられます。a) 他大学から転入する教員に対して住宅を貸与する、または住宅取得を補助するための「支度金」を支給する。b) 同じく研究費(例えば教授で5年間にわたり総額2,000万円程度)を支給する。
3、教育・研究活動を活発にする方策としては、次のようなものが考えられます。a)サバティカル(註8)制度を設ける。b) 教官一人当たりの旅費を年間20万円程度に増額する(註9)。c) 発表論文をレフェリー付きのプロシーディングス(註10)として出版するような国際学会に出席・発表する場合には年2回を限度とし旅費を支給する。c)個人で使用できる図書費を年間20万円程度支給する。
4、若手の教育・研究者の人事交流を活発にする方途としては、ポストドクター制度を充実させ、ポストドクターの地位を比較的安定的なものにすることが考えられます。例えば、a) 毎年の採用数がAcademic post(大学や研究機関の職のこと)の年間需要以上とする。b) 任期付きであることを考慮して、その給費は同一年齢の学卒者の平均給与の2倍程度とする。c) 任期は3年とし、8年まで再任可能とし、かつ再任率が9割以上とする。d) 全定員の7割以上についてはその採用権を大学や研究機関に与える。
5、現在の助手は漸次講師に振り替え、それに伴って助手のポストは全廃する。また、以後の講師採用の際の資格としては5年以上のポストドクターの経験を原則とする。
6、学問の自由を標榜する以上、大学にはそれに伴う自己責任が要求されます。大学としては当面次の諸点を実行すべきです。a) 大学はその活動を自己評価し、それを社会に対して公表すると共に、それに対する社会からの批判を仰ぐ。b) 教育・研究業績の合理的な評価制度を早急に確立し、教育・研究活動の活性化を促す(註11)。c)学内の諸機関は権威主義的運営がなされていないかどうかについて常に自己点検をする。d) 人事についてはプライバシーの許す範囲で最大限の情報公開を学内外に対して行う。

後註----------------------------
(1)一部のマスコミなどには、次のような戯画化された大学教授像に基づいた大学批判が見受けられます。すなわち、「学問的業績が殆どなくともトコロテン式に教授になることができ、教授となれば講義は十年一日の如く講義ノートを読み上げるだけでよく、講義の日だけ出勤するかあるいは逆に学内の権力闘争に毎日明け暮れていればよい」とした内容です。しかしながら、教授を含む大多数の大学教員は、毎日遅くまで仕事をし、あるいは仕事を家に持ち帰り、土曜日は勿論のこと時々は日曜日や祝日も出勤しています。事実これだけ仕事をしなければ、教育・研究の義務を満足に果たすことはできないし、(助教授及び助手の場合は)昇格することも困難です。ここで、大学教員には超過勤務手当が一切支給されないことも付言いたします。
(2)40~50代の教員の中には、他大学から昇格人事の話を持ち込まれながらも、これらの事情により二の足を踏んだ経験が一度や二度ある人はそれほど珍しくはありません。
(3)米国では、マッカーシズムの反省の上で教員の終身雇用制(tenure 制度)が一般化した歴史があります。(4)例えば、学会に於ける権威主義の弊害については、最近の薬事行政に於ける不祥事にも露呈されています。
(5)昇格や研究費獲得で有利になることを目的として教育・研究者間に業績競争が生じますが、特に数量化された部分での業績競争において抜きん出ようとする行動は業績主義と呼ばれます。平たく言えば点数稼ぎのことです。業績主義は学問の正しい発展に種々の弊害をもたらします。このような傾向は米国で顕著ですが、近年我が国でも目立つようになってきました。教育業績は研究業績より一層数量化が困難ですので、業績主義が高じると教育が著しくおろそかにされます。
(6)ある法律が制定された場合の効果とその法律の立法の意図とは必ずしも一致しないことは、米国に於ける禁酒法の歴史を持ち出すまでも無く、法律学の常識と言えましょう。
(7)ポストドクター制度(post doctoral fellowship)とは、博士の学位を持つ若手研究者に対して期間(2~3年)を定めて給費を与え、大学や国公立研究機関で研究に従事させる制度のことです。
(8)サバティカル(sabbatical)とは、大学教員に対して7年毎に
半年または1年間の有給休暇を与え、その期間休息したり国内外の大学を訪問・滞在(研究のため)したりすることを可能とする制度です。研究・充電休暇とも訳されます。
(9)現在東北大学では教官一人当たりの旅費は年間6万円程度ですから、3泊4日の東京での学会に一回出席しただけで無くなってしまいます。これでは、大学外との研究交流は自腹を切らない限り不可能です(但し文部省の科学研究費が支給されている場合は除く)。
(10)国際会議の後で刊行される発表論文集はプロシーディングス(proceedings)と呼ばれます。プロシーディングスは多くの場合学術雑誌の特別号として刊行され、掲載論文は通常号の論文と同様にレフェリーの査読が要求されます。
(11)教育・研究についての業績が奮わない教員に対して適切な処置をとることを含みます。


Posted by 管理者 : 掲載日時 1997年03月06日 12:51 | コメント (0) | トラックバック (0)
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